ベルの兄がチートで何が悪い!!   作:シグナルイエロー

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09:面接×異常

ロキにステイタスを更新してもらったら予想通りに新たなスキルがステイタス紙に記載されていた

 

だが、やはり自分の知るカイトの本来の能力である【気狂いピエロ(クレイジースロット)】とはかなり違う能力になっていた

 

自分の元ネタであるカイトの【気狂いピエロ(クレイジースロット)】は1~9までしか数字がなく、しかも武器のみを具現化させるものだったはずだ、なのに俺のは武器を具現するだけでなくスキル、おそらく何かの能力まで使えるという、上位互換みたいな能力になっていた、ただしその分のデメリットもキッツい、今回500以上ステイタスが上昇しているが、もし6以上の数字をキャンセルしたらマイナスになる、そしてこれは本能のような直感だがおそらく0を割ってマイナスになった場合・・・・・・・死ぬ

 

ヤバいなこの能力、発現させても扱いきれないような能力がきたらキャンセルするしかない、そんなことが続けば破産してリアルゲームオーバーだ、今後この能力は気軽に使わないようにしよう

 

そして完全に予想外の能力が三つ目の【英雄達の星の下(アーカーシャ)】というスキルだ、おそらくだが【気狂いピエロ(クレイジースロット)】が亜種みたいな異常変化を起こして【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】なんてものになったのは間違いなくこのスキルのせいだ、そうでなければ何が悲しくてあんなかわいそうな卵を無から生成せにゃならんのだ

 

たしかアーカーシャって世界の意思とかそんな感じじゃなかったけ?

 

昔何かの漫画かアニメでちらりとそんな単語が出てきたような気がする

 

まぁ細けぇことはどうでもいいや

 

とりあえず【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】はよっぽどステイタスに余裕があってピンチにならない限りは使用しない方向で頑張っていこう

 

そう考えると今回の模擬戦でいきなり使用したのはかなり危なかったかもしれない、もし扱いきれない能力や武器が出てきたら自滅して死んでいた可能性もある、むしろ数字も少なく扱いやすい・・・もの?が出てきてラッキーだったかもしれないな・・・まさかあんなかわいそうな物体に感謝する日がこようとは。

 

色々と考え事をしているとロキが質問をしてきた、面接が終わった後の質問なので気張らずにあっけら感と答えられるので楽でいいな

 

「カイトはガレスとやり合った際に、スキルを使用したんは間違いないか?」

 

当然だ、むしろ念能力無しでこの化け物みたいなおっさんとどうやってやり合えというのか、というか全開で向かって返り討ちに遭いましたが何か?

 

「いや、そもそもそれがおかしいねん、何で昨日発現したばかりのスキルを使用できるだけじゃなくて使いこなしとんねん」

 

は?

 

いや確かに【ジャンプの海賊印(ジャンプパイレーツ)】や【英雄達の星の下(アーカーシャ)】は発現したばかりだけど念能力は最近じゃなくて6年前に自力で目覚めてましたけど何か?

 

村でのことなどを掻い摘まんで説明する

 

「はぁ!?スキルを自力で発現させたやて!?」

 

ロキだけでなく幹部3人の視線が厳しいものに変わる

 

・・・え、なんかマズった?

 

「それ、ホンマか?」

 

誓って本当なんだけど

 

「・・・マジみたいやな」

 

信じるの早すぎないか?

 

あ、そうか人は神に嘘がつけないんだっけか、最強の嘘発見器だな

 

そう思っているとあまり発言のなかった副団長のリヴェリアが信じられないといった風にしてロキに問いただす

 

「ロキよ、そんなことがありえるのか? 魔法種族が弱くとも恩恵なしで魔法を使用できるのは割と有名な話だが、ヒューマンが自力でスキルに目覚めたなどとエルフの国の書物ですら見たことも聞いたこともないぞ」

 

「・・・かなり前の話になるけど前例は確かにあるで、ホンッットにかなり昔の話になるんやけどな」

 

なんだ前例がいるんじゃん、でもこの3人が知らない位って事はかなり珍しいんだろうな

 

「ハァ~~~~、とりあえずカイトは先に部屋に行って・・・ってそういやカイトの部屋どこになったんやっけ」

 

