ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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今回は短めなんで早めに投稿よー(・ω・)


23:巫女×秘密 前編

バンバンバンバン

 

肉がぶつかる音が辺りに響き渡る

 

「ジ、『切札(ジョーカー)』これ以上は、もう・・・無理・・だ・・・壊れ・・る」

 

『デュオニュソス・ファミリア』の団長であるフィルヴィスが汗だくになりながら息も絶え絶えに己の限界を訴えてくる

 

バンバンバンバン

 

だが、その間にも肉がぶつかる音は決して止まらない!

 

「アアッっんんん・・・これ以上はほんとにっ・・・もうダメ―――――――」

 

 

 

 

 

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《side:フィルヴィス》

 

拝啓・デュオニュソス様

 

ご機嫌いかがでしょうか?

 

私は今――――――――

 

 

「「「ウヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

「ホギャアアアア無理っす死ぬっすマジっすよこれ!?」

「さすがにこの数のミノタウロスは無理いいいいい! 全力で退くぞお嬢ーーーーー!!」

「ん!」

「いや、退くんだってば!なに突っ込もうとしてんだぁ!?」

 

地獄にいます。

 

 

早いものでロキ・ファミリアの『切札(ジョーカー)』、カイト達と出会ってから一週間経ちました

 

あの時、まるで何かの誘惑を断ち切るような表情をしたカイトが、苦渋の末に搾り出すような声で私に出した条件は『自らのパーティに一ヶ月だけ参入する』という意外にも軽く感じる条件でした

 

私はその時、軽率にも飲んでしまったその条件を正直後悔しています。

 

何しろ彼ら、というか『切札(ジョーカー)』『剣姫』が規格外すぎます

 

何なんですか『剣姫』のあの付与魔法は? 効果もさることながら魔法の詠唱が私よりも短いですし・・・

 

そして『切札』、彼も色々おかしいです、後ろに目でも付いていなければ説明がつけられないような動きです、何故見えてない攻撃や相手の位置を完全に把握できてるんですか・・・

 

・・・自分は本当に彼らと同じレベルなのか自身がなくなりそうです。

 

同じLv.2でも前衛と後衛では直接的な近接戦闘では実力に差が出やすいとはよく聞きますが、あの二人は明らかに通常の冒険者の常識や実力を逸脱していると断言します

 

 

本人達に異常性を説いても

 

「これくらい普通だよなぁ?」

 

「ん・・・ふつー」

 

このように言葉が通じません

 

 

というか、そうそう巡り会うことのない怪物の宴(モンスターパーティ)に1日で、それも連日でほぼ絶え間なく何度も襲われるということ自体が異常すぎます、そのことについて詰問したら、

私の中で常識人カテゴリーのラウル・ノールドという人間(ヒューマン)の少年にポンと肩を叩かれ

 

「いずれ・・・慣れるっすよ・・・ハハッ」

 

全てを諦めたかのような光のない目、もしくは東方に伝わる菩薩のごとく悟りを開いた目で諭されました

 

彼らと今まで一緒に居た彼の気苦労を思うと涙を禁じ得ません。

 

この四人の中で唯一のLv.1である彼は『切札』や『剣姫』と違い本当に何もかもが普通です、むしろよくこの二人を相手にしていてそこまで普通を貫けることに一種の尊敬の念すら抱かせます。

 

少し話が逸れてしまいましたね、話を戻すとしましょう

 

あれからカイト達とパーティを組み、ダンジョン探索を行っているのですが、現在の階層は15階層

 

デュオニュソス様はご存じでしょうか?

 

15階層からは厄介な、とあるモンスターが出てくることを

 

その名を「ミノタウロス」

 

牛頭人体、身長は2mを超え、その力と速さはLv.2であろうとも倒すのが困難、Lv.1であれば死は免れず、階層主に次ぐ程に悪名が轟くモンスターです。

 

そして今現在、私達は

 

「ぬぉおおおおお!? さすがにミノタウロスの怪物の宴(モンスターパーティ)は洒落になんねぇええーーー!?」

 

30を超えるミノタウロスの群れに追われています

 

さすがの『切札』と『剣姫』でも数に圧倒され撤退を余儀なくされてしまいました

 

 

 

デュオニュソス様・・・私の冒険はここまでかもしれません

 

 

 

 

《side out:フィルヴィス》

 

 

 

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(逃げるとか、久しぶりだな!?)

