ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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ちょっと原作改変とオリ展開を混ぜていくよー(・ω・)







悪夢の英雄編!!
28:悪夢×前夜


オラリオの冒険者、魔石の流通や都市の治安を管理するために全てのファミリアから独立し絶対中立を謳うギルド、その特性上からギルドは24時間その門を開いている。

 

「怪我人を移送する場所の確保は!?」「住人への説明への報告書作成にかかれ!!」「各ファミリアへと協力を要請しろ!急げ!」「確認がとれました!ソーマファミリアが場所を用意するそうです!」「今回犠牲になったファミリアの主神に生存の確認の要請はどうした!?」「回復薬(ポーション)を買い占めてもかまわん怪我人へ回すよう手配だ!」「ディアンケヒト・ファミリアから薬と材料の催促がきてますがどうしますか!?」「かまわん回してやれ今は緊急事態だ!」

 

時間は夜間、草木も眠る丑三つ時、通常なら、24時間開いているギルドでもこの時間帯は半休状態であるにも関わらず、今は全ての職員が総出で出勤し慌ただしく()()()()()の対応に追われていた

 

今回の事件―――――――

 

後に『27階層の悪夢』と呼ばれ、闇派閥(イヴィルス)が今までに起こした事件の中でも最も凄惨な事件とも言われることになる、オラリオ史上でも凄惨極まる事件である。

 

さらに事件はダンジョン内だけに限らず、それに連動するように同時に地上でも起きていた

 

そのせいで現在ギルドはダンジョン内での事件、地上で起こった事件、しかも、どちらもこれからのオラリオの運命を左右しかねない案件に忙殺されていた

 

「部長、とりあず簡潔にですが上への報告書になります、確認をお願いします!」

 

「わかった!すぐに目を通す!」

 

 

ギルド部長が部下の作成した、簡潔にだが要所をまとめた今回の事件のあらましに目を通す

 

そこには今回の事件のおおよその経緯、犠牲者数と生き残った人数及び人名、壊滅したファミリア名だけでなく天界に送還された神々の名前までもが記載されていた

 

オラリオ史上でも類を見ないほどの大事件、それが二つも同時に、しかも僅か一日で起こったというのだからギルドからすればたまったものではない

 

「とりあえずこれを現状の簡易報告書として上に通す、その間にさらに詳しい調書を作成していてくれ!」

 

「わかりました!」

 

「頼む、私ははこれから直接現場に向かう、そこの君!こいつをロイマン氏に持って行ってくれ!」

 

「は、はい!」

 

いつもなら愚痴の一つでもこぼすであろう部下が何も言わずに指示に従うことが事態の緊急性を表していた

 

(それでも、今回の事件はこの都市にとって決して悪い方向に向かうものではないっ・・・ここが踏ん張り時だ!)

 

この都市に住みこの都市を愛する一人の住人として中間管理職なギルド部長が事態の究明と解決のため奔走していた。

 

 

 

―――――――同時刻

 

 

場所は変わり、ダンジョンの入り口であるバベル、その地下

 

本来ならダンジョンへと大勢が行き来するために広く取ってあるはずの広場が今は怪我人と救護士であふれかえっていた

 

その中にロキ・ファミリアの主神ロキ、そしてフィン達幹部だけじゃなくアイズやラウル、アキといった姿も確認できる

 

全員が顔を心配に染めて1人の男に駆け寄っていた

 

 

 

 

そこには、

 

服や髪を赤黒く染め

 

涙を流す男――――――――

 

 

 

 

 

()()()()()()カイトの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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―――――――――――『27階層の悪夢』数日前

 

 

事の起こりはギルドがとある情報を手に入れたことから始まった。

 

 

 

 

 

 

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《side:フィルヴィス》

 

 

「下層への調査・・・ですか?」

 

「ああ、派閥の等級ランクがDに上がったことによるギルドからの強制任務(ミッション)という奴らしい」

 

 

ギルドは一定の等級に達したファミリアに任務を課す、それは本来なら到達階層の記録更新など何かしらギルドに取って有益な情報や成果を求められるものだ、だが今回は異なるらしい

 

 

場所はデュオニュソス・ファミリアの本拠、その一室

 

