・・・チクショウ
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《side:ロキ》
今は夕食が終わり、それぞれの団員がゆったりと過ごす時間帯
うちの部屋にはフィンとリヴェリアとガレスの幹部メンバーが集合しとる
ただしその内のフィンとリヴェリアだけが頭を抱え、うちとガレスだけは笑いを堪えるのに必死やった
「いやー、それにしてもカイトは予想の斜め上に突っ走るなぁ?」
「ガッハッハッハッハ!当たり前じゃ儂が認めた男じゃぞ!それぐらいわけもないわい!!」
今、フィンとリヴェリアが頭を抱えとる理由はカイトが何か問題を起こしたからやない
むしろその逆、何も問題がなさすぎる、端的に言って
最初のフィンからの報告では既に上級レベルでの探索が可能な実力に加え、自分の実力に驕らず油断もせずさらに余裕のあるうちに撤退を選択できるほどの判断力まであるとのことや、それを見てフィンは早急にカイトの訓練の質を上げて、ダンジョンに潜らせた方が本人のためにも良いということやった、将来的には最低でも幹部、できれば自分の後釜に納まって欲しいほどの人材らしい、カイトの訓練の質やダンジョン探索を積極的に行うというのにも驚いたのに最後の自分の後釜候補発言にはうちら全員の動きが固まってもうた
そんなフィンの報告の後にカイトに勉強を教えたというリヴェリアからの報告では、驚く程に知識の覚えが良く、また面倒くさいと言いつつも他の者に勉強を教えるくらいには面倒見が良いとのことや、カイトより先に勉強会に参加してた子たちですらカイトに教えてもらっているくらいには優秀とのことや、そんなカイトを見て今度はリヴェリアが自分の補佐として育てたいと言ってきた
これに対して教育係の主導を任されたガレスが何か言うかと思たら、戦闘面を自分が育てられれば他は別にかまわないと言ってきてるので現在ファミリアの団長と副団長が武をメインにするか文をメインにするか、それとも欲張ってどっちも英才教育するかで悩んでるっちゅー状況や
文武両道、天は二物を与えたっちゅー奴やな、チートここに極まれりや!
さてここで問題なのがカイトのこれからの育成方針についてや、カイトが才能に恵まれた子だとしてもあからさまな贔屓は他の団員との無用なトラブルを引き起こす、かといって他の団員と同じようにしてもせっかくの人材を腐らせるだけじゃなく、その才能を目の当たりにした他の団員のやる気を削ぐことになってまうかもしれん
あっちを立てればこっちが立たずな状況にうちらは頭を悩ませとる
どないしたもんかなーとうちらが頭を抱えとると
「・・・一応、儂には良い考えがあるぞ」
意外にもガレスから発言があった、ただ発言するときの顔がものすごく悪巧みをしているときのうちの顔とそっくりやったことからカイトに対しての意趣返し的な意味もあるんやろうなー、ただそれが良かろうと悪かろうとそのアイデアは確かにかなり無茶ではあるものの妙案とでも言うべきアイデアやった
他にも良い考えが思い浮かばないのでとりあえずしばらくはガレスのアイデアで行くことになった。
さーて、これが吉と出るか凶と出るか、神のみぞ・・・いや、神すらもわからんなぁ?
まぁ、カイトはここ数週間は地獄を見ることになるやろうけど頑張ってなー?
《side out:ロキ》
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入団してから早くも四ヶ月が経った
そしてようやく気付く、ブラック・・・ではない、もはやこのファミリアはそれを超越した
なぜかって?
・・・それはね、
幹部の悪魔共がものすごい笑顔で俺に試練という名の拷問を仕掛けてくるんだよ!!
他の団員との訓練に加え俺にだけ人一倍、いやもうあれは10倍くらい厳しい、そんなおっさんとの訓練に加え、さらに勉強会で俺にだけ倍の量の課題を押しつけてくる
逃げた
当たり前だろうが!!村での修行や生前含めてここまで働かされた記憶はねーよ!!
せっかく大手ファミリアに入れたのにもったいない?
ふざけんな!夢を叶える前に過労死するわ!
