僕のヒーローアカデミア OOO   作:ザルバ

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今回は頑張って挑戦しました。


36 それぞれの職場体験

 ステイン事件から一夜明け、出久の下には麗日、百、三奈、一佳、透から心配のLINEが来ていた。

「あはは、やっぱみんな心配するよね。」

 出久は一人一人丁寧に返信をする。

 出久は気分転換に病院の屋上に出る。昨日まであんなことがあったとは思えないほど晴れ晴れとした空であった。

「昨日あんなことあったのに・・・・・・・世間は全く変わらないな。」

「そうだな。」

「っ!?」

 突如聞こえて来た声に出久は警戒する。後ろを振り向くとそこには白い鎧武者のようなグリードがいた。

「グリード!」

 出久はオーズドライバーを手にする。

「待て。ここで争う気はない。そもそも、今の貴様は万全の状態じゃない。そんな相手に勝っても真の勝利とは言えない。」

 その言葉を信じ出久はドライバーを収める。

「・・・・・・・なんでヤミーを生み出さない?」

「いや、生み出しているさ。目立たない程度にな。」

「・・・・・・」

「聞きたげな顔だな。いいだろう、答えてやろう。普通のグリードは自分の欲を満たすために行動を起こす。だが私は、欲と言う欲が無い。紫とは違う・・・・・・・いや、望んでいるものがあるとすれば死だ。」

「死?」

 出久はグリードの言いたいことがよくわからなかった。

「お前が今まで戦ってきたグリードは生への欲だ。しかし私はその逆、死への欲だ。終わりはすべての物に共通する。その死を望む欲望、それが俺の欲望だ。」

「なんでそんな・・・・・」

「俺は王の行いをただ傍観してきた。自分が望むままに、自分の欲だけを満たすために。それを見てなんと愚かなものかと思った。そんな王についてはいけないというと私は封印され、そしてなぜかこの世界にいた。それにな、私のメダルは何も描かれていないいわばプロトタイプ中のプロトタイプだ。」

 出久はただ聞くだけであった。いや、聞くしかなかった。

「この世界はおかしいものだ。力を持っていてもそれを禁じられている。たとえそれが守るためでもあってもだ。くだらない資格だのなんだと言っておきながら結局は自分たちが面倒ごとを回避したいだけだ。そんな姿を見ているとあの王を思い出す。オーズ、俺はこの世界で人間を見て、見定める。」

「もし君が人々を脅かすのなら、僕は全力で止めるよ。」

「ふ、やってみろ。それともう一つ、私の名は・・・・・そうだな、ゼロとでもしておこう。」

 そう言うとグリードは姿を消した。

「・・・・・・・」

 出久はその場をしばらく見るとその場を後にした。

 

 ガンヘッドの事務所の昼食時間、麗日は持ってきたおにぎりと事務所の人に分け与えられたおかずを口にしていたが、箸があまり進んでいなかった。

「どうかしたの、ウラビティちゃん?」

 ガンヘッドが麗日に声を掛ける。

「ガンヘッドさんは出久君のこと知ってますか?」

「出久君?確か雄英体育祭の普通科で、二位になったあの?」

 麗日は頷く。

「出久君は、入試の時にウチを助けてくれたんです。自分の体が限界だってわかっているのに、血まで吐いて助けてくれた。雄英が敵連合に襲撃された時だって、自分で危険だとわかっている力を使って、体中から血を出してまでウチ等を守ってくれた。あんな姿を見てたらウチ、ウチ・・・・・」

 下を向く麗日にガンヘッドが肩に手を置く。

「その気持ちを持っているなら、この短い期間だけで得られるものをすべて吸収しよう。大丈夫。誰かを思う気持ちは力になるから。」

「ガンヘッドさん・・・・・」

「でもどちらかと言うと、恋の力かな?」

「ちょっ!?そ、そんなんじゃないです//////////」

 麗日は顔を赤くする。

 

 ウワバミの事務所で百は一佳と話していた。

「昨日のヒーロー殺しの一件、多分巻き込まれたのではなく出久さんが助けに行ったと思われますね。」

「そうだね。きっと出久ならそうだもの。」

 二人はそう言うとしばらく黙ってしまう。

「・・・・・・・・出久さんは、いつもそうです。誰かのために自分の命を投げ出してしまう、自己犠牲の塊のような人です。だから・・・・」

「うん、助けないとね。無茶をしないためにも。」

 そんな二人を陰でウワバミは微笑ましく見ていた。

 

