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《side:シル・フローヴァ》
私の目の前で目を覆いたくなるような光景が繰り広げられていた
ちなみに場所は「豊穣の女主人」の廊下、そのトイレの前だ
ドンドンドン
「早く出ろにゃーーーーー!!」
ドアに縋り付いて叫ぶアーニャ
「こ、こうにゃったら庭で・・・」
「バカ、んなことしたら、今度こそ『
悲壮な最終手段に出ようとするクロエとそれを止めるルノア
(乙女の会話じゃないなぁ・・・)
目の前で三人の乙女がお腹を押さえながら内股で震えている
「んにゃーーーー!!早く出てくるにゃーーーじゃないと、じゃないとみゃーが・・はぅ!?」ピーゴロゴロ
同僚のアーニャがお腹を押さえてピタリと微動だにしなくなる
・・・一応、念のため少し
いや大分アーニャから距離を取る、他の二人も同様にアーニャから距離を取っていた
「・・・一応行っとくけど次はにゃーが入るにゃー」
「あ?ふざけんな・・・こっちの方がやばいんだよ、譲れ」
「いやにゃ」
アーニャから距離を取った二人がどちらも顔を青ざめながら目線だけで火花を散らす
ちなみに少し乱暴な言葉遣いの方がルノア・ファウスト、今度からここで働くことになった新たな同僚だ
そしてアーニャと同じ言葉遣いの方がクロエ・ロロ こちらも
そんな二人が険悪な雰囲気を醸し出す
「んだと、やんのかこらぁ!!」
「やってやるにゃ!!」
(・・・二人とも喧嘩してる余裕なんてあるのかしら?)
『『ピーゴロゴロ』』
「「ハアアアウ!?」」
(・・・いわんこっちゃない)
「はぁ・・・三人ともトイレはここだけじゃないんだから、別のとこでしてくればいいのに」
「「「それだ!!」にゃ!!」にゃ!!」
私のつぶやいた言葉が聞こえたのか一目散に外に駆け出す3人
「間に合うといいのだけれど・・・はぁ」
三人が見えなくなってから今現在トイレの中に居る彼女に声を掛ける
「リュー・・・その・・・大丈夫?」
『『ピーゴr■ ■■ ■■ ■■ ■ ■■ 』』(彼女の尊厳のため耳を塞いでいる)
「おううぅぅぅぅううう・・だ、だいじょうでぐぉおぁあおお!?」
「・・・全然大丈夫じゃないみたいね~・・・」
四人がこうなったのはとある人物―――――――――――カイトさんの超が付くほどの怒髪天に触れてしまったからだ
まぁカイトさんが怒るのも無理はないと思ってしまうほどのことをしでかしてしまったのだから仕方がないといえば仕方がないのだけれでも
とりあえず今回のことで収穫のあったことといえば
「カイトさんを怒らせたらミア母さんと同じくらい怖いって事ね、教訓教訓。」
《side out : シル・フローヴァ》
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《side : リュー・リオン》
仲間を殺され
敬愛するアストレア様とも別れ
復讐を遂げ
堕ちた私は今―――――――
「おらぁ!!キリキリ働け!!」
酒屋でカイトの監視の元、強制労働をさせられてる。
ちなみに私だけではない
「くっそ~、こっちが体調最悪なのに遠慮がねぇぞこいつ」
「う~・・・絶対ここから逃げ出してやるニャーー!!」
「にゃーに至っては完全にとばっちりにゃー!!??」
私と同じようにミア母さんの下で働くことになったルノアとクロエ、そして元々ここで働いていたアーニャが愚痴を零す
「 あ ァ ? 」
そんな三人の声が聞こえたのかサボらないよう見張る監視役のカイトがとてもいい笑顔で三人の元に近づいていくが、私は無関係を装って自分の仕事に集中する。
(私は関係ない私は関係ない私は関係ない私は関係ない私は関係ない私は関係ない)
・・・とびきりの彼の笑顔が今は非常に恐ろしい
「・ ・ ・お い 」
「「「う!?」」」
既に彼に苦手意識ができたのか三人がたじろぐ
「・・・どうした?・・・お腹でも空いたか?」
「「「!!??」」」
「・・・ 卵 焼 き は 好 き で す か ? 」
「「「すんませんでしたーーーー!!!」ニャ!!!」にゃ!!!」
今やここにいる四人がトラウマを抱えるほどの力を持ってしまった言葉
カイトの「卵焼き」
恐ろしい、死ぬことよりも恐ろしいことがあるとすれば
お、思い出すだけで
「オロロロロロロロロr■ ■ ■ ■ ■ ■----」
「ぎにゃーーー!?リューがまた吐いオロロロロロロr!?」
「おいふざけんな!?そっちがそうなるとこっちまでもらいゲオロロロオロロr」
「何でにゃーの前でわざわざ―――オロロロロロロロロロロロrrrrr」
乙女達によるこの世でもっとも汚い四重奏
それを見たカイトからの無慈悲な一言
「さっさと片付けて働け」
「「「「鬼か!?」」」」
カイトがここまで激怒しているのにはもちろん理由がある
事件は昨夜起こった『黒拳』『黒猫』と呼ばれる凄腕の殺し屋に私が狙われたことが発端だ
ちなみに『黒拳』はルノア、『黒猫』はクロエだ
少し前の私なら恐らく何の抵抗もなく殺されていただろう
なにせここに来た当初の私は生きる意味などなく、それこそ放っておけば勝手に死ぬ様な状態であった
だが、そんな私の心を救ってくれた人達が居た
シルやカイトに店長、ついでにアーニャ
シルには私がこれまでやってきた意味
カイトにはこれからも私が生きなければならない理由
店長には生きるための活力を無理矢理ではあったが発破を掛けられた
アーニャには・・・なんでしょうか、愉快な心地?