そこで団長である私と主神であるデュオニュソス様は明日からの団員達とのファミリアとしての今後の行動について話していた

 

強制任務(ミッション)の事については知っていましたが・・・何か訳ありですか?」

 

「実は先日ギルドが闇派閥(イヴィルス)が下層で怪しい動きをしているとの情報を得たらしい、そしてそのために多数のギルド傘下のファミリアが投入されるそうだ」

 

「それに私達も加われ、ということですか・・・私を含めてもLv.2以上の団員は5名しかいませんが」

 

「それでも、ということらしい・・・なにせ調査する場所が場所だ、大方付いてこれるサポーターが欲しいのだろう、それに今回その調査を主導するのは()()アストレア・ファミリアの全団員だそうだからね、直接的な危険は彼女たちが振り払ってくれるだろう」

 

「アストレア・ファミリアが・・・確かに彼女たちとなら戦力はそれだけでも十分ですね」

 

 

【アストレア・ファミリア】

 

団員の全てが女性によって構成されており、構成団員は僅か11名のみという少数のファミリアだ

 

しかし全団員11名の内9名がLv.4、残りの2名もLv.3といった、ただの少数のファミリアではなくそこに精鋭という言葉が付く、オラリオでも名の知らぬ者はいないとされる程の上位派閥ファミリアである

 

正義を司るアストレアの神意の沿って、団員達は率先してオラリオの安寧と秩序を守るために奔走する、まさに闇派閥(イヴィルス)の真逆を行く者達である。

 

そのため闇派閥(イヴィルス)の中には闇派閥(イヴィルス)殲滅を主導しているロキ・フレイヤ・ガネーシャ・ファミリアよりも敵対視している者達もいるほどだ。

 

 

 

 

「ふぅ、ギルドもやっかいな任務を押しつけてきたものだ」

 

「す、すみません」

 

「?・・・なぜフィルヴィスが・・・いや勘違いしないでおくれ、別に私はそういう意味で言ったのではないよ」

 

「・・・はい、ですが」

 

「むしろ私の眷族(こども)から初の第二級冒険者が誕生したことはとても誇らしいことなのだからね?」

 

今回の強制任務(ミッション)が言い渡された原因は間接的にだが私にある、派閥の等級ランクが上がったのは私のレベルがつい最近になってLv.3にランクアップしたためだ

 

「ふふふ、それにしても・・・」

 

「っ・・・な、何でしょうか?」

 

何だろうかディオニュソス様がニヤニヤと意地の悪い笑みを向けてくる

 

「いや、なに・・・()()()()と揃ってランクアップ、運命を感じてるんじゃないかな?と思ってね」

 

「~~~っ!? デュオニュソス様!!」

 

「はははははは! 顔が真っ赤のフィルヴィスも可愛いなぁ、その表情で彼に詰め寄ればすぐに落とせると思うぞ?ほ~らフィルヴィスNTRについて教えてあげるぞ~?」

 

「なぁ!?なななななな何を言っておられるのですかーーー!?」

 

 

からかわれていると分かっていても恥ずかしさから来る顔の熱りが止められない

 

 

 

時の流れは早いものだ

 

カイト達と出会ってからもう少しで一年と半が経つ

 

 

 

あのミノタウロスとの事件の後、カイトの告白染みた台詞は私の勘違いだったことに気付いた

 

・・・半年くらいしてからな

 

めっちゃ落ち込んだ、凹んだ、1週間部屋から出なかった程だ

 

だがそんな私を見かねたデュオニュソス様が私の部屋に来て言ったのだ

 

「フィルヴィス!相手に婚約者がいるから何だ!君は美しい私の眷族(こども)なのだ!ならば君自身の魅力で相手を振り向かせて見せろ!!フィルヴィスいいかい!?愛とはな!奪い取るものなのだ!!それとも君の愛はその程度だったのか!?ならばそれこそ相手に失礼だろう!!愛して愛して究極まで愛し!突撃して砕けて砂になるまで決して諦めるんじゃない!!君は私の美しく誇り高い眷族(こども)なのだから!!!」

 

その言葉に雷が落ちたような衝撃を受けた

 

愛とは奪い取るもの

 

私は誇り高いエルフだ、恋した者に相手がいるのなら身を退くのが潔い、そう思っていた

 

だが、今のデュオニュソス様の言葉で目が覚めた気がした

 

恋した者に相手がいるのなら身を退くのが潔い・・・本当にそうだろうか・・・いやそんなことはない!!