 蛙吹は一人甲板掃除をしていた。

「フロッピー、そっちはどう?」

「甲板掃除終わったわ、シリウスさん。」

 蛙吹がそう言うとシリウスはジュースを差し入れする。

「毎日船内掃除と訓練ばかり退屈でしょう?」

「ええ、少し。」

「私が職場体験した時と同じ。子供の時に思い描いていたヒーロー像と現実のギャップに戸惑ったわ。もっと華やかな日々を想像していたのに、実際は訓練とパトロールと掃除の日々。しかも船長のパンツの洗濯までやらされて、それのどこがヒーローなのよって。」

「いやになった?」

「最初はね。でも船長のサイドキックをしていてわかったの。ヒーローにとって本当に大切なものが何かを。」

「大切なもの・・・・・・・・・・そう言えば緑谷ちゃんが言っていたわ。」

 ふと蛙吹は緑谷から聞いた言葉を思い出した。

「緑谷ってもしかして体育祭で二位の?」

「ええ。緑谷ちゃんの個性はいろんなところで活躍できるわ。そんな緑谷ちゃんが言っていたの。“一番ヒーローにとって大切なことは自分たちが活躍しないこと。敵を倒すことでもない。ただそこに笑顔があって、笑って、時にケンカして、泣いて。そんな当たり前の日々を見られる。当たり前のように目の前に命が輝いている日常。それが一番なんだ”って。」

 その言葉を聞くなりシリウスは驚いた。

「・・・・・・・・・同い年なんでしょ、その子?」

「ええ。でもどこか私たちと違うの。経験豊富と言うよりも経験してしまったと言った方がいいのかしら?戦い慣れしているけど決して油断しない。命の重みを誰よりも重く受け止める、そんな感じがしたの。」

 そんな時プロヒーローのセルキーが声を掛ける。

「おいフロッピー、蛙だからって油を売っているんじゃねーぞ。シリウスも、監督係に任命したんだ。ちゃんと監督しろ。」

「掃除は終わったわ、船長。」

「私もちゃんと監督しています。」

「おお、そうだったか。俺の早とちりか。」

 セルキーは頭を掻く。

「そうかそうか悪かったな。ごめんね。」

 ぶりっこするように謝るセルキーに対しシリウスは頭を抱える。

「はっはっはっはっは!可愛すぎて声出ねーか?フロッピー。」

「呆れてるんです!いつも言ってますけど、顔だけ可愛くしてもダメです。首から下がマッチョなんですから。」

 シリウスは思ったことを口にする。

「顔も厳ついけど・・・・・」

「なんだと!こいつを子供にやるとバカ受けなんだぞ!」

「それ!単純にバカにされているんですよ!ぜんぜんかわいくないですから!」

 そんな中、蛙吹は思った。

(かわいいわ!)

 可愛いの基準は人それぞれである。

 その時であった。クルーから報告が入る。

「セルキー船長!海上保安庁から連絡が入りました!」

「わかった!すぐ行く!」

 セルキーは艦首へ向かう。

「フロッピー、ロープを外すのを手伝って。おそらく出向よ。」

 その言葉を聞いて蛙吹は気を引き締める。

 そして乗っている沖マリナーは出港する。

 

 海上保安庁から密航者がいるというタレコミがあったという話が来た。

 船をよくよく調べると貨物リストから積み荷が一つなくなっているという話だそうだ。

「これがどういうことかわかるか、フロッピー?」

「海上保安庁の調査が来る前に別の船に積み荷を移し替えた・・・・・・もしかしたら密輸ブローカなのかしら?あ、でも・・・・・」

「どうかしたの、フロッピー?」

 シリウスが水に問いかける。

「その話通りだと不可解な点があるわ。」

「不可解な点?」

「ええ。間抜けすぎるって話よ。緑谷ちゃんが言っていたの。密輸品は大きく三つに分けられる。関税がかかる物、違法に入手した骨董品、そして麻薬。どれも何かに隠して密輸するのが基本だって。もしリストから何か一つなくなっていたらそれはあからさますぎるって話。別の目的ってのも考えられるって。それにそのタレコミ自体が敵の作戦って可能性もあるって言っていたわ。」

 それを聞くなりセルキーは笑って答えた。

「正解!」

 そしてクルーは頭を抱える。

(かわいい!!)

