37話を書いてる時点でな~んか感想にようわからんコメントがあるな~と思っていたら
この話を書いてる最中、既に最新刊が出ていることに一週間前にようやく気付いた
読破後
・・・あ
しばらく更新止まるかも・・・いやだって・・・ねぇ?ヽ(´д`)ノぉ手上げ
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《side:フィルヴィス》
『
なぜこんな速攻で、と思ったが
「あなたのことは彼からよく聞いていましたから」
どうやら向こうは私のことをカイトから聞いて知っていたそうだ
そりゃそうだ
私の方もカイトからアスフィのことを惚気話の一つとしてよく聞いていたので初対面ながら相手のことをお互いによく知っているという奇妙な出会いだった。
それに認められたと言っても、もちろんタダではない、先ほどの条件に加えて私には他の条件も加えられた。
その条件は今回のカイトの義手に使う素材集めを手伝うことだった
そりゃあもう、私は馬車馬の如く働いた、というか働かされた
西に貴重な素材があれば交渉し
東に必要な素材がクエストの報酬としてあればダンジョンに奔走し
北に南にと駆けずり回った。
さらに私にはカイトから頼まれたカイトに扮した影武者のラウルと定期的に会うという任務もあったので日々をかなりの激務に追われた
(だぁああああ!?い、忙しすぎるぅーーーーーー!?)
だが、アスフィは割りと容赦がなかった。
素材を手に入れたらすぐに次の素材のために奔走させられる
ホームに帰れば疲労困憊でベットにすぐに倒れこむ日々が数日続いた
ーーーーーーあぁ・・・私の身体がせめてもう一つあれば・・・
なーんて思っていたら『分身魔法』とかいうとんでもない魔法が発現してた
魔法は自信の心の底からの願望や願いから影響を受け発現するのだが・・・私はどれだけこき使われているのだ
ちなみに、この魔法は実態を持った私をもう一人生み出すという希少魔法だ
分身も魔法が使えるのでどんどん人数を増やすことが出来る
デメリットは分裂すればするほど弱くなることだろう10体を超えたところでそこらへんに居るバッタとかセミが身体にぶつかっただけで消滅するくらいに弱くなる
バッタ相手に長年のライバルとの決闘みたいに善戦する自分を見るのは情けなかった
・・・あれは見てて悲しくなる、自分の姿なので尚悲しい
私は4人以上は増やさないと硬く誓った。
そんな情けないこともあったが、この魔法のお陰でかなりの貴重な素材を次々と手に入れることが出来た。魔法があったとはいえ自分でもよくこれだけ都合良く必要な素材を集められたものだと感心する。まるで見知らぬ親切な精霊が導いてくれている様だ。
そんな風に日々を過ごしている時にふと思った
アスフィは何故こんなにも簡単にカイトの女を増やすのだろうか
いや、カイトを支えるための人材集めということは知っている
知ってはいるが私であれば感情のほうが納得しないであろう出来事だ
そんな事を他の二人-----椿とアミッドに言って見たところ
「ふ~む・・・確かに、手前はあいつの身体目当てで嫁になったようなものだからなぁ、あまりそういった男女の機微には疎い」
「ええええ、かかかか身体!?」
突然放たれた言葉に動揺しつつ椿の体に目を向ける
(・・・で、でかい)
健康的な身体にサラシをしていても動くたびにプルンプルンと揺れる胸
おそらくカイトの女性関係者では最も大きい・・・それに比べて自分は
戦力差はざっと見てもイチゴとメロン
いや、どっちもおいしい果物だ差別ヨクナイ
カイトならばどっちもおいしく頂いてくれる
エルフはスレンダーな体型が多いためどうしても胸の大きさといったことでは他の種族に劣ってしまう
ぐぬぅ・・・やはりカイトも男だ、こんな貧相な胸ではなくこういった出る所が出ている異性の方が好きなのだろうか
もしも初夜で
「ちっさ・・・あ~やっぱ椿みたいな巨乳がいい」
『ガーーーーン!』
等となった日には首を吊れる自信がある
勝手に一人で被害妄想の囚われているところにアミッドが待ったを掛けてきた
「あー・・・フィルヴィスさん、彼女のセリフで何を想像してるのか知りませんがたぶんご想像してるのとは大分違いますよ」
「そ、そうなのか?」
「あっはっはっは、すまんすまん!手前の言い方が悪かったな、手前の言う身体というのは語弊でな、目的はあいつのスキルだ」
