ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

8 / 47
08:面接×正常

======================================

 

 

 

《side:フィン》

 

カイトが意識を取り戻し、面接を行うのに問題がないとの報告を受けてから1時間後

 

今、僕達の前に椅子に座っているカイトが居た

 

見た目は年相応より少し背が高く、白い雪のような髪を背中まで伸ばしている、そしてまるで鋭い目付きを隠すかのように帽子を深めに被っている。

 

こんな子がガレスに負傷を負わせたとは、直接本人から聞いたのではなければ信じられなかっただろう。

 

ただそれ程の子でも緊張はするのか椅子に座った状態で微かに震えているのがわかる

 

「あまり緊張せずに気を楽にしてくれてもかまわないよ」

 

「・・・無理っすぅ」

 

緊張を解きほぐすために気楽な感じを装って声を掛けるが帰ってきたのは拒否の声だった

 

「フィン、無茶言うたるなや、うちに加えてここの幹部が勢ぞろいなんやで?そりゃ緊張の一つもするんやろ」

 

確かにこの状況で緊張するなという方が無茶な話かと、そう思っているとロキの言葉に対しても否定の言葉が出てきた

 

「・・・正確には違ぅ…います」

 

「「「「?」」」」

 

「俺が緊張してるのは、この面接とは名ばかりの尋問もしくは拷問試験に気後れしてる、ます。」

 

・・・カイトが言っている意味がわからない、尋問?拷問試験?

 

何をどうすればそのような考えが出てくるのか・・・まさか何か後ろめたい事情でも抱えているのだろうか

 

「自分はつい先程の軽くと言われた模擬試合で両腕と肋骨をバキバキに折られた上に全身打撲に加え内臓が破裂して血をドバドバと吐いて、生死の境をさ迷う目にあった、だからこの面接でも同じことが起きるのではないかと戦々恐々としてい、ます」

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

おそらくではあるがカイトがこのような考えに至る原因のとある人物に僕達の視線が集中する

 

プイと顔を背けるガレス

 

・・・ガレスそれは君がやってもかわいくない

 

君がそれで誤魔化すのは無理があるよ

 

その証拠にカイトの話を聞いたリヴェリアの目付きが鋭くなってるしね

 

「ガレス、確かカイトはお前と軽く試合をしてその時にお前に負傷を負わせるために自らも負傷してすぐには動けない程度、と聞いていたが?」

 

咎めるような視線にガレスが小さくなる

 

そして僕からしか見えなかったが、二人のやり取りを見たカイトが突然ニヤリと笑った

 

「あー・・・その、なんじゃ、ちーっとばっかしやりすぎたのは認めるがーーー」

「あいたたたた、いたーいめっさいたーい!Lv.6の英雄さんがLv.1になりたての新人に容赦なく攻撃を加えた所がいたたたたたたた!」

 

「おい!傷は万能薬で治っとるじゃろうが!・・・あ」

 

どうやら、カイトは僕達の会話から先の試合の結果はガレスのやり過ぎと察したのだろう、自分を殺しかけたガレスに意趣返しのつもりか明らかにわざとだとわかる様に煽ってきた

 

それに対してガレスも要らぬ失言で自らの立場を悪くしてしまう、万能薬は本来なら気軽に使用できない超が付くような回復薬だ、その効果は死んでしまうような傷も瞬く間に完治させてしまう程だ、そして今回の模擬戦でガレスはカイトに万能薬を使ったということはそれほどの重傷を負わせてしまったということだ

 

「ガレス、万能薬を使わざる得ない程の状況にした君の負けだ」

 

「うぐぅ!?」

 

それを見たカイトがピューピューピュピューと口笛を吹いてすっきりしたかのように余所見をしていた

 

いや、一応この場は君の面接の場だったはずなんだけどね?

 

最初のは演技だったのか今は随分と余裕に見える、と思っていたらここが面接の場だあることを思い出したのか真面目な表情に戻った

 

・・・なんというか、読めない子、というより喰えない子といった感じだ。

 

これが僕、フィン・ディムナのカイトに持った第一印象だった

 

 

《side out:フィン》

 

 

 

 

======================================

 

 

 

 

《side:リヴェリア》

 

まったく、この馬鹿は何を考えているのだ

 

入団したばかりの団員にファミリアの幹部が瀕死の重傷を負わせたなど、都市の新聞記者達の格好の的になるネタだぞ

 

ただでさえ私たちのファミリアは都市の注目を集めているというのにその自覚があるのかと後でしっかりと問い詰めてやろう

 

入団した翌日、しかも同じ団員の幹部に殺されかければ怯えるのも無理はない

 

かわいそうだとは思うがとりあえず今はカイトの面接が優先だ

 

ガレスの話をとりあえず置き、フィンがカイトへといくつか質問を重ねていく

 

出身や年齢と言った基本的なことから順番に聞いていく

 

ふむふむ、オラリオから北の山間部にある名前もないような村が出身、年齢は12歳、両親は幼い頃に他界しそれ以後は祖父がカイトと弟の面倒を見ていたとの話だ

 

壁に寄りかかるようにしてカイトを見ているロキの反応から嘘は含まれていないようだ

 

これでカイトがどこかのファミリアや国のスパイである可能性はなくなったな、懸念が一つ消えホッとする

 

「なるほど、じゃあ最後の質問だ、君は何のために冒険者になりたいんだい?」

 

これは新入りの団員に必ず最後に聞く質問だ、大抵の者は名誉や生活のためと答えるが・・・

 

「将来を約束した相手と一緒になるため」

 

カイトからは少々意外な答えが返ってきた、将来を約束・・・つまり婚約者?

