出久は病院を退院した。医師の間でも出久の症状のことは知れ渡っており、大きい病院では特別にカルテを取り寄せることが出来るのである。
「そう言えば心操君たちどうなんだろう?電話してみ・・・・・・ない方がいいか。LINEで聞いてみよう。」
まだ作業中かもしれないと思い出久はLINEをした。
(そう言えば・・・・・・・最近こういったやり取りするようになったな。)
ふと出久はそう思うことになった。
自分の寿命のことを考え、他人とのやり取りは控えるようにしていた。
(こうやって普通の人のようにやり取りして、接して、同じように時間を過ごして・・・・・・・ちょっと、嬉しいけど悲しいな。)
出久はそう言った時間を今まで過ごせることが少なかったため嬉しかったが、同時にこの時間が永遠でないということに悲しくなった。
そんなことを頭の片隅に置き、思考を切り替え自宅へと戻る。
帰ってくると出久は一人ベッドで横になる。
(・・・・・・・・色々あったなー。)
出久はふと自分のこれまでの人生を振り返る。
突然の不治の病の発症、無個性の診断、異世界へのトリップ、仮面ライダーの力を手に入れる、アンクとの別れ、元の世界への帰還、雄英への入学、USJ事件、雄英体育祭、そして先日のステイン事件。
16歳の少年が経験するにはあまりにも多忙な人生である。
そんなことを考えていると電話が鳴った。
「はい、もしもし?」
『久しぶりだね、出久君!』
「鴻上会長!?」
電話してきたのは鴻上会長であった。
「どうしたんですか、会長?」
『ああ。実は君に報告しておかないといけないことがあるんだ。』
「僕にですか?」
『ああ。根津校長には既に伝えてあるのだが、どうやら財団Xの一部がそちらに出向いているようなんだ。』
「財団X!!」
財団X、それはそれぞれの仮面ライダーの敵を生み出す技術を持つ闇の組織。
たとえ頭を潰したとしてもまた別の頭が誕生するプラナリアのようにしぶとい組織である。
『すでに何人かそちらで活動している。最も、そちらの世界では自警団扱いになるだろうがね。』
「・・・・・・・・」
その言葉を聞くとふと出久はこの世界がいかにおかしいか改めて考えさせられた。
この世界は個性の使用自体を全面的に禁止している。それが人を助けるためでもあってもだ。
それは秩序を守るためだという人もいるが本当は恐れているからではないだろうか?
そして国が認めたものに対してヒーロー。認めていないものに対して敵と区別する。それこそが死柄木弔のような歪んだ思想を持つ存在を生み出したのではないかと。
『・・・・・・・出久君、私は君が思っていると思うような疑問を今でも持っている。だがそんな世界だからこそ君の力が必要なのではないかと私は思うんだよ。』
「ありがとうございます、鴻上会長。」
『なに、気にしなくていい。それでは気を付けて。それと近い内に君のよく知る人物が合流する。それでは。』
電話を切ると出久は一息つく。
「絶対に守って見せる。一人でも多く、この手が届く限り。」
もう二度とあんな思いをしたくない出久の覚悟がそこにはあった。