この素晴らしい世界に祝福を!【魔を滅する転生祝】   作:月乃杜

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 一ヶ月を超過した……




第4話:この爆裂魔法に祝福を!

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 ユートの閃姫となって、正式にパーティに加入しためぐみんを連れ、依頼書が貼られた掲示板を見る。

 

「蛙ばかりじゃ芸が無いとはいえ、こないだ可成りの依頼を熟したからか数が余り無いな」

 

 本来なら割に合わない様な依頼も熟したし、掲示板の依頼は疎らである。

 

「これが適当か」

 

 ユートが手にした依頼書――それは【一撃熊】というモンスターの退治。

 

 文字通り、一撃必殺なる攻撃をしてくる大熊とか。

 

 まあ、概念攻撃をするのでない限りは単純に威力がバカでかい一撃を繰り出す……といった処だろう。

 

 例えば、破壊の聖剣には〝破壊〟という概念が付与されており、正しく概念を発動させれば本人の実力にもよるが、大概は破壊してしまえるのだ。

 

 【一撃熊】なるモンスターにそんな概念が在る筈もなく、ユートの防御力なら大したダメージも受けないと考える。

 

「めぐみんのレベルアップの為にも、彼女に殺らせるのが妥当だろうね」

 

「お待たせ」

 

「クリス……仲間とやらはどうしたんだ?」

 

 後ろに居る貧乳銀髪少女は一人で立っていた。

 

 クリスは頬の傷を掻きながら右目を閉じ、申し訳なさそうな顔で口を開く。

 

「ゴメンね。ダクネスってば先日、冒険者のパーティに入っちゃってさ」

 

「一足違いか」

 

「うん。まあ、何だか幸せそうだったから良しとしたんだけどね」

 

「……?」

 

 何故か苦笑いしている。

 

「しかも、あっちのパーティってアクア先輩が居たから吃驚だよ」

 

「確か、水の女神アクア。本来なら女神エリスが居た場所は、彼女こそが仕事場としていたんだったか?」

 

「そ、アクア先輩の代わりの天使のそのまた代わり。そして私はそれで君に攫われって訳さ」

 

「人聞きの悪い。認められたんだから攫った訳じゃないだろうに」

 

「うう、まぁね」

 

 ユートの指摘にガックリと項垂れてしまうクリス。

 

「ま、幸いアクア先輩からバレたりはしなかったんだけどさ……」

 

「どうした?」

 

「向こうの転生者である……カズマにパンツを盗られたんだよ」

 

「ズリ下ろされたのか?」

 

「違う、スティールで」

 

「ああ!」

 

 ポン! と左掌を右拳を横にして打つ。

 

 先のパンツ盗り合いを思い出したからである。

 

「わ、忘れて!」

 

 カズマに盗られたパンツは比較的に新しかったから良かったが、ユートに盗られたパンツは少し長く穿いていた事もあって、御股の部分がちょっとばかり黄ばんでいたので余計に恥ずかしかったのだ。

 

 とはいえ、これは神とはいえ女であれば致仕方がないものである。

 

 男とは肉体的な構造が異なるが故に。

 

「そ、それで?」

 

「うん?」

 

「そっちはどうだった? メンバーは増えたのかい」

 

「ああ、紅魔族のアークウィザードであるめぐみんが加わったよ」

 

「めぐみん……成程、確かに紅魔族らしい名前だね」

 

 紅魔族――全員がアークウィザードになれる程には魔に精通し、紅い瞳を持つ少数種族の名称だ。

 

 また、めぐみんの最初の痛々しい挨拶が〝普通〟なくらい中二病な種族であるが故に、紅魔の里に行けば度々あんな名乗りが見られるのだと云う。

 

 尚、ユートがめぐみんを抱いた際に気付いたバーコードは紅魔族には必ず付いていると、めぐみん本人から聞いていた。

 

「処でさぁ、めぐみんって名前からして女の子だね? もう喰っちゃった?」

 

 ジト目なクリス。

 

 ユートが女好きなのは、既に理解をしている。

 

「色々と小さいけど抱き心地は良かったよ」

 