そんな生活が数ヶ月続くものだから、一度弱音を吐いてそれとなく退団すっぞ的なことを言ったら訓練と課題が倍になりフィンの笑いがより一層濃くなり威圧感増し増しで倍のモンスターの集団に突っ込まされた
そのうえ「おやぁ、カイト?君の婚約者を思う気持ちはその程度なんだねぇ(笑)」
といった感じでこちらを挑発してきやがる
騙されてはいけません奥さん、実は三十歳を超えたアラサーショタの腹は真っ黒でした
そんなわけで現在脱走中、時間は深夜の丑三つ時
コソコソと夜逃げのように逃げ出す、ほとぼりが冷めてから戻ってこよう、
あ、ちなみに先程俺は逃げると言ったが違う、そう、これは・・・一時的な撤退である!
十分な休息を取りしかるべきときにアイウィルビーバックするための対処療法なのだ!
(夢を叶える前に俺の身体が保たない・・幸いスマイルデビルな団長との無茶なダンジョンアタックのおかげ・・・とは言いたくないが資金は十分、これで――――)
「おやぁ? こんな夜更けにどこに行くつもりなのかな・・・カ イ ト?」
!!??
振り向けばどこぞのセーラー戦士の様に月をバックに屋根の上に立つ影
「げぇ、フィン!?」
驚く間もなく別の方向の屋根から声が掛かる
「まったく、子供は寝る時間だぞ・・・カ イ ト」
「リ、リヴェリアまで・・・いや、これはちょっと夜風に当たって散歩を」
さらにまたまた別の方向の屋根ry
「そんな大荷物を持ってかの?・・・カ イ ト ?」
「おっさん!?」
(ックソ!やっぱバレたか!!)
ここにきて俺の企みが三人にモロバレだったことに気付く、だが俺はそこであきらめたりはしない、即座に三人のいない方向に反転し自由への一時撤退を敢行する
「ぬおおおおおおおおおおおお!!」
走れ!!走るんだ俺!!
誰よりも早く光の速さで駆け抜けりゅんだあああああああああ
「「「逃がさん」」」
異様に目がギンギラギンの悪魔共がニヤリと笑いつつこちらに向かって跳んでくる
「くそがああああLv.1の新人にLv.5が三人がかりとか恥ずかしくねぇのかあんたらは!?」
おれの全力疾走もむなしくあっさりと地面に叩き付けるように拘束される
だがそれは予想済みだ!!
「ぬおおおおおおおおおお」
蛇の脱皮が如く、重ね着していた服を脱ぎ脱出!!
「甘いわ!すぐに捕らえうおお!?」
「おい!引っ張るな!?お前が引っ張るとこっちがぬわぁ!?」
ちなみに脱いだ服には強力接着剤を塗布して動きを封じるようにしてある
「ふははははははは、これぞ忍法”空蝉の術”じゃあ!!さらばブラックすぎる職場!そしてこんにちは自由!!」
「まだまだ甘いよ」
「なぬぅ!?」
どうやらフィンはお馬鹿なおっさんとリヴェリアとは違い引っ掛からなかったようだ
「だが、喰らえ!!コショウ弾!!」
「ははははは効かないなぁ、そりゃ!」
「う、打ち返すだtげっほげっほぎゃあああ」
それからこっちが次々と飛び道具を出すも全て交わされるか逆にこっちが喰らい、そんなことをしている間に復活した怒りと恥辱やその他もろもろの感情により鬼と海龍に覚醒したLv.5により俺は捕縛された・・・ちょっやめ、無理だから人間の関節はそっちに曲がらnカヒュ・・・・
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《side:ラウル》
『ピギィィィイイイイイイイイイイイ』
屠殺される豚の様な悲鳴が聞こえてくるっす
現在自分は吹き抜け廊下からもはや
「ふわぁ~ぁ・・・なんのさわぎよー・・・」
渡り廊下の入り口から同期で
「あれっすよ、またカイトがさぼり脱走しでかしたんすよ」
「また~? これで何度目よ、いいかげんあきらめればいいのに・・・」
アキは呆れてるけど自分は仕方がないのではと思うんすよね
なにせカイトが入団してから数日して徐々にっすけどカイトに対しての訓練や教育が倍々で厳しくなって、今では自分を含めた他の団員もあまりのスパルタっぷりにドン引きしてるっす
ただすごいと思うのは団長達のスパルタっぷりだけじゃなく、それを全てギリギリでもクリアするカイトの負けず嫌いな所っす
イヤだイヤだと泣き言を言いつつも結局ボロボロになりながら団長達の訓練や課題を次々とこなしていく姿は自分たちも頑張らねばと奮起させてくるっすよ
