僕のヒーローアカデミア OOO   作:ザルバ

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26 準決勝第一試合 緑谷VS爆豪

 雄英体育祭一年生の部準決勝第一試合前。

 会場にいるプロヒーローたちは今か今かと次の選手の戦いを待っていた。

「緑谷って普通科の子はいろんなメダルで戦うな。」

「ああ。サイドキックとしては緊急時に市民を逃がすときの時間稼ぎもしてくれるな。」

「だが噂によると体が弱いらしいぞ。そうなると別の方向も考えないとな。」

「爆豪もすごいよな。さすが雄英入試一位と言うだけはある。」

「だが室内などでは彼の能力は発揮されない。残念だが彼が存分に個性を使える場所は限られるな。」

 冷静に分析するヒーローたち。そんなヒーローの顔が、発目が開発したシステムによってピックアップされていく。

(こんだけヒーローがいてこれだけの人数しかちゃんと見ていないのか・・・・・・・まぁ、これがあるおかげで大分助かるがな。)

 プロからの指名を受けすぐにスカウトというわけにはいかない。各々目指したいヒーロー像がある。どのようなヒーローになりたいのか、どういう活動をしたいかなどで入る場所は変わる。ホームページや公式ツイッターなのでその活躍は見ることが出来るが実際と違う場合が多い。

 例えば“個性でなく人柄を見る”というプロフィールを書いているヒーロー事務所があるが実際には個性重視が多い。そう言ったところで職場体験を失敗した生徒は多い。

 壁に耳あり障子に目ありという言葉の通り人の声を拾いカメラで見てその人の本性を洗い出す。非常に常識に欠けることかもしれないが最適な方法ともいえる。そしてヒーロー事務所から指名があったとしてもリストアップに入ってない事務所は送られるだけで個人指名リストから除外される。

 間違っても教師である相澤は最も合理的な判断を下した。

 最も、やりすぎることもあり減給を言い渡されることもあれば不審者扱いされることも多々ある。

「おいイレイザー、随分熱心だな。」

「勝手に見るな。見込みの可能性のある奴らを潰すことをするくらいならこうして可能性を排除するだけだ。」

「ふーん。」

 プレゼント・マイクはそう言うと相澤を見る。

「ん?なんだ?」

「いやさ、お前ちょっと変わったって思ってな。」

「俺がか?」

「ああ。大方緑谷のおかげかもな。」

「・・・・・・・さあな。というかそろそろ時間じゃないのか?時間を忘れるのは合理性に欠けるぞ。」

「おっとっと。そうだったそうだった。」

 プレゼント・マイクはマイクのスイッチを入れる。

「さぁー!リスナー共、待たせたな。準決勝第一試合!三つのメダルが俺の武器!緑谷出久!VS(ヴァーサス)!!爆破で何でも吹っ飛ばす!爆豪勝己!」

 プレゼント・マイクの言葉と共に二人は会場へ入ってくる。

「おいクソナード!てめぇ、自分の今の状況分かってんだろうな?」

「・・・・・・」

 爆豪の言葉に出久は無言を貫く。

「・・・・・・・無視すんのか。いい度胸じゃねーかクソデク!完膚無きまでにぶっ潰してやるよ!クソナード!」

 爆豪が一方的にしゃべる中、出久はメダルをセットする。

「変身!」

【ライオン!クジャク!バッタ!】

 出久はオーズ・ラジャバへ変身する。

「準決勝第一試合!STRAAAAAAAAAAAT!」

「ぶっ殺す!」

 爆豪は爆破で一気にオーズへ接近してくる。

「ライオネルフラッシュ!」

 ライオンヘッドのライオネルフラッシュが放たれ爆豪の視野を奪う。

「はぁっ!」

 その間にオーズは一気に爆豪まで接近するとバッタレッグを活かしたドロップキックを喰らわせる。

「がっ!」

 爆豪は吹っ飛ばされ地面に背中を付けてしまう。

「こんのクソナードが!」

「まだだ!」

 オーズは胸に手をかざすとオーズの左腕にタジャスピナーが装備される。タジャスピナーから火球が放たれる。しかしオーズは爆豪に当てるのではなく周りに当てる。

 爆豪の周りの熱が一気に急上昇する。

「てめぇ・・・・・・・」

「どうしたのかっちゃん?カルシウム足りなさ過ぎてイライラしてるの?」

「うるせぇ!」

 爆豪は手を爆破させながらオーズに迫ってくる。オーズはタジャスピナーを盾にしながら攻撃を防ぐと同時に受け流していた。

「攻め込んで来いやゴラァ!」

「う~ん、そんなに動いてその肺活量。結構走ってるんだね。でも個性も使ってるから大丈夫?特に右手。利き腕だから結構使っちゃうんでしょ?」

「っ!?」

 一見ふざけている口調ではあったが爆豪は驚いていた。出久はヒーローに憧れるがゆえに観察ノートを付けている。何度も動画を再生しては巻き戻すを繰り返して来た。短い時間でより多くの情報を引き出すことを身に着けた。

 そしてそれは一瞬で活躍したヒーローの情報を生で見ても出来るようになったのだ。

(こいつ・・・・・俺の状態を察しやがった!気持ち悪いほど観察ノートを付けていやがったがここまでとは・・・・・・・正直メダルだけに気を取られてた!)