落ち着いて聞いてみたら椿はカイトのスキルで顕現する武器に非常に興味があるとのことだ
「これを見てみろ」
そういって突き出してきたのは刀身がボロボロで一部は何故か炭のように真っ黒、柄と唾の部分を残して崩れて砂にでなりそうな状態だった
「随分と使い古された刀・・・なのか?」
「ふふふ、おもしろいものを見せてやろう」
「なにを・・・」
そう言っている間に椿がその刀身を地面に向かって振り下ろす
一体何をするつもりなのか、そんな状態の刀を地面に向かって振り下ろせばLv.4の椿の力でなくとも粉々になってしまうだろうに、そう思っていた
だが
ガキーーーン
という硬質音とともにボロボロの刀身が地面に埋まった
(・・・壊れないだと)
地面は石だ、こんな様相の武器が耐えられる硬度ではない
「ふふ、驚いたか?」
得意満面といった風な顔でドヤる椿
「こいつは先の事件でカイトが使用した刀だ、なんでもスキルでこの刀に力を憑依させたんだそうだ」
「あの、巨大な鎧武者を顕現させたやつか」
「そうだ、ちなみにこいつは『
「馬鹿な!?」
『
その武器は切れ味や攻撃力が落ちはするものの、決して壊れることのない武器として数多くの冒険者に好まれて使用される
だというのに目の前の刀の様相はどうだ
これ程の状態で地面に叩き付けても壊れないことからこの武器が『
「元からこの様な状態の武器であった訳ではないのだな?」
「当たり前だ、手前が打ってやったときは綺麗な波紋付きの立派な刀だった、かなりの自信作だったのだが・・・それがこの有様よ、笑うしかあるまい」
「その、なんだ・・・鍛治氏というのは自分が打った武器を壊した者を好きになるのか?」
「んなわけがあるか!まったく・・・儂が気に入ったのは彼奴のスキルで強化された刀を見たのが切っ掛けだな・・・あれはすごい、今の手前では決して打てん刀だ、入団の際に魅せられた主様の武器よりも魅せられた、手前はもう一度あれが見たい、触りたい、この手で確かめたい、そして彼奴のスキルに耐えうる武器を打ち、さらにそれを超える武器を打つ!!・・・そのためにも他派閥のファミリアでも彼奴のそばに居ることの出来る状況や立場が欲しかった」
それを聞いてなんというか
・・・椿にとってどうやら嫁という立場は利用するだけのものらしいと感じた
彼という人間を愛する者にとってあまり面白く感じることのできない話だ
そう思っていたのだが
「まぁ、手前は男女の蜜事には興味がないわけではないが・・・お主たちより大分薄い、とは言ってもだ、一応親に孫の顔ぐらい見せてやりたいという孝行心くらいはあるのでな、それに―――――――」
「それに?」
「何というかだな・・・『もしも旦那にするなら誰か?』と、らしくもないことを考えたときにカイト以外の顔が思い浮かばなくてなぁ・・・こりゃ今を逃したら一生武器を打つだけで終わりかねんと僅かに残っていた乙女心が焦ってな・・・まぁなんだ・・・嫁になった」
快活に笑うのが印象の椿が恥じらいながらも放った言葉を聞いてその考えを思い直した
どうやらしっかりと彼を想う心を持っているようだ
「というか、手前は何でこんな小っ恥ずかしいことを暴露することになっているのだ?」
そういえば何でだっけ、私も椿の発言で最初の部分がすっ飛んでしまった
「確か、アスフィが何でカイトさんの嫁を増やすことを我慢できるのか?・・・とかが最初じゃなかったですか」
あ、そうだった
「おお、そうだったそうだった! う~む・・・手前はわからんがアミッドなら心当たりがあるのではないか?」
私がアミッドに視線を向けると何故かすごく嫌そうな顔をされた
「知ってますけど・・・これってアスフィのすご~~~~~~~~~く・・・傲慢な考えですよ」
「「傲慢?」」
「単純ですよ・・・彼女は今回の件で自らが死んでしまった場合のことを想定して動いたんです・・・自分が死んでしまってもカイトさん支えられる人材、代わりが居ればカイトさんを身体的にも精神的にも支えられるって思ったんでしょうね」
なるほど、死後のことまで考えてまで彼を支えようとするその姿はまさに良妻賢母の鏡と言って良いのかもしれない
「ふむ・・・それのどこが傲慢なのだ?手前にはただの良い女にしか聞こえないが」
確かに