ただ問題があるとすれば団長達が予想以上にカイトが無理難題をクリアしていくのを面白く感じてしまったのか、ただでさえ厳しい内容にさらにとんでもない訓練を最近は課すようになり、そしてそれに負けじとカイトがクリアし、そしてさらに厳しい課題が――、というように負のスパイラルが発生し、ついにその我慢の限界を超えたカイトが脱走劇を一月と半前に起こしたのが始めとなり、それ以来このようなイベント?が起こるようになってしまったすよ
「それにしても、ガレスさんはともかく団長や副団長まで一緒になってこんな無茶をカイトに課すなんてらしくないと思わないっすか?」
「さぁね、とりあえず私は今のカイトを見て生まれて初めて自分に才能とかがなくてよかったと思ったわ、まぁでも偶にその才能に嫉妬やあこがr『WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!』」メキメキメキ
「「・・・・・」」
「また悲鳴が・・・最近カイトって人間やめてないっすか?」
「・・・いや、ほんと才能がなくて良かったと心の底から思うわ」
「普通が一番すよ、普通が」
うんうん、とお互いに頷いてからお互い自室に戻ったす
騒ぎが終わってしばらくした後に自室で寝ていたらガレスさんが泡を吹きながら簀巻きにされたカイトをベットに放り出して去って行ったっす・・・南無。
《side out:ラウル》
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ネバーギブアップという言葉がある
決して諦めずに何度でもリトライするということだ
つまりはゲームとかでよくあるコンテニューのことなのだが
何度もクリアできないラスBOSSを倒すにはどうすればいいのか・・・答えは簡単だ。
『レベルを上げて物理で殴ればいい』
だが悲しいかな・・・この世界でレベルはゲームの様には簡単には上らない、むしろそんな簡単に上ったらえらい事になるがな
レベルというのがどれくらい大事なのかというと、そうだな・・・わかりやすく別の漫画で例えるなら、科学と魔術が交差する的な超能者達の基準だと思えば分かりやすい
最高Lv.のLv.5、その第一位で『圧縮ゥ♪圧縮ゥ♪』『クケケケケケケケ』「ッイッーーーーーー!!」とか頭のおかしい発言なのだ、ならば同じLv.5のフィン達がおかしいのも当然な話ナわけだ
------閑話休題
今現在、俺は呼び出しをくらってロキの部屋にいた
大方昨夜の脱走もとい一時撤退の件に関してだろう、だが俺にもきちんと言い分がある、入団してからの周囲とは明らかに異なる訓練内容と量
今まで無言の圧力ではぐらかされてきたが今日こそは文句の一言や二言は言わせてもらう
「まーた、訓練サボろうとしたんやって?」
「サボりじゃない、一時撤退だ」
「いや、一緒やからそれ」
「後ろに向かって前進しようとしただけだ!」
「やから、意味一緒言うとるやろが!!」
ぎゃーぎゃーと言い合いをするが今日こそはロキに問いただすと決めているのだ
「おいロキ・・・ちょっとマジな話しようぜ」
「・・・なんや」
俺の真面目な雰囲気を感じ取ったのかロキがとりあえず黙ってくれた
「正直、最近・・・というか最初からだが俺の扱いがおかしすぎるだろ、訓練も勉強も他の奴らより倍ってのはよ?」
「それだけ、フィン達が期待しとるっちゅーことやろ」
「それでも最近はやりすぎだろうが!」
念能力を全開でフルブッパしてもかなりキツイ、俺じゃなかったら死んじゃってるよ
「ただのかわいがりにしても限度がある、せめてここまで急激に訓練を課す目的を教えてくれないとこっちのモチベーションが維持できないんだよ」
俺だってフィン達がただの面白半分でこんなことをさせてくるとは思わな・・・いやどーだろうな、やりそうな気がする、いやでも・・・だがしかし、毎度毎度、俺がギリギリより少し無理な感じの課題をさせるのは相当俺のことを見ていなければできないわけだから---
そんな風にドS幹部達の少ない良心について考えているとロキが観念したように口を開いた
「・・・・・・・んーーー・・・はぁ、そやなぁ、カイトは口が堅そうやからええかなぁ・・・」
ーーーーーーーーーーー間。
「なめてんのかごらぁ!!」
ようやくロキから聞き出した内容はアホみたいな内容だった
「特別扱いすると他の団員のやっかみがあるかもしれないからって、文句も出ないくらいの厳しい訓練ってなんじゃそりゃあ!?」
いらんわそんな扱い!!