これからも生きる目的ができた私はその恩に報いるためにも全力で『黒拳』『黒猫』に抗った、途中からはアーニャも参戦し善戦できていたが『黒猫』の毒で弱っていた私は『黒拳』に押され始めた
そしてその状況を覆すために私は『黒拳』の猛攻を避けつつ全力で魔法を行使した
結果
店長が第二倉庫を建てようとしていた店の裏庭はグチャグチャ
加えて食材や酒が保管してある第一倉庫も半壊
本店の方も壁が穴だらけ
結果の結果
店長:普段から怒りっぽい店長がマジ切れ
カイト:怒りを通り越した何かに変貌
店長にボコボコにされた後に全員が拘束され、そのままの状態でマジ切れカイトの強制ディナーに御招待
気づけば目の前には丸い食卓が一つ、天井には魔石灯のランプが一つ怪しく卓上を照らしている狭い室内
そして椅子ごと鎖でガチガチに拘束された卓上を囲む四人
私、ルノア、クロエ、アーニャ
今から拷問でも始めるつもりかと思っ・・・いや拷問でしたねアレ
四人が現在の状況を掴みかねていると
コツコツと足音を立てて暗闇からエプロン姿のカイトが姿を現した
そのまま部屋の隅に設置してある小さな台所に向かい何かの作業を始める、その作業をしたままカイトがポツリポツリと独り言のように話し始めた
何でも第一倉庫には店長自ら漬けてあったお手製の果実酒だけでなくカイトが婚約者達との結婚祝のためにと贅沢な食材や製法で漬けてあった果実酒もあったらしく、それが文字通り消滅していたそうだ
特に『万能』ことアスフィとの結婚祝い用の酒は最近できた婚約者達の者と違い、3年前もから漬けてあったものらしく
「「「「っ!?」」」」
ゾッとした
・・・拘束された私たちの前でそれを語るカイト表情がヤバかった
無表情ではなく、怒りでもない
笑っているのだニコニコと
ただ笑顔からこぼれる瞳は第二級冒険者全員をゾッとさせるものだった
話が終わるとカイトは先程から作業していた何かを卓上の上に置いた
端的に言って 黒い何か だ
臭いはしない・・・ただ何というか禍禍しいオーラだけは感じ取れる
それをカイトがフォークで突き刺す
サクっと小気味良い音がした
「ほれ、アーニャ、腹減ってるだろ」
「んにゃ?なんにゃそれ食べ物なのかにゃ?」
「ああ」
「おおお、カイトの作るご飯は全部おいしからたべるにゃーーー!!・・・ちなみになんにゃそれ?」
「
「んにゃ?卵焼き?え・・・やっぱ食べるのやmゲニャ!?」
拘束されたアーニャの口にカイトが無理矢理黒い何かを突っ込んだ
「・・・よく噛んで食べろよ」
「んにゃ~、変わった食感だにGGGGGガゲェアアァァァァアBOOOOOOOOOOO!?」
おおよそ乙女が・・・いや、人が発してはいけない声を白目を剥きつつ拘束されているため首だけを前後左右めちゃくちゃに振り回しながら叫ぶアーニャ
10秒以上それが続くとピタリとアーニャが動かなくなった
あまりの光景に絶句していると
「んぎゃあああああああ!?」
「「「ヒィ!?」」」
動かなかったアーニャが断末魔の叫びのようなものを突如発してまた動かなくなった
(死・・・いや生きてはいる?)
先程との差異をあげるとするならばかろうじて生きているのがわかる程度に痙攣していることだろうか
「ほれ」
次のターゲットは『黒猫』らしい
「ハハ、何にゃ?毒でも食べさせる気かにゃ?残念だけどニャーには毒系は一切効かなボニャ!?」
『黒猫』と呼ばれる暗殺者は毒を使うこともあると聞いたことがある、恐らくクロエは『耐異常』のアビリティが非常に高いのだろう
だが――――――――――
「ペビェヨオオオオAオオオオオオオオあべべべべべべべべべべべべ!?」
「安心しろ・・・こいつに毒性は一切ない・・・ただくそ不味いだけの
『黒猫』がアーニャと同じように首を振り乱し錯乱したように叫びそして動かなくなり、絶叫し、また動かなくなった
ちなみに先程から終始カイトは笑顔から表情が変わらない
それが恐怖感をさらに煽った
「さぁ、ここにある
言われて卓上の黒い何かに目を向ける
コンモリ
小高い山ができるくらい積まれていた
(・・・・・・・)ゴクリ
思わず生唾を飲んでしまった、『黒拳』も同様のようだ
「ま、待ってくれ!?償いなら何でもするからモゴォ!?」
「じゃあ、これを食え」
ちなみに吐き出さないようにカイトは両手で無理矢理顎を動かし咀嚼させている
「ピピピピピピピピ11PPPPPPPPPPPPPPPPPPカカカカカカk」
「さーて次は~・・・」
「ヒィ!?」
悲鳴をあげるなど何時ぶりだろうか
この後、私も同じようになった
ちなみに目が覚めると同じ事が繰り返され、黒い何かがなくなるまでこれが続いた
あまりの地獄の連鎖にアリーゼ達に会えたが「そんなしょうもない理由でこっちくんな」と追い返された
皆が臭い物を取り扱うように鼻をつまんでいたのは気のせいだと思いたい
・・・悲しい。
まさかの