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《side:ラウル》
どうも・・・ラウルっす・・・。
え、元気がない?
そうっすねぇ・・・なんかもう最近疲れるというか何というか
『『むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ』』
「むぉ? ラウル、ボーッとしてどうした、早く食べないとスープが冷めるぞ?」
「お腹でも痛い?」
いや、原因は朝から目の前で山盛りの御飯を掻き込んでいるカイトと、カイトの食べる食事量には遠く及ばないっすけど、それでも負けじと年齢と体格に見合わない量の朝飯に齧り付いてるアイズさんのせいなんすけどね・・・
最近、同期のカイトがアイズさんの記録すら抜いてランクアップの世界記録保持者になったんすよ
それ自体は非常に喜ばしいことで、カイトのランクアップの時には普段は
ただ、問題があるとすればランクアップしたことでカイトが本格的にアイズさんのパートナーとして扱われることになったこと・・・いや別に寂しいとか嫉妬とかではなくて、自分が言いたいのは――――――
「ふぅ~・・・ごちそうさまでした! よっしゃあ!! ラウル!お嬢! 今日もダンジョンで稼ぎまくるぞ!!」
「お~!」
「おー・・・っす」
な~ぜか自分までカイトとアイズさんの
2人にサポーターとして指名されたのは最初は嬉しかったし、付いて行くだけでガンガンステイタスが上がるんすけど、この2人の規格外っぷりに自分の身体が保たないっすよぉ・・・
あぁ・・・今日もまたモンスターの群れに特攻するんすねぇ・・・
あ、アキ、もし自分に何かあったら故郷の家族に・・・え、面倒くさい?
優しい同期が欲しいっす・・・。
《side out:ラウル》
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早いものでランクアップから既に一月
あまりの怒濤の日々に過ごしている日常が加速するような感覚に襲われている
ランクアップが可能になってからステイタスを上昇させるための二ヶ月はマジでキツかった・・・
中層の入り口とも言える13階層でフィン達、そしてフィン達が忙しい時は他の上級団員の監視下の中で延々とアルミラージや他のモンスターを狩り続けた
当初はベルに似ていて狩りづらかった兎型モンスターのアルミラージもいまや作業の様に狩れるようになった・・・なってしまった・・・慣れとは恐ろしいものだ。
その血がにじむ・・・いや、もうあれは血が吹き出す程の努力と根性だったな、と我ながら思う・・・そのアホみたいなダンジョン漬けのおかげでランクアップ前のステイタスがこれだ
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カイト・クラネル Lv.1
力:A 856
耐久:B 702
器用:B 780
俊敏:A 801
魔力:S 999
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【念】の修練は部屋でも毎日やってるので魔力とかは早々にカンストしてしまった、逆に耐久の方は俺の戦闘スタイルが回避中心なのであまり上がらなかった、器用もかなり上がるには上がったが他のステイタス程は伸びなかったのが残念だ
ロキから言わせれば後半のステイタスがこれ程伸びるのはそれでもとんでもないことらしい
どうせなら全ステイタスをカンストとかさせてみたかったが、そんなことは現実的ではないので事実上不可能だろう
ちなみに発展アビリティは当初の予定通り『奇運』にした
まぁ、アビリティとして出るくらいだ、自分にとって不利になりすぎる様な能力ではないと思うが、
「カ、カイトーーーーーー!?
と、まぁこのようにランクアップしてからモンスターとの遭遇率が倍以上になってるんだよなぁ・・・
(ま、今の俺にとっては都合が大変よろしいから良いんだけどさ)
「うっし、行くぞお嬢!ラウルは下がっていつも通り弓で牽制を頼む!」
「ん!」
「りょ、了解っす!」
普通の冒険者であれば一日で数回も
これ幸いにとバッタバッタと来るもの拒まず去るもの殺すのスタンスでモンスターを滅殺
おかげで魔石がガッポガッポ! 俺の借金もドドドドンと減ってグヘヘヘヘ
さらに
ラウルは巻きこまれてトホホホホ・・・なのはマジですまん
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戦闘がサクッと終了し三人がかりでモンスターから魔石を取り出していく
「カイト、そろそろバックパックが魔石とドロップアイテムで一杯になりそうっすよー?」
「もうか・・・仕方が無い、一旦上に戻るか」
こればっかりは持つ量に限界があるので仕方が無い
「魔石よりも経験値・・・」
金にあまり興味の無いお嬢が愚図りだす
「勘弁してくれ・・・帰りのモンスターは全部お嬢に譲るからさ」
「むぅ・・・なら、いい・・・カイトと居るとモンスターが向こうからたくさん来るから楽」
ちなみにお嬢が俺と積極的にパーティを組んでくれるのはランクアップしてからの、この異常なモンスターとの遭遇率のおかげであったりする
(これってやっぱり『奇運』のせいなんかねぇ?)
