僕のヒーローアカデミア OOO   作:ザルバ

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3 試験とガタキリバ

 研究所にいた医者の診断により出久は命に別状はないと診断された。

 だが女の子はそんな出久が心配で今も出久が寝ているベッドのすぐ側で手を握っていた。

「・・・・・・・」

 女の子は不安でしたがなかった。そんなところへマンサムが来た。

「お邪魔しても大丈夫かな?」

「マンサムさん・・・・・」

「え!今ハンサムって言った!」

「言ってないです。・・・・・・それより、どうかしたんですか?」

「うむ。君は自分のせいでって思っているんじゃないのかな思ってね。」

「・・・・・・・・はい。」

「君のせいではないよ。こっちの方に原因があるんだ。それに・・・」

「?」

 マンサムは何かを言おうとしたがそこで止めた。

「・・・・・・・・いや、気にしなくても大丈夫だ。邪魔をしたね。」

 マンサムはそう言うと部屋を後にした。

「・・・・」

女の子は出久の顔を見る。変身して勇敢に戦ったとは思えないほど幼く、穏やかな顔で寝ていた。

「なんだかあの時戦っていた人だなんて・・・・とても思えないな。」

 女の子はそう思うとゆっくりと出久の顔を覗く。

「ありがとう。」

 女の子はそう言うと出久の額にキスをする。

「ん・・・・・」

「っ!?」

 出久は目を覚ます。

「あれ・・・・ここは・・・・・あ!」

 出久は女の子を見ると安心する。

「大丈夫?ケガしてない?」

「それはこっちのセリフだよ。本当に心配したんだからね!」

「ご、ごめん・・・・」

 心配した出久が逆に心配された。そんな出久に女の子は尋ねた。

「・・・・・・あのさ、名前なんて言うの?」

「僕?僕は緑谷出久。」

「出久君ね。アタシは芦戸三奈。気軽に三奈って呼んでいいから。」

「う、うん・・・・・」

 そのあと芦戸の両親が来て迎えに来てくれた。出久も後から研究所を後にした。

 その日の夜、マンサムはある人物に連絡を取っていた。

「はい。見ての通りメダルのようなものからこの敵‥…いえ、怪人が生まれました。我々の常識を超える出来事です。またそれに対抗できるかのように彼もメダルを持っています。もし彼が()()に入るのであれば試験後に聞いてみましょう。」

 

 

 芦戸との事件から月日は流れ、三月。

 出久は雄英高校の校門前に立っていた。今日この日までに出久はできうる限りの努力をしてきた。

「おいデク!」

「か、かっちゃん!」

「俺の前に立つんじゃねぇ!」

 爆豪はそう言うと出久の前に出て試験会場へと向かった。出久も後に続こうと思ったが自分の足に引っかかってしまい倒れそうになる。

 しばらく経っても地面にぶつかる感触がないので自分の状況を確認してみると出久は宙に浮いていた。

「大丈夫?」

「え?あ、はい!」

 出久がそう答えると出久は降ろされる。

「私の”個性“。ごめんね、勝手に。でもころんじゃったら縁起悪いもんね。」

「あ、ありがとう!名前聞いてもいいかな?僕は緑谷出久。」

「私、麗日お茶子。お互い頑張ろうね。」

「うん!」

 お茶子と共に出久は試験会場へ入る。

 雄英の試験は倍率が300を有に超えていた。そして試験会場には雄英に入るため多くの受験生が受けに来ていた。実技試験の説明にはプロヒーローであるプレゼント・マイクが説明をしていた。

「今日は俺のライブへようこそ!エヴィバディセイヘイ!」

 シーン

「こいつぁシヴィ―――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

 シーン

「入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!O.K?」

(持ち込みは自由・・・・・・・でもさすがにライドベンダーは無理だよね。あれ元は自販機だし、と言うか・・・・個性のと言うよりただのサポートアイテムだし。)

「演習場には”仮想敵”を()()、多数配置してありそれぞれ『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!各々なりの“個性”で“仮想敵”を()()()()にし、ポイントを稼ぐのが君達(リスナー)の目的だ!もちろん、他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

 マイクが説明するとメガネの男子が挙手をして質問する。

「質問よろしいでしょうか?プリントには()()の敵が記載されています!誤記載であれば日本最高峰の恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 そんなメガネ男子を見て出久は思った。

(模範・・・・・・・・・ね。ヒーローの在り方なんて人それぞれなのに・・・・・・痛い現実を知らないマニュアルっ子って感じかな?)

 出久はメガネ男子を見てそう思った。

 模範となるヒーロー。そんなものは絵に描いた餅のようなものである。

 自分を犠牲にしてでも多くを救う。そんなヒーローはどれだけいるだろうか?この超人社会においてそれは数少ない。

 個性によっていい具合に生き残っているヒーローも数多い。中にはコマーシャルばかりに出るヒーローと言う名の芸能人もいる。

 なにより、最高峰であれば最高の勉強を受けれると言う話自体おかしい。

 みんなが同じ頭を持っているのではない。長所短所、得手不得手。それぞれが持っている個性である。そしてそれは必ずしも勉強環境の有無によって発揮されるわけでもない。

 要するに自分で磨いていくものだ。

 環境がどうであれ、境遇がどうであれ、その個人が磨かなければそれは発揮されないのだ。

「オーケーオーケー。受験番号7111くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつはいわば()()()()!各会場に一体!所狭しと大暴れするよう『ギミック』よ!戦わず逃げることをお勧めするぜ!」

「ありがとうございました!失礼いたしました!」

「俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の”校訓“をプレゼントしよう。

 かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!『真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と!!