 

Lv.2に恩恵をランクアップさせてからというもの負け無しだったせいかちょっと自惚れていた

 

ミノタウロスでも4体か5体くらいなら一人でも対処できるが、さすがに30体以上を同時に相手をするのは無理だ。

 

 

(・・・・っ!・・むぅ)

 

というか普通にヤバい

 

『円』を限界まで拡げて分かったが、今走っている曲がりくねった一本道をこのまま行くと広間(ルーム)に出る、しかもそこは行き止まりの袋小路

 

(使うしかないか・・・)

 

最後に【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】使用したのが4ヶ月前、久々の使用に少し不安が残るが背に腹は代えられない

 

ちなみにこのスキルは【念】と違い、動きを止めて集中しないと出せなかったりする、移動しながら使うには魔道師で言うところの『並行詠唱』クラスの鍛錬がいるだろう

 

 

「全員聞いてくれ!もうすぐでかなり広い広間(ルーム)に出る、そこでこいつらを殲滅するための奥の手を使う!ちっとばっかし準備に時間が掛かるんだが広間の入り口で時間稼ぎを頼めるか!?」

 

広間(ルーム)の広さに対して入り口はミノタウロスが精々2体並んで通れるかどうかだ

 

「俺には無理っすよーーー!?」

 

「私も難しい・・・相手の勢いと重さで突破されると思う」

 

Lv.1のラウルは当然としてお嬢でもやっぱキツいかー

 

「どれくらいで、その奥の手とやらは使えるのだ!?」

 

意外にもフィルヴィスから質問が飛んできた

 

「10秒あれば十分だ!!それでも上手くいくかどうかはわからんがな!!何か打つ手でも持ってるのか!?」

 

「私の魔法に超短文型の魔法障壁がある!それなら十数秒だけだがミノタウロスの猛攻を止められる!!」

 

マジかよ、フィルヴィスと出会えてマジでよかったと心の底からそう思った。

 

「素晴らしい!サイコーだ!!俺に恋人がいなけりゃ惚れてたな!!」

 

「冗談はこの危機を乗り越えてからにしてくれ! それと『剣姫』!ほんの少しで良い、風でミノタウロスの勢いを削いでくれ!」

 

「ん・・・わかった」

 

話しながらもドンドン広間(ルーム)への入り口が近づいていく

 

「全員、タイミングを合わせろ!!」

 

そしてゴールである広間(ルーム)に突入と同時に反転

 

「あだぁ!?」

 

ラウルだけは息が切れたのか突入と同時にハデにすっ転んでいたが、むしろよくこの行軍に遅れずに付いてきてくれたと褒めるべきだろう

 

後は俺たちの仕事だ

 

「『剣姫』!今た゛!!」

 

「【目覚めよ(テンペスト)】!!」

 

この広間(ルーム)唯一の入り国から通路の奥へ物理的な圧力を持った風が吹き荒れる

 

「「「ブモォオオオオオオ!?」」」

 

逃げていた獲物からの突然の反撃に先頭部分を走っていたミノタウロス数匹が意表を突かれて転ぶと、運が良いことに後続がそれに足を取られてもつれるように一緒に転んでくれた

 

おかげでほぼ完全にミノタウロスの特攻の様な行軍が止まってくれた

 

「後は私に任せろ! 入り口に蓋をする! 『―――――盾となれ 破邪の聖杯(さかずき)』」

 

詠唱と同時に強力な魔導師たる証しである、魔法円がフィルヴィスの足下に展開される

 

この1週間、一緒に探索をしていて知ったがフィルヴィスは魔法種族(マジックユーザー)であるエルフに多いように魔法を所持している、しかも魔法の威力を増幅させる魔法円を展開できるようになるアビリティ『魔導』も習得している優秀な冒険者だ、さすがに二つも魔法を所持しているのは知らなかったがここに来て嬉しい誤算だ

 

(ミノタウロスもフィルヴィスとの出会いも『奇運』のせい・・・おかげなんかな?)

 

混乱から復活したミノタウロスの群れが再度こちらにむかって行軍を開始する

 

「ひぃいいいいい来たっすよ!?」

 

 「【ディオ・グレイル(魔法障壁)】!!」

 

「ブォオオオオオ!?」

 

透明な壁が入り口を塞ぎ、間一髪でミノタウロス達が入ってこれないように防いでくれた

 

バンバンバンバンバンバンバンバン!!!!