そんな事を考えながら三人で荷物をまとめて撤退の準備を始める。
そこから、えっちらおっちらと地上に向かって急ぎめで移動していると
「「「「GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」」」
と、どこからか複数の同種モンスターの雄叫びが聞こえてきた
「ひぃ!? なんすか!? また
ラウルが焦り出すが聞こえてきた声はそこそこ距離がある、おそらく別の冒険者が襲われているのだろう
「落ち着け、ラウル、こいつはたぶん別の冒険者が相手にしているモンスターの声だ」
「・・・助けに行く?」
お嬢が一応聞いてくるが目的は救助よりモンスターを殲滅することだろう
「いらんだろ」
「冷たいっすね-・・・」
ラウルが少し意外そうな顔をしているが別に俺は聖人君子じゃないんだ、面倒くさけりゃ見て見ぬ振りくらいすることはある、だが今回の場合は―――――
「いや、だってよー・・・あいつら俺たちに
「「え」」
お嬢とラウルが振り返って見た先の道からは、こちらに向かって一直線に逃走してくるパーティの一団の姿が見えてくる
(ん? あの後ろのモンスターは・・・おっほ! ラッキー!!)
「お嬢、運が良いぞ、後ろから来てる集団、ありゃヘルハウンドの群れだ」
「!?・・・狩る!!」
「応よ!」
「うへぇ・・・勘弁して欲しいっすよ~・・・」
ヘルハウンドは中層の中でも魔石的にも経験値的にも非常においしいモンスターだ、相手が進呈してくれると言うのなら見逃す道理はない
「――――――――すまないっ」
「おっしゃぁぁぁーー!!魔石置いてけ犬っころーーーー!!」
「ギャウン!?」「ギャン!?」
「
「キャイン!?」「ギャウ!?」
「アイズさん、またカイトの真似してたらリヴェリアさんに怒られるっすよー?」
そういや何故か最近お嬢が俺の真似をする事が多くなった、俺は別にかまわないのだが、それを見たリヴェリアからお嬢の前で教育に悪そうな言葉遣いを止めるように言われていたりする、本人はママとか言われると激怒するけど傍から見れば教育に厳しい母親にしか見えないとは俺を含めたファミリア全員の意見である
(っていうかお嬢先走りすぎだっての!)
ヘルハウンドは灼熱の炎を吐くやっかいなモンスターではあるものの、炎を吐く際の予備動作状態の時に邪魔をすればただのでかい犬の魔物にすぎない
そのため炎を吐く動作に入った瞬間に初動を邪魔してさえやれば楽に狩ることができる
(まぁ、それも周囲の全てを把握できる『円』が使えるからなんだけどねっ!!)
「ギャン!?」
お嬢に死角が出来ないように、もしくは死角が出来たらそれを埋めるように立ち回る
最優先はお嬢とラウルの安全だ、特にLv.1のラウルに注意が向かないようにせねばならない
「お嬢!かがめ!!」
「っ!!」
間髪入れず、お嬢の上半身があった所を死体となったヘルハウンドが猛スピードで吹き飛んでいき、今まさに炎を吐こうとしていた個体にブチ当て、死体諸共爆散させる
「ラウルの方だ」
「ん」
入れ替わるようにして立ち位置を代わり、ラウルを襲うために横を抜けこちらに背後を見せたヘルハウンドがお嬢に切り刻まれる
逆に引いたお嬢を追って飛びかかってきた個体を入れ代わった勢いでそのまま拳で潰していく、空中で出来上がった死体がもったいないのでそのまま投擲武器のように他の個体に投げつけて数をさらに減らしていく
ラウルの方も地味に弓矢で応戦して囮とサポート役を全うしてくれる
これがこの三人の中層での連携だ、一月以上も三人でダンジョンに潜り続けたおかげでそこそこの連携が出来つつある
そして、それを繰り返しているうちに10匹以上居たヘルハウンドの群れがあっという間に全滅
だがここで油断はしない、戦闘が終わったと思ったらすぐに『円』を限界まで拡げ、周囲に隠れている個体などがいないかを確認
(・・・よし、OKだ)
安全であることを二人に伝えようやく一息つけた
「ふぅ、毎回の戦闘が心臓に悪いっすよぉ・・・ってあれ? さっきのパーティまだ居るっすね?」
ラウルの言う通り彼らは俺たちが戦闘を始めてから足を止めてこちらの戦闘を見ていた、一応モンスターを横取りされないように『円』で感知し続けていたが、こちらに害を為す様子は見受けられない、だが彼らがここから去らない、いや去れない理由なら何となくわかる
「俺たちがロキ・ファミリアって気付いたんだろ・・・都市最強と言ってもいい派閥に助けを求めるならまだしも、
「あー・・・確かに」
「ってことでラウル、これから荷物持ちのお手伝いさんが5人も増える予定なんで上に帰るのはキャンセルでこのまま探索続行な」
「え"!?」
「彼らには俺たちに
さすがに、ここで相手に何もしない、もしくは要求しなければ「あそこのファミリアは
向こうからすればモンスターに襲われ、それをようやく押し付けたと思った相手が都市最強派閥の片割れとか災難すぎるが、こちらとしては魔石と経験値をゲット、ついでに荷物持ち用の人手もゲットで一石三鳥だ
