この素晴らしい世界に祝福を!【魔を滅する転生祝】   作:月乃杜

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 っぽい噺に肉付けした噺になります。





第1話:この素晴らしい女神様に祝福を!

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「ようこそ死後の世界へ。私は貴方に新たな道を案内する女神です。ユート・スプリングフィールドさん。貴方は、本日の午後一五時四八分に亡くなりました。辛いでしょうが貴方の人生は終わったのです」

 

 長い銀髪の女性が椅子に座り、慎ましやかな態度でそう告げてきた。

 

「此処は?」

 

「貴方がこれから逝く場を選ぶ空間です」

 

「成程……」

 

 理解はしたが、そもそも転生の儀式が発動したなら普通に全情報を持つ魂が、次の転生先の母体へと宿るべく飛ばされる筈。

 

 少なくとも最初の転生で【純白の天魔王】高町なのはに会ったみたいな、謂わばテンプレ転生オリ主様な状況にはならない。

 

 まあ、今回は恐怖のOHANASHI魔導師である高町なのは様ではなくて、普通の女神らしいのだけど生憎と見覚えが無かった。

 

「そちらは名前を知っているみたいだが、だけど僕は貴女を識らないんだよな。円滑なコミュニケーションを取るなら、互いに名前を知らないといけない」

 

「そうですね、私の名前はエリス。本来はこの場での……日本の担当ではありませんでしたが先日、アクア先輩が〝ちょっとしたトラブル〟に見舞われまして、天使が代行をしていたのですけど、少し所用がありまして彼方側を担当している私が更に代行をしている訳ですね」

 

「そうか、ならエリス……貴女が死後の導きをしているって事で良いんだな?」

 

「はい」

 

 ニコリと微笑む様は確かに女神然とした美しさで、『ちょっと欲しいな』とか思わせる容姿。

 

 まあ、ちょい欲を言えば【Angel Beats!】な世界に行ってから、天使ちゃんたる【立華 奏】とエロんな事をしたかったかな〜? とか、【ユイ】とか【遊佐】とか様々なイケない妄想をしてみたりする。

 

 通常で無表情な奏だが、ユートのエロスで頬を朱に染めながら、困った表情と涙目で訴え掛けてくる場面を妄想すると、下半身とか元気になってしまう。

 

「それでですね……

 

「何かな、エロス?」

 

「だ、誰がエロスですか! 私はエリスです!」

 

「あ、素で間違った……」

 

「ハァ……」

 

 大きな溜息を吐く。

 

「貴方は全てを忘れて転生をするか、天国で暮らすのかを選んで下さい」

 

 呆れながら選択を促してくるエリスだが、基本的に前者は論外で天国というのも少しばかり胡散臭い。

 

「忘れて転生と天国ね……それだけなのか?」

 

 一応は地獄は無いのか? という意味だったが……

 

「いえ、第三の選択肢も」

 

「ほう?」

 

「異世界転生です」

 

 女神エリスが一番のお勧めと謂わんばかりに不自然な胸を張り、エヘンとこの『異世界転生』を話す。

 

「異世界転生……ね」

 

 そう、不自然な胸だ。

 

 異世界転生に興味を持った風を装いつつも片目を閉じて、それこそ不自然にはならない程度に女神エリスの姿を見つめてみた。

 

(パッドか詰め物かな? 多分だが貧乳を誤魔化している感じか……)

 

 数多の美女・美少女の裸を堪能してきたユートなだけに自慢にもならないが、ある程度は確りと視て判断が出来てしまう。

 

 女性らしいコンプレックスなのだろうが、偽の乳で誤魔化すより貧乳なら貧乳で堂々とした方が、ユートにとっては好ましい。

 

 まあ、女性のおっぱい的コンプレックスは男にとっての分身と似ている。

 

 大きければ良い訳でも無いのだろうけど、ミニマムでは相手を満足させるにはきっと足りないから。

 

 ユートも大きければ挟めて扱けるし、その愉しみを鑑みれば巨乳は素晴らしいと豪語もするが、貧乳ならそれはそれで特殊な揉み方で感じさせる事が出来る。

 

 エセルドレーダはどちらかと云えば大平原であり、彼女を感じさせる為に貧乳テクニックも身に付けた。

 

 塔城小猫みたいな小柄で見た目に沿う貧乳of貧乳は実験に適していた上に、大人化する白音モードだと姉の黒歌張りに巨乳になるから、あれは正しく一粒で二度美味しい子である。

 

 通常モードで愉しんで、次に白音モードで挟む。

 

 完璧だ!

