ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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久しぶりの日記帳的な文章よー(・ω・)


あんま何も考えずノリで書いたせいかタイプ速度が尋常じゃなかった

深夜のテンションって怖いよねー(。・ω・)(・ω・。)ネー


嫁と舎弟と時々妹
36:帰郷×過剰


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《side:ゼウス》

 

×9年〇月△日

 

今日もいつも通りべルと共に畑を耕し終わり

(というかほとんどベルが高速でやった)

 

さて、ベルと茶でも飲むかと準備していると

 

コンコン

 

と家のドアをノックする音がした。

 

はて、近所の連中ならノックもなしにドアを開けてくるのだが誰だろうか

 

ヘルメスのアホが来るにしては早すぎるし・・・誰じゃ?

 

茶の準備をしているのでベルに開けさせると

 

「よっす!じいちゃん!ベル!ちょっとの間だけど帰ってきたぜ!!」

 

なんか孫がサプライズで帰ってきた

 

「兄さァアアアアあああああああああああああん!!」

 

ベルが驚きと喜びの余りにカイトに抱きついた

 

 

 

だが、そこで儂もベルも気付く

 

 

 

腕   が  ない

 

 

 

孫の左腕がなくなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

×9年〇月あの日

 

昨夜、とりあえず再会をお互い喜び夕餉を済ました後

 

カイトから腕を失ってしまうことになった経緯について聞いた

 

女を守るために腕を犠牲にしたのだ、と

 

全てを守ることは叶わなかったが、それでも救えた命があったと

 

とても真っ直ぐな瞳を宿して言ってきた

 

儂は褒めた

 

さすがは我が孫じゃ、と

 

女子(おなご)のために腕を犠牲にできる男子(おのこ)がこの世界にどれだけの数いるだろうか

 

少なくとも儂の孫は仲間のために腕も命も張って闘える勇敢な男になっておった

 

なんと誇らしいことか

 

カイトが腕を失ってしまったのは悲しい、見た瞬間に目の前が真っ暗になるほどじゃった

 

だがそれでも何度でも言おう

 

何度でも褒めよう

 

立派になったと

 

話している内にカイトは泣きながら笑っておった

 

気づけば儂も泣いておった

 

あぁ、カイトは立派な一人の男になったのじゃなぁ・・・

 

孫が完全に独り立ちできたことを実感した

 

一抹の寂しさを感じるが今日は秘蔵の酒を出して共にグラスを打ち鳴らそう

 

きっと話すことはもっとあるはずなのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

×9年〇月あのとき日

 

マジか

 

・・・カイトはつい最近Lv.4になったらしい

 

マジか

 

 

 

昨夜、孫と初めて酒を飲んだ際に聞いたことが今でも信じられん

 

だが、それが嘘ではないことが儂にはわかってしまう

 

一応、儂ってば神じゃし

 

 

 

いや、儂の孫すげぇわ

 

カイトが旅立った当初はきっとオラリオでも活躍するじゃろうなぁ~、

するといいなぁ~くらいの感覚で送り出したんじゃけど儂の予想以上というか予想異常な感じで大活躍していた

 

 

っていうかカイトの煎れてくれる茶がめっちゃ美味い

 

何でも、将来、冒険者を引退してアスフィと一緒になれたら店を出したいそうじゃ

 

そのためにも結構前から料理や経営等に関して勉強中らしい

 

 

ただ・・・

 

・・・料理や経営に関して教えてくれる者の名が『ミア・グランド』と言うらしい

 

・・・え?

 

マジで?

 

もしかして、あの『小巨人(デミ・ユミル)』?

 

フレイヤのとこでスコップ振り回してたあの、おっかさん?

 

 

 

・・・マジなのか

 

すげぇな儂の孫。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

×9年〇月あの場所日

 

 

 

今日はカイトとベルが久方ぶりということで手合わせといって模擬戦の様な事をしていた

 

まぁ、当たり前だがカイトの圧勝じゃった

 

 

片腕しかないとはいえ、それでもLv.4

 

神の恩恵(ファルナ)』を刻んでいないベルでは手も足も・・・

 

いや・・・・・・結構食らいついてなかったか?

 

いや、気のせいじゃろ・・・気のせいだよね?

 

 

・・・まぁええか

 

模擬戦の後はカイトがベルに色々と教えておった

 

「こう、オーラをな、一部以外を閉じてギュギューっとする感じで」

 

「ギューっ?」

 

「いやいや、ギュギュギューーッって感じだ」

 

「んー・・・ギュギュギューーッ?・・・あ、できた」

 

「天才じゃぁぁあーーーーー!?」

 

 

 

・・・あれは何を教えとるんじゃ?