 そして蛙吹はそれを可愛いと思った。

「今回俺たちの任務は、小型船で逃げたと思われる密航者を確保し、保安庁に引き渡すことだ!」

 そして任務は開始された。多くの海難担当のヒーローと海上保安庁の協力のもと行われた作戦は日が沈み、暗くなるまで続いた。

 蛙吹たちが乗っている船の方に密航者と思われる小型漁船が来るという情報を聞きつけ明かりを消し、巡視艇で航路を塞いで照明弾を発射。そして乗り込むという作戦であった。

「船長、これを。」

 蛙吹はそう言うとセルキーにガムを差し出す。

「これは?」

「緑谷ちゃんが言っていたの。魚を収めるところは監禁するには適した場所だからカギを掛けるところにこっそり仕込めばいいって。」

「なるほどな。そいつは確かにそうだ。」

 セルキーはそれを受け取る。

 そして作戦通り任務が行われる。魚を収める場所を除くセルキーたちは落とされ、船長も落とされた。

 しかしそれらすべては囮であった。別の場所で密航者の船は岩陰に隠れていた。

 蛙吹とシリウスはセルキーの指示に従いそちらの方へと向かった。

 情報通り小型船を発見した一同は見張りを拘束し、密航者を取り押さえようとした。

 だがその時、船室からタコ足が伸び、シリウスが捕まってしまう。

「敵!」

 タコの個性を持つ敵がシリウスを捉える。

「こいつはいい実験台が来てくれたもんだ。感謝するぜ、ヒーロー。」

 敵はLと書かれたUSBメモリを取り出すとボタンを押した。

「Lance!」

 そしてそれを自分に刺すと触手の先が槍へと変身する。

「おい、ガキ!こいつを殺されたくなかったらおとなしく言うことを聞け。」

 自分一人では何もできない状況に蛙吹は従うしかないと思っていた。

 その時であった。どこからかエンジン音が聞こえてくる。

「あ?なんだこの音?後ろ?」

 敵が後ろを振り向いたその瞬間、壊れかけていた船室を壊し、ヘルメットを被った青年が水陸両用推進バイク・アクアミライダーを敵にぶつける。

「ぐへぇ!」

 その攻撃によってシリウスが解放されると蛙吹は舌を伸ばし回収して近くの岩へと飛び移る。

「な、なんだてめぇは!」

 敵はアクアミライダーに乗っている青年を見る。

 青年はヘルメットを取ると蛙吹に投げ渡す。

「ケロ?」

「すみません、持っていてもらえませんか?」

「え、ええ・・・・・」

「さて・・・・」

 青年は敵の方を見る。

「あなたが手にしたその力、破壊させてもらいます。」

「あ?破壊するだ!?馬鹿言うな!これさえあれば神にもなれるんだ!」

「人が神になるのなら一回死んで蘇ってみてください。」

 青年はそう言うとベルトをあらわにする。

「ん・・・・」

 シリウスが目を覚ます。

「フロッピー・・・・彼は?」

「わからないわ。でもあの敵が持っている力について何か知っているみたいだったわ。」

 二人は青年の方を見る。

「変身!」

 ベルトから渦潮のように波紋が広がり青年の姿を変える。

「ケロっ!?」

 蛙吹は驚いていた。姿かたちは違えども、どこかオーズと似ていたからだ。

 輝くメタルブルーのボディに銀の仮面、金の瞳を持つ仮面の戦士、仮面ライダーアクアがそこにはいた。

「な、なんだお前は!」

「仮面ライダーアクア。俺の守る今日が、みんなの明日だ!」

「ほざけ!」

 敵は槍の触手を伸ばすがアクアはそれを飛んで回避すると両足から水を放出し、飛び回し蹴りの必殺技を喰らわせる。

「アクアヴォルテクス!」

「ぐぁあああああああ!」

 敵は吹っ飛ばされると同時にUSBが体外へ放出される。アクアはそれを回し蹴りで破壊する。

「任務完了。」

 アクアはアクアミライダーに乗りその場を去ろうとする。

「待って!貴方は、貴方は一体何者なの?」

 蛙吹が問いかけるとアクアは言った。

「僕はただの仮面ライダーだよ。オーズと同じ。」

「けろっ!?」

 アクアはそれだけ言うとその場を後にした。

 蛙吹は驚いていた。なぜ出久のヒーロー名を知っているのか。

そして疑問に思った。仮面ライダーとは何なのかを。

 

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