「何を言ってるんですか・・・まだアスフィがカイトの嫁を増やす気なのだとしたら今の私達だけでもカイトさんにとってアスフィ一人に釣り合わないって言ってるようなものですよ?・・・これが傲慢じゃなくて何なんですか、まったく!」
言われて私も椿もようやくそのことに気付く
「くかかかか!確かにそれは傲慢だな!」
「ふふ・・・だが、おかげでこうしてカイトと共に居られることになったのだからその傲慢に感謝しなくてはな」
「まぁ、そうなんですけどねー・・・あ、フィルヴィスさん次の素材はこれをお願いします」
雑談が一区切りした所で急に話が変わりアミッドから追加素材の要求がきた
「了解し・・・ん?」
渡されたリストには素材の名前がいくつも書いてあるが・・・
「おいどういうことだ・・・ここにかいてある素材は三日前に持ってきてやっただろう!?」
「実験に失敗しちゃいまして」テヘペロ
アミッドが手に持つのはどろりとした何かが入った小瓶、あきらかに実験で失敗してできた廃棄物だ
(頑張って集めた素材がゴミに・・・)
「なら手前も鉄鉱石と火炎鉱石を追加で頼む」
椿からも追加発注が・・・いや待て
「そっちは昨日持ってきてやったばかりだろうが!!」
「打ち損じてしまってな」テヘペロ
椿が手に持つのは黒焦げてひしゃげた鉄のクズ
・・・おっふ
拷問の一つに穴を掘らせてからそれを埋めさせるという行為を何度も繰り返しさせるといったものがある
初めて聞いた当初はそこまできつくないだろうと思っていた
だが、何度も貴重な素材を集めても延々とゴミにしてくるこいつらの相手をしてよくわかった
「んぬぁあああああああーーーーーーー!???」
これはキツイ
《side out:フィルヴィス》
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――――――それから数ヶ月後
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《side:カイト》
「こちらです」
アスフィ達に工房内を案内され、真ん中の台座に鎮座している義手を見せてもらった
「これが―――――――」
腕を失ったのは悲しいしショックではあった
だが、目の前の腕を見てそんな思いは吹き飛んだ
本物の腕と見間違えるくらいに精巧な造形
それが本物ではないと証明するかのように重厚に光り輝く銀の光沢
何よりも自分を惹き付けるナニか
「・・・すごいな」
何がすごいのかはまだわからないのに、そんな言葉が自然とまろびでる
でも仕方が無いだろう、そんな言葉しか出てこない、気分はショウウィンドウに張り付いてトランペットを眺める少年だ
「さっそく付けてみましょう」
「お、おう」
アミッドが義手を持って俺の切断面を覆うように義手に埋める
「うぉお!?」
ハマった瞬間にビビった
「驚いたか?」
椿がこちらを見てイタズラが成功したとでも言いたげにニヤニヤと笑っていた
「そりゃ驚くだろ・・・これは」
腕を付けた瞬間に義手から触感が返ってきた、切断面と接触している部分からと言うわけではなくアミッドが触れている義手の部分からである
「義手で触れている部分の触感が・・・まじかこれ」
しかも自分の意思で自在に指や関節まで動かすことができる、それこそ腕を失う前と寸分変わらない精度でだ
感覚としては突然失ったはずの腕が生えてきたみたいだ、戸惑ってしまったのも仕方がないだろう
前世の最先端科学技術でもここまでのものは出来ていなかったはずだ
まさにファンタジー万歳ってやつだ!
「なぁ、魔道具の義手ってのは全部こんなにすごいのか?」
「「「そんなわけないでしょう」です」だろ」
「ありゃ、そうなの?」
3人曰く、何でも俺の腕そのものを素材として使用し、なおかつここに居るのが魔道具・生体・武具、それぞれのスペシャリストだからこできた芸当・・・かもしれないとのことだ
かもってなんだ、なんで最後の部分だけ自信なさげなんだ
まぁいいや
俺の嫁たちマジですげぇってことでいいのだろう
・・・ふむ
新しく俺の腕となった義手を改めて見る
手を握ったり開いたりして軽く動き、誤差がないかを確認する
んふ
んふふふふふふふふ
一度言ってみたい台詞を言っちゃおう
パーーーーフェクトだぁあああ!!
アスフィアミッドつばきぃいいいーーーーーーーー!!
ひゃっほう!!!
機械っぽい腕!
色は輝くシルバー!
