ここから先は思いっきり暴れるつもりですよ。
セントラルビル7ロビーに出久が上がるとそこにはウェイター姿の上鳴と峰田、正装の飯田と轟、伊達の姿があった。
「ごめん、待たせて・・・・・・て、女子はまだなんだね。」
「ああ。団体行動を何だと思っているんだ!」
「まぁまぁ飯田ちゃん。女ってのは時間がかかるもんだよ。綺麗でありたいがゆえに時間がかかるのが女だ。大人になったらこういうこと経験するから今のうちに慣れときなって。」
怒る飯田を伊達が宥める。年長者で経験豊富であるが故のことだ。
「ごめん、おくれても~たぁ。」
「申し訳ありません。耳郎さんが・・・・」
「ウチはこう言うの似合わんって・・・・・」
大胆でかわいらしいドレスを着たお茶子の後から、大人っぽいエレガントなドレスの八百万の後ろに隠れているシックなドレスを着た耳郎が来た。
「馬子にも衣裳だな。」
「女の殺し屋みてぇ。」
上鳴と峰田の言葉に耳郎はイヤホンジャックをする。
「二人とも、孫じゃなくて馬の子と書いて
よく勘違いされるがどんな人間も身なりを整えれば立派に見えるって意味である。
ちなみに馬子とは馬を引く人の事である。
そんな中、麗日と八百万が近づいて尋ねる。
「ね、ねぇ出久君。似合ってるかな?」
「わたくしも頑張りましたが・・・・・・・どうでしょうか?」
「うん!お茶子ちゃんは可愛らしくて百ちゃんは大人っぽくて綺麗だよ。」
真正面から素直に言われ、二人は顔から湯気を出す。
「緑谷ってああいうところあるよな。」
「それが出久ちゃんなのよ。」
呆れる耳郎に伊達が頷きながら言う。そんなことを言っているとメリッサが来た。
「出久君たちまだここにいたの?もうパーティー始まっているよ!」
メガネを外し、大胆なドレスで来たメリッサ。
その時、突如ロビーのシャッターが一斉に閉まった。
「な、なに!」
「伊達さん、これって・・・・」
「そうかもね、出久ちゃん。」
焦るみんなに対し出久と伊達は冷静であった。
「エレベーターは動かないな。」
「ドアも開きませんね。テロ対策としては納得できるけど今回は・・・・・・」
二人は冷静に分析する。
「ふ、二人ともどうしたんだ?」
「この状況を整理しよう。まず僕たちはここに取り残された。そして外部と通信しようにも妨害されている。これを考慮して乗っ取られたと仮定した方がいい。」
「乗っ取られた!」
「待てよ!ここにはオールマイトが来てんだぞ!」
驚く上鳴と峰田。
「メリッサちゃん、ここにもし敵が侵入してきたときの防犯装置はある?」
「え、ええ・・・・・でもそれをするにはここのメインコンピューターから直接操作しないといけないわ。」
「と言うことは・・・・・・乗っ取られたな。」
『っ!?』
一同その言葉に衝撃を受ける。
「でもどういう状況なのか僕たちは全く理解できていない。エレベーターも使えないとなると・・・・・・・・百ちゃん、女子全員分の運動靴を創造してくれる?」
「わかりました。ではみなさん、足のサイズを教えてください。」
八百万が女子一同に足のサイズを聞くなか、飯田が尋ねる。
「どうするつもりだ、緑谷君?」
「行動しないとわからないから会場までは非常階段で行くしかない。幸い、ここは多くの職員を逃がすために通路が広いだろうけどヒールとかじゃ靴擦れを起こすし足に疲労が溜まる。運動靴にしてもらった方がいいってわけ。」
「ここにいても何が起こるかわかんねぇしな。団体で動いて安全を確保。この場で一番危険なのはメリッサちゃんだからな。」
出久と伊達は冷静に状況を分析した。
この場で戦闘訓練を受けていないのはメリッサであり、人質の価値としてあるのもメリッサである。
