それでは今回も温かい目でお願いします。
「おーし、ご苦労さーん!今日はこれで上がっていいぞ!ほら、今日の日当だ」
「どうもです。お疲れっしたー!」
「うす。」
「したー!」
親方の仕事の終了の声で、俺たちは日当を受け取ると挨拶と共に頭を下げる。
俺は自分が本当に専業主婦志望だったなんて自分でも信じられ位くらい、この世界に来てから働いている。
俺たちは、その日その日の日当を握りしめ、街の大衆浴場に向かう。
日本でいう銭湯だ、その後、酒場にて晩飯を食べ、馬小屋へと向かう。
馬糞がついてない藁を選んで寝床を作ると、早々にと横になる。
俺、カズマ、アクアのの順に寝転がる。
「じゃあ、お休み」
「ん、お休み」
「おう、お休み。……ふう。今日もよく働いたなあ……」
そのまま眠りにつこうと思ったのだが、カズマの声で眠れない。
「いや、待ってくれ」
「どうしたの?寝る前のトイレ行き忘れた?暗いしついて行ってあげようか?」
「いらんわ。いやそうじゃなくな。俺達、何で当たり前の様に普通に労働者やってんだって思ってさ」
「金がないからだろ」
「いや、そうだけどさ、俺が求めているのはモンスターとの手に汗握る戦闘!みたいな!」
熱くなるカズマの声に他の馬小屋暮らしの人から罵声が飛ぶ。
「おい、うるせーぞ!静かに寝ろ!」
「あっ、すいません」
駆け出し冒険者は貧乏だ。
宿に部屋を取って毎日寝泊りとか、普通はありえない。
一般的には、ほかの冒険者たちと金を出し合って大部屋で雑魚寝とか。今の俺たちの様に、宿の馬小屋を借りて藁の上で寝るとからしい。
正直言って、想像していた異世界生活とは程遠い、これはカズマも同様の感想だと思う。
なんせ異世界生活も二週間目に入ってなお、今だモンスターに会ったこともないし、魔法すら、未だに覚えていない現状だ。
ということで、ついに異世界生活二週間目にして、ついに俺達は、モンスターと戦うことを決意したのだ、
「ということで、まず必要最低限の武具をそろえていくか」
「そうだな、なあなあ、ハチマンお前どんな武器買うんだ?」
武器屋に向かう途中、やけにウキウキした声で俺に話かけてくるカズマ。
まあ、異世界生活二週間目にしてやっと冒険者らしいことをするからな、ここで多少気分が上がるのも分からなくないな。
「そうだな、個人的には刀がほしいが、世界観的に、刀があると思えないがら、普通のブレードか、魔法の威力を上げる杖、どちらかが欲しいな、金銭的に、両方は無理だしな、後は回復ポーションかな」
「おおー、やっぱハチマンは分かってるな、やっぱ日本は刀だよな、抜刀術とかやってみたいよな」
「まあ、確かに憧れはあるけど、そういうスキルを会得しない限り、できる気がしないけどな、その点冒険者だと、どんなスキルでも覚えられるから、よかったな」
「まあ、それだけが取り柄だからな、っていうか、回復ポーションは買わなくていいぞ」
「は?」
「いや、だって、アクアが回復魔法覚えているから、いらないだろ?」
「アクアはお前の選んだ、特典だろ?俺は別の物を選んだわけだし、そこで、俺がアクアの力を借りるってのはあれだろ」
「別にパーティメンバーなんだから普通だろ?」
「え?俺らってパーティーメンバーなの?」
「いやいやいや、どう見ても、そうだろ、一緒に異世界にきて、もう二週間も一緒に過ごしてるんだぜ」
「お、おう」
これは、あれか?友達というやつなのか?
元の世界では、誰一人居なかった、絶滅危惧種のあれなのか?
いや、パーティーメンバーということは、仲間ってやつか?
