この素晴らしい世界に祝福を!【魔を滅する転生祝】   作:月乃杜

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第5話:このキャベツ収穫に祝福を!

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「然し、緊急クエって何が起きたんだ? アクセルにモンスターでも襲撃をしてきたのか?」

 

「キャベツでしょうね」

 

「――キャベツ?」

 

「そろそろ収穫の時期ですから」

 

 めぐみんの言葉の意味を計りかね、ユートは首を傾げる事しか出来ない。

 

「知らないんですか?」

 

「何が?」

 

「キャベツとは食べられない様に飛ぶのです」

 

 本気で意味不明だ。

 

「ユート、この世界のキャベツは飛ぶんだ。味が濃縮してきて収穫の時期になったら、簡単に食われて堪るかって具合に。キャベツは畑から飛び街を越え海をも越えて、その果ては人知れぬ秘境の奥でひっそりと息を引き取るらしいね」

 

「それは……また、何とも言えないシュールさだな」

 

 何百ものキャベツが飛来して、最終的には何処とも云えない場所で腐り果てて土養となる訳だから。

 

「それを捕まえて食べようって事か……あの世界だと食われても構わないみたいな話だったが、世界が違えば野菜の意識も違うか?」

 

 ハルケギニア時代に於ける放浪期、ソフィーという錬金術士と出逢った際に、オスカーなる彼女の幼馴染みは植物の聲を聞けた。

 

 オスカーが曰く野菜達は食べらる事に肯定的だと、そう言っていたけど……

 

 世界が変われば理も変わってくるし、野菜の意識も違ったという事だろうか?

 

〔皆さん、突然のお呼び出し済みません! もう既に気付いている方もいるとは思いますが、そう今年もキャベツの収穫時期がやって参りましたっ! 今年のキャベツは出来が良くって、キャベツ一玉の収穫につき一万エリスです! 街中の住民の方は既に家へ避難して頂いております。それでは皆さん出得る来るだけ多くキャベツを捕まえ持ってきて下さい! ですがくれぐれも逆襲されないよう、お願いを致します!〕

 

 美人な受付嬢ルナによる放送に沸く冒険者達。

 

 成程、事の次第はどうあれキャベツの一玉を収穫するだけで一万エリスとか、美味しいクエストなのだ。

 

 キャベツが……でなく、報酬がだけど。

 

 味が濃縮しているらしいから、キャベツも食べたら美味しいのかもだが……

 

 アクセルから出て空を見てみれば、確かにキャベツが大量にフヨフヨと飛んでいるのが確認出来る。

 

「あれか」

 

 丸い緑色の玉が飛ぶ――本当にシュールな光景であったと云う。

 

「どの程度の数かな?」

 

 ユートが嘗てメティスを性的に喰って、【叡智の瞳】がバージョンアップというかエヴォリューションをした【神秘の瞳】で視る。

 

 まあ、性的に喰った行為で神氣の全てを喰らい尽くしたから可能だった訳だ。

 

「三七二六玉……か」

 

 百人越えの冒険者が一人辺り、四〇玉も手に入れたら無くなる勢いだ。

 

 こうして収穫されたら、各地へ出荷されていくのもあるのだろう。

 

 ユート的にはだからといってキャベツに一玉辺り、一万エリスもギルドが支払う事に疑問を覚える。

 

「新鮮なキャベツってさ、食べたら経験値になるんだよね。だから一万エリス」

 

「食べたら経験値ぃ?」

 

 信じ難い話だ。

 

「実際、駆け出しの冒険者がキャベツを落としたら、それだけでレベルアップもするんだよ?」

 

「マジか……」

 

 それは驚きの情報だが、この世界のレベルシステムは相手を斃し、其処から得られるモノを吸収しているという事らしく、活きの良いキャベツを食べて経験値を得るのも確かにありそうな話だった。

 

「何かレタスが混じっているんだが?」

 

「レタスも飛ぶからね」

 

「ですがレタスはキャベツに比べて格段に安値です」

 

 クリスとめぐみんが丁寧に教えてくれる。

 

 恐らく食べれば経験値は入るのだろうが、キャベツに比べれば格段に低いという事なのかも知れない。

 