「! あ、そ……」

 

 ちょっと御機嫌が斜めになったのは、モーションを掛けながら自分が居ないからといって、他の女を抱くのが面白くないから。

 

 プクッと頬を膨らませ、そっぽを向いた。

 

「彼女の場合、取っていたのが爆裂魔法だけな上に、ポイントは基本的に威力を上げたりだから。消費MPが半端なかったんだ」

 

「よくそんなの仲間に入れたね? 君なら放り投げそうな気がするよ。色々と小さいとか言ったけどそんなに欠点を無視出来るくらいに美少女だった?」

 

「美少女か醜女かと訊ねられたら美少女だね。年齢が一三歳だし小柄でクリスより胸が無いな。肌触りとかスベスベで心地好いけど。あの平原もあれだけの肌なら擦り甲斐もあったよ」

 

「そ、そう……」

 

 ナニを胸に擦り付けたのか容易く想像出来たのか、クリスの頬は真っ赤に染まっている。

 

「まあ、だからといって役に立たないのを入れるのはアレだから。確かに放り投げたんだよね……ジャイアント・トードの真上に」

 

「ああ……」

 

 察したらしい。

 

「爆裂魔法以外に愛せないとか、中級上級魔法なんか取る気もないとか言うし、とはいえ爆裂魔法は一発屋なネタ魔法みたいなモンなのは見て判ったからね」

 

「そうだね。爆裂魔法って消費が尋常じゃないから、一回撃てば精神力もスッカラカンになるし、消費具合によっては体力まで持っていかれる。威力は大きいけど使い所に困る魔法だよ」

 

 ボス戦には重宝しそうな魔法ではある。

 

「だから閃姫にした」

 

「せんき?」

 

「使徒ってのが本来だけど僕は閃姫の方が使い易く、尚且つかつ言い易いから」

 

「使徒か……成程ね」

 

 意味は通じたのかクリスが頷く。

 

 【神の使徒】という言葉がある通り、神により選ばれた人間が使徒となり動くというのは、決して多くなくとも有り得るからだ。

 

 というより、この世界の転生者も広義でいうならば使徒となる。

 

 ユートの閃姫というのは妻や側室や愛人の事。

 

 広義で恋人だろうか?

 

 無論だが、めぐみんにも説明した上で抱いており、それを聞いた彼女は抱かれる前から顔が真っ赤になっていた。

 

 ユートには妻と呼べるだろう存在が複数居る。

 

 それはその世界に於いて正式に結婚式を挙げた相手であり、最初の相手となったのがカトレアとシエスタの二人であったと云う。

 

 ほかにもドラクエシリーズからも何人か、アトリエからはシア・ドナースタークなどが居るし、再誕世界では近衛木乃香だった。

 

「にしても、私にコナを掛けながら別の娘を抱く?」

 

「クリスは抱かせてくれないだろ?」

 

「そ、そりゃ……出逢って間もないのに行き成りって無理だよ」

 

 頬を赤らめながら言う。

 

「だったら僕は有り余った性欲を、クリス以外で発散させるしかない」

 

「……有り余ったって?」

 

「ちょっとした理由から、僕は性欲が強いんだよ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 モジモジしつつ顔を背ける辺り、この女神シーフは割かし初心らしい。

 

 クリスと話していると、軽めの足音が背後から響いてくる。

 

「ユートさん」

 

「めぐみん……」

 

 掲示板に近付いてきたのはめぐみんだ。

 

「そちらの方は?」

 

「話したろ? パーティのメンバーでクリス」

 

「ああ、シーフの」

 

 一応、めぐみんには一通りを話してあった。

 

 元々がパーティメンバーを募ったのはクリスと二人より、色々と出来る様にする為である事を。

 

「クリスの当ては外れたからね、取り敢えずは僕と君とクリスの三人パーティで動こうか」

 

「判りました」

 

 頷くめぐみん。

 

 クリスも特に不満は無かったのか頷いていた。

 

「差し当たりまして」

 

 めぐみんが言うには閃姫となった特典、爆裂魔法の撃ち放題を試したいとか。

 

 当然ではある。

 

