ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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これ書く前にボツにした話が二万字くらい
こういうのが原因で遅筆です。


47:妖精✕試験

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《side:レフィーヤ・ウィリデス》

 

は、はじめまして

 

私の名前はレフィーヤ・ウィリデス 年齢は見た目通りの12歳です

 

エルフは他の種族よりも歳を経ても見た目がほとんど変わりませんが私は本当に12歳です

 

500歳だったり659歳だったり腐葉土の匂いとか全然しません

 

魔力(マナ)だって剥き立てのゆで卵のようにトゥルントゥルンです、断じて腐ってなどいません

 

 

あ、出身はウィーシェの森です。

 

 

 

 

二年前から『学区』と呼ばれる移動教育機関に在籍していました

 

そこでは算術や文字等の勉学はもちろんですが、一時的に学区に所属している神々が生徒に『神の恩恵(ファルナ)』を刻むことによって魔法や最低限の戦闘も学ぶことができます。

 

そこで私は才能を見いだされ魔法を重点的に学びました

 

その甲斐もあって二年で私はランクアップ!

 

 

先生方曰く

 

「え、嘘・・・まじでランクアップ?」「いやいやそれより何この魔力量!?」

「「天才じゃったか・・・」」

 

ダンジョンのない環境、そしてわずか二年という歳月でのランクアップは非常に希有なことなのだそうです

ですが実際にそれは優秀な先生方による指導のおかげなところが大部分を占めます。

 

先生方に比べると私は魔力操作も詠唱速度もダメダメです

 

「いや扱う魔力量が違うし」

そうでしょうか?

 

「詠唱速度も追い越されそうなんだけど」

ふふふ、またまたご冗談を、でも嘘でも誉めてくれて嬉しいです

 

先生方はやはり教育者、先に謙遜が口に出ます

 

「「「いや、ちがうて」」」

 

いやぁさすが教育者、ほんとうに謙虚です。

 

 

 

その先生方から、私であればオラリオであろうとも様々なファミリアから引く手数多だとおっしゃって頂けました

 

・・・本当でしょうか?

 

正直今でも半信半疑です。

 

 

 

とりあえずそんな太鼓判を押されたこともあって、かねてから外の世界を体感してみたかった私は先生方にとあるファミリアへの推薦状を書いてもらいました。

 

私が推薦状を書いてもらってのはロキ・ファミリア

 

団長の『勇者(ブレイバー)』それに並ぶ『重傑(エルガルム)』そして全てのエルフが敬い憧れる王族、ハイエルフにして尊きお方、先の二人に並ぶファミリアの副団長『九魔姫(ナインヘル)』リヴェリア・リヨス・アールヴ様、三人をトップとする世界に名を轟かせるファミリア

 

そう、私の憧れのファミリア

 

ちなみに最近ではそれ以外にも『切札(ジョーカー)』を筆頭に『剣姫』『凶狼(ヴァナルガンド)』『怒蛇(ヨルムガンド)』『大切断(アマゾン)』といった方々もメキメキと頭角を現しているとのことです。

 

その中でも私が注目しているのは『剣姫』様!

 

森では外界の情報を得る方法は二つ、一つは商人から、そしてもう一つは吟遊詩人達による歌

 

森に来る吟遊詩人達が歌い上げる英雄譚の中でも私が最も好きなのはこの一説

 

 

 

 

『音に聞こえし ロキ・ファミリア

 

 頂を知る彼等の中に たった一人の剣士あり

 

 並居る剣士を睥睨するは たった一人の少女なり

 

 流麗なるはその剣技 悪鬼を貫くその金眼、戦尾に残るは金糸の閃光

 

 巨大な魔物と対峙をすれば 一つの剣で敵を討つ――――――― 』

 

 

 

 

 

 

私より少し年上の『剣姫』様が歴戦の冒険者を飛び越えて最前線で戦っているという歌

 

オラリオに実在する女性剣士

 

これには憧れと情景を抱かずにはいられませんでした。

 

 

 

 

 

そんな私が今居るのはロキ・ファミリアの本拠(ホーム)『黄昏の館』・・・・・・の通路です。

 

向かう先は訓練場

 

「は~い、皆さんこっちっすよー」

 

案内人の誘導に従い進んでいきます

 

 

いえ、ロキ・ファミリアに入団できたわけではありません

――――――入団するために私は今、この通路を進んでいるのです。

 