 

何故かカイトの口調が儂みたいになっておった。

 

 

 

その後、カイトとベルが軽い運動をしてくると言って大猪を複数狩ってきた

 

 

「殺りすぎちゃった☆」

「ちゃった☆」

 

テヘ☆・・・じゃないわい

 

どうすんじゃこの肉の山は・・・

 

 

食べきれんので村を挙げてのぼたん鍋祭りを開催した

 

村全員がそれぞれ育てている作物を持ち寄っての鍋は料理人としても修行をしているカイトの味付けもあってか大変美味じゃった

 

「はい、兄さんあ~ん」

 

「あ~ん、・・・うむうむ・・・ベルのおかげで美味い飯がさらに美味い!」

 

「はは、兄さんの味付けのおかげだと思うよ?」

 

片腕で食べにくそうにしているカイトにベルが適宜看護するかのように食べさせてやっていた

 

相も変わらず仲がええのぅ

 

ん?

 

そういえば仲が良いで思い出したのだがアスフィちゃんはどうしたんじゃ?

 

「あー・・・アスフィならオラリオで俺の義腕を作ってるよ、何でも作るのに時間が結構かかるらしくて『どうせならたまには帰郷でもしたらどうですか?』って言われてさ、そりゃ()()()()()()()って思って帰ってきたんだよ」

 

ちょうどいい?

 

「え? あ、ほら片腕だとダンジョンに潜るのは危ないじゃん?」

 

・・・嘘じゃな

 

全てが嘘ではないが何か隠しておるのう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

×9年〇月君に日

 

 

 

カイトから本当のことを聞き出した

 

何でも闇派閥(イヴィルス)に手痛いダメージを与えたが、負傷したということで闇派閥(イヴィルス)に狙われやすくなったため、義腕が出来るまでは姿を隠す方が都合がよかったそうだ

 

ギルドにはロキからの説明でカイトは都市内のどこかに身を隠していることになっているらしい

 

なるほどのう

 

確かにそれなら確かにこの村に帰ってくるのはちょうどええじゃろな

 

なにせこの村、ほとんどの地図にも載っていないし

 

それにしてもよく都市の警備網を抜けられたのう?

 

 

 

 

 

 

・・・なにぃ!? 

 

アスフィから透明になれる魔道具(マジックアイテム)を借りたじゃとぉおおお!?

 

なんじゃそれ儂も欲しい!!

 

それがあれば女湯も覗き放題じゃないか!?

 

あぁ、当時それがあればあの殺意満点の警戒網を出し抜いて悠々と覗けたものを・・・ぐぬぬぬぬぅ・・・

 

あ・・・

 

ちょ、やめて、カイト

 

そんな目で見んといて、儂が悪かったから

 

・・・でも、ちょこーっとだけ貸してくれたりとか

 

「ダメ」

 

ダメじゃった

 

いや、そんな楽な方法で覗いても達成感など得られまい

 

苦労して覗くからこその 男の浪漫 なんじゃ!!

 

 

 

 

 

 

×9年〇月出会えた日

 

連日爆弾発言をかましてくれる我が孫

 

今日もスパイシーな爆弾を炸裂させおった

 

 

何でも未来嫁がアスフィを含めて3()()になったらしい

 

 

しかも2人目と3人目を連れてきたのがアスフィとのこと

 

 

 

ナ ン ダ ソ レ

 

 

え?

 

なんなのそれ

 

嫁の方から他の女性を連れてくんの?

 

なにそれ

 

羨ましすぎるんですけど

 

儂とかなぁ!!

 

浮気しただけで頭を斧でかち割られそうになったり!!

 

貼り付けにされて弓の的にされたり!!

 

水車にくくりつけられて水責めされたりとかぁあああああ!!

 

・・・・・・どうやったら嫁公認で女ができんねん

 

 

・・・なに? 嫁が増えたのは不本意?

 

もしかして新しい嫁がすごい不細工とか・・・え、めっちゃ美人でかわいい?

 

ちょっと孫に殺意が湧いてきたぞ☆

 

 

「・・・まぁ、でもさ」

 

ん?