 員数外としてパーティを放逐されるのも困るけど、めぐみんがユートの閃姫となったのは、爆裂魔法撃ち放題に惹かれたからに他ならないのだから。

 

「じゃ、予定通りっていうかさっきの依頼書通りに、【一撃熊】退治に行くか」

 

 ユートは依頼書を手に、そう言い放った。

 

「おお、一撃熊ですか?」

 

「一撃で敵を倒す事に掛けては可成りのものだね……あの強靭な前足で人間の頭を一撃で刈り取れるんだ」

 

「だから【一撃熊】か」

 

 驚くめぐみん。

 

 そこへ説明科白を入れるクリス、だからこそやはり概念攻撃ではないと理解をしたユート。

 

「確か、ぶっころりーが言っていました。一撃熊の肝は高く売れる……と」

 

「ブロリー?」

 

「ぶっころりーですよ? 何処の伝説ですか」

 

 どうやらめぐみんの同族らしく、おかしな名前であったらしい。

 

「あのニートも偶には役に立ちますね」

 

 しかもニートとか。

 

「然し、だったらめぐみんの爆裂魔法で吹っ飛ばしたら勿体無いか……」

 

 跡形も無くなっては肝を剥ぎ取るとか出来ない。

 

「ですが、爆裂魔法の使い所ではありますよ!」

 

「そうだね。適当な相手とも云えるかも知れないな」

 

 めぐみんの言葉にクリスが肯定の意を示す。

 

「まあ、良いか」

 

 金には今、困っているという訳でもなかったから。

 

「ところで、ぶっころりーとかいうニートっていうのは何者なんだ?」

 

「単なるニートでストーカーですよ」

 

「ストーカーの被害にでも遭ったのか?」

 

「いえ、私ではなくそけっとがです」

 

「そけっと?」

 

「修業が好きな女性です。ニートなストーカーによるとファイアドレイクを氷漬けにして、クスクスと笑っているそうです。美人ではあるんですけどね」

 

 どうも、紅魔族は目の前のめぐみんを含みネタ種族と考えた方が良さそうだ。

 

(まあ、美女ならネタ種族でも良いかな?)

 

 実際、ネタ種族な紅魔族ながら美少女のめぐみんは抱き心地も良かったし。

 

「だけど、ぶっころりーだったっけか? そんな危険人物を放置して大丈夫か? そのそけっとは」

 

「ああ、ぶっころりーならそけっとが退治しました。因みにそけっとは占いをしますが、恋占いをして貰ったぶっころりーだと誰も映りませんでした」

 

 何か誤解された上で少し真実を足したら、木刀によりぶっ飛ばされたとか。

 

 その後に占いをして貰いたいとか、言い訳をしたら占って貰えたらしいけど、恋占いで将来的に付き合う可能性がある女性が水晶球に浮かぶ筈が、一切誰も映らないという悲惨な結果な上に、つまりは冗談で言った女型モンスターにすらも相手にされないらしい。

 

「それなら良いか」

 

 ユートは自業自得だと、同情すら沸かなかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 一撃熊が出る場所にまで移動後、実際に出てくるまでは休憩をしておく。

 

 意味も無く気を張っても仕方がないから。

 

「一撃熊は紅魔の里にすら出ますから、実は割かしに高いレベルのモンスターなんですよ」

 

「紅魔の里にすら? その紅魔の里にはモンスターが出ないのか?」

 

「我々を恐がりますから。普通のモンスターは」

 

 エヘンと無い胸を張って言うめぐみんだったけど、苦笑いをしながらクリスが真実を耳打ち。

 

「紅魔族は実力が高いというのもあるけど、ちょっとあれな一族だから魔族すら忌避するんだよ」

 

 それが紅魔族クオリティというやつらしい。

 

 暫くすると一撃熊らしき黒い毛皮のモンスターが、他にもモンスターを引き連れて現れた。

 

「手下か?」

 

「そんな情報は有りませんでしたが……」

 

「雑魚は此方で受け持つ。めぐみんは爆裂魔法の詠唱を始めてくれ」

 

「了解です」

 

 めぐみんは頷いて言われた通りに詠唱。

 

「私は?」

 

「めぐみんのガード」

 

「良いけどさ」

 

 下手に短剣を使おうとしては、めぐみんの魔法によって一撃熊の道連れだ。

 

「ユートはどうやって周りのを叩くんだい?」

 

「勿論、魔法で」

 

 ユートは指先をモンスターに向けて……

 

「水よ来たれ 衝撃の泡沫 バブルボム!」

 

 ボボン!