 

 

実は前々からロキ・ファミリアは団をより大きくするために新たな団員を募集していたとのこと、そして『学区』の先生方もそれを知っていてこれ幸いにと私の推薦状を書いてくれたらしいのです

 

ですが推薦状があったとしてもキチンと試験自体は受けなければいけないみたいです

 

確かにいくら学区の推薦状とはいえ大派閥のロキ・ファミリアに はいそうですか と入団できるわけありませんでした

 

我ながら考えが甘過ぎです

 

推薦状の効果は精々面接で普通よりも興味を持ってもらえるくらいのようです、まぁそれでも何も知られていない方々よりはかなり優位に立てるはず

 

 

そして今から行われる実技試験に対しては推薦状は効果がありません

こればかりは私が頑張るしかないということです!

 

ちなみに入団試験を受けるのは私だけではありません、腕に覚えのある者や私のように他のファミリアから改宗(コンバーション)して待機状態の方などが大勢います

 

そんな方々と共にゾロゾロと広い訓練場に向かいます

 

「じゃあ一時間後に試験を始めるっす、試験の内容はこちらで用意した相手との模擬戦に近いものだと思って下さい、それまで各自装備を調えるたり準備運動をして用意をしておくように、何か質問があれば今のうちに受け付けるっすよー?」

 

質問・・・あ、気になることがあります

 

「あのー・・・後衛の魔導師とかも同じ実技なんでしょうか?」

 

これは聞いておかねばならない質問です

 

「基本的に共通試験の後に 前衛・遊撃・後衛 別々の試験を用意してるっす」

 

(よ、よかった~)

 

『学区』でも近接系の授業は苦手だったので後衛用の試験があるというだけで安心できました

 

「他に質問はないっすか?」

 

私の質問を皮切りに他の方々もそれぞれの質問をしていきます、全部の質問を聞いていましたが特筆すべきものはありませんでした、精々試験前にランクアップしているかどうかを口頭で確認するといった内容くらいでしょうか

 

「ふむ、これ以上質問はないようっすね、じゃあ健闘を祈ってるっすよ!」

 

最後にありきたりな言葉を言ってから案内してくれた方は去って行くと全員がそれぞれ試験のために動き始めました

 

 

よし!私も準備を始めましょう!!

 

今日の私は一味も二味も違いますよーー!

 

何故ならばっ!

 

昨日、私は憧れの冒険者の一人である『剣姫』 アイズ・ヴァレンシュタインに直接会うだけでなく言葉まで交わしたのです!

 

もうやる気バリバリですよ!

 

 

・・・それにしても、憧れの『剣姫』に会えたのは良かったのですが、同時に変な騒動に巻き込まれそうになったのは危なかったです

 

そんな風に昨日のことを思い出していると

 

「・・・って、あれ? もしかしてあそこにいるのは昨日の屋台のお兄さん?」

 

つい最近、というか昨日会ったばかりの屋台のお兄さんが何故か訓練場の隅で目立たないように柔軟運動をしていました

 

というか何故、屋台のお兄さんがここに・・・?

 

先日のこともあったのでとりあえず挨拶しましょう

 

「こんにちは、屋台のお兄さん」

 

「・・・ん? あぁ昨日のお嬢ちゃんか、昨日言ってた入りたいファミリアってやっぱここだったか」

 

「はい・・・えっと、お兄さんもここの入団試験を?」

 

「んん? えっと、まぁ・・・うん、そんな感じだ」

 

「やっぱりそうでしたか! お兄さんすごく強かったですもんね、むぅ~強力なライバルこんなところに・・・」

 

「あー・・・うん、まぁ・・・な」アハハハハ~

 

 

あれ、どうして目を逸らすのでしょうか?