「交渉は―――――」
お嬢 ← 基本無口
ラウル ← 逆に言い負かされそう
「・・・俺だな」
「ん」
「なはは、お願いするっす」
「まぁ、仕方が無いか・・・その分ラウルにはこの後の探索で気張ってもらうとするけどな」
「うぇ!?」
「安心しろ、彼らをラウル以上に扱き使うから少しは楽になる・・・はず」
「うわぁ・・・どっちにしろ碌でもないっすよそれ」
「ぷっ・・・っくっくっく・・・かもな? そんじゃまぁ、行ってくるわ」
・
・
・
というわけで先のパーティの所まで来たわけだが
『ガタガタブルブルガタガタブルブルガタガタブルブル』
「モウオシマイダァ」「ファミリアオワタ」「ミンナゲンキデナ…」「ウウウ、フコウダナァ」
めっちゃ怯えられてて草
「先程はすまない! 謝って済む事ではないがまずは謝罪を受け取って欲しい」
ただ、パーティのリーダーであろうエルフの女性だけは頭を下げつつも毅然とした態度だった、無闇矢鱈に怯えられるよりかは好感が持てる
「謝罪は受け取ろう、だが、俺たちロキ・ファミリアに
俺の言葉に後ろのメンバーと目の前のエルフの顔が苦渋に変わる、ファミリアの威厳のために仕方が無いとはいえ心苦しいなぁ・・・
「おっと、そういや自己紹介がまだだったな、俺はカイト、ロキ・ファミリアの団員で一応 Lv.2だ」
このままじゃ交渉しにくいので、とりあえず自己紹介から始める
「知っているとも、後ろにいる『剣姫』と・・・もう一人は知らないが、君の二つ名である『
まぁ、分かっちゃいたがやはり俺のことを知ってたか
「噂をされる本人には自覚しにくんだが、それでもあんたの様な綺麗な人にまで知っていてもらえるのは光栄だな、まぁ実際には名前負けしないようにこっちは必死なんだがね」
「それは謙遜だろう、先程の戦闘を見させてもらったが君の動きはその名に恥じぬ、いやそれどころか噂以上のものだった」
なんていうか、ここまで真っ直ぐな感じで言われたのは初めてだ
「あー・・・あんま褒められるのに慣れてないからちょっと照れる、そっちは、えっと――――――」
「フィルヴィス、『フィルヴィス・シャリア』だ、レベルは2、未熟ながら『デュオニュソス・ファミリア』の団長を務めさせてもらっている」
団長さんかー、ただデュオニュソス・ファミリアねぇ?
デュオニュソス・・・デュオニュソス? ダメだ、聞いたことがないファミリア名だ、Lv.2のフィルヴィスが団長を務めていることからおそらく下級の零細ファミリア、派閥の等級はおそらくF、どんなに良くてもE、ギルドからフィン達みたいに
「後ろのメンバーは全員Lv.1か?」
「いや、Lv.2は私以外にもう一人だ」
Lv.2が二人にLv.1が三人か
「Lv.2が二人も居ればヘルハウンドの群れくらいどうにかできたんじゃないか?」
「馬鹿を言うな! 普通はLv.2が二人いてもあれ程の数は捌ききれない、その上Lv.1の団員をフォローしながら等とても・・・君たちの戦闘力が異常なのだ」
「そうか?」
モンスターの群れの相手とか日常茶飯事なんだが・・・腹黒いうちの団長のせいでな・・・
しかし、そうだとすると困った、荷物持ちだけをさせたとしてもその程度の実力だと強敵に出会ってもギリギリ突破できるかどうかのバランスになる
っていうかぶっちゃけ足手まといにしかならない
とは言っても何もさせないわけにもいかない
うーん、どうしたもんかね?
(比較的安全な上層で荷物持ちをしてもらうか? いや、でもそれだと
そんな風にこれからのことについて長考していると何かを勘違いしたのかフィルヴィスが焦ったように話しかけてきた
「『
「なっ・・・フィルヴィス!?」
「「「団長!?」」」
他のデュオニュソス・ファミリアの団員がフィルヴィスの言に驚きを顕わにするが
「お前たちは黙っていろ!!」
フィルヴィスの一喝で押し黙ってしまう
「これも団長の務めだ・・・任せてくれ」
何だろ、なんか声を挟みにくい雰囲気なんだが・・・
何かを決意したかのような顔でフィルヴィスがこちらに向き直る・・・いやさすがにちょっと大袈裟すぎないか?
こっちはきちんとそれなりの罰を与えたという体裁が取れれば良いから、そこまで大それた事をやらせるつもりじゃないんだぞ?
ちょ、やめて!?
そんな目でこっち見んといて!
ナニその今から生け贄になるみたいな決意を秘めた乙女の顔は!?
魔王や竜王にクラスチェンジした覚えはねぇよ!?
「『
内心で戸惑うこちらにお構いなく勝手にそれっぽい話を勧めてきた
「今回の事を不問とする代わりに」
いや、さすがに無かったことには――――
「私にできることなら
・・・・・・・・・・・・・ん?
きっと最後の台詞を聞いたときの主人公はゲス顔
(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟)