時間はかかって雑な感じですがUSJ片はこれでおしまいです。
山岳ゾーン。敵の一団を上鳴の電気で一掃した八百万たちは今、両手を上げていた。
「手ぇ上げろ。“個性”は禁止だ。使えばこいつを殺す。」
「上鳴さん!」
「やられた・・・・・緑谷からも注意されていたのに・・・・」
上鳴はキャパを超えた電気を流したためアホの状態になっていた。そんな上鳴は敵にとって格好の的となり、電気系の個性の敵に人質にされていた。
「そこの耳の長い奴。間違っても足にある武器にそれを繋げようとするんじゃねぇぞ。こちとらお前たちの戦い見てんだからな。」
「くっ!」
耳郎は最初脚に装備している装備で上鳴を巻き込む形でイヤホンジャックによる攻撃を考えていたが先に敵に読まれていた。
「敵の攻撃を読んで事前に防ぐ・・・・・悪くない戦い方だな。」
「だろ。・・・・・・・ん?今の誰だ?」
敵が後ろを振り向いた途端、敵の腕から上鳴が引き剥がされ八百万たちの下へ投げられる形で解放された。
「テメッ!どういうつもりだ!」
「どうも何も・・・・・俺は初めっからお前たちの仲間じゃないからな。」
男はそう言うと敵の雷を放とうとする手の小指を逆に曲げた。
「―――――――――――――――っ!?」
声にならない悲鳴を上げる敵。
「情けねぇな。
男はそう言うと右腕を赤い怪人の腕に変身させ、炎を敵にぶつけた。その攻撃は直撃し、敵は気絶した。
八百万たちはその男の容姿よく見た。金髪で赤のズボンに白のシャツを着ていた。敵であるならば自分たちを助けるわけではないと思うが一応警戒はしていた。
「安心しろ。お前たちに危害とか加えるつもりも必要もない。それより緑谷出久って奴はここにいるか?」
出久の名前が出た途端、八百万は反応した。
「緑谷さんを知っているのですか?」
「まぁな。それよりアイツは今どこだ?と言うか、ここどこだ?」
そんな男に対し八百万は場所と事情を説明した。
「なるほどな・・・・大体は分かった。それで?アイツに会うにはどうすればいい?」
「まずは皆さんと合流する方が先決ですわ。きっと出久さんも相沢先生のいる方へ向かっているはず。わたくしたちも向かいましょう。」
「こっからじゃ時間がかかるな。」
男は一同がいる方を見る。山岳ゾーンは火災ゾーン同様にセントラル広場から最も遠い所に位置していた。ましてや山岳ともあって足場は悪い。訓練場とはいえど13号がこだわって作った場所でもあるのだ。
「ねぇ、ちょっといい?」
「なんだ?」
耳郎が男に話しかける。
「ウチらを助けてくれたことにはマジ感謝してる。それであんたの名前、うち等に教えてくれない?」
「そういや名前がまだだったな。俺は・・・・・・・っ!?」
男は急に広場の方を見た。
「あのバカ!紫のメダルを使いやがったな!」
男はそう言うとなぜか近くにあったライドベンダーにセルメダルを入れタコカンのボタンを何度も押した。ライドベンダーから大量のタコカンが出ると男はその内の一つを手に取り栓を開けるとタコカンドロイドへと変形する。
すると他のタコカンもタコカンドロイドへと変形する。タコカンドロイドは逆さになりセントラル広間への道を作った。
「話は後だ。とにかくテメーらの仲間と合流して状況を聞いた方がいいらしい。それと俺の名はアンクだ。覚えておけ。」
「助けに来たのだが・・・・・これってどういう状況?」
流石のオールマイトも今の状況には困惑していた。
敵が攻めてきたと飯田から聞いて駆けつけてみれば敵のほとんどが倒されていた。そして立っているのはプトティラ姿のオーズ、死柄木、そして黒霧に生徒たちであった。
「うぅ・・・・・」
「あの紫の姿をした人物は・・・・・・・もしや緑谷少年なのか?しかしあの色は紫・・・・・」