 更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」

(人生の不幸を・・・・・・乗り越えるか。まるで仮面ライダーの境遇みたいだ。)

 出久は雄英の校訓を聞いてそう思った。

 

 

 出久の試験会場には助けてくれたお茶子とメガネ男子が一緒の試験会場にいた。

(他の受験生も個性を最大限で来るはずだ。これが決められたポイントの早い者勝ちだったらよかったんだけどそうじゃないならコンボは避けるべきだ。となるとメダルは・・・・・)

 出久は三枚メダルを選ぶ。すると突然―――

「ハイ、スタート。」

 突然の言葉に一同唖然とする。

「どうしたぁ!?実践じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんだぞ!!?」

 その言葉を境に受験生は一斉に走りだした。

「出遅れちゃった!変身!」

【タカ!カマキリ!チーター!】

 出久はタカキリーターに変身し試験会場内をかけ走る。

 

 

 試験会場の様子を大型スクリーンに映し出したモニタールームは多くの教師がいた。

「限られた時間と広大な敷地・・・そこからあぶり出されるのさ。」

「状況をいち早く把握するための情報力。」

「遅れて登場じゃ話にならない機動力。」

「どんな状況でも冷静でいられるか判断力。」

「そして純然たる戦闘力。」

「姿勢の平和を守るための()()能力はP数と言う形でね。」

「今年はなかなかの豊作じゃない?」

「いやー。わからんよ。」

「真価が問われるのは・・・ここからさ!」

 

 

「せいや!」

 オーズはカマキリブレードで3Pの仮想敵を破壊すると変身を解いた。

「はぁ・・・・はぁ・・・・もう・・・・限界だ・・・・」

 出久は物陰に背中を預けると座り込んだ。いくらプトティラのメダルがあるとはいえど

病魔は体を蝕んでいた。

 出久が呼吸を整えている間にも他の受験生たちはどんどんとポイントを稼いでいく。

(もし僕が・・・・・・・・・普通の体だったらもっとポイントを稼げたのかな?)

 出久が涙を流した直後、突如大きな揺れを感じた。出久は何かと思い大通りに出てあたりを見渡すとそこにはビルよりも遥かに大きい0Pの仮想敵がいた。その姿を見るなり皆一目散に逃げる。

(僕も・・・早く逃げないと!)

 出久も急いでその場から逃げようとした。だがその時であった。

「いったぁ・・・・」

 そこには校門で出久を助けたお茶子が崩れたコンクリートの瓦礫に足を取られ、身動きできずに倒れている姿があった。

「麗日さん・・・・・」

 出久はあの時の言葉を思い出す。

『転んじゃったら、縁起悪いもんね。』

(僕は・・・・・自分の体がどうなっても!試験の結果がどうなってもいい!ここであの子を助けないときっと後悔する!それに決めたじゃないか!あの子を救えなかったあの日から!この手ですくえる命を助けるって!)

 出久はオーズドライバーを再び装着すると三枚のメダルをセット。オースキャナーを手に取る。

「彼は一体何をするつもりだ?」

「変身!」

【タカ!カマキリ!バッタ!】

 出久はタカキリバに変身する。

「おい、あれってヘドロの時の!」

「でもなんか色が違くないか?」

 オーズの姿に注目する受験生を無視してオーズはお茶子の下へと跳んだ。

「だ、だれ?」

「動かないで。すぐに助けるから。」

 オーズはそう言うとカマキリソードで瓦礫を切り崩す。

「しっかり掴まって。」

「う、うん!」

 オーズはお茶子をお姫様抱っこするとすぐさまそこから跳んで離れる。オーズはお茶子を降ろすと0P仮想敵の方を向く。

「アレを倒さないとね。」

「ま、待って!あんなのに敵うわけないよ!逃げた方が・・・・・」

「逃げた方がいいのかもしれない。でも、目の前で助けられる命を救わずに逃げたら僕は一生後悔するから。」

「!?」

 まるで本当に経験したかのような口ぶりに麗日は驚く。

 オーズはクワガタのメダルを手に取る。

(これを使えば・・・・・確実に倒れるかもしれないね。でも・・・・・後悔しないなら、それでいい!)