 

 名前の通りにバブル――泡が浮かびモンスターに向かって行き、着弾をしたと同時にやはり名前の通りに爆発して斃した。

 

「泡が爆発した? 結構な威力だね」

 

 ユートは最終決戦にて、【エクストラ・オーバー・ユナイト】を行い、閃姫達とは一体化をしている。

 

 その影響から閃姫が扱えた技能は、今ならユートにも扱えるモノが多い。

 

「ふむ、リンゼが使っていたバブルボムは便利だね」

 

 間違って死んで転生する筈の主人公を雷から助け、結果として異世界が危機に陥ってしまうとユーキ――義妹から聞かされ、仕方がないからユートが助けてしまった主人公に代わって、一種の成り代わりモノ的に異世界へと向かい、主人公が出逢う予定だったヒロインと片っ端から交流して、何とか世界の破滅を回避する事に成功した。

 

 面倒な事この上無い。

 

 まあ、それの利点は本来の主人公が出逢うヒロインがどの娘も美少女という。

 

 リンゼ・シルエスカも、そんなヒロインの一人。

 

 最初に出逢った少女で、エルゼ・シルエスカという双子の姉が居り、やっぱりやたらめったら双子と縁があるな……と思った程。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 ユートが周囲のモンスターを片付け、詠唱をしていためぐみんが襲撃される事も無くなり、遂には魔法の詠唱が完成をみた。

 

「エクスプロージョン!」

 

 何だか前に聞いた詠唱と違ったが、無事に爆裂魔法は一撃熊に放たれる。

 

 ドガァァァンッ!

 

 以前に見た爆裂魔法と同じ魔法が炸裂し、一撃熊は文字通り一撃で吹き飛んでしまうのであった。

 

「やっぱり威力は高いな」

 

 ふと振り向けば……

 

「う、う、う……」

 

 何故か俯せにぶっ倒れためぐみんの姿が在る。

 

「あれ?」

 

「嘘吐きぃぃぃぃぃっ! 私の処女を返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ! 女の敵ぃぃぃぃっ!」

 

 めぐみんは泣きながら、目の色を真っ赤にさせつつ魂からの絶叫を上げた。

 

 えぐえぐと泣くめぐみんを慰めるクリス。

 

 まあ、確かに処女を捧げた結果がアレでは泣きたくもなるだろう。

 

「ユート、どういう事? 彼女に嘘を吐いたって話なんだけど?」

 

「吐いてない。めぐみんがやり方を間違っただけだ」

 

「……どういう意味です? 私は爆裂魔法を間違えたとでも?」

 

 涙目で睨むめぐみん。

 

「そうじゃない。よく感じてみろ……解るだろう? めぐみんの中に今までとは異なる流れが在るのを」

 

「……今までとは異なる」

 

 目を閉じて感じる。

 

 ふと、めぐみんは確かに感じた流れを見付けた。

 

「こ、これは……?」

 

 ユートが言った通りで、感じた事のない流れが確かにめぐみんの中に息づく。

 

「それがパスだ。ラインを通じて繋がった霊的なね」

 

 閃姫は基本的にこのパスを持っている。

 

 見えないラインで繋がるその先に、ユートの持った謂わば魔力タンクが存在をしている訳だ。

 

「さっきのめぐみんは自分の精神力――MPを使って撃ったから倒れたんだよ。やり方が違う、パスを通じてその先に存在するタンクから引き出すんだ」

 

「な、成程……」

 

「取り敢えず引き出してみると良い」

 

「こうでしょうか?」

 

 何と無くやり方が理解出来たのか、めぐみんは割とあっさりやって見せた。

 

「あ、動けますね」

 