 

それでも目の前の獲物を狩るためにミノタウロス達がその膂力に任せて障壁を叩き始める

 

「『切札(ジョーカー)』急げ!長くは保たんぞ!」

 

「了解! 出ろ! 【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】!!」

 

目の前に久々のロゴマークの様な不思議生物?が現れる

 

「な!?」

 

「ん?」

 

「お、久しぶりっすね」

 

初めて見る不思議生物にフィルヴィスだけでなく、お嬢まで驚く

 

(そういや、お嬢はこいつを見るの初めてだっけか)

 

ちなみにラウルには一度見られて以来、何回か部屋でこいつを召喚して話し相手になってもらっていたりするので驚きはない

 

「いきなりで悪いが、早速頼む!スロットを回してくれ!!」

 

『・・・・・・』

 

「おい、急いでくれ!!」

 

『四ヶ月モ放置シトイテソレカヨ、アーア、オレノマスターハ薄情ダナー』

 

なんかイジケテル!?

 

「今はマジでピンチなんだ、文句は後で聞くからさっさとスロットを回してくれ!」

 

『・・・プイ』

 

おいいいいいいいいい今はマジで時間ないんだって!?

 

バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!

 

そんな問答をしている間にもミノタウロスの障壁を破ろうとする攻撃の勢いがが増していく

 

「ジ、『切札(ジョーカー)』これ以上は、もう・・・無理・・だ・・・壊れ・・る」

 

障壁への魔力を込めたフィルヴィスの腕がぷるぷるし始めてるうううう!?

 

「わ、わかった!じゃあ、後で酒を飲ませてやるから、ついでにつまみもつける!俺渾身のじゃが丸くんだぞ!」

 

「カイト渾身のじゃが丸くんっ・・・」ジュルリ

 

お嬢の方が釣れてしまった

 

「お嬢には帰ったら作ってやるからそっちに集中な!?」

 

バン!バン!バン!バン!バン!

 

ついに障壁に亀裂が入り始める

 

「アアッっんんん・・・これ以上はほんとにっ・・・もうダメ―――――――」

 

(ヤバイヤバイヤバイ!?これは洒落にならん!?)

 

『・・・チッ、アトマッサージもツケロ、ソレデカンベンシテヤル、ククク肩デモ揉んでモラオウカネェ?』

 

空気を読んでくれたかはわからないが、ようやく【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】が折れてくれた・・・ってか、おめーの肩どこにあんだよ!?

 

「わかったから、マジで急ぎで頼むって!?」

 

『ワーッタヨ、・・・ったくオラァ! 久々のスロットダァ! イイ目がデロヨ!! ドゥルルルルルル!!』

 

なんとか説得が上手くいきスロットを回してもらうことに成功する、にしてもこいつ放置しとくと俺の言うこと聞かなくなるのか・・・今後はこまめに召喚してやらねば

 

そうしてスロットに表示された数字は『11』だった、当然ながら初の数字だ

 

(『11』かぁー・・・キャンセルしたら、かなりキツいなぁ・・・ん?)

 

『11』が表示されると【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】の姿が前世で見たジッポライターの形に変化した

 

(何だ? こいつが何かに変化するなんてパターンは初めてだな、武器・・・なのか?・・・ライターが?)

 

空中から落ちてくるそれを掴んだ瞬間に『11』の能力がすぐさまに俺の脳内にインストールされる

 

「こいつは・・・」

 

 

「くぅううう!?」

 

「フィルヴィスさん!?」

 

その瞬間、ついにフィルヴィスに限界が来たのか障壁が完全に破砕する、倒れるフィルヴィスをラウルが抱き止める

 

だが俺は焦らない、何故なら今回のこの能力は―――――

 

 

「・・・当たりだな」

 

「「「ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

 

なだれ込むように次々と広間(ルーム)に入ってくるミノタウロス、入り口に一番近い所にいたフィルヴィスとラウルに襲いかかろうとしているが

 

 

「焼き肉にしてやらぁ、畜産物共が」

 

 

もはやこちらは獲物ではない

 

お前らは今この瞬間、狩る方から狩られる側に回ってしまったことを教えてやる

 

ミノタウロスに向かって走り出すと同時にジッポライターに付いている針を自らに突き刺す

 

「行くぞ―――――――」

 

針を突き刺した部分から俺の血が吹き出す

 

 

         

 

         

 

         

 

         

 

         

 

         

         

         

         

 

刃 身 の 弐

 

 

         

 

         

 

         

 

        

         (かく) (わん)  (ばく)  !!

 

意思を持った血糸が全てのミノタウロスに絡みつき一纏めにして拘束した

 

 

「炙りチャーシューの準備完了ってな!!」

 

 




主人公が使えるのはカグツチだけよ 
シナトベは・・・どーしよっかなー?ヾ(´ε`○) ノルンルン♪ ♪♪

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