 オーズはタカからクワガタへとコアメダルを交換する。緑のコンボによりメダルが光る。

「変身!」

【クワガタ!カマキリ!バッタ!ガータガタガタキリバ!ガタキリバ!】

 クワガタのように回りを視野に入れ、蟷螂のようにカマで敵を切り裂き、バッタのようにどこまでも跳んでいける緑のコンボ、オーズ・ガタキリバコンボが現れた。

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 オーズはあふれ出すエネルギーに雄たけびを上げる。

 放たれる波動により土煙は吹き飛び、周りを晴らしていく。

「―――――――はぁっ!!」

 オーズは一気に吹っ切る。

 オーズは0P仮想敵に向かいかけ走っていく。

オーズのガタキリバ使用時の特殊能力である分身が発動し、一気に50人へと増える。

「「「えええええぇえ――――――――――――!!!」」」

 試験会場にいた受験生全員が驚きを隠せなかった。

「なんだアレは!」

「アレがあの子の個性なの!」

 モニタールームで見ていた教師陣も驚きを隠せなかった。

『はぁっ!』

 バッタレッグを使い0P仮想敵のキャタピラを破壊し足を止め。

『せい!やっ!』

 カマキリブレードで装甲に次々と傷をつけ破壊していき。

『はぁあ!』

 クワガタヘッドの電撃で0P仮想敵の回路をショートさせていく。

 0P仮想敵のモニターにはいくつもの警告が表示されていた。

 しばらくすると0P仮想敵は裸同然のようにボロボロの状態となっていた。

 オーズはオースキャナーを手に取ると一斉にスキャンする。

【スキャニングチャージ!】

【【【【スキャニングチャージ!】】】】

「はぁあ・・・セイヤー!」

「「「「セイヤ―――――――――――――!!!!」」」」

 ガタキリバの必殺技、ガタキリバキックが0P仮想敵に炸裂する。

 0P仮想敵はいたるところから爆発を起こし倒れる。

「終了~~~~~~!」

 ブザーが鳴ると同時に試験終了の言葉がプレゼント・マイクから発せられた。

 オーズは一人に戻ると変身を解く。

「あ!あの時の!」

 麗日は出久の姿を見て驚く。

「あいつ、なんだったんだ?いきなり飛び出して。」

「よくわからないが強化型の”個性“ってのはわかるよな。」

「でもなんであんなことしたんだ?意味もないのに。」

 他の受験生たちがそういう中、メガネ男子だけは気づいていた。

(そうじゃないだろ。そこじゃないだろ!彼はあの女子を救わんと飛び出したんだ!!残り時間・・・己の身の安全・・・合格に必要な要素を天秤にかけて・・・それでも尚、一切の躊躇もなく!)

 メガネ男子だけはそのことに気づいていた。

(試験と言う場でなかったら当然!!僕もそうしていたさ!!)

 その時メガネ男子はあることに気づいた。

(おや?試験・・・・当然・・・・!?おやおや??)

 メガネ男子が顎に手を当て考えている中、出久は麗日と話していた。

「足、大丈夫?」

「う、うん・・・・ありがとう、助けてくれて。」

「よか・・・・・ごほっ!」

「・・・・・・・・・え?」

「!?」

 出久は突然口から血を吐いた。

(やっぱ・・・・・・無茶しすぎてたか・・・・・・・)

 出久は前のめりに倒れていく。咄嗟にお茶子は支えるが出久に意識はなかった。

「ね・・・・・ねぇ・・・・起きてよ・・・・・ねぇ・・・・・・ねぇ・・・・ねぇってば!!」

 麗日が言葉をかけるが全く返事が返ってこなかった。

「い、いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 そのあと駆け付けたリカバリーガールによって治癒され、メガネ男子を中心とした数人ですぐさま保健室へと出久は搬送された。

 

 

 試験が終了して多くの受験生が帰宅したが、お茶子とメガネ男子は残っていた。リカバリーガールからは帰るようにと言われたが二人はテコでも動かないほど意地を張ったため、二人の両親の連絡先を聞いてとりあえずは残らせた。

お茶子は保健室のベッドで寝ている出久の手をぎゅっと握っていた。メガネ男子がお手洗いへと席を立った直後、出久は目を覚ました。

「あれ・・・・ここ・・・・」

「起きた!よかった・・・・・」

 お茶子は出久が起きたことに喜ぶ。

「麗日さん・・・・」

「どうして・・・・」

「え?」

「どうしてあんな無茶したん!プレゼント・マイクも言うとったやん!戦わず逃げろって!なのにどうして・・・・・・」

 お茶子は自分のせいで出久がこうなってしまったことに涙を流す。そんなお茶子を見た出久はお茶子が握っている手から離れ涙を拭う。

「君が、あの時助けてって顔をしてたから。だから助けたんだよ。」

「っ!!うぁああああああああああああああああああああああああああああ!」

 お茶子は出久の胸に顔をうずめるように泣きじゃくった。出久は優しくお茶子の頭を撫でた。

 しばらくして泣き疲れたのかお茶子は出久の胸を借りる形で寝ていた。出久もまだ体力が回復しきってないため寝ていた。

「もう大丈夫みたいだね。君はもう帰りなさい。」

「はい、そうさせていただきます。我儘を聞いてくださりありがとうございました。」

 メガネ男子は一礼すると帰宅していった。リカバリーガールは毛布をお茶子にかけてあげた。

「全く、とんだバカもこの社会に残っているもんさね。でも・・・・・あたしゃそんなバカ嫌いじゃないよ。」

 母のような笑みでほほ笑むとリカバリーガールは保健室を後にした。

 

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