試験があった翌日、出久は目を覚ますとそこにお茶子の姿はなかった。リカバリーガールによると両親が来て迎えに来たとのことだそうだ。
出久も帰れるかと思ったがリカバリーガールに呼び止められ、ある人物へ会いに行くことになった。
「リカバリーガール、僕に会いたいって人は誰なんですか?」
「会えばわかるさね。ほら、ここだよ。」
案内された場所には校長室とプレートが掲げられていた。
リカバリーガールがノックして入るとそこには顔に傷のあるスーツを着たネズミのようなものがいた。
「あなたが・・・・校長先生ですか?」
「Yes。ネズミなのか犬なのか熊なのか。かくしてその正体は・・・・・・校長さ!」
出久はリカバリーガールの方を向くとリカバリーガールは頷いた。
(ま、まぁおかしいことじゃない。なにも個性が人間だけに宿るってわけでもないんだから・・・・・)
出久は一周回って冷静になった。
「それで校長先生、僕に話って何ですか?」
「それについてほかに二人聞きたい人がいるのさ!二人とも、入ってきて。」
根津がそう促すと二人の人物が入ってきた。
「わーたーしーがー!ドアから入ってきたー!」
「相変わらず自己主張の強いやつだな。」
「オールマイト!それにマンサム所長!」
校長室に入ってきたのはオールマイトとマンサム所長であった。
「え!今ハンサムって言った!」
『いえ、言ってない。』
全員で否定する。もはやこれは恒例行事である。
「緑谷少年、先日はどうも。さて、これから君に衝撃の光景をお見せするよ。」
そういうと突然オールマイトの体から湯気が出始めた。
「え!な、なに!?」
出久は突然のことに戸惑う。煙が晴れるとそこにはがりがりのミイラのような人物がそこにいた。
「へ?え?へ?え?へ?」
出久は突然のことに戸惑いを隠せなかった。目の前で憧れのヒーローが一転してがりがりな姿へと変わったのだから。
「ここにいる全員が彼のこのことを知っている。そしてなぜ、僕たちが君にこのことを打ち明けたかわかるかな?」
根津がそう聞くと出久は首を横に振る。
「これを見て欲しいのさ。」
根津はそう言うとリモコンを手に取りスクリーンを映し出した。そこには研究所で戦っていたオーズの姿があった。
「はっきり言うと君の個性は規格外だ。そして何よりヒーローが敵わなかったあのメダルの怪人。そして何よりその怪人を構成しているメダルを使った武器。僕たちの常識を遥か上に超える代物ばかりだ。君はこのことに知っているみたいだね。良ければ僕たちに話してくれないかな?」
出久は考えた。
このまま個性として通すにはあまりにも無理がある。しかもここにいるのはバックとしてはとても心強い人たちばかりである。今後のことも考えて出久は話す決意をした。
「わかりました。それでは・・・・・あ!」
「なにかな?」
「こういう時に限って大抵いいタイミングで来るんですよね。」
出久はそう言いながら窓を見ると液晶モニターを咥えたタカカンドロイドが窓を割って入ってきた。
「やっぱり。」
「さすがだね!すばらしい予測だよ、出久君!」
一同モニター越しに映し出される鴻上に驚く。
「やあ、異世界のヒーロー諸君!今日出久君との再会と君たちとの出会いに、ハッピーバースデイ!」
モニター越しに相変わらずのあいさつをする鴻上に出久は安心感を抱いた。
「さて、君たちとの出会いの記念に君たちが疑問に思っていることをお答えしよう!出久君、メダルホルダーとオーズドライバーを出したまえ!」
出久は言われるがままにオーズドライバーとメダルホルダーを出した。
そして鴻上の口からオーズについての歴史が語られた。
800年前の王の命により錬金術師によって作られたコアメダル。
欲を満たすために生まれた怪人グリード。
コアメダルによって変身したオーズ。
逆らうものをすべて消していった力。
すべてのコアメダルを取り込もうとして自ら封印の棺となった王の末路。
800年の時を経てよみがえったグリード。
オーズとしてヤミー、そしてグリードと戦った日々。
戦いの中で得た強力で危険な力。
すべてを無へと返そうとした強敵。
