世界総人口の約八割が何らかの特異体質を持った超人社会。
そんな時代に生まれた少年・緑谷出久は無個性であった。
しかしそんな少年にもヒーローへの憧れがあった。そのきっかけとなったのがNo.1ヒーロー・オールマイトである。
「かっこいいなぁ~、オールマイト!」
出久は母・引子にパソコンを付けてもらいオールマイトのデビュー動画を目を光らせて見ていた。
「僕もこんなかっこいいヒーローに・・・・・・かふっ!」
出久は突然吐血し、そのまま意識を失い椅子から落ちてしまう。
「出久?どうかし・・・・・出久!」
引子は物音に気付いて部屋に入ると倒れている出久を見て慌てながらも救急車を呼び、出久は事なきを得たが医師から衝撃の事実を告げられた。
「大変申し上げにくいのですが、お子さんはとても重い病にかかっています。薬による延命を行っても二十代後半まで生きているかどうか・・・・・・」
引子はそのことにショックを受けた。
その日から引子は出久に外で遊ぶのは控えるように言った。
しかし出久は一度だけそれを破り、外で思いっきり遊んだ。幼馴染である勝己ことかっちゃんと遊んでいるときに思いっきり吐血した。その時はすっごく怒られた。
病気のことが判明してから数年、出久は担当医にあることを聞いた。
「先生、僕の個性って何なんですか?」
「・・・・・・・・・・出久君、正直に言うと君は無個性なんだ。」
「え・・・・・」
担当医の言葉に出久はショックを受ける。
「見てくれ。これは君の足のレントゲンだ。関節が二つだけだろ。今時珍しい。つまり君は無個性なんだ。」
出久はしばらく放心状態であった。
その日の夜、出久はずっとオールマイトの動画を見ていた。そんな出久を引子は心配そうに見ていると、出久は尋ねた。
「ねぇ、お母さん。僕も・・・・・・・こんなヒーローになれるかな?」
「っ!?出久!」
引子は出久を抱きしめる。
「ごめんね・・・・・・ごめんね!」
引子はそう謝りながらずっと涙を流した。
それから月日がたち中学一年生の五月。出久は一人学校の屋上で空を眺めていた。
「もう中学生・・・・・・・・か。」
出久は自分に残された時間を考えた。このまま高校に行ってヒーロー志望で頑張って、運よくヒーローになれた場合を想定した。
仮にデビューしたとしてもせいぜい20~22。そのころには病魔が体を蝕み、病室に籠っている状態であると。そんなことを考えてしまうとヒーローを目指していいのかどうか悩んでしまう。
母にも迷惑をかけたくない、心配をかけたくない。そんなことを考えていると突如空に黒い穴が開いた。
「え!?な、何アレ!なんかの個性!?」
出久は突然の出来事に困惑する。そして黒い穴は出久を吸い込んだ。
あの穴に吸い込まれて二年の月日が経った。出久は穴に吸い込まれた際に記憶を失った。
そしていろいろあって一年は外国、あとは日本で生活をした。しかし日本での生活は決して平穏なものではなかった。
800年前の王が錬金術師に作らせた動物や虫をベースに作らせた欲望のメダル・コアメダル。
そしてそのメダルをコアに動く怪人グリード。
左腕だけのグリード・アンクとの出会い、そしてオーズへの変身。
無のメダルとの一体化。
そして最大の敵である真木清人との対決。
そしてアンクとの別れ。
たった一年で日本で経験したことはとても濃厚で、すごいものであった。
そして最後の戦いを境に出久は記憶を取り戻した。
そして出久は今鴻上ファンデーションの地下に設けられた時空転移装置のある場所で最後の別れをしていた。
「アンクによろしくね。」
「向こうに戻っても無茶をするなよ。」
「もしなんかあったらいつでも俺を呼びな。俺が診てやるからよ。」
「元気でね、出久君。」
「お元気で、出久さん。」
今まで世話になった人たちからの言葉が送られる中、遅れながら鴻上ファンデーション会長の鴻上光生がケーキを持ってきた。
「出久君、今日は君の未来への門出を祝ってプレゼントがあるんだよ!」
鴻上はそう言いながらケーキの蓋を取る。するとそこにはタトバを含め八つのコンボがそろったコアメダルがあった。
「会長、これって・・・・!」
「はっはっは!私も驚いているよ!まさかすべてのコアメダルが消滅した直後!我が社が管理している遺跡から隠し部屋が突如として出現し!そしてこのコアメダルが見つかったのだ!これは君が持っているべきものだ!さぁっ!君の元の世界への帰還と新たな門出を祝って!ハッピーバースデイ!」
「はい!」
出久たちは鴻上が作ったケーキを食し、出久は次元転送装置に立つ。
「出久君、向こうの世界でも私は全面的に君を支援しよう!これは今日まで君が身を呈したことへのご褒美だ!」
「ありがとうございます、会長!皆さんも、今日までありがとうございました!お元気で!」
装置が起動し、出久は12,000枚のセルメダルを使って元の世界へと帰った。
元の世界へと帰還した出久は真っ先に家へと目指した。二年の月日、最初に会いたいのは言わずもがなである。
「はぁ・・・はぁ・・・か、母さん・・・・・」
「出久?・・・・・・・・・出久!?」
家に帰ってきた出久を引子は強く、涙を流しながら抱きしめた。
しばらくして出久は今日まで自分に何があったのかを話した。流石に信じられない引子ではあったが、出久が目の前でオーズに変身したことでやっと信じてもらえた。
そして出久は引子にヒーローになるということを打ち明けた。もちろん引子は反対したが出久の粘り強い説得に負け、承諾した。
そして学校に復帰、勝己には心配かけさせたことを怒られた出久であった。