 

「じゃあ、異世界転生で。天国でスローライフとかは性に合わないし」

 

「判りました。では転生に当たり特典を一つだけ与えましょう」

 

転生特典(ギフト)?」

 

「はい。ここに有るモノから選んで下さいな」

 

 其処にはザ・チートとか呼ばれる特典程ではない、だが持てば確かに有益そうなものが存在した。

 

 武装の類いなら【バルムンク】とか【グングニル】とか【エクスカリバー】、才能なら【完全記憶能力】とか【強魔力】とか【成長率三倍】とかだ。

 

 何でも異世界転生させる理由は、その異世界で魔王が暴れていて死者が転生を厭うからであり、この侭では魂の流出で世界の人口が激減するから、異世界からの転生者に力を与えて補填しつつ、魔王退治を促しているのだとか。

 

 魔王を退治したら更なる御褒美に、一つだけ願いを叶えるらしけど?

 

 だが然し、ユートならば魔剣や聖剣の類いを造れてしまう上、今更の才能系に何ら魅力を感じない。

 

 だいたい、権能を使えば正に【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】を出せてしまうのだ。

 

 それにドラクエな世界を旅していた中で、勇者となった際に余分で手に入れた【勇者の剣・改+3】とかも在るのだし、防具にしても【ロトの盾】に激似な【勇者の盾】は置いてきているが、【勇者の衣】と【勇者の兜】も持ち出してしまっている。

 

 つまり今更、強力な武装とかは不要という事だ。

 

 才能系は更に要らない。

 

 【完全記憶能力】とかもユートは、インデックスとアクセスして構造を理解したから一応持っている。

 

 【筋力強化】や【強魔力】や【成長率三倍】なども不要でしかない。

 

 カンピオーネだから筋力は凄まじいし、呪力だって魔術師の数百倍というアホみたいな量に強度であり、ユートの獲得経験が今更ながら三倍になって、いったいどうしろと云うのか?

 

「お!」

 

 ソコでキラッと閃いた。

 

「よし! 判った」

 

「はい、では選んだ特典を教えて下さい。それに沿って貴方に渡しますから」

 

「先ずは確認したい」

 

「はい?」

 

「特典は〝此処のモノ〟から選ぶんだな?」

 

「そうですよ」

 

 頷くエリス。

 

 ユートはズビシッ! とばかりにエリスを指差し、そして口を開く。

 

「なら、君に決めた!」

 

「……は、はい?」

 

 何を言われたのかは理解もしたが、まさかの内容にエリスは首を傾げていた。

 

 そして脳内に浸透をした今の科白に……

 

「はいぃぃぃぃっ!?」

 

 絶叫で応えたと云う。

 

「待って待って! そんなアクア先輩みたいな話を出されても!?」

 

 だけど現実は残酷な天使のテーゼである。

 

「はーい、特典はエリス様ですね? 判りました」

 

 帰ってきた代行天使が、何とユートの主張を認めてエリスを魔法陣に。

 

「ま、待ちなさい!」

 

「まあ、前例もありますからエリス様も諦めて下さいませね?」

 

「ちょっ!?」

 

 正にアクア先輩という、見事な前例が有った。

 

 そしてユートとエリス、一人と一柱はこの空間から消えてしまう。

 

 天使はそれをニコニコと見送っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 アクセルの街。

 

 それは地球などでなく、明らかな異世界。

 

 何故なら、地球には決して存在しない人種が普通に歩いていたから。

 

 獣耳やエルフである。

 

「ファンタジー世界だな。ハルケギニアやシグザール王国みたいな、中世ヨーロッパ的な世界観か」

 

「嗚呼……ああああああああああああああっ!」

 

 絶叫をするエリスだが、いつの間にか服装がゴテッとしたローブから、まるで冒険者のシーフっぽい姿に変わっていた。

 

「やる気満々じゃないか」

 

「違うわよ! 私はこうして下界に降りて冒険者とかやってたからね。今の私はエリスじゃなくクリスさ」

 

 口調も変わっている。

 

「じゃあ、クリスと呼べば良いんだな?」

 

「そ、やっちゃったもんは仕方がないし……取り敢えず君はどうしたい?」

 

「どう……とは?」

 

「私としては魔王を退治して欲しい。勿論、それが成されれば願いを一つだけ叶えて貰えるんだ」

 

「ふーん」

 

 余り興味も無い。

 

 とも思ったが……

 

「どんな願いでも?」

 

「うん、どんな願いだって可能な限りは」

 

 どんな願いでも可能な限りはとなると、ユートが思い付いたのはやはり。

 