 MPの回復に伴って減ったHPも回復したらしく、めぐみんはゆっくりと立ち上がると、自身の手を見てグッパグッパしてみる。

 

「いちいちぶっ倒れてから回復なんて、面倒臭い事をされても敵わないからね。これからはきちんとパスを通じて使う様に」

 

「解りました」

 

 注意をしなかったユートも悪いが、実は説明とかをしなくても閃姫達は普通に使っていたから、そういうものだと思い込んでいた。

 

 めぐみんはそこら辺が、いまいち疎かったらしい。

 

「うう、これではちゃんと確認が取れてませんから、もう少しやりましょう」

 

「依頼は一撃熊だけだし、依頼外でモンスターを斃してもお金にならないだろ。今回は大人しく帰るぞ」

 

「だとしても!」

 

「依頼を果たしたのって、めぐみんだから依頼料全額上げようかと思ったけど、我侭を言うなら止めるぞ」

 

「さあ、帰りましょうか」

 

 あっさりと回れ右。

 

 凄い掌返しである。

 

 まあ、別にユート的にはどうでも良いのだけど。

 

「そういえば、激おこだっためぐみんの目が真っ赤になっていたんだが?」

 

「う゛……遂々、くーるなイメージを捨てて激昂してしまいましたからね」

 

「え? くーる?」

 

「何ですか?」

 

 ジト目なめぐみん。

 

「いや、何でも無いよ」

 

「まったく。紅魔族は種族全体的に目が赤いのです。そして感情が昂るとその色はより鮮やかな紅となり、どれだけ感情が強いのかが判るのです」

 

「感情が……ってなると、つまり怒りだけじゃなくて他の感情でも?」

 

「はい。飽く迄も感情の昂りのバロメーターですよ」

 

「成程、なら抱いた時の目の赤は怒りじゃなく別物な感情からか」

 

 ビクッ!

 

 肩が震えた。

 

「随分と気持ち良さそうだったし、そっち側の感情が昂っていたのかな?」

 

 ニコリと笑ってやると、瞳を見せない様にトンガリ帽子を手で抑え深く被り、紅くなる頬はどうにも隠せない侭……

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

 

 叫びながら逃げた。

 

「ユート、貴方ねぇ……」

 

「三発目には『もっと』って求めてきたんだが」

 

 一発目は痛みに耐えるので精一杯、二発目は未だに痛む股と甘い痺れに戸惑いながらも喘ぎ、三発目ともなると気持ち良さが先行をして嬌声しかない。

 

 初めてだから四発目で終わりにしたが、その時にはもう貪る様に腰を振っていたくらいに夢中であった。

 

 本人も無意識に。

 

「別に聞いてないから」

 

 クリスは呆れるしかなかったと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 一撃熊の褒賞金を受け取っためぐみんは、取り敢えず妹の為の積立て金を除いてポケットに仕舞う。

 

 まだ幼い妹のこめっこ、然しながら家は貧乏だから食べる物にも事欠いたのは一度や二度でなく、それなりに妹も逞しく生きてはいるものの、やはり可愛い妹の為に姉として何かをしてやりたかった。

 

「ふむ……」

 

 ユートは酒を飲みながらそんなめぐみんを視る。

 

 始まりの街にしては良い酒を置いているギルド。

 

 食べる物も豊富であり、ジャイアント・トードの肉を噛りながら、それを肴なして飲んでいるのだ。

 

 尤も、水の精霊王と契約した時からアルコールによる酔いは無く、味を愉しむだけでしかなかったり。

 

 アルコール分を毒素として勝手に浄化されるから。

 

 飲み比べをしたら間違いなく勝者となるだろう。

 

 そんな風にユートが寛いでいたら……

 

〔緊急クエスト! 緊急クエスト! 現在街の中に居る冒険者の各員は至急正門に集まってくださいっ! 繰り返します! 冒険者の各員は、至急正門に集まってください!〕

 

 受付嬢のルナがアナウンスをしてきた。

 

「緊急クエ?」

 

 ユートは取り敢えずと、冒険者の一員として仲間であるめぐみん、クリスを伴って正門へと向かった。

 

 

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