 

「俺にそんだけの甲斐性があるかわからんけど」

 

そう言う孫の顔はあきらめた様な顔だが

 

「娶ったからには精一杯愛しまくって」

 

その苦労を楽しむかのように

 

「責任は取るさ」

 

どこかうれしそうに笑いながら言ってきた

 

 

 

・・・ふーむ、男としての器は完全に儂の負けじゃなぁこれ

 

 

 

 

 

 

 

帰ってきた孫はまじで成長しまくってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――そして月日は瞬く間に流れた。

 

 

 

 

 

《side out:ゼウス》

 

 

 

 

 

 

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《side:ベル》

 

 

×9年〇月◇日

 

 

兄さんが帰ってきてから一ヶ月経ったある日

 

 

 

ヘルメス様が訪ねてきた

 

 

何でも、もうそろそろ義腕が完成するそうなので呼びに来たそうだ

 

 

「そんじゃまぁ、オラリオに()()()()()()

 

 

その言葉を聞いて少し寂しくなる

 

兄さんにとってこの村は故郷に違いない

 

だけど

 

今の兄さんにとってはオラリオも故郷となっている

 

神の恩恵(ファルナ)』を刻むというのは家族になるということと同義だとヘルメス様から聞いている

 

兄さんと同じ『神の恩恵(ファルナ)』を刻んだ家族

 

その人達に少し嫉妬してしまう

 

そんな事を考えていると別れるのを嫌がっていると思ったのか(実際にまた会えなくなるのは寂しい)

 

兄さんが僕の頭に軽く手を乗せて頭の毛がクシャクシャになるような手つきで撫でながら言ってきた

 

「ベル、じいさんがその気になったらお前もオラリオに来てみると良い、あー・・・ただし来るときは手紙をくれ、まだオラリオは物騒だからな、危なくないように迎えに行くからさ」

 

行くことがあるのだろうか

 

確かに行ってみたい気持ちはすごくある

 

でも、それと同時に恐怖感も生まれた

 

この一ヶ月間、結局僕は片腕というハンデの中、兄さんに一撃も入れることが出来なかった

 

そんな兄さんが腕を失うようなことが起こるオラリオの魔境っぷりに腰が引けてしまった

 

思ったことをそのまま兄さんに伝えると

 

「ぷっ、あっはっはっははははは!!」

 

兄さんの横で聞いていたヘルメス様が大笑いしていた

 

「大丈夫!そこは心配しなくてもいいぜベル、カイトのトラブル体質は折り紙付きさ!人が一生お目にかかれるか遭遇するかの事態に何故か頻繁に巻き込まれてるだけだからね!」

 

「うるせぇぞーアホメス」

 

 

え?

 

兄さん大丈夫なのそれ

 

 

「なーに、多少の障害は俺にとっちゃちょうどいいんよ、それとヘルメスの言う通り、もしベルがオラリオに来てもそんなことは早々起こらないさ」

 

 

そ、そうなんだ よかった~・・・じゃあ、ちょっとだけ前向きに考えておこうかな

 

「おう、そうしろそうしろ!そうすりゃじいちゃんも気が変わるかもしれないしな!」

 

 

 

 

 

そこからは多少の雑談を交えてから兄さんはヘルメス様を荷物のように肩に担いでオラリオに発っていった

 

あまりの荷物扱いっぷりに見送りに来た僕とおじいちゃんもさすがにヘルメス様を哀れんだ

 

次会えるのいつになるのだろうか?

 

兄さんが見えるか見えないかの距離までになったとき

 

「ベル・・・お主もオラリオに行きたいなら行ってもええんじゃぞ?」

 

急にじいちゃんが僕に言ってきた

 

 

ううん、僕はおじいちゃんとのんびりするの嫌いじゃないし

 

おじいちゃんを1人残しては行かないよ

 

 

「・・・そうか」

 

ヤハリアノサクセンデイクシカナイカノ

 

 

最後の方は上手く聞き取れなかった

 

おじいちゃんは改めて何かを決意したかのような表情で家の中に入っていった。

 

 

さて

 

 

運動がてらに畑を耕すとしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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某日未明

 

とある場所でとある人物達が非っ常~~~にハイテンションになっていた

 

「にひひひひ、じゃあここをこうして!」

 

「いいですねぇ!、ついでにこんな機能とか」

 

「うふふふふふ、いっそのことこんな機能も・・・」

 

「「それいいねぇ!!」」

 

「「「アハハハハハハハハハハハ!!」」」

 

異様なテンションになっている者達がいじくっているのは銀の色をした義腕のパーツ

 

そして周りに散乱するのは中身が空っぽの酒瓶が数本

 

意味もなく笑う者たちの手にはまだ酒瓶があり、それをそのままグビグビと飲んでいる

 