 

 

 

 

 

=========

 

この屋台のお兄さんと出会ったのは昨日のこと

 

実は私、オラリオに到着早々道に迷ってしまいまして・・・

 

しかも迷った場所が後から聞いた話では『ダイダロス通り』と呼ばれる現地人でも遭難者が出るくらいの複雑な区画だったらしく

 

迷子の最中にフワリと風が運んできた大通りにある屋台の香りに導かれなければ下手をすれば今でも迷っていたかもしれません

 

 

そしてそこで屋台のじゃが丸くんなる食べ物を食べている『剣姫』と屋台の店員であるお兄さんと出会いました

 

ですが、そこで

 

「オラオラオラァ!!」

「ヒャッハァアアアア!!」

「ナメテンジャネェゾオラァアアアア!!」

 

と、このように差雑な言葉と暴力で屋台に金を寄越せと脅す柄の悪い方々とのアクシデントに巻き込まれそうになりました

 

 

 

ヤバいと感じたのは、その内の一人が間違いなく私よりもレベルが上でかなりの実力者であったということでしょう

 

なにせ屋台にいちゃもんを付けて暴れる男共をバッタバッタと倒す屋台のお兄さんの攻撃方法を

 

「恐ろしく早い手刀、俺でなきゃ見逃しちゃうね」

 

と、余裕綽々で意図もたやすく見破るほどです、その隙のない立ち姿からは歴戦という言葉を彷彿とさせました

 

 

 

1対1(サシ)だ、―――――――――()ろう」

 

「ヤだよ」

 

「クックックック、そうつれないこと言うな―――――――――よっ!!」

 

 

 

実際、私にはその男の攻撃はおろか動きを目で追うことすら出来ませんでした

 

ですが、それ以上に

 

 

「ゲボャゲガブハっ!?」

 

「はい、乙~」

 

屋台のお兄さんの強さは尋常ではありませんでした

 

いや、チンピラ達を圧倒している時点で間違いなく強いというのはわかっていましたが、ここまで強いというのはわかりませんでした

 

 

すぐに屋台のお兄さんに何者なのか、と問いただしました

 

 

え、・・・は?

 

ただの屋台の店員でもこの実力がデフォ?

 

・・・いやいやいやいや!有り得ないですよ!?

 

 

は?

 

店長がLv.6で店員が軒並みLv.4の飲み屋とかが普通にある? 

 

そんな店があるわけが・・・

 

「普通にあるよな?」

 

「ミアさんのお店のこと?」

 

・・・マジですか

 

 

 

 

 

オラリオは人外魔境の魔窟である、と言う人もいるそうですが

 

・・・人外しかいないのでは?

 

 

そんな衝撃体験の後に屋台のお兄さんの勧めで『剣姫』様に道案内をしてもらっちゃいました

 

「目的地とかは、ある?」

 

「はい、えっと明日入団試験のあるロキ・ファミリアの本拠(ホーム)なんですけど・・・」

 

「うち?」

 

「はい、私ロキ・ファミリアに入団したくて」

 

「そう・・・じゃ、案内するね」

 

「は、はい!よろしくお願いします!!」

 

「・・・ん」

 

 

案内がてら『剣姫』様に聞いたところ、先ほどの屋台のお兄さんの話は少しオーバーで、実際にあれ程の強さを持ちつつ店を出しているのは一部だけとのことです

 

・・・一部と言うことは本当に居るところには居るのですね、改めてオラリオの凄さを実感させられました

 

それにしても、何故それだけの実力のある冒険者が屋台やお店をやっているのでしょう?

 

お金を稼ぐだけなら冒険者を続ける方が実入りが良いのでは?

 

「皆、それぞれ事情がある、引退や元々そういったお店を出すための資金稼ぎのために冒険者になった人も居る」

 

な、なるほど事情は人それぞれですからね

 

「あなたはどうして冒険者になりたいの?」

 

「え、えっとその・・・憧れの人みたいになりたくて」

 

本人を前にして、『あなたに憧れて』と言うのはさすがに恥ずかしいので微妙に言葉を濁しました

 

「そう・・・うん・・・私にも、わかるよ」

 

そう言う『剣姫』様の表情はとても穏やかで優しかったです、『剣姫』様にも憧れる誰かが居るということなのでしょうか

 

 

(あわわわわ、沈黙が気まずいです~・・・?)

 

憧れの『剣姫』様と何を話せばいいのかわからないまま歩いていると奇妙な建物が見えてきました

 

「ん、あれが私の本拠(ホーム)『黄昏の館』」

 

「ここが」

 

ここで私の人生の何かが決まる

 

そう思うだけで緊張と不安で震えてきそうでしたが

 

「明日の試験、頑張ってね」

 

「っ!!」

 

『剣姫』様からの激励っ 感動です!

これを聞けたというだけでもオラリオに来た甲斐がありました

 

「は、はい!頑張ります!!!」

 

先ほどまでの緊張と不安は消し飛び、やる気が漲ってきました!!