「あははー、まー絶対文句言われると思うて言えなかったんよ」
「あーはいはい、短い間でしたがお世話になりましたー」
「ちょ!?カイトどこ行くねん!」
「うっさい黙れ!実家に帰らせて頂きます!!」
「後生やああああ!うちんこと見捨てんといてやあああ!!」
「は な せ え ぇ ぇ え え !!」
部屋を出て行こうとする俺の腰にへばり付くロキを引きはがそうとするも中々剥がれない、なめくじかこのアホ神は!
「まって!まってや!!まだ他にも理由があんねんて!」
「・・・んだよ、他の理由って」
一応聞くだけ聞いたやるために部屋を出る、というかファミリアを出て行くことを一旦保留にしてやる
「あんな-、その、あれや、アイズの新しいお目付役が早急に欲しいんや・・・最近のアイズは多少は落ち着いたけど、それでも一般の冒険者の視点からすればまだまだ過剰なダンジョンアタックを繰り返しとるのと変わらなくてな? それを押さえる人材、もしくはこれからの成長次第でアイズの相方を務められるようなんがカイトくらいしかおらんねん」
「お嬢のお目付役にはフィン達がいるだろ」
実際ここ数ヶ月俺に訓練(拷問)をしていないときはお嬢に付き添ってダンジョンに行っていたはずだ
ちなみにお嬢というのは俺がアイズを呼ぶときの愛称みたいなものだ
「無理や、今まではそれでよかったんやけどな-・・・ここ最近闇派閥達の行動が激しくなってきてな、正直今でもフィン達の手が届ききっとらん」
それも知っている、オラリオに来る前からはチラリと、そして来てからは実体験を持って闇派閥の厄介さは身にしみている
爆破テロから殺人、暗殺、良派閥ファミリアへの過剰なまでの攻撃、弱小ファミリアへの一方的な虐殺とも言える攻撃など、奴らが犯した悪行を挙げればキリがない
そいつらを捕縛し闇派閥に所属するファミリアの主神を天界に送還、もしくはオラリオから永久追放するのがオラリオでも最大派閥の片割れでもあるロキ・ファミリアの暗黙の義務となっている、有名というのはなまじっか良いことだらけではなく余計なしがらみも付いてくるということだ。
ガレスのおっさんも、奴らのせいで中々大規模遠征に行ける時間が作れないとぼやいていた
実際、俺が入団してから未だに遠征が一度も行われていない
案外遠征に行けないストレスも俺の訓練(拷問)にぶつけていたのではなかろうか・・・
だが、お嬢の面倒を俺に押しつけるため、早急に訓練のレベルを挙げるってことは
「・・・もしかして近いうちに闇派閥への大規模作戦でもあんのか?」
ロキの表情は変わらない、だが腰にへばり付いているロキの身体に一瞬力が入ったことで疑問が確信に変わる
「・・・カイト、それマジのマジで外でもホームでも口に出すんやないで、思わせぶりな事を言うことも禁止や、主神権限での絶対命令や」
ロキの目が開いて瞳孔が丸見えのマジ顔モードで言ってきた
さすがにマジもんの神様なのか真面目モード迫力は背筋に氷柱でもぶち込まれたかのようなプレッシャーだ
「・・・わかってる」
萎縮するのは悔しいのでぶっきらぼうに返事をする
「カイト、重く感じるやろ思て口に出して言わへんかったけど、うちやフィン達は正直な所カイトにはめっちゃ期待しとるんよ、アイズに続く将来のエース級候補の団員、しかも今はまだアイズよりレベルは低くても冷静な思考や分析力はアイズより上や、これでレベルがアイズと同じになれば諸手を挙げてアイズの面倒を任せられる、期待するなって言う方が無理な話やっちゅーねん」
今度は先程の威圧感を感じさせない、むしろ真逆である母性を感じさせるような優しい声で背中がむず痒くなるような事を言ってくる
「だったら、もう少し大切に扱えや! 訓練で身体がぶっ壊れそうなんだが!?」
「ダイジョウブ!ダイジョウブ!フィンタチヲシンジテ!!」
「何で片言やねん!!」
うっかり関西弁でツッコんでしまった
とりあえずこの後フィン達にも事情を説明し、お互いの情報をすり合わせたおかげで以前より多少は訓練内容がマイルドになった
ただ今回の案を発案したと言うガレスのおっさんには例の卵焼きを今度はきちんと食べさせてやると脅したら青い顔をしていた、ザマァw。
FGO夜に再チャレンジだ!!
PS:全然小説に関係なくてスマナイ(・ω・)