そして世界を救った話。
一同その内容に驚きを隠せなかった。
「まさか個性がない世界でそのようなことが起きていたとは・・・・・」
「無理もない。だがしかし!ヤミーの脅威は去っても我々の世界にはオーズ以外にも存在するのだよ!仮面ライダー・・・・っがっ!」
『仮面ライダー?』
「そう。人知れず世界の平和のために巨大な悪と立ち向かう君達で言うところの正義の味方と言うところさ。彼らは報酬を貰っているわけではない!しかし!たった一人でも多くの笑顔を守るために戦っている。それが仮面ライダーなのだよ!」
鴻上からの説明もあって一同は出久の力を理解した。そしてそれは出久にしか制御できないことを改めて思い知らされたのであった。
鴻上の説明が終わると出久はオールマイトと対峙する形で向かい合っていた。
二人以外は校長室から退室していた。
「さて、緑谷少年。私の本名は八木俊典。こんな体なのには理由がある。と言っても、表立って言える内容ではない。君のような仮面ライダーが巨悪と立ち向かったように、私も立ち向かったのだ。私はそいつを倒した!・・・・・だがその代わり深手を負ってしまってね。呼吸器官半壊、胃袋全摘、度重なる手術と後遺症で憔悴しているのが現状だ。活動時間は今や三時間ほどだ。」
「さ、三時間!」
出久はそのことに驚きを隠せなかった。
「先日君が倒したヘドロ敵、あれは私の友人に頼んでお咎め無しにしてもらっているから大丈夫だよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「なに、礼を言うのはこっちの方さ。あの後警察に届けようとしたときにうっかり落としてしまってね。昨日試験を受けに来ていた少年に被害を出してしまった。
そして同時に君も気づいているかとは思うが、今のヒーローの質の低下を。」
「っ!!」
オールマイトですらも気づいていた。現状オールマイトは永遠のヒーローではない。
無論、それは仮面ライダーにも言える。今の仮面ライダーはいずれ寿命を迎え、そして新たな世代へと引き継がれていく。
しかしその後継者や新たなライダーが軟弱では引退もロクにできない。
「私はあの日君の変身を、いや活躍を見た時からこう決めていたのだよ。
君は“力”を受け継ぐに値する・・・・・・とね。」
「個性を受け継ぐ・・・・・ですか?」
「そう!私が持っている個性、その名は”ワン・フォー・オール“。聖火のごとく引き継がれてきたものなんだ。」
「そんな個性があるのですか!」
「あるとも。そしてこの個性の特徴、それは力を譲渡することによって力を蓄えていくものだ。一人が力を培い、その力を一人へ渡し、また培い次へ・・・・そうして救いを求める義勇の声を紡いできた力の結晶!力を引き継いでくれるかい、緑谷少年?」
出久はすぐに答えたかった。しかしここで一つ大きな問題が発生した。それは自分の体のことである。
プトティラで抑制させているとはいえど病魔が出久の体を蝕んでいた。
(どうしたらいい・・・・・・正直この話はのどから手が出たいほどだ。だけど・・・・・僕には・・・・・・)
そんな時であった。肩に手を置かれる感覚がしたので後ろを振り向くとそこには見覚えのある左手があった。出久はおもむろにその手の主を見るとそこにはアンクがいた。
「お前の好きなように選べ。言っただろ。お前の手の掴む手は、もう俺じゃないと。」
アンクはそう言うと消えた。幻覚なのかわからなかったが、出久は答えを決めた。
「オールマイト・・・・・・・・・・ごめんなさい。僕には受け取れません。」
「なっ!?ど、どうしてなのだね!!」
動揺するオールマイトに出久は自分の体のことを説明した。
「そうか・・・・・・君がそう決めたことなら仕方ない・・・・・・だが、私は君を後継者の一人だと思って、候補に入れておくことを忘れないでくれ。できれば、君に受け継いでほしいと思っているんだ。」
「オールマイト・・・・・・・ありがとうございます。」
出久はオールマイトに一礼をして、話は終わった。
試験の結果は合格したが編入されるのは普通科であった。試験の時の吐血と専門医からの話によって出久は普通科に入らされた。
