「16・・・17・・・・18・・・・重症の彼を除いてほぼ全員無事か。」
敵連合USJ襲撃、巨大ヤミーの襲撃後の雄英には警察が来ていた。A組の生徒全員がいることを刑事の塚内直正は確認していた。
しかし皆浮かない顔をしていた。
その理由は出久である。本来普通科である彼がヒーロー科と一緒に授業を受けた。それによって巻き込まれたならまだしも体に多大なダメージを受けて吐血して倒れたのだ。すぐにリカバリーガールによる応急処置が行われ一時的に命は取り留めているがまだ油断を許さない状況に変わりなかった。
「刑事さん・・・・・相澤先生は・・・・」
「両腕部粉砕骨折、顔面骨折・・・・幸い脳系の損傷は見受けられず無事。しかし眼窩低骨が粉々になっていて目に何かしらの後遺症が残る可能性があるそうだ。13号の方は背中から上腕部にかけての裂傷がひどいが命に別状はない。だが問題は緑谷君だ。彼の中にメダルが入っているとの話だがレントゲンを何度撮ってもその影や形のかけらすら捉えられていない。医師からは彼の今の状態が信じられないとのことだそうだ。」
「どういうことなんですか?」
麗日がそう聞くと塚内はこう答えた。
「前より健康な人間の状態に近づいているって話だそうだ。」
その情報を聞いて爆豪以外の全員が疑問に思った。今確かに塚内は
「・・・・・・事情は知っているが俺からは言えねぇ。第一、個人情報流出になるからな。聞きてーんだったらあのクソナードに聞け。」
爆豪はぶっきらぼうにそう答えた。さすがに本人の許可なしでは言えないことである。
(デク・・・・ぜってー目を覚ませよ。じゃねぇと俺は・・・・・・!)
爆豪は拳を強く握った。血が出るほどに。
後日雄英高校は臨時休校となった。テレビには敵連合のことが報道されたがあまり世界に影響を与えるものではなかった。
そして出久が入院している病院には麗日、八百万、芦戸、葉隠、拳藤がお見舞いに来ていた。ベッドには出久が眠っていた。
「出久君・・・・起きてよ。じゃないと私たち・・・・・」
麗日が俯きながらそう言うと八百万が肩に手を置いた。
「麗日さん、そんな顔をしてはいけませんわ。」
「でも出久君、私たちを守ろうと無茶をして・・・・・!」
「今に始まったことじゃないけど・・・・・・・・確かに言えるよね。」
芦戸がそう言うと各々思い当たる節があった。
出会ってまだ少し。それでも濃い出来事が起こった。
芦戸の誘拐、入試の0P仮想敵、入学初日の除籍を賭けた戦い、街中での事件、そしてUSJ。どれもこれも大変な出来事である。
「私たち、出久君に守られてばかりは嫌だと思う。」
葉隠がそう言うと拳藤は頷いた。
「そうね。もっと自分の個性を理解して実力をつけて出久君に恥じないヒーローにならなくちゃね。でも今は・・・・・」
拳藤は出久の手を握った。
「こうして手を握ってあげることがベスト・・・・・かな?」
「・・・・・うん。」
「ええ。」
「だね。」
「私も。」
拳藤の言葉につられて麗日、八百万、芦戸が出久の手を握った。
「ん・・・・・・」
出久が少し声を出すと徐々に目を開け始めた。
「あ・・・・・・・・・れ・・・・・?」
『出久君/さん!』
「みん・・・・・な?どうして・・・・?ここは・・・・・」
出久が目を覚ましたことに一同喜んだ。
その後医師と引子が来た。引子の姿を見て一同驚いていたがそれはまた別の話。
引子は出久を思いっきり抱きしめ泣いた。
医師の診断で体は前よりも良くなり、普通の人並みに動いても問題ないと診断された。
そして二日後、再び出久が雄英に通うなりC組全員から心配された。
「緑谷大丈夫か!」
「なんか大変だったみたいだがどこか体に変化はないか?」
「何かあったら頼ってくれ!できる限り協力するから!」
突然そんなことを言われ戸惑う出久。昼休みに心操に聞くとこう言われた。
「そりゃそうだろ。お前は実力だったらA組に入れてもおかしくないからな。お前がもしA組に編入できれば俺たちにとって希望だ。みんなお前に期待してんだよ。」
「でも心操君の個性もヒーローに向いていると思うよ。」
「だが個性だけじゃ・・・・・」
「じゃあ相澤先生とかに相談してみたら?相澤先生の戦闘を間近で見たけど体術が得意だから。後筋トレとか他のヒーローの戦い方を見て学習するとかがいいんじゃないかな?」
「・・・・・わかった。そうさせてもらう。」
食堂で聞き耳を立てていた生徒もさっそく自分ができる範囲での行動を始めた。
そして雄英高校体育祭二週間前になる朝のSHRで担任の先生からあることを告げられた。
「みんなも知っての通り、二週間後は雄英名物の雄英体育祭だ。これはヒーロー科の連中が活躍する場だと思っている奴もいるだろうがそうじゃない。普通科からのヒーロー科への編入、卒業後にサイドキック見習いへのスカウトと言う可能性もある。最も、他のクラスは多少あきらめ気味の奴もいるがこのクラスは違うな。特に緑谷、お前のおかげでな。」
「へ?」
出久は突然言われたことに自分を指さし戸惑った。
「そんな・・・・・僕何の役にも・・・・」
「そんなことないって緑谷!」
「そうそう!個性だってすごいけどそれだけに頼らず体術とかもすごいし!」
「それにヒーローオタクって点で情報収集からの分析がうまいし!」
「俺たちの個性の使い方のアドバイスも上手だし本当に緑谷には感謝してるよ!」
謙遜する出久にクラスメイトは尊敬と感謝の言葉を述べる。
「緑谷、お前は自分を過小評価しているようだが先生はそうは思わない。みんなの中にも敵向きだと言われた奴もいるだろう。だが先生から言わせればヒーローと敵もコインのようなものだ。13号も自分の力についてよく理解しているから同じことを言っている。
いいか、お前ら。これまで馬鹿にしてきた奴らをあっと言わせてやれ!お前たちにはヒーローになれる可能性がある!最後に、結果を残してみろ!先生からは以上だ!」
その言葉で各々大会へ向け自分にできることを始めた。
そして時間はあっという間に流れ、ついに雄英体育祭当日を迎えた。