それでいて腕の部分はリアルすぎず、かといってゴツすぎず
男のロマンだなこれ!
コブラのサイコガンでも付けているような気分になれるぜ!! ヒュー♪
・・・まぁ強いて問題を挙げるとすれば身体の自重バランスだな
この数ヶ月ですっかり片腕のない状態に慣れてしまった、しかも義手は元の腕と重さが同じわけではない
(こりゃあ感覚取り戻すのに大分リハビリせんといかんな)
こればかりは仕方がないと思っていると
「カイト、裏に少し開けた場所がある、手前に付いて来い・・・慣らすためにちと軽く仕合うぞ」
「助かる・・・手加減はいるか?」
「あっははっははは!!手前相手にできるものならやってみるがいい!!」
「お、言うねぇ~」
すぐに椿と模擬戦形式で試運転がてら軽く義手を動かしてみることになった
結果
一時間くらいで慣れた
思っていた以上に慣れるの早かったわ
まぁ、これほど早く慣れたのもこの義手の性能によるところが大きい
なにせこの義手、俺の思い通り自在に動くだけでなく激しく動いてもまったく外れる様子はなかった
なんでも一定の動作をしつつ手順を踏まないとそれこそ腕が千切れない限りは外れないそうだ、戦闘面として見れば最高としか言いようがない
義手で一番の懸念は戦闘中に外れることだったからな、戦闘中の心配が無くなるだけでかなり精神的な負担が減る
強度の方は素材構成の7割がミスリルのためアダマンタイト程の強度はないが、俺の場合は【念】で強化できるのでむしろ魔力等を通しやすいミスリルの方が都合が良いので問題ない
試しに椿の打ったアダマンタイト製の武器と【念】で強化した義手の拳とで打ち合ってみたが、傷一つ付かない所か逆に向こうの方にヒビが入った
「手前の武器の方が負けるとか・・・ぬぐぅぅぅうう~~~!!」
そのことでめっちゃ椿が不機嫌になった
いや、どっちもお前が造ったものには変わりないんだから拗ねるなや
強度や基本動作の確認の後はこの義手の戦闘以外での様々な機能の説明を受けつつ試運転を行った
こんな機能いるかぁ?と思う様なものもあったが概ね期待以上の義手であったのは間違いない
つーかぶっちゃけメンテナンスを欠かさなければ元の腕よりも良いかもしれない
感心しながら、よくもまぁこんなとんでもない義手を造れたものだと言ったら
「いや、まぁ私たちにかかればこれくらいは・・・ねぇ?」
アスフィよ、何故顔を背けるんだ
「そ、そうですねー・・・で、でも・・・スペアが二本くらいしかないので気をつけて使ってくださいねー・・・アハハ~・・・」
とんでもなく胡散臭い笑顔でアミッドが笑う
「そ、そうだな、手前でも、もう一度同じのを作るのは・・・なぁ?」
下を向きつつポリポリと頬を掻く椿
「・・・やっぱこれだけの物だとまた造るのは難しいのか?」
「「「・・・えっと~~・・・」」」
何故か三人が目を逸らす
さっきから義手を褒めたりすると三人がとてもとても複雑そうな顔をするんだが・・・何故だ?
―――――――――間
オラリオの大通り、そこを片腕が義手の冒険者が一人軽快な足取りで歩く
というか俺だ
冒険者の多いこの街では義手を付けているの者は珍しくないため、大手を振って歩いても特に目を引くことはあまりない
久々のオラリオを両手を下げて歩くことのなんと清々しいことか
あ、ちなみに故郷の村からオラリオに帰ってからはフィン達に帰還の挨拶を手早く済ませてからアスフィ達の工房には向かった
さすがに自分の所属するファミリアよりも義手の受け取りを優先するほど薄情ではない
うーむ、この腕をあいつらに見せたときの反応が楽しみつーか、ぶっちゃけ自慢したい
気分は新しい家電を使って自慢したがる調子に乗った若者である
「それで、俺に紹介したい人物って誰なんだ?」
隣を歩くアスフィに声を掛ける
俺とアスフィは二人でギルドに向かって歩いていた、アスフィから今回の件で俺に紹介したい人がいると言われたからだ
聞けば、何でも今回の義手を造るために素材集めを主導してくれた人物らしい
うむ、そういうことならきちんと感謝の言葉を俺から伝えねばなるまい
「簡単に言うとあなたの嫁ですね・・・四人目の」
「ふ~ん、俺の嫁なのか・・・そっか・・・うん・・・んーーーー!?」
今なんて言ったんだ、この嫁は?