オールマイトは出久から紫のメダルについては聞かされていた。
『オールマイト、もし僕が紫のメダルのコンボで理性を失っていたら倒す気で止めてください。』
『なっ!自分が何を言っているのかわかっているのか!下手をすれば君は・・・・・』
『わかってます。けど紫のメダルは他のメダルと違って別個で封印されていました。当時の錬金術師が滅んだ恐竜をメダルにしました。そして紫のメダルは当時の僕に反応しました。欲がない状態の僕に。』
『つまりそのメダルは・・・・・・無欲に反応した。ということはそのメダルの力によって!』
『ええ。全てを無に帰す。だけど・・・・それはすべてを破壊します。僕はできればこの力を制御したいと思っているんです。』
『なるほど・・・・わかった。いざとなれば私が君を止めよう。』
「こういうのは出来ればあって欲しくないと思っていたのだが・・・・・・致し方ないか!」
オールマイトはファイティングポーズをとる。
「うぅぅ・・・・・・・・うぉお!」
オーズはオールマイトへ向かい跳ぶ。
「ふっ!」
オールマイトもオーズに向かい跳ぶ。たがいに拳を突き出し、拳をぶつけあう。
「ぐっ!(マジ痛い・・・・・・いくら私でもこれはちょっとヤバいかも!)」
オールマイトですらそう思ってしまうほどの威力であった。
互いのパンチで衝撃波が生まれ、空気を揺らす。
「うぉっ!」
(なんつーバカ力だよ!)
(あの姿でオールマイトと互角なのか?これで普通科かよ!)
切島は衝撃のあまり声を上げ、爆豪と轟はその光景に驚かされる。
「うぉお!」
オーズはメダガブリューをオールマイトに向け振り下ろす。オールマイトは咄嗟に体をそらして避ける。
(おいおい・・・・・話には聞いていたが本当に躊躇ないな!これは本気でかからないとこっちが殺されてしまうな。)
オールマイトはメダガブリューが振り下ろされた地面を見て冷や汗をかきながらそう思った。地面に入った大きく、深い傷はその破壊力を示していた。
「うあっ!らぁっ!」
オーズはオールマイトへ再度攻撃を仕掛ける。荒々しく、力任せでありながらも急所を狙ってくるオーズの攻撃。オールマイトはその攻撃を避け、隙を見ては拳を叩きこんで動きを止めようとした。
しかし拳を叩きこんでもオーズは止まることなく戦おうと前に出てくる。
「「出久君・・・・・・」」
その光景を見ていた麗日と芦戸は手を握り、心配そうに見ていた。
「っ!」
その戦いを見ていた爆豪があることに気づいた。出久が攻撃をするたびに周りに何かがポタポタと落ちていた。目を凝らしてよく見るとそれは血であった。オールマイトの血ではないかと一瞬思ったがそうではなかった。出久が腕を振りぬいた方向から血が飛んでいた。つまり、今出久は血を出しながら戦っているのだ。
「あんのクソデク!何バカやってんだ!」
爆豪が飛び出そうとすると轟が止めに入った。
「止せ、爆豪。邪魔になるだけだ。」
「ンナのやってみねぇとわかんねぇだろうが!」
「オールマイトのパワーと互角に渡り合っている状態なんだぞ。俺たちが入っても巻き込まれるだけだ。」
「だが早くしねーとアイツ死ぬぞ!ただでさえアイツはアブネーのによ!」
二人がそうこうしている間にオールマイトは片腕でオーズのメダガブリューを受け止めた。
「ぐっ!(片腕を痛めるのは致し方ない・・・・・・・だが君を救うためなら、私はこの身を犠牲にしよう!仲間のため、大切な人を守るために自らの犠牲をも厭わない。君は本当に私の個性を受け継ぐに値する人間だ!この先きっと、私がいなくなり混沌とした社会を導くヒーローになってくれる。そして君の背中に付いて行くヒーローや有精卵たちもいるだろう!ならば私は、その希望をここで消すわけにはいかない!)」