「なら、魔王を討った暁にはエリス……今はクリスだったか、君を完全に僕だけのモノに出来る訳だ」

 

「ふぇ?」

 

 カーッ! と顔を真っ赤に染めたクリス。

 

 神様なら少なくとも百歳を越えていそうなものなのだが、どうも可成り初心な反応を示してくれる辺り、エリスはひょっとしたなら処女なのかも知れない。

 

 別に処女でなくとも構わないが、それはそれで締まりとかが美味しいから文句も無かった。

 

「その……」

 

 モジモジしている。

 

「女神を特典に出来たし、〝可能な限り〟の願いには入りそうだ。女神エリス様も美女だったけど、クリスも可愛らしいから旅するとかなら楽しめるし……ね」

 

「う、うん……」

 

 処女じゃなくても純粋なタイプか? シーフらしいフラッパーガールな口調ではあるが、見た目も可愛いタイプだから目の保養にもなるし、願いを叶えるに当たって彼女を自分の世界に連れ帰るのも良いだろう。

 

「私はまだ処女です!」

 

 さよですか。

 

「さて、アクセルの街とか云ったか……」

 

「初心者冒険者の集う街。冒険者ギルドも在るから、まずは其処へ」

 

「ゲームで云うならば所謂【始まりの街】って訳だ。確かに普通なら素人を行き成り無理ゲーなラスト・ダンジョンに送り込んでも、折角生き返らせたのに死人をわざわざ量産するみたいなもんだからな」

 

「そうだね」

 

「案内は頼めるか?」

 

「私は君の選んだ特典だ。神の力は使えないけどね、一応は私も地上で盗賊とかやってるのさ。冒険者ギルドの場所も心得てるよ」

 

 クリスが先導してユートは冒険者ギルドに向かう。

 

 それなりに大きな建物、文字は読めないが恐らくは【冒険者ギルド】とか書いているのだろう、人の出入りもそれなりに激しい。

 

「よし、アクア先輩は居ないね……」

 

 何故か無駄に盗賊としての技能らしきを使い、中を確認したクリスは何やら頷きながら〝ちっぱい〟を撫で下ろしていた。

 

「どうした?」

 

「実は、君と同じ特典を選んだ少年が居てね。前任者の先輩が此方に居るんだ」

 

「へぇ、女神様の美貌に目が眩んだのか? クリスは会いたくない訳?」

 

「今は出来たら……」

 

「で、居なかったのか?」

 

「うん、どうもアクア先輩は今出ているみたいだよ」

 

「じゃあ、今の内だね」

 

 

 ユートは冒険者ギルドに入り、女性が立つカウンターへと向かった。

 

「いらっしゃいませ」

 

 女性が丁寧に挨拶をしてくれる。

 

 ちょっとおっとりとした感じで、金髪にウェーブが掛かって御胸などはクリスと正反対ではち切れんばかりに大きな美女。

 

 三つあるカウンターでも一番の容姿だろうか?

 

 それを見たクリスが自分の胸元を凝視、パンパンと哀し気に叩いている。

 

「それで今日は如何されましたか?」

 

「冒険者になりたいから、登録を頼みたいんだ」

 

 ユートはハルケギニアの時代、自らダンジョンを造った挙げ句に冒険者ギルドを創設しており、当然ながらこんな事にも慣れているものだった。

 

「ギルドに登録となりますと登録手数料に千エリス、お金が掛かりますが宜しいですか?」

 

「いっ? 参ったな。此方の通貨なんざ持ってない。どっかで貴金属なり宝石なり売って金を作るか?」

 

 ユートの創設したギルドでは登録無料、そもそもが傭兵達が食い詰めない様に冒険者ギルドを創った訳だから、誰でも登録が可能な様にしていたからだ。

 

 とはいえ、ギルドカードの再発行に五エキュー――金貨で五枚ばかりお金が掛かる仕様だったが……

 

 因みに、この世界に於けるカードは冒険者カードと呼ばれているとか。

 

「確かに来たばかりだし、お金なんて持ってないか。何なら登録料は貸すよ?」

 

「良いのかクリス?」

 

「君が冒険者にならないと意味が無いし、千エリスくらいなら子供のお小遣いのレベルさ」

 

「サンクス、仕事で報酬が入ったらすぐ返すわ」

 

「別に気にしなくても良いのに……」

 

「親しき仲にも礼儀有り、特にお金関係は友情も愛情も壊しかねない。きちんとシビアに……だよ」

 

「う、うん」

 

 また仄かに頬を染めているクリスだが、『愛情』に反応をしたのだろう。

 