「カイトならラウルと同室にしといたぞ、あやつは儂との模擬戦の審判役もやっとたから無用な諍いもないと思ってな」

 

ああ、あの地味な少年か、少ししか言葉を交わしてないけど善良であるとわかる少年だった、歳の離れたおっさんとかより100倍ましだ。

 

「ラウルならまだ庭で訓練中のはずじゃから部屋に案内してもらえ、ここから庭までの道はわかるか?」

 

それはさすがにわかる・・・と思う。

 

「じゃあ、皆へのカイトのお披露目は夕食のときに僕の方から行うとしよう、食堂へはラウルと一緒に来ると良い、初めての人は高確率で迷っちゃうからね」

 

りょーかいです団長閣下

 

「フィンでいいよ」

 

了解フィン

 

「変な語尾みたいになってるぞ、ついでに私もリヴェリアでかまわない、これからよろしくなカイト」

 

了解、リヴェリア

 

「ちなみに儂は―――」

 

おっさんはおっさんでよろしく

 

「おい、儂だけ扱いがおかしくないか!?」

 

今更、呼び方変えるのも変だからいいじゃん

 

あ、そうだ夕食時に紹介されるときに関してお願いがあるんだけどいいかな?

 

 

 

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《side:ガレス》

 

カイトが出て行った後、それぞれが色々な意味を含んだため息をつく

 

「・・・それにしても、自分のファミリーネームは秘密にして欲しいとは珍しい頼みをする奴じゃな」

 

カイトが部屋を退室する前に妙なことを頼んできた、普通はそんなことはせん、むしろ家族がおるならその名声が届くことを誇りにするものだ

 

「今のオラリオの現状を考えれば、闇派閥の手が家族に届く可能性を少しでも減らすためだろう」

 

むぅ、なるほどの、確かに奴らなら団員の家族を人質にとって何かをさせるくらいのことはやりかねんな

 

「それにしても、去年はアイズ、今年はカイトか、もしかしたら来年はもっとすごい新人が入ってくるかもしれないね」

 

「アイズだけでも手を焼かされているのだぞ? これ以上は勘弁してくれ」

 

最近は大分マシになったとはいえ、まだまだやんちゃなアイズに手を焼いているリヴェリエは疲労をにじませる様な顔でぼやく

 

「大変じゃのう、ママ?」

 

基本的にアイズの面倒はリヴェリアが主に見ておる、儂も偶に面倒は見るが精々ダンジョンでの御守くらいじゃ

 

「誰がママだ!私はまだ未婚だ!!」

 

お決まりの様な口論だ、此奴はこう言われるのが気にいらんらしい、面白いから最近はこれでおちょくることが多い

 

「はいはい、ミニコントはいいから話を戻そう、カイトに関してはガレスが面倒を見てくれるんだろう? それにカイトはあまり手が掛かるようには思えないから楽だと思うよ」

 

確かに、あ奴はあまり手が掛かりそうではないな、まぁそれでも当分はリヴェリアによるダンジョンに関する勉強会が待っとるから何かしら根を上げそうだが・・・ん?

 

ロキが顔を押さえるようにして突っ立ておった、まるで何かを堪えるように震えておる

 

ロキの異常に気付いた2人も声を掛ける

 

「・・・ロキ?」

 

一向に反応しないロキを訝かしんでリヴェリアが近づいた瞬間

 

「アッハハハッハハハハハハッハッハハハッハキャハハハハッハハハハハハハハイヒヒヒヒヒヒヒヒヒクハハハハイッヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒイヒイイヒヒイイイイクククククククククク・・・・・・・やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああやったでええええええええええええうちやぁ!うちの子やああああああうちが手に入れたんや!!あははははっははははははははははははははははははげっほげっほ、あかん気管に入ってもうた!?げっほひょひょひょひょひょひょひょひょひょ」

 

な、なんじゃ!?