月日はまた流れ春。入学式当日、出久は自宅から雄英へ向かおうとしていた。
「出久!ティッシュ持った!?」
「うん。」
「ハンカチも!?ハンカチは!?ケチーフ!」
「うん!!」
「出久!」
「なァにィ!!」
「超、カッコイイよ。」
「・・・・・・・!行ってきます!」
出久は雄英の制服身に纏い、雄英へと向かった。
雄英は多くの生徒が通学している。
ヒーロー科、普通科、サポート科、経営科と大きく四つに分かれている。科も分かれていればそれなりにクラスも分かれている。そのため施設は大きく、広いのである。
「えーっと・・・・・1-Cってどこなんだろ?」
「お前も1-Cなのか?」
出久は突然声を掛けられた方を向く。するとそこには目のクマが特徴的な生徒がいた。
名前は心操人使。個性は洗脳である。ヒーロー試験で個性が合わず普通科に編入となった。
「緑谷、お前の個性ってなんだ?」
「僕の個性は強化系かな?」
「なんで自分の個性に疑問符をつけるのかをツッコミたいところだが・・・・・・・・・着いたみたいだ。」
大きな扉に1-Cを書かれていた。
「ドアでか!」
「バリアフリーってところか。いろんな個性持ってる奴がいるからな。」
心操が先に入ると急に足を止めた。出久は何かと思い中を見る。すると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ハッピバースデーツーユー!ハッピバースデーツーユー!ハッピバースデーディアC組―!ハッピバースデーツーユー!(以後繰り返し)」
生徒の机の上にはケーキが置かれ、バースデーソングが流れていた。
「今日ってだれかの誕生日か?」
「いや、それでも全員にケーキはないだろ。」
「これが雄英なりの歓迎なのかな?」
「にしても高そうだよな、このケーキ。」
「そうだね。あ、これ私好みの味だ。」
C組が反応する中、出久は思った。
(里中さん、いい仕事しすぎ。別世界なのによく仕事できて逆に怖い!)
入学式とガイダンスが終わり、そのまま下校となった。ちなみにケーキは各自で持ち帰ることになりました。
(鴻上会長・・・・・・本当にケーキ作り好きだよね。あれで仕事が出来てるって……ケーキ作りしてたら普通仕事する時間ないのに・・・・・もしかして大半を里中さんがしてたりして。)
出久がそんなことを思って帰ろうとしているとふとグラウンドに集まっているA組が目に入った。
(あれは・・・かっちゃんに麗日さんに三奈さんだ。てことはあそこにいるのはA組と担任の先生。どうしてこんなところに?)
出久はふと気になり近づいてみた。
「んじゃパパっと結果だけ言うな。最下位の峰田、そして葉隠は除籍な。
まず峰田。反復横跳びは自分の個性を上手く使っていたがそれ以外はからっきしだ。
そして葉隠。お前は透明なだけでそれ以外はほとんど無個性と変わらん。」
「く・・・・」
「そんな・・・・」
「わかったならさっさと「待ってください!」っ!?」
除籍を言い渡そうとする相澤に出久は止めに入った。
(デクっ!?)
(出久君!)
(緑谷君!)
麗日と芦戸は出久が入学していることに驚いた。
「お前は?」
「1-Cの緑谷出久です。入学初日に除籍ってひどくないですか?」
「自然災害、大事故。身勝手な敵たち。いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽まみれだ。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー、そして学ぶのが
相沢の話を聞くと出久は少し考えてある提案をした。
「先生に適合されて生徒に適合されないって話はないですよね?だったら僕たちと勝負してください。除籍を賭けて。」
「お前何を言って・・・・そんなの「かまわないさ。」いいって・・・・・・・校長!」
相沢と出久たちは突然現れた根津に驚いた。
「確かに彼の言う通り筋が通らないといけないからね。その提案、僕が公認するよ。」
かくして生徒三人VSプロヒーローとの模擬試合が決定した。