待っている人には本当にごめんなさい。
「全くお前は、すぐに無茶をしやがる。わかってるのか?」
保健室のベッドで眠るその横でその男は文句を言っていた。
「貴重なメダルを使わせやがって。」
男はそう言うと赤く変身した右腕を出久へと突っ込んだ。
「これで少しは体力が回復するはずだ。」
男はそう言うとベッドから離れようとする。
「ちょっと待っておくれ。」
リカバリーガールはその男を呼び止めた。
「なんか用か?」
「お前さん、緑谷のためにそのメダルを使ってやったんだろ?それならほれ。」
リカバリーガールはそう言うとアイスを差し出した。
「緑谷から聞いているんでね。」
「・・・・・・・貰っておく。」
ぶっきらぼうにその男はアイスを受け取り封を開けると食らいついた。
「せめて一言挨拶したらどうなんだい?」
「そうもいかねぇからな。過去を変えると未来にかかわる。まぁせいぜい俺が完全に蘇るまで生きてもらわねぇと困るからな。」
男はそう言うとその場から姿を消した。
「・・・・・・・全く、どうして男って生き物はこうも不器用なんだろうねー。」
リカバリーガールはそう言うと書類を書き始めた。
ところ変わって轟は一人控室で着替えていた。
(緑谷は俺になんであの話をしたんだ?)
ふと轟は手を止めて顎に手を当て考え始めた。
(なんで関係ねぇ赤の他人を・・・・・・・・いや待てよ、あいつはそんなことをしねぇ。だとしたら・・・・・・・まさか!)
その時轟はあの話が誰を意味しているのかを気づいた。
「・・・・・・はぁ、完全に負けているじゃねぇか。勝負でも、生き方でも。」
そして出久の意識が回復しいよいよ表彰式へと移ったのだが・・・・・・
「ふんぐぅううううううううううううう!」
・・・・・爆豪は手足、そして口を拘束されていた。
なぜこうも抵抗しているかというと完膚なまでの勝利ももぎ取っていないのにメダルを受け取ることはできないと言っているのだが飯田が一身上の都合によって早退したため三位がいないのはさすがにマズいため強引に爆豪を席に着かせた。
表彰台には一位の轟、二位の出久、そして三位の爆豪が表彰台に立っていた。
「緑谷、爆豪どうにかできないのか?」
「無茶言わないでよ。」
轟も流石に爆豪に呆れていた。
「それではこれより表彰式に移ります。三位の爆豪君ともう一人の飯田君がいるんだけどちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承ください。」
主審であるミッドナイトがそう告げた。
「メダル授与よ!!今年のメダルを贈呈するのはもちろんこの人!!われらがヒーロー、オールマイト!!」
「ハーッハッハッハー!わーたーしーがー!メダルを持ってきた!」
ミッドナイトの紹介の後にオールマイトが登場する。
実は意識を取り戻した出久が前もって打合せしておくように助言しておいたのだ。
「ではメダル授与へ移ります。」
オールマイトはメダルを爆豪へ授与する。
「爆豪少年、三位という結果ではあったが自身の個性を使った良い戦い方をした。何より誰に対してでも本気で戦った。」
「オールマイト、俺はこんな何の価値もないメダルを受け取る気はねぇ!世間が認めても俺が認めなきゃゴミなんだよ!」
言葉では言い表せない怖い顔になっていた。
「うむ、相対評価に晒され続けるこの世界で不変の絶対評価を持ち続けられる人間は多くない。受け取ってくれよ!今後の”傷“と”決意”をこめて!」
「要らねぇっつってんだろ!」
爆豪は抵抗するがオールマイトが強引に爆豪にメダルを授与する。
「次は緑谷少年!君は自身の個性を理解し、なおかつ慢心せず限界を超えようとする姿勢は誇るべきものだ。今後もがんばりたまえ。」
「はい!」
「そして轟少年、おめでとう。」
オールマイトは轟にメダルを授与する。
「・・・・・・・決勝で左を使ったのには何かわけがあるのかな?」
「・・・・緑谷がきっかけを作ってくれて、使いました。でも俺はこの優勝を自分で勝ち取ったものじゃないって思ってます。むしろあいつが俺に譲ってくれたようなもんです。ただ・・・・俺だけが吹っ切れてそれで終わりじゃないんです。ダメだと思ってた精算しなきゃならないモノがまだある。」
轟がそう言うとオールマイトは静かに抱きしめた。
「・・・・・・・顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ。今の君なら清算できるよ。」
そう言うとオールマイトは会場の方へ顔を向けた。
「さぁ!!今回は彼らだった!しかし皆さん!この場に立つ誰もがここに立つ可能性があった!!ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと上って行く姿が次世代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで最後の一言!!皆さんご唱和ください!!せーのっ!」
『Plus Ultra!』