 

 

そんな者達を影から見守るのは全身を黒いローブで覆った人物

 

神ウラノスの腹心、フェルズである。

 

(・・・どうしてこうなった)

 

 

 

切札(ジョーカー)』の腕を最高に仕上げるためにこの者達は連日連夜、素材を仲間や部下に集めさせ、手に入らない素材は巨額の金貨で購入しさらにそれを分解・研究

 

もはや何日徹夜したのかわからない程、義腕作りに没頭していた。

 

そんな者達の情熱にあてられ、かつて「賢者」と呼ばれてもいたフェルズは影ながら手伝うことにした

 

 

時にはこっそりと自分のアイデアを図面に混ぜてみたり

 

時には手に入らない素材を破格のクエストの報酬として用意したり

 

 

そんな影からの援助の甲斐もあって、できたのは現在出来る最高の出来の義腕・・・だった

 

 

(何故こんなことに・・・あ、ちょ、せっかく錬金できた白銀の板金にぃ変な物が混ざぁ!?・・・あぁー・・・)

 

フェルズが犯した過ちはただ一つ

 

何日も徹夜を続ける彼女たちの身を労うために最高級酒「ソーマ」と呼ばれる酒を複数差し入れという命題で贈ったことだろう

 

疲労困憊に加え、頭も曇りまくっていた彼女たちはこれを飲むやいなやこれまでのストレスと疲労からか

 

 

ひゃっはぁーーーーーーー!!な状態になってしまった

 

 

正常な意識は楽しい別世界へとファーラウェイ!!

 

その代わりに芽生えたのは愉快型のアッパラパーでアハハハ~な精神状態

 

そんな精神状態の彼女たちが偶々思いついただけのアイデアや素材をせっかく創ったパーツに組み合わせ混ぜ込んでいく

 

なまじ、一流の腕の者達であるためにそれが出来てしまうのが事態を悪化させていた

 

常識という概念を脱ぎ捨てた一流達が究極の魔改造を行っていく

 

 

「おい!ここに火炎鉱石とか仕組んでみたらどうじゃあ!?」

 

「いいですねぇ!!ついでに振動できるようにしてみますか!アハハハハハハ!!」

 

「キャーーーナニに使うんですかそれーーーー!!」

 

「・・・ナニですよ」

 

「・・・ナニですか」

 

「「・・・・・・キャーーーーーーーー!!」」

 

「キャハハハハハハハ!!」

 

 

もはや深夜の女子会のノリである

 

(あぁせっかく私も手伝ったのに・・・ちょ、今度は生体部分に何を!?それはちょっと、いやかなり洒落になら、あぁあああああぁ!?)

 

本来なら素材一つ、仕組み一つ使うにしても、入念な実験と検証がいるにも関わらず

 

頭がお花畑のマッド共によって次々とめちゃくちゃな魔改造が加速していった。

 

「「「アハハハハハハハハハハハハハ!!」」」

 

 

(あぁ・・・どうして・・・どうして私は酒など差し入れたのだ・・・あああやめてくれぇええええ、そこは私がアイデアを出した部ぶ・・・ああぁあああぁぁぁあ!?)

 

 

「あひゃひゃひゃひゃ!なんか生えたあああああ!?」

 

「ぶっはっははっはあひゃひゃナニソレ!?おもろぉおおおお!!」

 

「もっさりモッサリ!!」

 

「「あひゃーーーーーーきゃっきゃ!!」」

 

真の酔っ払いにブレーキなど存在しない、というか使う気がない

 

「こことここ繋げてみましょおおおおお!!」

 

「「いいねーーーーーあはははははは」」

 

(もう止めてくれええええええええ!?)

 

 

 

魔改造は止まらない

 

 

 

 

 

 

フェルズは後に語る

 

あのとき――――――もしも私に胃があったなら極大の穴が空いていた、と

 

最高の作品が別の何かに変えられていく

 

そしてそれを見ていることしかできないという絶望は「賢者の石」を割られたときに勝るとも劣らないものだったと

 

だが、

 

まさか、そんなものが

 

現代どころではない

 

過去・現在・未来において史上最高のものになるとは夢にも思わなかったと

 

 

 

「はぁ・・・メモしとけばよかった」

 

 

息の出来ぬはずの賢者がため息を付いていた。

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに、最後の部分の女子会メンバーの一人はアスフィ

あの子ってストレスすごそうだから理性が剥がれるとマジでこんななりそうよね(/ω\)

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