ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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私のお気に入りはラウルだったりします


02:天才×愛弟

○1年×月キン日

 

とりあえず、身近のことからコツコツと親孝行していくことにした

 

弟のベルの面倒はもちろん、(むしろかわいいので積極的に愛でます)家事の手伝いから畑仕事までこなす傍らで、基礎体力を養うために早朝ランニング及び筋トレを行う。

 

この世界は魔法なんてものがあるだけじゃなく、〈冒険者〉なんていう現代ならお巡りさんに職務質問されそうな職業があるくらいファンタジーに溢れている。

 

最近では「最後のファンタジー」なんて名前なのにバリバリ機械感丸出しの飛空挺や車が出ているというのに、この世界では主な移動手段がいまだに馬車であることからどれだけ文明が発達していないかがわかる、

 

つまりこの世界では戦国時代よろしく、暴力に溢れているということだ、自衛のためにも体を鍛えるのは当然なことだろう、

 

まぁ、贅沢を言えば強くなって、職務質問されない方の冒険者とやらになって金を荒稼ぎしたい

 

もちろん稼いだ金でじいさんに楽な暮らしをさせてやりたいからだ、便利な都会に移り住んで、のんびりセレブライフってのをさせてやりたい。

 

 

 

○2年×月ニク日

 

前世を思い出してから早いもので一年も経ってしまった、あれから日々身体を鍛えたり家事をしたりベルを愛でまくったりして過ごしていたわけだが、この生活サイクルを続けて1年以上経ってから筋トレ中に自分の体の回りに何か、こう、モワッとした何かが纏わりついていることに気付いた、

 

最初は運動後の熱放射と周りの気温差で体から湯気でも出ているのかと思ったが、どうも違うようだ

 

そこで俺は気付いたわけだ、これは、まさか、忍者的に言う所の〈(チャクラ)〉という奴ではないのかと

 

もしそうなら全男子の憧れの一つである水上走りや壁走りができるのでは!?

 

さっすが異世界!

 

そう思った俺はその日の内に早速、近くの小川へ向かった

 

結果

 

普通に川に沈んだ、水に対して微塵も反発する気配がない

 

ちくしょーそれなら壁走りはどうだおらああああ、と木に向かって蹴りを放つように脚をかけて見たら

 

足裏で踏みつけた部分の木がベキリととんでもない音と共に陥没した

 

当然俺の足は木に埋まり、そのまま逆さ吊りの状態になって頭部を強打

 

痛みにのたうち回った後になんとか四苦八苦して木から抜け出すことに成功、

 

その後、改めてこのモヤっとした〈(チャクラ)〉(仮)について考える

 

 

おかしい、木が陥没するくらいの〈(チャクラ)〉が練れているのなら水の上に立つか反発力くらい感じてもいいはずだ、つまり・・・

 

 

 

・・・どゆこと?

 

いや、俺はアホではない、はず

 

もちっと発想を柔軟にするんだ

 

このモワっと、というかどちらかと言うとネチョっとしてる俺の〈(チャクラ)〉(仮)

 

もしかしなくともそもそも〈(チャクラ)〉じゃないのか?

 

これに似たような力って他の漫画で・・・あった、あったあった、そーだわ、何で思いつかなかったのか

 

あまりに作者が仕事をせず、スッカリ雑誌からご無沙汰になってしまったせいですっかり忘れていた

 

 

たぶん、これ〈念〉だ。

 

 

 

 

○2年×月ニクニク日

 

 

〈念〉、人気コミックであるHUNTER×HUNTERで今では必須とも呼べる能力の総称

 

人が本来なら無意識に垂れ流している生命力を自身の意思で支配し操る秘技だ。

 

ってことは―――だ。

 

 

〈念〉、俺の容姿、白髪、そして俺の今世でのカイトという名前―――――決定的だ。

 

どうやら、俺はHUNTER×HUNTERの主人公の恩人にしてハンターを目指すきっかけになった男―――、カイトの身体を持って転生したようだ

 

そうか、カイトかー・・・・・・ヤバくないか?