「金持ちだったら食うだけでもレベルアップってか? 三千強の内、八百玉ばかりはレタスだから狙わずにいくか……」

 

 どの程度の安値かまでは窺い知れないが、少なくとも半額以下にはなりそうだから無駄な労力だ。

 

 ユートは腕を天高く掲げると……

 

「ヒャド×三〇〇〇!」

 

 氷結を針の様な刺として放つヒャドを唱えた。

 

 しかも三千発分。

 

「往っけぇぇっ、氷結豪雨(ヒャドレイン)ッッ!」

 

 冒険者達が動かんとするその前に、ユートはキャベツへとロックオン。

 

 まるでヒャドを雨霰だと謂わんばかりに、天空から豪雨の如く降り頻らせた。

 

 ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクッ!

 

 折よく茎の部分が普通に天を向いており、キャベツの食べるべき葉の部位には一切の傷を付ける事無く、全てのキャベツを仕留めてしまったと云う。

 

 残されたのはレタスのみであり、キャベツの全てがユートのアイテムストレージへと格納されて消えた。

 

 茫然自失な冒険者達。

 

 一玉が一万エリスの獲物の一切合切、目の前から消えて無くなれば茫然となるのも無理は無い。

 

「さ、御仕事は終わりだ。ビールでもキュッと一杯」

 

 そしてユートは冒険者達には構わず、さっさと終わりを宣言してギルドの方へと戻っていく。

 

『『『『『ふ、巫山戯るなぁぁぁっ!』』』』』

 

 その背後で敗北者の怒号が響いたが、最早ユートには何ら無関係であった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「えげつない真似するね、ユートってさ」

 

「そうか?」

 

「まさか、キャベツの全てを一人で落とすなんて」

 

「だけど禁止でもされてたっけか?」

 

「……それ以前にやれる人が居ないからね」

 

 前例が皆無ではまさか、『全部を一人で落とすのは禁止』とか考えまい。

 

「禁止されていないなら、しかも暗黙の了解にすらもなっていないなら、気にする必要性は無いって事だ」

 

 マナー違反?

 

 ゲームじゃあるまいし、そんなモノは存在しない。

 

 マナーが在るとしたら、シーフ行為に繋がる獲物の横取りとかか。

 

 経験値泥棒というやつ。

 

「冒険者ってのは基本的に自己責任だと思ったけど、若しかしてこの世界は違ったりするのか?」

 

「いえ、違いませんね」

 

 助け合いくらいはするかも知れないが、危険を承知で冒険者をしているからにはあらゆる事態を自ら想定して動かねばならない。

 

 他者に責任を擦り付けるなど有り得ない行為だ。

 

 勿論、モンスターを引っ張ってきて誰かに擦り付けるトレイン行為とかされたなら話は別だが……

 

 それは他者在りきな為、決して自己の内には入らないのだから。

 

「一斉によーいどんなら、先を越された連中が悪い」

 

 不正――誰かを蹴落としたとかならばいざ知らず、一斉に全員が準備をしてからの行動である。

 

 ユートが既知外な攻撃をしただけで、其処には一切の不正行為など無かった。

 

 独り占め?

 

 そんなものは自己責任の範疇であろう。

 

 尚、報酬を狙ってユートを攻撃した場合は盗賊として処理される。

 

 シーフではなくバンデットとして。

 

 そこら辺はユートも冗談では済まさない。

 

 実際に一回だけだけど、キャベツ狩りのその日の内に何人かが連れ立って現れた為、全員の――女冒険者を含む――身ぐるみ剥いでギルドに突き出した。

 

 冒険者同士のいざこざなら知らぬと言えたギルド、然しユートは強盗未遂犯として突き出した為、冒険者=盗賊なんて風評は困ると考えてか、ギルドも連中を単なる盗賊として処理。

 

 警備に突き出した。

 

 冒険者ギルドは飽く迄も仕事の斡旋をする機関で、冒険者の保護など別に謳い文句にはしていないから。

 

 武器防具は疎か衣類下衣まで奪われ、メタクソにまで暴力の限りを尽くされたその冒険者パーティ。

 

 鉱山奴隷となって終生を送る事になったと云う。

 

