僕のヒーローアカデミア OOO   作:ザルバ

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1 ヘドロとタトバ

 二年間のブランクは出久にとって大した問題ではなかった。

 向こうにいる間でも智世子や比奈、伊達が出久に勉強を教えていた。さすがに十四歳で教養がないというのは問題があるからだ。多少世界の歴史の差異はあれど、勤勉な出久はその試練を克服した。

 そして中学三年生ともなると当然のごとくやってくるのは進路である。

 就職、進学、留学などと言った者たちがいるが、大半はヒーロー志望である。

 出久が通っている折寺中学校も同じであった。

 出久は自分が力を持っていることを秘密にしている。それには理由があった。

 本来個性とは単一能力。まれに複数の個性を持つ人も現れるがそれでもせいぜい二つか三つほど得ある。

 しかし出久は別である。オーズの力は24枚217通りの変身がある。コンボはその中でもそれぞれ最強と言っても過言ではない力を発揮するがそれ以外にも組み合わせによって臨機応変に対応できる。

 しかしその力を敵が見逃すわけがないと出久は思った。教師には既に個性として伝えており、承諾してもらっている。

 今日もいつも通り学校が終わり、通学路を歩いていた。

「もうみんな雄英の勉強を始めているんだ。僕は伊達さんたちのおかげで何とかなっているけど油断はできない。それに僕の場合はこの体のブランクがある。ヒーロー科にせよ実技だと個性を使うって話だ。どんな条件でも最適のコンボを考えておかないと。」

 ぶつぶつ言いながら帰宅している出久は橋の下を通りかかった。すると突然マンホールから気配を感じた。悪意ある気配に出久はすぐさまオーズドライバーを取り出し装備、タカ・トラ・バッタのメダルを手に取る。

「Mサイズの隠れミノ・・・」

 ヘドロの敵が突如として現れ出久を取り込もうとする。

(そうは・・・・させるか!)

 出久は三枚のコアメダルをオーズドライバーに嵌め、オースキャナーで変身しようとする。すると突然マンホールが勢いよく飛び、ある人物の声が聞こえてきた。

「もう大丈夫だ少年!!」

『っ!?』

「私が来た!」

 マンホールから出てきたのは出久が憧れるヒーローであるNo.1ヒーローのオールマイトであった。

「TEXAS SMASH!!」

 オールマイトのテキサススマッシュによって引き起こされた風圧によってヘドロ敵と出久は引き剥がされる。

「オールマイト?」

 突然憧れの人物が目の前に現れたことに出久は驚きのあまり無反応になる。

「ああ、少年。少し待っててくれないか?話はあとでするから。」

 オールマイトはそう言うと空のペットボトルにヘドロ敵を詰め始める。

(そっか。液体の個性だと普通の手錠とかじゃ意味がない。ペットボトルなんかに詰めた方がより合理的だ。それにギュウギュウに詰められたらいくら勢いが強くても助走する距離もないから出てこれない。やっぱオールマイトはすごい!)

 出久は冷静に分析し、改めてオールマイトを尊敬する。

「さて、待たせて済まない少年。そして巻き込んですまなかったね。いやー、私もオフだから慣れない土地に浮かれてしまってね。HAHAHAHAHA!」

「い、いえ!こうしてオールマイトに助けてもらえただけでも僕はうれしいです!そ、それと・・・・」

 出久はカバンの中から色紙とマジックペンを取り出す。

「サインください!!」

「君いつもそれ持ち歩いているの!?」

 出久の持ち物に流石のオールマイトも驚かされた。

 

 オールマイトのサインを貰った出久はそのまま帰宅するとすぐにランニングを始めた。

 出久が向こうの世界で最も学んだこと、それは体力である。どんな敵にも勝てるようになるにはまずは相手の特徴と能力を掴むことである。それには当然体力が必要である。そのため筋トレ以外にも基本としてのランニングをしている。

「今度の休み、雄英までの道も調べておこうかな。帰り道にある文房具とかのお店も知りたいし。」

 そんなことを口にしながら走っていると人ごみに気づいた。

「なんだろう?事件かな?」

 出久は少し高い建物の中に入り様子を見る。するとそこには先ほどオールマイトがとらえたはずのヘドロ敵がいた。

(なんであそこに敵が!あれはオールマイトが!それよりアイツが取り込んでいるのって・・・・!)