「ハチマンは武器いらないわよ」
思考に陥っていると、アクアの突然の声に会話に意識を戻される。
「え?俺武器いらないの?俺に素手で戦えっていうのか?」
「違うわよ、正確には、買う必要がないのよ、刀?だっけ、ハチマンの特典には刀がついてくるのよ、詳しくはクエスト中に教えるから、もし他にも武器が欲しいなら、買ってもいいけど、買うなら、主武器はやめた方がいいわよ」
いきなりの衝撃に事実に、驚くが、これは朗報だ、これで、武器代にかかる金が大幅に減ったといっても過言ではないのだから、まあ、しいて言うなら、特典のこともう少し早く教えてくれないかな、そしたら、土木工事のバイトなんてしなくて済んだかもしれないのに。
そんな中、各々最低限の武具をそろえ、雲一つない、晴れやかな青空の下。
「「あああああああ!」」
「助けてくれ!アクア、助けてくれええええええ!」
現在巨大なカエル型モンスター、ジャイアントトードに追いかけられいる。
ギルドで早速クエストを請けた俺達は、街の外に広がる広大な平原地帯に出向いている。
必要最低限の武器として、カズマはショートソードを俺は、指揮棒サイズの杖を買った。
此処で、想定外の出来事が二つ起きた、一つは、ジャイアントトードのサイズが想像以上だったことだ、名前からして、大きいカエルとイメージして、楽勝だと思った俺らは、容易にこのクエストを請けに来たのだが、俺もカズマも大きくてせいぜい一、二メートル、ぐらいだろと、想定していたのだが、その体躯は少しばかり俺らの想定を上回っていた。
日本にいるカエルで世界最大のサイズでさえ、せいぜい八十センチが限界だろう、
そしてヒキガエルと言われた俺でさえせいぜい二メートル無い。
二つ目は杖を買ったにもかかわらず、俺……まだ魔法覚えてませんでした。
特典により武器代が浮くと知り、完全に浮かれていた。
カズマも片手剣スキルをまだ覚えていないので、自分の技量だけで、カエルを倒さねばならないのだ。
「アクアー!アクアー!!お前いつまでも笑ってないでたすけろよおおお!」
というか早く、特典の使い方おしえろよおおおお
「まずは、この私をさん付けするところから始めてみましょうか」
「「アクア様」」
知力皆無とはいえ、仮にも女神、アクアのハイスペックさは、冒険者カードを見て知っている。そのハイスペックさで、この状況を打開してもらうために、今、この瞬間のみアクア必死に崇める。
必死に逃げ回っていて気づくのに遅れたが、カエルはすでにターゲットを俺らではなくアクアに変えていた。
ふんぞり返りながら何かを言っていたアクアが姿を消した。
カエルに視線を移すと、そのカエルの口からアクアの足らしきものが、ビクンビクンと震えている。
「アクア!おま、お前、食われてんじゃねえええええええ!」
そこで俺とカズマは互いに目を合わせ、次の瞬間にカエルに向かって走り出した。
カズマはともかく、俺は指揮棒サイズの杖一本で戦えるなんて思ってないので。
特典であるカードを出し、武器の出し方を探る、帰るまでの距離は二十メートルといった所、それまでに、刀をださなければならない、結局、残り五メートルになるまでに刀を出せなかったので、とりあえずやけくそで、出て来いよ、念じたら、の刀が、俺の手に握ぎられていた。どうやら、念じたら出てくる仕組みだったらしく、刀を両手でしっかりと持ち、カエルに向かってカズマと飛びついたのであった。
無論刃物なんて包丁以外使ったことないの、刀で、斬るなどの行為ができるとは思ってないので、峰で、思いっきり頭を殴った。
「ぐすっ…、うっ、うええええええっ…、あぐうっ……!」
目の前にはカエルの粘液でねちょねちょになって泣くアクア、隣には、俺たちに頭を砕かれたカエルが横たわっていた。
「うぐっ……ぐすっ…あ、ありがと…、カズマ、あ、ありがとうね…っ!ハチマン、…っ!うわああああああんっ……!」
「だ、大丈夫か?アクア、しっかりしろ……、その、今日はもう帰ろう。請けたクエストは、三日の間にカエル五匹の駆除だけど、これは俺達の手に負える相手じゃない。もっと、装備を整えてからにしよう。俺なんて、武器はショートソード一本、防具すらなくジャージのままだ。せめて、冒険者に見える格好になってからにしよう」
「ああ、それと、せめてスキルを一つでも習得してからにしようぜ」
正直言って素人の俺らでもカエルを仕留められたのもは、カエルがアクアの捕食に夢中だったからだ。
こちらはカズマと俺で二人とはいえ、正面切って戦う勇気はない。
「ぐすっ…。女神が、たかがカエルにここまでの目に遭わされて、黙って引下がれるもんですか…っ!私はもう、汚されてしまったわ。今の私を信者が見たら、信仰心なんてダダ下がりよ!これでカエル相手に引下がったなんて知れたら、美しくも麗しいアクア様の名が廃るってものだわ!」
そういってアクアは、少し離れたところにいるカエルに向かって走り出した。
「神の力、思い知れ!私の前に立ち塞がった事、そして神に牙を剝いた事!地獄で後悔しながら懺悔なさい!ゴットブロー!」
アクアは拳に白い光を宿らせカエルの腹に殴りかかる。
だが、クエストを請けたときに受けつての人から、ジャイアントトードは打撃系の攻撃は効きにくいと聞いたのだが。
ぷよんとカエルの柔らかい腹に拳がめり込み、そして殴られたカエルは、まるで何もなかったかのように、アクアと目を合わせる。
「……カ、カエルって、よく見るとかわいいと思うの」
…俺達は、本日二回目に捕食された女神を助け、今日の討伐を終えた。
ハチマンの特典は出しましたが、詳しい説明は次回へ持ち越しです。
すいません。