デイヴィッド博士の娘である彼女は交渉の材料としては最高のカモである。
「準備できましたわ。」
運動靴と靴下を履いた女子たちは行動可能である。
「じゃあ行こう。下手に足音を立てずに動こう。いいね?」
その言葉に一同頷いた。
出久たちはカメラのない非常階段で待機し、レセプション会場が見える階には出久は念のため持っていたバッタカンドロイドとバッタカンドロイドを起動し、伊達も持っていたバッタカンドロイドと連動して中の様子を探った。
中はヒーローが拘束され、敵たちが武装して占領していた。
「マズい状況だな。オールマイトならすぐ動くのに動かないってことは人質はここの島全体にいる人間だな。メリッサちゃん、ここから出ることはできるかい?」
「ここの警備は敵を収容するタルタロスと同じレベル。脱出はできないわ。」
「だとよ。どうする、出久ちゃん?」
「・・・・・・・・ん~、飯田君。君ならどうする?」
出久はふと飯田に問いかける。
「俺ならまず外部と通信できる手段を探す。」
「OK。じゃぁその手段が無かったらどうする?」
「脱出を試みる。」
「それが無かったら?」
「それは・・・・・」
飯田はそこから先の答えが出なかった。
「メリッサさん、ここの制御室は?」
「最上階の階にいるわ。」
「なるほど。監視カメラの映像もそこに集中してる?」
「ええ・・・・・・・でもどうして?」
出久は自分の考えを話す。
「ここにいる見張りは手練れじゃない。肩に担いでいる時点で隙だらけだ。それにここにいる見張りの数が多すぎる。二~三人がいい数だ。それなのに多いってことはここにいる人たちは捨て駒と仮定した方がいい。となると本命は上にいる敵たち。問題は人数だけど・・・・・・多分少数精鋭だ。そっちの方が作戦が成功しやすいし、連絡が取りやすい。
機械関係はおそらく二人くらいかな?護衛が・・・・・最低でも二人いることを仮定しよう。リーダーを合わせて最低五人だ。ここを占領するのにこれだけの人数と言うことは多分内通者がいると思っておいた方がいい。そしてさっきの映像で確認していなかったのはデイヴィッド博士とサムさん。この二人がいないということはこの二人でなければ手に入れられない代物か、もしくは二人が目的だとする。」
その言葉にメリッサが驚いた。
「パパが!どうして!」
「世界的に有名な博士の発明よりも博士の頭脳の方がものを盗むよりも価値がある。ここにいる人を人質にすることで無理やり協力させるってこともできる。
結論から言おう。僕はここの奪還作戦を提案するよ。」
その言葉に一同驚く。
「なにを考えているんだ緑谷君!僕たちはまだヒーローではないのだぞ!」
「そうですわ!”個性”を使うことだって・・・・」
「だからって、ここで何もしないわけにもいかないでしょ。それに・・・・ヒーローってのは誰かを助けるのにいちいち許可がいるのかい?俺にはわかんねぇな。」
伊達はそう言うとネクタイとスーツを脱ぎ捨てる。
「出久ちゃん、俺は賛成だぜ。」
「俺もだ。」
そう言ったのは轟であった。
「どの道出られねぇ状況なら、出られるようにした方がいい。それに、敵が目標を達成した後にここを爆破しねぇとも限らねぇしな。」
「・・・・・しゃーねー。イッチョ派手にやるか。」
上鳴も立ち上がる。すると他の面々も立ち上がり決意を決める。
「出久ちゃんはここぞという時まで変身はするなよ。最後の切り札だ。」
伊達の言葉に出久は頷く。
「んじゃイッチョ行きますか。」
伊達はそう言うとミルク缶を背負う。
(どこから取り出した!?)
出久以外の全員が今気にするべきではないと判断し、非常階段を進んだ。