 

まだ12歳の子供が言うにはませていると言われてもしかたがない台詞だ

 

「なるほど、君はその年で既に相手が居るのか・・・でもそのためだったら別に冒険者にならなくてもいいんじゃないかな、むしろ冒険者というのはいつ命を落とすか分からない、本当に相手と一緒になる未来を考えるのならもっと安全な職業に就くことを僕はお勧めするよ?」

 

フィンの言うことは正しい、冒険者はどれだけ安全策を事前に練ろうともダンジョンの気まぐれで意図もたやすく命を落とす

 

そうなってしまえば残された者は悲しみに暮れるしかなくなる

 

この子は冒険者になる道しか選べなかったアイズとは事情が違う、他の選択肢もあったはずだが

 

「・・・相手は普通の身分じゃないんだ、ただの平民の俺が相手と一緒になるには世界に轟くくらいの名誉と財力がいる」

 

なるほど相手は貴族かどこかの大商人の娘といった所だろうか・・・

 

「失礼を承知で聞かせてもらいたい、それは本当に相手も君の事を想っているかのかい?」

 

フィンがこのような質問をするのにも理由がある、貴族となると一時の気まぐれや遊びで平民をたぶらかすことも多いことを思っての質問だ、大抵の場合は男の貴族がそのような下種なことをすることが多いが、逆のパターンがないわけではない

 

「そういう懸念はもっともだけどそういった心配はない、相手は家出同然で家を飛び出たって言ってたし、そもそも向こうから『別に冒険者にならなくても私が養う』とか言ってきたし」

 

なんとも豪気な相手だ、だがそれなら尚更冒険者になる理由が分からなくなってきた

 

相手は家を出ているのですぐにでも一緒になるのに障害は何もないように感じるのだが・・・

 

そう思っているとカイトがこちらの疑問に答えるかのように理由を述べてきた

 

「俺に両親は居ない、でもあいつの両親は健在だ・・・祖父が居たおかげで俺と弟はこれまで生きてこれた、もしあいつの両親の許可なく一緒になれて子供ができたとしてもその子にとっての祖父母に認められないなんてことは嫌なんだ、俺はあいつの両親に認められて、その上で幸せな家庭を築きたい」

 

なんとまぁ、この年齢でこれ程までに将来のことを見据えているとは

 

ここまできちんと将来のことを考えた上でならばこの子は大丈夫だな、どこかの戦闘狂の娘にも見習って欲しいくらいだ

 

「とりあえず、冒険者を目指した理由はこんな感じなんだけど駄目だろうか?」

 

「いや、予想以上にしっかりとした目標があって関心したくらいだよ」

 

「っ・・それじゃあ!!」

 

「うん、文句なしの合格だ、これからよろしくねカイト」

 

うむ、この子は私が予想していたよりもしっかりしているようだ、これからの成長が楽しみだな

 

「ふむ、とりあえず面接はこれで終わりかの?」

 

「ああ、一応これで全部になるね」

 

「ならばワシからカイトに質問がある、お主が模擬戦で見せたあれは何じゃ、お主のステイタスの紙を見たがあのような能力があるとは書いておらんかったぞ」

 

どういうことだ、カイトが明記されていない能力でも使ったというのか

 

「ああ、それか、えっとロキ・・・様?」

 

「ロキでええよー」

 

「じゃあロキ、ちょっと俺のステイタス更新してみてくれないか」

 

何事もなく面接が終わったはずなのだが、どうやらまだ何かあるようだ

 

そう思ってカイトのステイタス更新を見守っていると

 

「・・・オーマイゴッド!!」

 

ロキが突然叫んだ

 

いや、女神のロキがオーマイゴッドて大丈夫かこいつは・・・いや大丈夫な奴ではなかったな。

 

 

 

《side out:リヴェリア》

 

 

 

 

======================================

 

 

 

 

《side:ロキ》

 

 

うーむ、フィンが適時質問していく内容には嘘偽りがなかったんやけど、どーもまだ何か話してないことがあるような感じがする

 

まぁ、自分の子供に隠し事全部話せなんていう無理矢理な感じは好かんし、隠し事の1つや2つくらい誰にでもあるやろうからええか

 

 

そんな風に思いつつこれからのことにも考えていたら、カイトがステイタスを更新して欲しい言うてきた、よぉ考えんでもLv.1がLv.6との模擬戦で、しかもLv.6のガレスに負傷させる程の戦闘となればダンジョンの上層なんかで得られる経験値なんかよりはるかに多いはずやんな

