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《side:名無しの団長》
私はヘルメス・ファミリア団長の▇▇▇▇▇▇・▇▇▇▇ だ!!
何かモザイク的な物が入った様な気がするが気にするな、神々の言う所の設定上の都合という奴だ!
さて、そんな私だが現在、ありえなさすぎる目の前の光景に対して完全にフリーズ状態だ
え?全然フリーズしてない?
いやいや、このように思考していることさえ目の前の光景からの現実逃避なのだよ
で、だ。
私が何故フリーズしているのかというと・・・目の前で主神であるヘルメス様がアスフィに顔をボコボコにされたあげく吊るされていたからだ
「・・・おい、これはどういった状況だ?」
私の近くでその光景を遠巻きに見ていた他の団員に事情を聞いてみる
「ヘルメス様が金庫からお金をちょろまかして遊びの金に使ったそうです」
・・・全てを把握した
「な、なるほど、それでアスフィがあんなに怒っているのか」
アスフィはLv.2の時点でこのファミリアの将来を、いや次期団長として期待されるほどの優秀な冒険者だ
その腕と明晰な頭脳を買われて今ではファミリアの財政責任者を担っている
アスフィの計算された財政手腕のおかげでファミリアの収入はウナギ登り、しかし時たま我らの主神が金をちょろまかすせいでアスフィの完璧に計算された財政計画に綻びが生じたのだろう
「だ、団長~ た、たすけてくれ~・・・」
ヘルメス様が自分に向かって助けを求めてくる、自業自得だと思いつつもさすがに哀れみの気持ちが湧いてくる・・・いや、それ以前に主神だしな
「ア、アスフィ、ヘルメス様も反省しているようだし、もうその辺で・・・」
「では、次の遠征での団長の分け前から捻出を――――」
「てめぇ、こらボケ神もっと反省しろやぁ!!」
「裏切り者ぉ!?」
すまないヘルメス様、この次の遠征で儲けた金で高級娼館にいこうと思ってるんだ、殴られて吊るされるだけでアスフィの気が済むのなら耐えてくれ
「ア、アスフィ、等価交換といかないか?」
なにやらヘルメス様がささやかな抵抗を試みている、アスフィは物等で釣られる様な性格をしていないのは重々承知のはずだが?
「何とです、金庫からちょろまかした金を今すぐに倍にして補填するというのなら降ろしますが?」
「ば、倍はさすがにちょっと・・・でもこの情報は中々のものだぜ?」
そこでヘルメス様がニヤリと笑った・・・逆さに吊るされた状態で顔が腫れてなければ様になっていただろう
「いや、俺が娼館で手に入れた情報と――――オボボボボ!?」
「なるほど、私達が血を流し、汗水流して稼いだお金を
ちなみに逆さ吊り状態であるヘルメス様の頭のすぐ下には水の入ったでかいバケツが設置してあり、アスフィの作り出した力のいらない魔道具の滑車と連動、アスフィの意思一つでヘルメス様が上下して水責めも出来るようになっている
だが、さすがにこれはやりすぎでは?
そう思ったのは私だけではないようで、他の団員もさすがに止めに入る
「ア、アスフィ、これって拷も――――「お仕置です」」
「いや、どうみても、ごう「ただのお仕置です」」
「・・・・・・」
「ただの
「ちなみに、どれくらいの金額なの?」
「・・・これくらいです」
「「「「・・・っっ!?」」」」
アスフィが懐から出した紙に書いてある金額を見て私達は何も言えなくなった
我らが主神ヘルメスよ、無力な私達を御許し下さい。
「オボベデェェェェェェ!!」ゴボゴボゴボ
――――――――――――――――――間。
しばらくの間、拷m・・・お仕置を見て見ぬ振りをしていると
「な ん で そ れ を 早 く 言 わ な い ん で す か!!!」
今日一番の怒声が
言わずもがなヘルメス様とアスフィだった
先程ヘルメス様が口にした娼館で手に入れた情報とやらだろうか?
