スラスラPCのキーが打てるわ~(・ω・)
クルクルと切断面から血をまき散らしながら宙を舞う腕が一本
まぁ、俺の何だが
「っっづううううう!?」
(知覚してからあれだけあった距離を一瞬で詰められるとかどんな速度だ!?)
その代償に俺の肘から先を持っていかれたが。
(腕一本で二人の女の命、お釣りがくらぁな・・・とりあえず切り落とされた方の腕は『念』のオーラで止血――――――――――)
正直、未知の痛みに先程は叫んでしまったが頭の芯の方は自分でもドン引きする程キンキンに冷えていた
「うわぁああああぶgys!?」
「た、たすk」
「ぎゃ!?」
「ごぇあぁあぇ!?」
俺の腕が宙に舞っている数秒の間だけでも後続組の冒険者が次々と八つ裂きにされ阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていく
皮肉にも
おかげで助かりはしたものの、決して気分の良い話ではない
(くっそ!相手の速度は自分以上、近接は不利、だったら距離を取りつつ中距離か遠距離攻撃!)
自分一人でこの化け物をどうにかしようとは思わない、アストレア・ファミリアがこっちに気付いて駆けつけるまで少しでも時間稼ぎをする。
「『
(こいつを無理してでも解除しなくて正解だったな・・・)
何かあったときのためにオーラの消費を無視し実体化させたままにしていた刀の名を解放し、今まさに殺されそうであった冒険者と化け物の間を分かつように顕現させる
「―――――――――――!?」
「ジョ、ジョォカーーーーーー!?」
助けられた者達が助かった安堵と感謝から二つ名を叫ぶがそれに答える余裕は微塵もない
(まずは相手を牽制!他の冒険者から遠ざける!!)
突如現れた巨大な刀に相手が意表を突かれ動きが止まる
(好機!)
動きの止まった相手に全力で刀を振り抜いた
ガ ギ ン
だが、帰ってきたのは鉄がぶつかり合う鈍い硬質音
「・・・マジか」
こちらの全力を相手は片方の手?にある爪で受け止めていた
「 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ―――――――――――!!!!」
それどころか、こちらの巨大な刀を吹き飛ばす勢いで押し返してきた
(うぉぉお!?)
俺の身体がその勢いでルームの壁に向かって吹っ飛ばされる
足で地面を削り取るようにして無理矢理ブレーキを掛けることで何とか静止しようとするが
(・・・ウソだろおい!?)
止まりきる前にオーラを瞬時に集められるだけ脚に集中
(・・・ぐぅぅう!!)
慣性を無視した動きをしようとするせいで身体が悲鳴を上げるが全てを無視する
足裏を爆発させるようにして体勢も着地も何も考えず、とにかくなりふり構わず全力で前へと突っ込んだ
「ぐあっ!?」
前に跳んだ瞬間、背中の薄皮一枚が裂けた
なりふりかまわない回避のせいで前に向かって前転するような体勢になってしまったが、その体勢のせいで自分の居た場所が視界に入る
(あ、あっぶねぇ!?)
一瞬前までいた場所に鋭利な爪が振り下ろされていた
「「――――――――!!」」
天地を逆にした俺とそれの目が会う、何となくだが殺戮を邪魔されたことに苛立っているような気がした。
(速い!?・・・でも!)
その化け物は振り下ろした体勢のまま、すぐさまこちらを追撃してきたが、それはこちらにとって絶好のチャンスであった
「『
こちらに飛び掛る化け物に対して股下から頭頂まで一刀両断するかのように下から上に向かって刀を振り上げる
俺の手にある刀と同調するようにして顕現した巨大刀が化け物の死角から斬りかかる
(今度こそもらった!)
回避不能の空中、しかも下からの奇襲に近い攻撃に必中を確信した
だが
「■ ■―――――――――― !」
「なっ!?」
あろうことか、そいつは下から迫る刀を尻尾で打ち付け、こちらの斬線を乱してできた刀の側面を足場に回避
その場から少し離れた場所に何でもないかのように着地し改めてこちらと対峙した。
「・・・・はは、冗談でもキツいぞ、おい」
確信した攻撃をこうもあっさり回避されたことに対して、もはや驚きを通り越して笑いしか起きない
(正直、こいつ相手に次はないかも・・・)
速さは圧倒的に向こうが上、パワーの方も速さよりましとはいえそれでもかなり上だとわかる
今と同じような対処をこいつ相手にもう一度やれと言われると無理ではないだろうがかなり分の悪い賭けになるだろう
パキ
パキン
(!?)