 

ロキが普段は決して漏らすことはない神としての神威が狂笑とともに溢れ出してきた

 

「ロキ!!正気に戻れ!!おい!!!」

 

一番近くに居たリヴェリアが狂ったように笑い続けるロキの肩を揺らしてようやく笑いと神威が止まる

 

「ってスマンスマン、自分ちょっと正気を見失ってもーた、でもなクククク、あーあかんわこれまだ感情のコントロールがおかしゅうなりそうやクケケ」

 

ロキの奴いったいどうしたんじゃ

 

「・・・カイトが自力でスキルに目覚めたのはそこまでのものなのかい、ロキ?」

 

フィンはこの状況でも落ちついとるのう、もうちょいあせらんかい

 

「ああ、そやで、こんな奇妙奇天烈なことが連続で起きてもうて思わず神威お漏らししてもうたわ、キャ、恥ずかしいわー」

 

ようやく普段のロキに戻ったように感じるが、見開かれた目と口が笑みの形から戻っておらん、カイトが自力でスキルに目覚めたというのはワシも聞いたときは信じられなかったがロキ自身が前例があると言うたはずじゃ、前例があると言ったのはお主じゃろうに何をそんなに興奮しておるんじゃ?

 

「ガレス、確かにロキは前例があると言ったがそれは随分前の話だと言っていたはずだ、寿命に関しては超越存在のこいつがそうとう昔と言っていたのだぞ? 少なくともここ数百年のエルフや一般の書物でそんな記述は見たことがない」

 

それを聞いたロキがまた笑い出す

 

「リヴェリア大丈夫かーボケるにはまだ早いで? ここにいる全員がその前例を知っとるはずやでぇ」

 

ケッケッケと、さも面白おかしそうに笑うロキ

 

・・・どういうことじゃワシも知っとるじゃと?

 

フィンもリヴェリアも思い当たる節が無いのか眉を潜めている

 

「灯台元暗しって奴やなー、ヒントは『子供の頃』や!」

 

子供の頃?

 

わからん、考えるのは苦手じゃ・・・こういうのはフィンやリヴェリアにお任せじゃな

 

「子供・・・前例・・・遊び・・・読み・・ん?」

 

む、フィンは気付いたのか?

 

「ロキ、質問だけどその前例ってもしかして千年以上前のことだったりするかい?」

 

千年以上前・・・暗黒期の話じゃと?そんな馬鹿な!?

 

「なんやもう気付いたんか-、早すぎておもろないで、そっちの2人はギブアップかー?」

 

「・・・・・・・ああ、お手上げだ」

 

儂は元からあまり考えとらんかったぞ

 

「「「・・・・・・」」」

 

「アホはほっといて、とりあえずカイトがスキルを自力で発現させたことの何が問題なのか聞かせてくれ」

 

誰がアホじゃ!!

 

「ままま、ガレスも落ち着きぃな、・・・つまりやな、今まで自力でスキルに目覚めた存在っちゅーのはスバリ【英雄】や!! みーんながよぉ知っとって、子供が大好きな御伽話、そしてうちら神々が認めた実在の英雄達の話『ダンジョン・オラトリア』!! そこに出てくる英雄達のほぼ全てがうちらが降りてくる前に自力で何らかの力に目覚めとる」

 

なんと、ではカイトはそんな者達と同じだと?

 

「間違いないでぇ、うちの勘もビンビンに訴えまくっとる、それにそう考えるとカイトがうちのステイタスの更新無しで新たなスキルを使用できた理由もわかるんよ」

 

なるほど、元から自力で使えたスキルの派生の能力なら更新無しで使えるのも納得できるな

 

「つまり、カイトは英雄足り得る存在である・・・ということか」

 

「これからでどうなるかはわからんけど、うちらの育て方次第でとびきりの第一級になるで、間違いなく」

 

ふむ、聞けば聞くほど育て甲斐があるのう

 

「ガレスに教育係を譲ったのはもったいなかったかな?」

 

「なに、別に教育係だからといって四六時中尽きっきりではないのだ、私達からも何かしら教えてやればいい、アイズと同じ要領でいけば問題ないだろう」

 

「まぁ、当分はそんな感じでいこか、あと勿論このことはここに居るメンバー以外他言無用や、カイトにもスキルを自力で使えるようになったこともしゃべらんように上手く説明したってや」

 

むぅ、めんどくさいがロキの様子からしても間違いなくカイトは神々の格好の玩具にしか見えぬであろうな

 

食後にでも事情を説明してスキルのことを口外せぬように伝えておくか

 

この後はロキを含めた4人で新人とカイトの訓練のスケジュールについて話し合い一旦解散となった。

 

 

 

 

《side out:ガレス》

 

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