 

えっだって、主人公と再会後にすぐに片腕と首がなくなってから性転換しちゃった人だよ?

 

もしかして、今世でも同じ目に遭うんじゃ、いや、早計は良くない、この世界はそもそもHUNTER×HUNTERの世界とも異なっている感じだ、証拠に一般人にまで魔法の存在とか知れ渡ってるし、あの世界はこの世界よりも遙かに、下手をしたら俺の居た地球より文明が先を行っているかもしれない世界観だったはず。

 

今居る世界の文明はどう見積もっても中世といった感じだ

 

だが、この身体がカイトと同一もしくは似ているだけだとしても同じ運命を辿ることになるかもしれない

 

それを回避するためにもこれまで以上に訓練に励まねば、とりあえず念の基本四大行の内の、(てん)(ぜつ)(れん)を基本に今後訓練をしていこう

 

ちなみに

 

(てん)は体内の精孔と呼ばれる気穴からあふれ出ているオーラを肉体の周りにとどめる技術。

 

(ぜつ) は纏の真逆、体内の精孔を閉じてオーラを絶つ技術で気配を消したり極度の疲労を癒すときなどに効果がある、注意点としては防御力が紙装甲並に脆くなることだろうか

 

(れん)は体内の精孔を広げ纏の状態よりも多くオーラを生み出す技術だ

 

わかりにくければ纏で通常のサイヤ人に、練が界王拳、絶がヤムチャになると覚えてくれ

 

まぁ、念を発動させる「纏」はできてるっぽいので残りのヤムチャと界王拳を集中的にやっていくとしよう

 

他の応用はもっと〈念〉の扱いに慣れてからだな

 

 

 

○3年×月トリコ日

 

念に気づいてから、一年たった。

 

毎日の訓練で何故かオーラを出さないようにする「絶」だけはかなり上達した、おかげで森の野鳥とかを楽に狩ることができるようになった、毎日の食卓に肉が並ぶだけでじいさんもベルも喜んでくれるので嬉しい

 

逆に「練」の方は微々たる進歩だ、俺の理想的なイメージとしてはスーパーサイヤ人みたいに『ドン!シュインシュイン』みたいな感じでオーラを纏いたいのだがどうも上手くいかない、

 

一応、量自体は増えているには増えているのだが相変わらずネヴァ~とした感じで体にまとわりつくだけだ、ましになったのは持続時間くらいだろう、最初は1分ともたなかったが1年で1時間くらいには延ばすことができた。

 

もうちょっとしたら応用に手を出してもいいかもしれない

 

そんなことを考えていた矢先のことだった、

 

いつもの日課となった訓練の一つ、練を纏いながら木刀での素振りをしていたら

 

かわいい我が弟のベルが兄である俺の!かっこよくて頼れる兄である俺の!!ああもうっ、なにそのくぁわいい顔は!?とてとてと俺の周りを不思議そうに回らないでえええええ、あああああ今すぐ訓練を止めて、頭を撫でくりまわしてえええええ、ちょっ、こら、首をかしげるんじゃない!これ以上俺の心をピョンピョンさせてどうするつもりだ⁉

 

と、まぁ俺の心中など知らずにベルが俺の訓練をじっと見ていたときのことだった

 

 

「?・・・にぃちゃんのまわりがもやもやしてる、なにそれー」

 

 

・・・・・・・え、オーラが見えてる?