「あの〜、ユートさん」

 

「どうした、めぐみん?」

 

「私、新しい杖とか欲しかったんですけど……それとこめっこの為に仕送りとかもしたかったんですが」

 

「こめっこ? 名前からして紅魔族っぽいけど」

 

「妹です」

 

「因みに両親は?」

 

「父はひょいざぶろうで、母がゆいゆいですよ」

 

「……で、妹の為に仕送りって言うけど……」

 

「流された? 私の両親の名前に何か言いたい事でもあるんですか!?」

 

「無いよ。単に聞いた通りの紅魔族な名前だったなとは思ったけど」

 

「むーっ」

 

 ちょっと納得がいかないっぽい剥れ顔、それが少し可愛らしく見えた。

 

「仕送りならまたの機会にすれば良いだろう」

 

「……それは」

 

「まさか、今すぐに仕送りしないと餓死するってまでに逼迫してる訳じゃないんだろう?」

 

「ちょむすけが食われかねませんが……」

 

「ちょむすけ? 今度は弟か何かか?」

 

「ペットの黒猫ですよ」

 

 こめっこからしたら非常食を兼ねているが……

 

「だいたい、両親が健在ならどうして経済的に困っているんだ?」

 

「元々、こめっこは腹ペコなキャラなんですけどね。実は父のひょいざぶろうは魔道具技師と云いますか、そういった仕事をしているんですが、腕前は兎も角としておかしな物ばかりを作るから。しかもお金をそれに掛けるので余計に」

 

 早い話が駄作ばかりだから売れないらしい。

 

 そして、魔道具作りにはやはり金が掛かるから負のスパイラルという。

 

「それでも暮らせてはいたんだな?」

 

「偶にですが、何処かの街の魔道具屋さんが買うそうですから」

 

 ギリギリまで頑張って、腹ペコで済むみたいだ。

 

「まあ、めぐみんの妹なら僕にとっても義妹……か」

 

「な、ななっ!」

 

 真っ赤になるめぐみん。

 

 結婚している訳でなく、そんな予定も無い。

 

 だけど既にユートは彼女の肢体の隅々まで、本人も知れない黒子の位置だとか一番気持ち良くて喘ぐ部位まで知り尽くしている。

 

 そもそも、閃姫契約とは結婚という契約と変わらない意味合いだ。

 

 本来の世界線、ガイナスティアでなくアーシエルの時空樹のユートの場合は、武姫としての種類でしかないものだが、此方のユートは閃姫契約を婚姻に近いと考えていたから。

 

 まあ、ユートがこんな事を言えばめぐみんからすれば恥ずかしい。

 

 何しろ様々な部位を触られたし舐められた肢体に、蹂躙された口の中や舌といった感じだ。

 

 それにユートの分身すら口に入れ、子供を作る元の片割れを飲んだりした。

 

 どれだけ恥ずかしかったか計り知れない。

 

 こめっこを義妹扱いされては、忘れられない最初の一夜を思い出す。

 

「それと杖だが、欲しいなら造ろうか?」

 

「……え? つ、造れるのですか?」

 

「僕は魔導具造りには自信があるからね。魔法使いね杖くらい造れるさ」

 

「……御願いします」

 

「了解」

 

 素材の調合からやっても二日間あればイケる筈。

 

 錬金術でぐーるぐると。

 

「あ、あのさ」

 

 行き成り声を掛けてきたのはザ・普通といった感じの顔、昔のユートより平凡な顔立ちの少年だった。

 

「それで、めぐみんの杖はそれと似た感じで?」

 

「え? 構いませんが」

 

 まさかのシカトに驚きを隠せず、然しながら確りと注文の内容を応えた。

 

「おい、話し掛けられたのに無視は失礼じゃないか」

 

「不躾に名前すら名乗らず話し掛ける無頼の輩とは、果たしてどちらが失礼に当たるだろうな?」

 

「……うっ!」

 

 流石にこの指摘にはナニかが刺さったか、胸を押さえながら呻き声を上げた。

 

「わ、悪かったよ……俺の名前はサトウカズマ」

 

「緒方優斗だ」

 

「やっぱ日本人か!」

 