オールマイトは鳩尾に拳を叩きこんだ。オーズは吹っ飛ばされた。さすがのオールマイトも激戦であるがため肩で息をしていた。
「これでおとなしく・・・・・・・・・なっ!」
オールマイトは驚きを隠せなかった。目の前にはいたるところから血を出しながらもなおも立ち上がるオーズの姿があった。
「出久さん!」
タコカンドロイドの道から見ていた八百万は飛び降り、オーズとオールマイトの間に着地した。
「三奈ちゃん!」
「うん!」
麗日と芦戸も階段を下りてオーズの下へと向かう。
「うぅ・・・・・・」
オーズはゆっくりとオールマイトの方へと向かおうとする。そんなオーズに八百万は声を掛ける。
「出久さん、もうやめてください!それ以上戦えばあなたが死んでしまいます!」
八百万が必死に声を掛けるがオーズは全く聞く耳を持たなかった。
「どうしても戦うのでしたら・・・・・・私を倒してからにしてください!」
八百万はそう言うと両手を広げてオーズの前に立ちはだかった。
「危険だ、八百万少女!危ないから下がっていなさい!」
「いやです!出久さんが苦しんでいるのに、何もしないなんて無理です!それに出久さんは誰かのために常に自分の身を犠牲にしてきています。出久さんが皆さんのために体を張るのであれば、私が出久さんのために体を張ります!」
八百万の思いはまっすぐであった。
そんな八百万にオーズはメダガブリューを振り下ろそうとする。八百万は覚悟をして目を閉じた。しかし、しばらく経っても痛みは来なかった。恐る恐る目を開けるとそこには顔の前で止められているメダガブリューの刃があった。
「う・・・・・うぁ・・・・・・・・・・うぉお!」
必死に抑え込んでいるのが八百万にも分かった。
「出久さん・・・・・っ!」
八百万はオーズに抱き着く。
「もういいんです。オールマイトが来てくれましたからもう戦わなくても大丈夫なんです。」
あとから来た麗日と芦戸もオーズに抱き付き止めに入る。
「もう無茶しないで!出久君が死んだら、私たち悲しいよ!」
「だから戻ってきて!優しい出久君に!」
二人は涙を流しながら出久に訴えかけた。
するとオーズの変身が解けた。
「百ちゃん・・・・・・お茶子ちゃん・・・・・・・三奈ちゃん・・・・・・ありがとう・・・・・・」
正気に戻った出久に三人はうれし涙を流した。
「まさか愛の力で助けるとはな・・・・・・さて。」
オールマイトは死柄木の方を見る。
「待たせたようだが、今度は君たちを捕まえるとしよう。」
「冗談だろ?こんな状況で戦うか?悪いけどゲームオーバーだ。バイバイするね。」
死柄木はそう言うと黒霧のワープで撤退しようとする。オールマイトはスマッシュを叩きこみ食い止めようとするがスマッシュが届くときには死柄木はそこにはいなかった。
「SHIT!」
オールマイトは悔しがるがすぐに気持ちを切り替え出久たちの方を向いた。
出久は体中に浅いながらも多くの傷を作り、そこから血を出していた。幸いと言っていいのかまだ吐血だけはしていなかった。
「とにかく君たちは相澤君たちと一緒に・・・・・」
オールマイトが指示を出そうとした時であった。突如USJ全体を揺らす地震が発生した。
「WHAT!私の携帯には地震速報の通知が来ていないぞ!」
オールマイトは自分の携帯を見るが地震速報は入っていなかった。そして地震の震源は徐々に上へと向かい、そして地上に姿を現した。
そこに現れたのは巨大な蟹のはさみを持ったアリの巨大ヤミーであった。
「な、なんだこの生き物は!君たちは早く緑谷少年を連れてここから離れるんだ。君たちも早く!」
オールマイトはその場にいた全員に指示を飛ばす。爆豪もその言葉に従い退避を始めた。
「なんだよアレ?アレがオールマイトを倒せるっていう敵なのか?」