 

諦められない程、既にカイトに惹かれているのだ、そうでなければこうして1週間も落ち込みはしない!!

 

このままあきらめるのはそれこそ闘わずして敗北を認める様なものだ!そんなことわたしのプライドが認めはしない!!

 

死んでいた心に今まで感じたことがない活力が漲ってくる!!

 

「フィルヴィス!私に続けて叫べ!!」

 

「!?―――――はいっ!!」

 

 

「恋人がなんだぁあああ!!」

「恋人がなんだーーーー!!」

 

「婚約者がなんだぁあああ!!」

「婚約者がなんだーーーー!!」

 

これが一時間も続いた

 

最後の方ではデュオニュソス様の喉はガラガラに枯れてしまった

 

眷族である私のためにここまで身体を張ってくれたこの方に私は改めて忠誠を誓った。

 

その翌日からディオニュソス様の助言の元、カイトへのアタックがさりげなく始まったのだが中々上手くいかなかった

 

デュオニュソス様の誤算は思ってた以上に()()()()()()()が奥手であったということだろうか

 

あの時の私は1週間も部屋に引きこもり、その上食事も禄に取っていなかった、そのため脳がフワフワのポワポワ状態、そこに尊敬するディオニュソス様登場と同時に熱い激励

 

言ってしまえばハイな状態だったのだ、私が正気に戻ってしまえば積極的なアタックなど出来るわけがなかった

 

その上、カイトとのダンジョン探索は危険もあったが非常に楽しく、今の関係を壊すのを恐れて決定的な一線を越えることが出来なくなってしまった

 

そしてそれがズルズル続いて気付けば2人そろってLv.3にランクアップ

 

ちなみに『剣姫』は私達の半年前には既にLv.3、所要期間はなんと2年!・・・ちなみにわたしは5年かかっている

 

サポーターのラウルはその少し後にLv.2にランクアップしている、そしてこれも所要期間2年と少し!

 

2人に比べれば倍近く掛かっているが普通はもっとかかる、そもそも一生をLv.1で終える者がいる中ではこれでも凄まじい速度だ

 

そして私とほぼ同時にランクアップしたカイトの所要期間は驚きの1年半!!

 

改めて思う、このパーティにいると感覚が狂いそうだ

 

 

「・・・色々な常識が通じないなぁここは」

 

「突然なんだ?」

 

「カイトおかわり」

 

「おう、ちょっと待っとけ」

 

目の前にはモキュモキュとじゃが丸くんなる揚げ物を衰えることなく食す『剣姫』と、じゃが丸くんを残像を残しながら素早く作るカイトがいた

 

デュオニュソス様と下層への調査に関して話した翌日、私はロキ・ファミリアの本拠の中に招かれていた

 

しばらくの間は下層への調査で共にダンジョンに潜れないことを伝えに、ロキ・ファミリアの本拠まで来たのだが、ちょうどカイト達もダンジョン探索が休息日ということであれよあれよ建物の中に連れ込まれ今に至る

 

他のファミリアの食堂という慣れぬ状況に少々落ち着かない

 

「それでしばらく探索に行けないって?」

 

「あぁ、実はな・・・」

 

昨夜デュオニュソス様と話した内容を掻い摘まんで説明する

 

「あ~、それフィルヴィスの所が参加することになったんか、一応調査の話だけはチラッと聞いたな」

 

「らいじょうぶ?」

 

「お嬢、口に物をいれたまま喋ると、ま~たリヴェリアに怒られるぞ?」

 

「むぐむぐ!?」

 

戦闘中では決して見せない『剣姫』のあどけない姿に少しホッコリする、カイトと一緒だと本当の兄妹みたいだ

 

「一応、アストレア・ファミリアの全団員が主導で指揮を執ることになっているからな、滅多なことにはならないだろう」

 

「まぁ、あそこは全員が第二級以上しかいない精鋭オンリーの特殊なファミリアだからなぁ、下層までなら問題ない・・・か?」

 