 サトウカズマなる少年は驚きながらも、予想自体はしていたらしい。

 

「え、違うけど?」

 

「な、何でだよ? 日本人だから転生したんだろ?」

 

「僕は英国はウェールズの生まれだ」

 

「はぁ?」

 

 決して嘘ではない。

 

 ユートの再転生先は英国のウェールズ、ナギ・スプリングフィールドを父親、アリカ・アナルキア・エンテオフュシアを母親とする英国の国籍を持つ人間だ。

 

「ま、前々世は日本人だったんだけどな」

 

 前世はハルケギニア大陸はトリステイン王国に生まれた貴族、その前が日本人である緒方優斗だった。

 

「な、なぁ! アンタって職業は?」

 

「聖闘士」

 

「へ? セイントなんての有ったっけ?」

 

「ああ、此方での職業か。それなら冒険者だが?」

 

「は? いや、だってさ。アンタってキャベツ収穫ん時に魔法使ってたろ?」

 

「それが?」

 

「じゃあ、魔法使い系じゃないのか?」

 

「冒険者が魔法を使えないなんて思ってるのか?」

 

「いや、そりゃ使えるのは知ってっけどよ。けど威力はショボいぜ?」

 

 本人も恐らくは初級魔法を取っているのだろう。

 

 そのショボさをよく知っている様だ。

 

「僕の魔法は冒険者カードと無関係に覚えたもんだ。僕はウィザードになった覚えはないよ」

 

「……へ?」

 

 サトウカズマの世界とはまた違うのだろう。

 

 ユートはそう考えた。

 

「まあ、良いや。あのさ、パーティ組まねーか?」

 

「組まない」

 

 ズルッ!

 

 ソッコーで断わられてしまってコケる。

 

「な、何でだよ?」

 

「パーティは間に合っているんでね。盗賊とアークウィザードと僕で」

 

「だけど、アンタも職業が冒険者だったらステイタスは低いんだよな? 一応、ウチにはアークプリーストとクルセイダーが居るし、パーティ組んだらお得だと思わないか?」

 

「思わんな」

 

「な、何で!?」

 

「先ず、クルセイダー」

 

 金髪のクルセイダーだと思われる女性を見遣る。

 

「む、私か?」

 

「クリスから聞いている。硬いだけが取り柄で剣は全く当たらないと」

 

「うっ!?」

 

「よくクルセイダーになれたもんだが、初級数値からしてクルセイダーになれるだけは有ったんだろうな」

 

「うう、カズマ以外からの罵倒……これも中々」

 

 しかもドM。

 

 痛い辛い苦しいで快感を得る変態だった。

 

「次にアークプリースト」

 

「な、何よ?」

 

「そりゃ、アークプリーストになれるわな。水の女神なら」

 

「え゛?」

 

 別に隠している訳ではないから、正体が知られても問題も無いのだけど。

 

「それだけに目立つんだ。だから失敗例も多いと知っているし、金も無いクセにツケで酒を飲む堕女神」

 

「ぐふっ!?」

 

 ヒキニートと小馬鹿にしているカズマなら兎も角、冒険者職とはいえ明らかに新進気鋭の相手に言われ、胸にナニかが突き刺さる。

 

「総じて要らんメンバー」

 

 只でさえ、爆裂魔法しか使えないアークウィザードだったり、任務だと称してよく居なくなる盗賊職を抱えている身だ。

 

 自分のモノだから大事にもするが、他人のモノにまで同じくには出来ない。

 

 クルセイダーのダクネスが最初、クリスが連れてきてパーティに入るといった事なら面倒も見たろう。

 

 だけどクリスが連れて来る前に、カズマのパーティに加わってしまった。

 

 ならばカズマがダクネスの面倒を見るべきだ。

 

「そもそも、僕が冒険者職なのは色々なスキルを覚える為に敢えて選んだだけ。カズマはそれしか選べなかったんだろう?」

 

「がはっ!」

 

 数値の低さを指摘してきた辺り、カズマは極普通の冒険者職なのだろう。

 

 ユートはソードマスターにもアークウィザードにもクルセイダーにも成れる、数値的にはどんな上級職も可能なだけあった。

 

 それでも冒険者職なのは敢えてそうしたから。

 