 爆豪は出久から聞かされたコアメダルの方にだけ目を向けていた。しかしそれ以上にすごいのは出久の長年の経験で得た観察眼と判断応力であった。

 爆豪は焦りと熱によって汗をかいていた。

「緑谷の奴何やってんだ?爆豪に汗かかせたら逆に不利だろ。」

 試合を見ていた上鳴はそう呟いた。

 爆豪の個性は手からニトロのような汗を出すことで爆破を生む個性。

 出久の発言による怒りと火球による熱。この二つは爆豪の汗を加速させるには十分であった。

「もしかして爆豪さんの弱点を突くつもりではないのですか?」

「でもそうだとしたらなんで怒らせるの?一気に畳みかければええんちゃう?」

 八百万の予想に麗日が意見する。

「でもあんだけ汗かいてると服ベタベタになりそうだよねー。」

「そーだねー。思いっきりシャワー浴びたいよ。」

 芦戸の言葉に葉隠れが相槌を打つと八百万は出久の狙いに気づいた。

「なろほど!だから出久さんはあえて爆豪さんを怒らせたのですね!」

「え?どういうこと?」

 八百万の言葉に芦戸をはじめとしたA組は首を傾げた。

 その間にオーズは爆豪の汗で濡れたシャツを見る。

(もう十分汗を掻かせた。なら仕上げと行こうか!)

 オーズはバッタレッグで大きく距離を取るとメダルをセットする。

「変身!」

【シャチ!ウナギ!バッタ!】

 オーズはシャウバへ変身するとシャチヘッドとウナギアームのエンブレムが光りオーズの手から放水をする。

「はっ!」

「うわっ!ツメテェ!」

 オーズの放水を全身から浴びる爆豪。

「んぁ?んだこれ?ただのシャワーか?わざわざ俺にシャワーを浴びせるとは馬鹿な野郎だな!死ねや!」

 爆豪は爆破を使おうとする。しかし爆破は起きなかった。

「なんで・・・・・・・・はっ!」

 その時爆豪はオーズの狙いに気づいたのだ。

「これで決める!」

 オーズはタコメダルをセットする。オーズのコアメダルが光る。

「変身!」

【シャチ!ウナギ!タコ!シャ・シャ・シャウタ!シャ・シャ・シャウタ!!】

 オーズはシャウタコンボへ変身する。

「出たー!オーズのコンボ!これは水のコンボか!」

「資料によるとシャチ、ウナギ、タコの水色のコンボ。名前はシャウタコンボだ。陸でも活動できるが一番の売りは水中を自由自在に動き回れることと三匹の動物の最大の武器を活かせることだそうだ。」

 会場は一気に歓声で沸き上がる。

「クソデク・・・・・だからって最後まで勝ちを譲る気はねぇからな!」

「その言葉を言ってくれるかっちゃんは昔と変わらず、尊敬するよ!」

 オーズはオーズスキャナーでメダルを読み込む。

【スキャニングチャージ!】

 ウナギウィップで爆豪を捕まえると電撃を流しながら空中へ上げられる。

「はっ!」

 オーズは上へ身体を液体化させて上昇し、タコレッグを出すとタコレッグは高速回転する。

「はぁあああ!せいやー!」

 オーズのシャウタコンボの必殺技、オクトバニッシュが爆豪に炸裂し、爆豪を場外へ吹っ飛ばされる。

(畜生・・・・・・自分の弱点に気づけねぇなんて・・・・・完敗だ・・・・・・次戦う時はこうはいかねぇからな、オーズ。)

 オーズをにらむ様に見ながら爆豪は芝生に倒れて行った。

「爆豪君場外!緑谷君、決勝戦進出!」

 その瞬間会場が歓声で一気に揺れた。

「スゲーぞ緑谷!」

「普通科の希望だよ!」

「ああもう!緑谷スゲー!他になんて言っていいか言葉が出ねー!」

「スゲー!」

 普通科生徒たちは緑谷の勝利に喜びの声を上げる。

「スゲーな緑谷!でもなんで爆豪が急に個性使えなくなったんだ?」

「あのコンボの特殊能力か?相澤先生みたいな無効化の個性だったり?」

 上鳴と瀬呂が思ったことを言う中、蛙吹が否定する。

「それは無いわ。USJの時緑谷ちゃんの個性を峰田ちゃんと一緒に見たことあるけど無効化の個性じゃないわ。それに水中が売りの個性だって説明してたじゃない。」

「ああ、そっか。」

 誰もが頭を悩ませる中八百万が答えを出した。

「緑谷さんが水を掛けた瞬間、爆豪さんは個性を封じられたんです。」

「どういうこと、ヤオモモ?」

 耳郎が問いかける。

「爆豪さんの個性は汗腺からニトロのようなものを出して爆破させます。緑谷さんは熱と言葉によって汗腺を大きく広げました。

元々人間の汗というのは体温調節のためにでる物です。夏ならば冷やすために出ます。

ですが先ほど緑谷さんは水を掛けました。急激に体温が冷やされれば脳は体が冷やされたと思い汗腺を収縮させます。完全に汗腺を塞ぐことはできませんが腕の汗腺程度であれば十分です。塞がれた汗腺からは汗は出ません。攻撃の手段を失ってしまえば爆豪さんはいい標的という訳です。」

八百万の説明に理解する面々もいれば、理解していない面々もいた。

「えーっと・・・・・わかりやすく言うと水道のホースを折った状態になったって言えばわかるんじゃないかな?」

『ああ!』

 麗日のアシストで一同は納得した。

 

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