 

 

ベル三歳、俺が七歳の春のことだ

 

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《side:べる》

 

 

○3年×月はれ日

 

きょうはにいちゃんに〈ねん〉というのをおしえてもらいました

 

これができるとすごいのだそうです

 

ぼくはみえるだけでその〈ねん〉というのはつかえません

 

でもがんばればつかえるようになるとおしえてもらいました

 

ぼくはにいちゃんみたいにつよくなりたいからあしたからにいちゃんといっしょにがんばります。

 

 

 

○3年×月はーれ日

 

なつになりました。

 

あれからにいちゃんといっしょにがんばって〈ねん〉がつかえるようになりました

 

にいちゃんはてんさいじゃてんさいじゃとおじいちゃんみたいなことばでよろこんでます

 

でもにいちゃんにくらべるともやもやのおおきさがぜんぜんちがいます

 

もやもやはたくさんだせるとすごいじゃなくてすんごいんだそうです

 

はやくにいちゃんみたいにたくさんだせるようになりたいです。

 

 

○4年×月はーれー日

 

にいちゃんにおしえてもらった『ぜつ』がぜんぜんできません

 

でも『れん』といういっぱいもやもやだすのはちょっとだけできました

 

そしたらまたにいちゃんがてんさいじゃてんさいじゃとおじいちゃんみたいなことばでよろこんでます

 

『ぜつ』がぜんぜんできないのでどーやったらできるのかにいちゃんにきいたらかくれんぼをすることになりました

 

『ぜつ』ができました

 

やっぱりにいちゃんはすごいです、にいちゃんのいうとおりにしたらすぐにできました

 

でもあいかわらずにいちゃんはてんさいじゃてんさいじゃと―――――――――――

 

 

○5年×月はーれー日

 

さいきんはおじいちゃんのともだちのおばちゃんがいっぱいきます

 

ほかにもさいきんはほんもののぼうけんしゃのアスフィさんがいえにあそびにきてくれます

 

とかいのおはなしやほんとうのぼうけんのはなしはとてもおもしろいです

 

にいちゃんはしょうらいぼうけんしゃになるそうです

 

にいちゃんならぜったいにつよいぼうけんしゃ、えいゆうになれるといったら

 

にいちゃんはぼくならもっとすごいだいえいゆうになれるといってくれました

 

でもぜんぜんにいちゃんよりつよくないから、がんばってはやくにいちゃんみたいにつよくなりたいなあ

 

 

○6年×月ぎっぷる日

 

さいきんはあすふぃねーちゃんとあそぶことがおおいです

 

あそんだあとににいちゃんのすきなものやほしがってるものをよくきかれます

 

そーいえばもうちょっとでにいちゃんのたんじょうびです

 

もしかしたらなにかぷれぜんとをかんがえてるのかもしれません

 

なのでにいちゃんがぼうしをほしがっていることをおしえてあげました

 

ぼくは木で作ったてづくりのねっくれすをあげようとおもいます

 

 

○6年×月ぎっぷりゃ日

 

だんじょうびのひからにーちゃんとあすふぃねーちゃんのようすがおかしいです

 

かおをあわせるとふたりともかおがまっかになります

 

おじいちゃんはそれをみてわらっていますがふたりはけんかでもしたのかな?

 

おじいちゃんにきいたらいずれわかる、とだけいわれました

 

にーちゃんみたいにつよくなったらわかるかなあ

 

よし、きょうもくんれんがんばります。

 

 

○7年×月泣き笑い日

 

今日、兄さんがオラリオに旅立ちました

 

さすがの兄さんも少し寂しかったのかちょっと悲しそうな顔をしていました

 

でもおじいちゃんに元気づけられて笑顔で馬車に乗り込んでいけました

 

僕はおじいちゃんがいるからこの村でしばらく修行しつつ過ごそうと思います

 

おじいちゃんは将来行きたければベルも行っていいぞ、と言っていますがおじいちゃんを一人残してはいけません

 

それに兄さんの足下にも及ばない僕の念程度で冒険者なれるとは思えないから、もしなるのならもっと修行して強くなってから兄さんを追いかけようと思います。

 

さて、それじゃ日課の岩割りをやるとしましょう。

 

 

 




ちなみにここではカイトは特質、ベルは変化系にしてみた

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