「場所は!?いえ、その前に彼は無事なんですか!?」
「く、詳しいことまでは、わ、わからな―――――グベェ!?」
ぶおん、という音と共にヘルメス様が宙に舞い潰れたカエルのような声を出して着地した
「・・・・・・団長」
「は、はい!?」
その時のアスフィの迫力は得も言えぬ迫力があり、何故か敬語になってしまう程だった
「ちょっと休暇を取ります、ついでにこのアホもお借りします」
「え・・・ちょ、それは困」
「・・・イ イ デ ス ヨ ネ ?」
普段あまり表情を動かすことのないアスフィのキラキラと輝くとびきりの笑顔が逆に怖かった
「イエス・マム!!」
私はその時初めて知った、女性の笑顔とは威嚇なのだということを。
《side out:名無しの団長》
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《side:ラウル》
〇7年X月ボックス日
情けないっす悔しいっす
自分は友を、家族を見捨てて逃げ出したっす
救援を呼ぶためと行っても自分たちの足じゃダンジョン10階層からじゃどう頑張っても片道1時間以上かかるっす
それがわかっててもその場を離脱するしかなかったっす
途中でガレスさんと出会えた時は奇跡とは存在するって思ったっすよ・・・でも自分たちが駆け付けたときには全てが終わっていて・・・ルームメイトのカイトは文字通りぐちゃぐちゃになっていて
団長や副団長、ガレスさんの焦ったような声が周りに響き渡るっすけど頭に入ってこなくて、自分は・・・自分は・・・
カイトはその後、何とか一命を取り留めたみたいっすけど、あの時の地に足が着いているのにまるで浮いているかのような気持ちの悪い感覚は一生忘れることが出来ないっす・・・
その日、カイトのいない部屋で寝ようとしても、今日のカイトの姿がまぶたの裏に焼き付いて眠れなかったっす。
〇7年X月金りんご日
あれから三日経ったっす
自分はゴミっす、ただの生ゴミ、いや、それ以下のタダ生きてるだけの血袋の塊
ゴミが少しでも価値を上げるには強くなること
もう、あんな思いはしたくない。
〇7年X月銀りんご日
今日、ダンジョンでモンスターを狩っていたらガレスさんにアイズさんみたいだと言われたっす
・・・どこがっすか?
自分とアイズさんとでは実力が違いすぎて話にならないというのに。
〇7年X月銅りんご日
カイトの見舞いに言ったらバッタリ、アイズさんと出会ったっす
そのまま流れで一緒にカイトの病室に行くことになったっすよ
病室のベットで寝ているカイトの姿はすっかり元通りになってるっすけど、自分にはまだあの時のカイトの姿が忘れられないっす
しばらくの間、病室はカイトを見つめる自分とアイズさんの間で静かだったっすけど
「ごめんなさい」
突然アイズさんが謝ってきたっす
何故謝るのか事情を聞いたら、一番レベルの高い自分が守らなければならなかったのに守ることができなかったからと言われたっす
昨日のガレスさんといい今日のアイズさんといい
なにを言ってるんすか
自分は・・・守るどころか一緒に闘うことすらできなかったというのに・・・っ
〇7年X月聖晶石日
今日はカイトが目を覚ましたっす!!
目を覚ましたカイトに今回の件を謝ったらデコピンを喰らってお説教までされて・・・でもその後の言葉で何もかもが救われた気分になったす、それは自分だけじゃなくアイズさんも同じ様な感じになってたっすよ!
なんていうか、カイトはやっぱ色々でけー男っすね、同期なのに器の違いってものを感じたっす。
あ、あとカイトが目を覚ましてからすぐ後にちょっとしたゴタゴタもあったんすけど、カイトの彼女って、めちゃくちゃかわいい娘だったすよ!・・・ウラメシイ
まぁ、別のファミリアの眷属ってことでロキと相手の神ヘルメスと一悶着あったみたいっすけど・・・自分は外で人払い兼、見張り役を命じられたので詳しい内容までは聞かせてもらえなかったっす
まぁ、とにかくカイトが無事でよかったっすよ!!
・・・本当に良かったっす、神は既に地上に居るけれど・・・それでも、もし今回の奇跡を起こした神が居るのなら
ただ、ありがとう。
そう伝えたいっす。
《side out:ラウル》
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俺は金りんご108個食べきるまで止まらねぇからよ……お前らも…止まるんじゃねぇぞ……( ˘ω˘)スヤァ…