 単にそれだけ。

 

 断られたカズマは仕方無く引き下がる。

 

 一応、偶に同じ依頼を受けるくらいはすると約束をしたが、完全に同じパーティとしてやっていく意志がユートには無い。

 

 サトウカズマが転生者ならば、魔王退治のライバルという扱いだからだ。

 

 女神エリスの神としての束縛から解放して、完全に自分のモノにする為には、他の転生者の助けは借りる訳にもいかなかった。

 

 万が一を考えれば。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「銃?」

 

 翌日、サトウカズマから相談を受ける。

 

「あ、ああ。アンタって、あのめぐみんって娘の武器を造るって話をしてたろ。だから銃なんて造れないかと思ってさ」

 

「造れるか造れないかで云うなら造れる。だけど当然ながら資金は支払って貰う事になるし、安く仕上げたいなら資材から調達をして貰うぞ?」

 

「うっ、金……と資材?」

 

「鉄鉱石、火薬、ゴムに、プラスチックと鉛も要る」

 

「え゛?」

 

 プラスチックとか言われても、そもそもそれは鉄や鉛みたいにはいかない。

 

 他は何とかなる? かも知れないが、自然界に大元となる物が存在してないのでは調達は不可能だ。

 

「ぜ、絶対に必要?」

 

 否、大元という意味では勿論ながら在る。

 

 だけどこの世界では使われておらず、化学というか勉学そのものを苦手とするサトウカズマでは、調達が不可能な代物である。

 

「まあ、必須とまでは言わないよ。無くても造れる。グリップはプラスチックの方が良かったんだが」

 

 軽量化の為にも。

 

 勿論、プラモデル用の柔いプラスチックではない。

 

「取り敢えずはそうだな、回転式拳銃(リボルバー)を一丁で五〇万エリス」

 

「ぶふっ! た、高っ!」

 

「弾丸は別売な」

 

「なんとぉっ!」

 

「五〇発で一万エリスね」

 

「それも高い!」

 

 一発辺りが二〇〇エリスは果たして高いか安いか。

 

「その代わり素材は必要としない。それなら良心的な価格だと思うが?」

 

「けどよ〜」

 

 今現在の装備品が合わせても一万エリスか其処ら。

 

 拳銃の弾丸が五〇発分。

 

「今は諦めるよ、はぁ」

 

 キャベツの収穫でユートが独り占めした為、原典とは違ってレタスだけを狩って数万エリス。

 

 どう足掻いても足りる筈のない値段設定だ。

 

 ユートがあれで周りから責められたが、自己責任の看板を掲げて黙らせた。

 

 独り占めとか云っても、それはやられた方が悪い。

 

 ユートは別に冒険者の誰かに魔法攻撃した訳でも、足を引っ張った訳でも無いのだから。

 

「銃……ね。ファンタジーな世界にはそぐわないな」

 

 ハルケギニアで無遠慮に銃を――自動拳銃や回転式拳銃をぶっ放していた癖によく云うユート。

 

「にしても、三千近いキャベツで三千万エリスとか、一日で随分と稼いだね」

 

「まあね。そういやクリスはあのアクアと余り顔を合わせたくないみたいだな」

 

「ユートだって判ってるだろうに、アクア先輩と顔を合わせ難いんだよ。とはいってもアクア先輩は気付いてないみたいだけど」

 

「そりゃ、クリスモードとエリスモードじゃ顔立ちは似てても、感じが全く違うからね」

 

「ま、エリスの侭では流石にちょっとね」

 

 エリス教徒なら良いが、万が一にもアクアを奉じるアクシズ教徒に出会ったらヤバいらしい。

 

 クリスからの情報では、余り地上の人間を悪く言いたくないが、アクシズ教徒はちょっとばかり頭がおかしい連中ばかりだから。

 

 あのドMクルセイダーはエリス教徒らしい。

 

 何でもエリスに祈りながら仲間を欲していたのを、本人がクリスモードで降臨して叶えた形とか。

 

「ユートさん、今日も依頼を熟しますよ!」

 

 めぐみんが依頼を選んだらしく持ってくる。

 

 そして今日も冒険者としての依頼が始まった。

 

 

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