 

 

うぉおおおおおおやりますよぉおおおーーーーーー!!!!

 

レフィーヤ、ファイトォォォォオオオオオ!!『剣姫』様の期待に応えるのです!!

 

 

=========

 

 

 

 

 

 

ふんす!

 

お兄さんと再会したことで昨日のやる気が再充電されました

 

今の私の心は不動

 

もはや何が来ようと不断の意思で試験に挑んで見せます

 

(『剣姫』様、見ていて下さい!!)

 

そう決意を改めていると

 

「ふむ、揃っているようだな」

 

訓練場の入り口から誰かが入ってきましたって・・・ま、まままままままままさか、あの御方は!?

 

「お、おいあれって・・・」

「まさか」

「マジかよ」

 

その御方に気づいた者から波が引いていくように静かになっていきます

 

その方の持つ雰囲気はエルフでなくとも敬意を払いたくなるものだからです

 

 

「全員、適当でかまわないので並んでくれ、・・・アリシア、ソニア、彼らに整列の指示を」

 

「「おまかせを」」

 

その言葉に傲慢はなく驕りもない、上に立つ者としての当然のカリスマ

 

従者の様に二人のエルフを従えるその御方に全員の視線が集中します

 

全てのエルフが敬う高貴なるお方

 

通常のエルフよりも長い耳はハイエルフの証

 

「私は今回の試験の補助を行うリヴェリア・リヨス・アールヴと言う者だ、一応ロキ・ファミリア副団長を務めさせてもらっている、今日はよろしく頼む」

 

訓練場に現れたのはエルフの王族『リヴェリア・リヨス・アールヴ』様でした

 

 

今の私の心は不動?

 

さすがにこの状況は無理ですよ

 

エルフの王族であるリヴェリア様は例外ってことにしておきましょう、驚かないのは逆に不敬です、うん

 

これ以上は不動ってことにしておきましょう

 

 

そう、今度こそ今から私の心は不動!!!

 

 

 

 

 

「さて、それで()()()()()()何をしている?」

 

・・・・・・え?

 

リヴェリア様がこちらを見て咎めるような口調で言葉を放ってきます

 

それに釣られて訓練場にいる全員の視線が私に集中しました

 

え、ちょ、なんですかこれ? どういう状況ですか!?

 

私は何もしてませんよ!?

 

 

 

「いやぁ、ちょっとこれから試験を受ける奴らの品定めってところかね」

 

よっこらしょ、という言葉と共に困惑する私への回答がすぐ隣から聞こえてきました

 

「・・・・・・へ?」

 

あれ、屋台のお兄さん?

 

・・・あれあれあれ?・・・・・・屋台のお兄さん!?

 

「・・・よっと」

 

困惑する私を余所にお兄さんが纏っていた外套を脱ぎ去ります

 

 

 

黒いズボンそして腰に下げるベルトには一本の刀

 

腰まで届く白髪に青色のハンチング帽を被り直し、服装は白色

 

そして何よりも特徴的なのは左腕の白銀の義手

 

 

「諸君!驚かせてすまないな、これから君たちの入団試験の実技の相手を主にさせてもらう」

 

え、ちょ、これ

 

この特徴ってまさか

 

思い出されるのは吟遊詩人が歌う中でも私が好きな『剣姫』様の一説

 

『音に聞こえし ロキ・ファミリア

 

 頂を知る彼等の中に たった一人の剣士あり

 

 並居る剣士を睥睨するは たった一人の少女なり

 

 流麗なるはその剣技 悪鬼を貫くその金眼、戦尾に残るは金糸の閃光

 

 巨大な魔物と対峙をすれば 一つの剣で敵を討つ――――――― 』

 

 

その続きはこう歌われている

 

『彼の者が背を預けるは 白磁の如き龍髪なり

 

 白磁に劣らぬ白銀の  (かいな)持つは彼の者のみ 

 

 並居る戦士は地に伏せる 主神の名を継ぐ申し子なり

 

 道化の名を継ぐ 彼の名は―――――――――― 』

 

 

 

 

「カイトと言う者だ! 聞き覚えのない者には『切札(ジョーカー)』と名乗った方がいいか?」

 

 

 

あ、はい。

 

もういいです、私の心で不動とか無理です、はい。

 

 

 

《side out : レフィーヤ・ウィリデス》

 

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外伝の9~12巻は何度読み直してもワクワクしますね
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