 出久はヘドロ敵が起こしている爆発に見覚えがあった。それは自分がよく知っている人物の個性と瓜二つであるからだ。そしてわずかな隙間から見えたのは今にも泣きそうな爆豪の姿があった。

(かっちゃん!)

 爆豪の姿を見ると出久は急いで屋上へと上る。

「ここなら問題ないはずだ。」

 出久はそう思い変身の準備を始める。しかしその光景を陰から見ているものがいた。

「緑谷少年?いったいあそこで何を?」

 謎の人物は陰からその光景を凝視する。

 出久はオーズドライバーにタカ・トラ・バッタのメダルをセットし、傾けるとオースキャナーを手に取り振り下ろしながら叫ぶ。

「変身!」

 

【タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!】

 

 タカのようにどこまでも遠くを見通し、トラのように鋭い爪で敵を引き裂き、バッタのようにどこまでも高く飛ぶ足を持つ戦士。

 その名は仮面ライダーオーズ・タトバコンボである。

「なっ!?変身した!?」

 謎の人物は出久の変身に驚きを隠せなかった。

「はっ!」

 オーズは屋上から飛び降りるとすぐさま囚われている勝己の方へと走る。

「なんだ?新手のヒーローか?すぐにぶっ倒してやんよ!」

 ヘドロ敵はオーズに爆破の個性を使うがオーズはそれを紙一重で回避する。

 オーズはバッタレッグを使い高く飛ぶとメダルを変え、スキャンする。

 

【タカ!トラ!チーター!】

 

 オーズはタカトラーターになると勝己の手を掴み、チーターレッグを駆使してヘドロをかき分ける。

「掴まって!」

「その声っ!?くっ!」

 爆豪は出久の声に驚くが今はそれどころではないと冷静に判断しオーズの手を取る。チーターレッグの高速回転の足によってヘドロ敵は爆豪から引き剥がされ、無事に勝己を救い出した。

 オーズはメダルを交換しスキャンする。

【タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!】

 オーズは再びタトバコンボに戻ると再びオースキャナーでスキャンする。

【スキャニングチャージ!】

 オーズのバッタレッグが変化し上に飛ぶとヘドロ敵に照準を合わせるように三つのエネルギーのOが現れる。

「はぁああああああ、せいやぁあああああああ!」

 オーズ・タトバコンボのタトバキックが炸裂し、ヘドロ敵を気絶させる。

 オーズは事件を解決するとすぐさまそこから立ち去って行った。

 

 翌日、学校で勝己は有名人となった。プロからは個性がすごいとのことでスカウトの声がある一方、現場でのヒーローの発言が問題視となった。

 ヒーローが他のヒーローに頼ってしまうという話だ。

 本来ヒーローは人を助けるのが本業。だがあの時どのヒーローも無理をしてでも助けようとせず、勝己を半ば見捨てる形でいた。そのことは一夜にしてニュースにも取り上げられた。

 マスコミ各社では“ヒーローの質の低下”と言うことが報じられた。そしてあの時現れた謎のヒーローことオーズの方でも話題となっていた。

「おい、デク!」

「か、かっちゃん!な、何か用?」

「面貸しやがれ。」

 勝己は人がいない屋上へと出久を連れて行くと面と向き合って話す。

「あん時の奴、お前だな?とぼけんなよ。オメーの声をあんなクソカスと一緒にいる状況で聞き分けられねーほど俺は馬鹿じゃねーんでな。」

 出久は勝己に行方不明の間に起きたこと、そしてオーズのことを話した。

「かっちゃん、僕はこの力でヒーローを目指すよ。」

「はぁっ!?テメー自分が何言ってんのかわかってんのか!第一テメーの体は・・・・・!」

 勝己は出久が目の前で血を吐いたことをよく覚えていた。その日を境に守ろうと使命感が沸いた。

 だが出久はヒーローへの憧れを抱いていた。そんな夢を諦めさせるためにあえて出久を攻撃するようなことをしていた。

「かっちゃん、僕に残された時間が短いのも重々承知してる。だからこそ!後悔しない生き方をしたいんだ!」

「っ!勝手にしやがれ!」

 勝己はそう言うとぶっきらぼうにその場を去って行った。

(くそ・・・・・あん時決めたことなのに・・・・・・自分から危険に飛び込むんじゃねーよクソデクが!!)

 勝己は歯を強く食いしばり、階段を下りて行った。

 

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