 どうもクリス……というか女神エリスはユートからの『自分のモノにする』とか宣言され、ちょいと意識をしてしまったらしい。

 

 まあ、『気になる』程度の意識具合だろうが……

 

「じゃ、登録料」

 

「確かに千エリスを戴きしたね。それでは早速、登録をしてしまいますから」

 

 受付嬢が何やらカードを取り出した。

 

「それではこちらのカードへと触れて下さい。それで貴方の潜在能力が分かりますので、潜在能力に応じてなりたいクラスを選んで下さいね。選んだクラスによって経験を積む事で様々なクラス専用スキルを習得が出来る様になりますので、その辺りも踏まえてクラスを選んでください」

 

「了解」

 

 やはり手慣れた感じで、ユートはカードに触れた。

 

 カードに何やら書き込まれているらしい。

 

「はい、結構です」

 

 終わったらしく受付嬢がカードを読み取ると……

 

「――えっ?」

 

 何やら驚愕の表情となりカードを凝視して、次いでユートの顔を見つめると、再びジッと冒険者カードを見遣る。

 

「そ、そんなまさか?」

 

「どうした?」

 

「軒並み数値が異常です。何これ……有り得ません」

 

 どうやら普通とはちょっと違ったみたいで、受付嬢からすれば驚愕しかないと云う事みたいだ。

 

 まあ、ユートはそもそも生まれてから聖闘士の修業をしていたし、異世界では神殺しの魔王になった。

 

 唯でさえ鍛え抜かれていた肉体が、更なる強化を成されたからには闘氣や魔力や霊力やPSYONなどで強化せずとも、常人なんて遥かに越えた能力を持つ。

 

 恐らく素の能力だろう、だがそれでも高い数値なのは寧ろ当然。

 

「筋力に俊敏に知力に頑強に魔力に魔力保有用量に、器用や幸運まで有り得ない数値。殆んどカンストで、特に魔力保有用量なんて高レベルなアークウィザードの数百倍以上? というか計測不可能ってナニ!?」

 

 確かに、カンピオーネとは魔術師の数百倍の呪力を誇っていたし、それもまた当然の帰結といえよう。

 

「これならクラスは正しく上級クラスすら選び放題、はっきり言って何にだってなれますよ!」

 

 受付嬢の言葉にクリスも驚愕を禁じ得ない。

 

(彼、本当に魔王を討ってしまうかも? そうすると私は御持ち帰りされる?)

 

 ユートのモノに……というのがより現実味を帯び、真っ赤になりながら成り行きを見守っている。

 

 となるとクリスは目的が果たされても最早、天界には帰還が叶わない訳だ。

 

 ユートが魔王を討てずに死ねば還れるが、それでは本末転倒な上に女神失格の烙印を押されかねない。

 

 堕女神以下の邪神だ。

 

 恋愛関連と女神の矜持、二つの意味でドキドキしている小さな胸、クリスとしての……エリスとしての、ハートキャッチされたかの如く早鐘を鳴らす。

 

 それを恋と勘違いしてしまう程度に、女神エリスは男慣れしていなかった。

 

 説明される職業。

 

 アークウィザード。

 

 クルセイダー。

 

 ルーンナイト。

 

 アークプリースト。

 

 エレメンタルマスター。

 

 ソードマスター。

 

 上級クラスも可成り数が有るらしく、一部だけ抜粋して貰ったが出るわ出るわといった感じだ。

 

「ルーンナイトは魔法の使える騎士、つまり魔法騎士……なんつね。若しくは、ソードマスターでも……」

 

 魔法なら自分で使える訳だし、ルーンナイトにする意味は余り無い。

 

「っていうか、能力値なんかも違ってくるんだろうけどさ、クラスって何か意味があるのか?」

 

「クラスにはスキルが獲られるんだ」

 

「スキルか」

 

先の説明にもあった。

 

「スキルポイントがある筈だよ? それを用いて各々のクラススキルを習得するのさ」

 

「ああ! この9999ってヤツか?」

 

「ブフッ! はぁ?」

 

 数値がおかしい。

 

 既知外染みているのだ。

 

「普通は30〜40だし、70〜80も有れば天才と呼ばれるんだけどな」

 

 文字通りの桁違い。

 

 これならソードマスターのスキルは全て取れる。

 

 ユートはクラスをソードマスターにしようとして、ふと考えを変えてみた。

 

「訊きたいんだけど」

 

「何でしょうか?」

 

 美人な受付嬢が応える。

 

「この下級職の一つである〝冒険者〟ってのは?」

 

「ああ、一番弱い職業ではありますね。どんなにショボいステータスでもなれる職業ですし」

 