「あぁ、帰ってきてからすぐは勘弁してほしいが、休息を数日取ったらまた探索に呼んでくれ、喜んで付き合おう」

 

「応、そん時は頼む、・・・ちなみに今揚げてるじゃが丸くんはリヴェリアも絶賛のじゃが丸くんだ、エルフでも食べやすい『柚風味じゃが丸くん』一個食ってみ」

 

「あのリヴェリア様が!?・・・ご相伴に預かろう」

 

「私は小豆クリーム味」モキュモキュ

 

「・・・何だそれは」

 

明らかに胸焼けするであろう揚げ物を食す『剣姫』に戦慄しつつ、カイトの作ったじゃが丸くんを食べた、リヴェリア様が絶賛するだけはあって非常に美味しかった

 

「・・・くっ・・・・旨いっ・・・」

 

「何で悔しそうに食ってんだ・・・」

 

・・・前々から思っていたがカイトは女子力が高すぎないか?

 

女性としての私のアイデンティティがががががが

 

 

 

 

う・・・だん・・

 

「・・・ん?」

 

「団長? 出発みたいですよ?」

 

「む?すまない少しボーッとしていた」

 

「なっはっはっは、珍しいな!?お前が上の空とか!」

 

「お前らうるさい、置いて行くぞ」

 

「おいおいそりゃあないぜ!?」

 

今は下層への調査へ向けてアストレア・ファミリア主導でダンジョンに向かう直前だ

 

考えにふけっていた私に気の弱そうな団員が声を掛け、付き合いの長い同僚達が茶化してくる

 

(数日前のカイトとの夢を見るとは・・・気持ちを切り替えねばな)

 

色ボケモードはここまでにしておかねば、なにせ今回の調査に参加するファミリアはアストレア・ファミリアを除けば総勢8、人数は50を超えている

 

これだけの大規模な人数でダンジョンに挑むのは初めてで無意識に緊張していたのかもしれない

 

なにせ数だけならばロキ・ファミリアやフレイヤ・ファミリアといった大派閥の遠征する際の数とほぼ同等だ、意識するなと言う方が無理な話だ

 

 

ちなみに人数が多いので部隊を二つに分けて18階層で合流する手筈になっている

 

他の冒険者の迷惑にならないように、少しずつダンジョンの入り口に進んでいく他のファミリア

 

「では、次のパーティも進んで下さい」

 

後続部隊の指揮を任されているアストレア・ファミリアのエルフから声が掛かり私達の順番になる

 

(・・・彼女が『疾風』か)

 

素顔の下半分を覆面で隠しさらにフードまで被って人相がわからないようにしているにも関わらず同じ同胞のエルフとわかるのは、そのあまりに素顔を晒さないことが有名になりそれが逆に目印になっているからだ

 

「名高き同胞と共に出来ること光栄に思う」

 

「いえ、こちらこそ今回は協力感謝します」

 

すれ違う前に一声掛けてみると思っていた以上の柔らかい声が帰ってきたことに驚いた

 

(どんな偏屈者かと思ったが・・・綺麗な声だ)

 

「それよりも後ろが詰まりますのでお急ぎを・・・」

 

「あ、ああ、すまない・・・」

 

『疾風』に急かされてから眺めるダンジョンの入り口はいつも通りだ

 

後ろに控えていた団員達に目を配ればやる気に満ちた顔で全員が頷く

 

「・・・よし!デュオニュソス・ファミリア!出陣するぞ!!」

 

「「「「応!!」」」」

 

パーティの志気は上々、これなら予定通り進めそうだ

 

 

 

《side out:フィルヴィス》

 

 

 

 

 

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フィルヴィスは知らない

この先には悪夢が待っていることを

 

他の者達は知らない

二度とこの地を踏むことがないことを

 

女神アストレアは知らない

眷族から最凶の復讐鬼が生まれることを

 

そして、とあるエルフは知る

己が身に巣くう暗き激情を

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっぱ書きたかった話は書いててワクワクすっぞー(* ´ω`*)むふー


PS
申し訳ありません、年末は仕事が大量に襲ってくるので大分更新遅れます。m(_ _)m

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