 

そう思ってカイトのステイタスを更新してみたら――――

 

ナニコレ

 

いつもの口調が変わるくらいおかしいことがカイトに起きとった

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

カイト・クラネル Lv.1

 

 力:I 0 ⇒ H 102

耐久:I 0 ⇒ H 180

器用:I 0 ⇒ I 80

俊敏:I 0 ⇒ I 98

魔力:I 0 ⇒ H 110

 

アビリティ

 

【   】

 

 

魔法

 

【   】

 

 

スキル

 

【念能力】

 

・魔力を身体能力へ能動的に上乗せできる、熟練度次第で効果は倍増する。

 

 

ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】※念能力のチェインスキル

 

・ルーレットの数字に対応した武器・スキルを一時的に具現化・習得する。

 

・出現した武器・スキルは最低一度以上使用しなければ消すことができない、ただし出た目の数字×100のステイタス値を生け贄に捧げることでキャンセルが可能

 

 

英雄達の星の下(アーカーシャ)】※ジャンプの海賊印のチェインスキル

 

・架空・実在を問わず本人が知る様々な武器・スキルを発現できる。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ええええええええええええええええ!?

 

ステイタス上昇値がトータル570!?

 

いや、それはギリギリ納得するっ!

 

さっきも言ったけどLv.1がLv.6に傷を負わせるってのはそれくらいの偉業や、それを踏まえてもこの上り方は凄まじいの一言に尽きる

 

けどそれ以上になんやねんこのスキルは!?

 

新たなスキルが発現しとる!

 

しかも二つも同時に!!

 

なんやねんチェインスキルって!?

 

っていうか三つ目のこのスキルヤバすぎるで!?

 

まじかこくsdsfl;あどいあsdfjk:あsdpfk

 

 

 

______________間。

 

 

 

 

 

・・・ハァハァハァ、うちがここまで混乱するなんて中々ないで?

 

 

とりあえず、うちの見たステイタスの写しを他の三人にも見せるとガレスは大笑い、リヴェリアは驚愕、フィンに至ってはいつも被っとる仮面が剥がれて昔みたいな好戦的な笑みを見せとる

 

 

三者三様の反応を見てようやく落ちついてきたわ、あれやな、自分以上の反応を見ると逆に落ち着くな

 

それと、ようやく冷静になってきたおかげで腑に落ちない点がいくつか浮かび上がってきた

 

まず、一つ目がカイトがスキル【念能力】を使ってガレスとやり合えたというのがそもそもおかしい、スキルの内容には確かに習熟度によって効率が上がるとは書いてはある、でもカイトがこのスキルを発現させたのは昨日のはずや、それなのにスキルを使いこなしてガレスとやり合えたということ

 

二つ目はガレスの話の内容から推測するにカイトがステイタスの更新無しで新たなスキルを使用できたと言うことや、基本的にスキルや魔法はうちら神々がステイタスの更新をして子供達の中にある実現できる可能性を引っ張り上げることで発動できるようになる、なのにカイトはそれをすっ飛ばして新たなスキルを使用した、はっきし言って前代未聞、うちら神々の地上での存在意義が疑われるで

 

そして三つ目がこの【英雄達の星の下(アーカーシャ)】というスキルや、スキルちゅーのは魔法と違うて、本人の心の奥底にある願望や、自身でも知らない本質が現われる、新たに現れた二つ目の【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】はガレスと闘ってるときに何かを犠牲にしてでもどうしても勝ちたいとでも思ったんやろ、たしかに強力やけどその分の失敗したときのデメリットとしてステイタスを最低でも100も犠牲にせなんあかん、このスキルだけでも十分凶悪なのに三つ目のこのスキルは更にヤバイ、【英雄達の星の下(アーカーシャ)】というスキル、これの名は別名「根源の渦」「宇宙の記録層」「アカシックレコード」と呼ばれる神の力(アルカナム)すら超える存在のことを指す、この存在を知るのは神だけの筈や、もしかしたらどこぞの神が子供たちに教えた可能性もあるから-------ああああもう面倒臭いことになりそうやでぇ・・・ともかく、この三つ目のスキルはカイト自身以外からの加護か何かで発現した可能性があるっちゅーこっちゃ!

 

 

色々な可能性と考えなあかんことが次々に浮かんでくるけど、とりあえずカイトに三つ目のスキル以外の質問をすることにした

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

質問の答えを聞いてから、うちの自制心に我慢の限界がきた

 

カイトが部屋を出て行った後で笑いが止まらんかった

 

オモシロい!面白すぎる!!

 

まさか本当の()()()()()()、その卵とも言える存在がうちのファミリアに入ってきた

 

ああ、間違いない間違いない ま ち が い な い!!

 

くるでくるで()()()()()が!

 

そしてその中心足り得るであろう存在がうちの所に転がり込んできた!!

 

なんやこれは!なんやこの楽しい世界は!?

 

アハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハ

 

 

 

 

 

――――――ああ、下界に降りてきて本当によかった。

 

 

《side out:ロキ》

 

 

 

 

======================================

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。