「確かに最弱だね……」

 

 とはいっても、ゲームとかならこれから巻き返しがあってもおかしくない。

 

 所謂、『最弱が追い出されてチート全開』系とか。

 

 最弱だったと思われながら主人公がチート化する。

 

 それを鑑みれば或いは、冒険者も使えるかもだ。

 

「何か冒険者に特徴は?」

 

 特徴が無いのが特徴とか言われたら、流石にユートも閉口するけど。

 

「一応、見た事が在るならスキルを色々と覚えられますね」

 

「スキル?」

 

「はい。スキルはポイントを消費して覚えるもので、それぞれのジョブに専用のスキルが存在しています。然しながら冒険者には専用スキルは在りません」

 

「専用スキルは無いって、つまり見て知ったスキルを覚える専門?」

 

「そうります。但し、便利そうでデメリットもある訳ですが……」

 

「デメリットとは?」

 

 

「消費スキルポイントが、専門のジョブよりも多い目なのと、威力や効力が低めというのがデメリットで、その気になれば全スキルを獲られるのがメリットとなりますね」

 

「ふむ……」

 

 効果的には劣るものの、全てのスキルを獲られるというのは確かに美味しい。

 

「よし、冒険者にしよう」

 

 聞けばジョブはステータスが達すればいつだって、どんな時だって変えられるそうだから、冒険者からのジョブチェンジをすれば良いという判断だ。

 

「えっと、良いんですか? 確かにジョブは後からでも変えられますが……」

 

 心配そうな受付嬢だが、ユートはそもそも初めから強いから問題も無い。

 

 取り敢えずギルドカードを操作して、冒険者になる様にしてから次にスキルポイントや覚えた能力の把握に移った。

 

 スキルポイントは先にも確認した通り。

 

「スキルポイントがっと、9999を使うんだな」

 

「「ハァ……」」

 

 有り得なさ過ぎて受付嬢とクリスは溜息ものだが、それでユートのスキルポイントが減る訳でもない。

 

「あれ?」

 

 スキル欄には名前――【ガードスキル】がある。

 

 ズコーッ! 思わずコケてしまったユート。

 

(僕は天使ちゃんとエロんな事をしたいと思ったが、だれも〝天使ちゃんに成りたい〟とは言って無い!)

 

 でも取った。

 

 100ポイントで取れたから美味しいし。

 

 実際、スキルポイントはまだまだ存分に余る。

 

「残り9899……ねぇ。これを増やす方法は?」

 

「レベルが1上がったら、スキルポイントも10増えるんだけど……」

 

 クリスが教えてくれた。

 

「レベルが11になったら元の数値に戻るって事か。他に有用なスキルってのはどんなのが?」

 

「私のスティールは役に立つと思う」

 

「スティール……盗る?」

 

「そ、盗賊のスキルだよ」

 

 龍騎の【スティールベント】のアドベントカードを思い出すが、実際のスキルはどんなモノなのか?

 

「見せようか?」

 

「ああ、頼む」

 

 グッと掌を握り締めて、パッと開いて叫ぶ。

 

「スティール!」

 

 クリスの手の中に盗った代物が……

 

「って、パンツ!?」

 

 それはトランクスだ。

 

「おお、エロ技か?」

 

「ち、ち、違うから!」

 

 とんだ冤罪と言いたい処だけど、実際にユートからトランクスを奪った手前では強く反論出来ない。

 

「うっ、生暖かいよ〜」

 

 オチ○チ○が当たる部位を握って涙目である。

 

「よし、スティールを取ったぞ。僕も試すか」

 

 盗賊が取るよりポイントが掛かったみたいだけど、ユートは問題無いとばかりにクリスへと向けて放つ。

 

「あ、待っ!」

 

「スティィィィールッ!」

 

 刹那……バッ!

 

 ホットパンツを押さえたクリス。

 

「ま、まさか……」

 

「パンツだ」

 

 白いショーツがユートの手の中に在った。

 

 但し、股間部が若干ながら黄ばんでいたり……

 

「イ、イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 羞恥心から涙を流しつつクリスは絶叫したと云う。

 

「さて、登録も終わった。仕事をしてとっととクリスに千エリス返さないとな」

 

「……ふぅ、そうだね」

 

 盗ったショーツをユートが返して、クリスもトランクスを返却してから仕事を記している掲示板を見に行くのだった。

 

 クリスは疲れ気味だ。

 

 尚、本来の主人公であるサトウカズマと女神であるアクア先輩とやらだけど、この時点では何故か肉体的な労働をして、爽やかに汗を流していたとか何とか。

 

 

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