そんな中で唯一の成果は相手の爪と尻尾の表面がほんの僅かに欠けたことだろう、どうやら耐久の方はそこまでないらしい、何度も当てれば押し切れる、
しかし
たった十秒にも満たない攻防で見せ付けられた相手との単純なステイタスの差に対してこちらが見出した希望のなんと儚いことか
(・・・嫌な予感の正体は間違いなく
見た目はまるで餓死寸前の骨と皮だけの翼を失った翼竜
高さはざっと見で3メドル、全長は尻尾まで含めて10メドル、紛れもなく大型級と呼ばれるタイプ
だというのにこいつはあろうことか、こちらがギリギリ知覚できる様な速度で攻撃をしてくる
想像してみてほしい、大型トラックが狭い室内で跳ね回るスーパーボールの様な動きで襲いかかってくるという悪夢の様な光景を
(まいったな~・・・ちょっと勝てない)
ましたや今の俺の状態は片腕
万全の状態でも絶望的な戦力差だと言うのにこんなのと対峙できている今の状況が奇跡に思える
幸運なことに先程の攻防で多少はこちらを脅威と認めたのか睨み合いが続いてくれていた
そこに声が響く
「カ、カイト!?」
「・・・・!?」
俺に吹き飛ばされたフィルヴィスがこちらの状況、というか俺の状態を見て悲鳴を上げた、一緒にいるリオンも数秒で作り出されたこの凄惨な光景に絶句している
「 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ――――――――!!!」
そしてその悲鳴を合図の様にしてこちらに突っ込んでくる化け物
「らぁあ!!」
咄嗟に巨大化した刀で迎え撃つが
「はぁっ!?」
相手はその刀を足場のようにして数十メドルある天井まで跳躍
(あの巨体であの高さまで!?あり得ねぇだろうが!?)
巨大トラックがビル6階くらいまで高速で飛び上がるような光景に顔が引きつる
(これ――――っやば!?)
天井を足場としてこちらに向かって、見るからに凶悪な『破爪』を振り上げつつ突っ込んできた
目ではギリギリ追えている
だが、化け物自体の速度に重力の力も加わったそのスピードに身体反応が追いつかない
その速度は思考すら置き去りにしていた
(死―――――――――――――)
「させないわ!」
「らぁああああ!!」
自分の死の予感を覆したのは二人の女性
アリーゼと輝夜だった
二人が空中で横から突撃、化け物が壁際まで吹っ飛ばされた
「カイト、無事!?」
「じゃないだろどー見ても、団長の目は節穴か?」
「団長!」「やべーなこれ・・・」「うひゃぁなにこれ!?」
アリーゼと輝夜以外のアストレア・ファミリアの団員も続々と集結してきてくれた
その中にはフィルヴィスとリオンも居た
「カイト、腕を出せ、気休めかもしれないが傷口を縛る・・・それとお前の腕は一応こちらで回収しておいた。」
ギリギリ間に合った救援への安堵と死を免れた現実に一気に疲労感が襲ってきた
「っ・・・はぁはぁ・・・すまん頼む・・・それと二人とも助かった、マジで死ぬとこだったわ」
「助かるかどうかはまだわからないけどね・・・」
「そういうことだ・・・『
「まかせろ、こちとらまだまだピンピンしてらぁ・・・それにどのみち闘えなきゃ、ここにいる全員――――――」
「 ■ ■ ■ ■ ―――――――――――!!!!」
化け物
後に『災厄』と呼ばれることになる『ジャガーノート』が大咆吼を上げる
「
絶望との第二ラウンドが始まる。
そういや、フィルヴィスが外伝であんなことになったけどレフィーヤってまだフィルヴィスの魔法使えんのかね?
どこかでフィルヴィスの魔法がまだ使えたことで精神的に持ち直す感動ストーリーとかありそうよねー(・д・)