四人目?
え?
は?
ナニソレ? ナンデスカソレ? ダレノ? オレノ?
「------------------。」
困惑の余り俺の思考がフリーズする、というか文字通り俺は固まる
そんな俺を無視してツカツカと歩き去るアスフィ
「ちょ、待て、待って!いや待ってください!?」
四人目ってなに!?
つーか誰だよ!?
・
・
・
・
・
・
・
そんなこんなでギルドに到着
「こちらが嫁です」
「どうも・・・嫁だ」
フィルヴィスでした~~・・・・なんで?
フィルヴィス、ナカーマ、ヨメ、チガウー
(何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故-------はっ!?)
この疑問を解決するためにキィィィィィィィイイイイインという高音を発しながら俺の灰色の脳細胞が全力で回転し、答えに辿り着く
(そういうことか!!)
天啓を受けたかのようにす全てを察した俺はできるだけ優しく声を掛ける
「-----フィルヴィス」
「な、なんだ」
「無理をしなくてもいいんだぞ?」
「「・・・・・・え」」
そう、俺は全てを察したのだ
フィルヴィスはとても責任感の強い女性だ、それはこの一年間何度も共にダンジョンに潜ったことでよく知っている、今思えば出会いの切っ掛けもこいつが仲間を庇って責任を取ろうとしたからだったな、ふふ・・・まだ一年前なのに妙に懐かしいな
そんな責任感の強いフィルヴィスが自分の救出のために来た仲間が腕を失うほどの負傷をしてしまったらどれほどの責任を感じてしまうのかは察するに余りある
そうきっとフィルヴィスは思い悩んだはずだ
腕を失った俺に借りを返すためにどうすばいいのか、何をすればいいのか
あぁ・・・今思えば故郷の村に帰る前にべろんべろんに酔ったフィルヴィスに会ったが、もしかしたら飲まずにはいられないほど自分を追い詰めていたのかもしれない
くっ、仲間のそんな状態にすら気付かなかったとは・・・一生の不覚っ!
「フィルヴィス、今回の件で自分の身まで捧げようとするお前の責任感の強さはわかっているつもりだ」
「え、いや・・・たぶんお前、全然わかって―――「いいんだ!!俺はこれほどの義手を造るためにお前が奔走してくれたそれだけで十分なんだ!!」
「いやいやいや!?カイト貴様なにを勘違いして――――――」
少し強めに言った言葉が響いたのか、広大だというのにいつも賑やかでうるさいギルドのロビーが静まり返る
・・・・・・青臭すぎる台詞を言ったからだろうか
「う・・・うぅっぅぅ~~~」
フィルヴィスが俺の言葉に感激したのか涙をポロポロと流す
何故かアスフィはドン引き・・・あれ・・・ドン引き?・・・え、なんで?
あ、そうか嫁の前で他の女に優しくしてるのがダメとかかな?
だが今回くらいは大目に見て欲しい
「うわぁあああああああああああぁぁぁぁあああああああああああん!!あああああーーーーーーーーーーーーーーー!!」
フィルヴィス、俺の言葉に感激し絶賛大号泣
そんなに感動されるとさすがに照れるぜ
「フィルヴィス、だから無理して俺の嫁にならなくとも―――「このボケェ!!!」
「アブェ!?」
泣きながら怒りと羞恥に顔を染めたフィルヴィスの拳がクリーンヒット
「らららおらぁ!!」
「おぼぼぼぼぼ!?」
ボディに連打が突き刺さる
「シャァア!!」
「はばぇ!?」
膝から崩れ落ちたところにムーンサルトキック級の綺麗な半月蹴り
「死ねぇええええ!!!」
「ぷべら!?」
仰向けに倒れ天井を向いた顔面にとどめとばかりに踏みつけスタンプの蹴りが見舞われた
意識を失う寸前
フー、フー、と興奮したように肩で息をするフィルヴィスと呆れ顔で目を覆うアスフィの姿だけが印象に残った
「な・・・何故・・・」ガク
後にフィルヴィスはこの一件が原因で『
フィルヴィスが嫁になれたのかどうかは今後の展開しだい・・・どうしよっかな~♪
次回:舎弟と妹
いやぁそれにしても最新刊でベル君が「切札」(ジョーカー)とか呼ばれててニヤリとしてしまったのは自分だけやろな ( ̄ー ̄)ニヤリッ