「アホかクソ髪!あんなもんあるんだったら最初から出し惜しみしねぇよ!」
「言葉は悪いが爆豪の言うとおりだ。俺も敵から聞き出した情報だが脳がむき出しの敵が対オールマイト用に作られたとかの敵らしい。あのバケモンに関しては何も話してなかった。知らなかったのか黙っていたのかと言えば前者だろうな。その証拠に首謀者がトンズラしたんだ。どっちのていでも味方じゃねぇのは明白だろ。」
切島の言葉に爆豪が反応し、轟が冷静に分析する。
一同が階段手前に差し掛かった時に飯田が連れて来た教師陣が到着し、巨大ヤミーと戦闘を開始した。
「だめ・・・・・だ・・・・・・ヤミーには・・・・・」
出久は持てる力で振りほどくとヤミーの方へ走り始める。
「出久さん!」
「「出久君!」」
「デクっ!」
「「緑谷!!」」
一同出久の行動に声を上げる。
「あのバカ!こんな時でも相変わらずのお人好しだな!」
その光景を見ていたアンクがそう吐き捨てると蛙吹の持っているメダルホルダーに気づいた。
「おい、そいつを寄こせ。」
「ちょ、ちょっと!」
アンクは強引に蛙吹からメダルホルダーを取る。
「一応全部揃ってるな。今のアイツには・・・・・・これが限界だろ。」
アンクはそう言うと三枚のコアメダルをメダルホルダーから取り出し、叫んだ。
「おい、出久―――――――――――――!」
「っ!?アンク!!」
出久はアンクの声がする方を振り向いた。
「っ!!」
アンクは出久へ向けメダルを投げる。投げられた三枚のメダルは横一列に並びながら飛ぶ。出久は右腕を大きく振りメダルを三枚手にすると巨大ヤミーの方を向きオーズドライバーにメダルをセット、オースキャナーでメダルを読み込む。
「変身!」
【タカ!トラ!バッタ!タ!ト!バ!タトバ!タトバ!】
出久はオーズへ変身すると再度オースキャナーで読み込む。
【スキャニングチャージ!】
オーズのバッタレッグが変形し一気に巨大ヤミーの頭上へ急上昇する。プロヒーローたちもその光景に目を奪われた。
そして照準を定めるように三つのエネルギーのOが形成される。
「はぁああああああ・・・・・・・・・・せいやぁあああああああああああ!」
オーズのタトバキックが巨大ヤミーに炸裂し、爆発と同時にセルメダルへと変わった。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・がふっ!」
オーズの変身が自動的に解けると出久は大量の吐血をし、仰向けに倒れた。
「やっぱり無茶してやがったか!」
アンクは背中から羽を出し急いで出久の下へ飛んだ。
「おい、バカ。こんなところで死ぬんじゃねぇ。」
「アン・・・・・・ク・・・・・」
「こいつをお前にやる。こいつを持ってりゃ普通の人間並みに動けるらしいからな。」
アンクはそう言うと金のコアメダルを取り出し、出久の体へと入れた。
「アンク・・・・・・比奈さんからの・・・・・・伝言・・・・・」
「あ?」
「ありがとう・・・・・・て・・・・・。僕からも・・・・・ありがとう・・・・・・・・」
出久はそこで気を失った。
「・・・・・・・・・・・たく、礼を言うんだったらまずテメーの状態をよくしてから言え。」
アンクはそう吐き捨てるとその場から去ろうとした。するとオールマイトが止めに入った。
「待ってくれ!君は緑谷少年とどういう関係なのだ!」
「あ?まぁ・・・・・・仲間だな。」
「仲間・・・・・か。では君は一体何者なのだ?」
「グリードのアンクだ。それとこの時間に長くいられないんでな。」
アンクがそう言うと突如空に大きな穴が現れた。
「時間だ。これ以上いるとタイムパラドックスが起きるからな。じゃあな。」
アンクはそう言うと穴の向こうへと消えて行った。