この素晴らしい世界に捻くれを!   作:八住白露

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速ければ明日にでも投稿できます。
とか言いながら遅れてすみません。
今回も温かい目でお願いします。




このキャベツとリッチーに祝福を

 

『緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

街中に大音量のアナウンスが響く。

 

「おい、緊急クエストってなんだ?モンスターが街に襲撃に来たのか?」

 

突然のアナウンスに不安気味なカズマが、自分よりこの街に詳しいであろう、ダクネスとめぐみんに問う。

 

「……ん、多分キャベツの収穫あろう。もうそろそろ収穫の時期だしな」

 

「は?キャベツ?キャベツって、モンスターの名前か何かか?」

 

俺から見て当たり前と思えるカズマの反応にめぐみんとダクネスは可哀想な人をでも見るかのような目で見つめる。

 

「キャベツとは、緑色の丸いやつです。食べられる物です」

 

「噛むとシャキシャキする歯ごたえの、美味しい野菜の事だ」

 

俺もどちらかと言えばカズマ側の対応なのだが、流石にめぐみんとダクネスに可哀想な目で見られるのは、許容できないので、このビックウェーブに乗らせてもらう。

 

「アブラナ目アブラナ科アブラナ属の多年草の事だ」

 

「そんな事知っとる!ってハチマンは無駄に詳しいな!!」

 

カズマのツッコミを合図にしたかの様に、ギルドの職員が建物内にいる冒険者に向かって大声で説明を始めた。

 

「皆さん、突然のお呼び出しすいません!もうすでに気づいている方もいると思いますが、キャベツです!今年もキャベツの収穫時期がやって参りました!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき一万エリスです!すでに街中の住民は家に避難して戴いております!なお、人数が人数、額が額なので、報酬の支払いは後日まとめてとなります!」

 

ギルドの職員のあまりの謎発言に俺とカズマは互いに顔を合わせる。

それと同時に冒険者たちが歓声をを上げながら外へ向かい始めた。

その流れに乗りつつギルドの外に出ると、遠目でしか見えないが、緑色の物体が大量にアクセルの街に向かって来ていた。

 

「この世界のキャベツは飛ぶわ。味が濃縮してきて収穫の時期が近づくと、簡単に食われてたまるかとばかりに。街や草原を疾走する彼らは大陸を渡り海を越え、最後に人知れぬ秘境の奥で誰にも食べられず、ひっそりと息を引き取ると言われているわ。それならば、私達は彼らを一玉でも多く捕まえて美味しく食べてあげようって事よ」

 

「俺、もう馬小屋に帰って寝てもいいかな」

 

唖然と呟くカズマの隣を、勇敢な冒険者達が気勢を上げて駆け抜けてゆく。

カズマはどうも、異世界に憧れがあるせいか、キャベツ相手だと乗り気ではないようだ、

それに対して俺は、少し乗り気である。

先程アクアにスキルの覚え方を教わり、覚えたスキルを試したい気持ちや、一玉一万エリスと高額報酬のクエスト。

条件だけで言えばこの世界に来て一番いい出来事だと思う。

ただ、一つだけ納得できないことがあるのだ…。

それはアクアの言葉の一部にある。

別にアクアの言い方がむかついたわけでも無い。

むしろ有益な情報を提供してもらった身だ、感謝すら覚える。

だが……キャベツの事を彼って言うのやめてくれないかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルド内で出されたキャベツ炒めを一口食べる。

 

「何故だたかがキャベツの野菜炒めがこんなに美味いんだ。納得いかねえ、ホントに納得いかねえ」

 

「ほんと何なの?このキャベツ。レギュムの魔術師が作った野菜炒めなの?」

 

カズマの一言の思わず納得する俺、無事キャベツ狩りが終わった街中では、あちこちで収穫されたキャベツを使った料理が振舞われていた。

 

「しかし、やるわねダクネス!あなた、流石クルセイダーね!あの鉄壁の守りには流石のキャベツ達も攻めあぐねていたわ」

 

「いや、私など、ただ硬いだけの女だ。私は不器用で動きも速くは無い。だから、剣をふるってもロクに当たらず、誰かの壁になって守る事しか取り柄が無い。……その点、めぐみんは凄まじかった。キャベツを追って街に近づいたモンスターの群れを、爆裂魔法の一撃で吹き飛ばしていたではないか。他の冒険者達のあの驚いた顔といったら無かったな」

 

「ふふ、我が必殺の爆裂魔法の前において、何物も抗う事など叶わず。…それよりもカズマとハチマンの活躍こそ目覚ましかったです。魔力を使い果たした私を素早く回収して背負って帰ってくれました」

 

「……ん私がキャベツやモンスターに囲まれ、袋叩きにされている時も、さっそうと現れ、襲い来るキャベツ達を収穫していってくれた。助かった、例を言う」

 

「確かに、カズマは潜伏スキルで気配を消して、敵感知で素早くキャベツの動きを捕捉し、背後からのスティールで強襲し、ハチマンは覚えたての中級魔法を駆使して、敵を水で濡らし凍らせ、冷凍させることにより、新鮮度を保った状態で収穫する姿はそれは見事でした」

 

「私の名において、あなた達に『キャベツスレイヤー』の称号を授けてあげるわ」

 

「いるか」

 

「いらんわ!」

 

 

 

 

カズマは頭を抱えたままテーブルに突っ伏した。

緊急事態だそうだ。

 

「では…。名はダクネス。職業はクルセイダーだ。一応両手剣を使ってはいるが、戦力としては期待しないでくれ。なにせ、不器用すぎて攻撃がほとんど当たらん。だが、壁になるのは大得意だ。よろしく頼む」

 

…仲間が一人、増えました。

ダクネスが仲間になったことにより、アクアが満足そうに余裕の笑みを浮かべながら。

 

「……ふふん、ウチのパーティーもなかなか、豪華な顔触れになってきたじゃない?アークプリーストの私に、アークウィザードのめぐみん。そして、防御特化の上級前衛職である、クルセイダーのダクネス。五人中三人が上級職なんてパーティー、そうそうないわよ?感謝なさいな」

 

未だカエルの囮ぐらいしか役に立った事の無いアークプリーストに一日一発が限界のアークウィザードそして攻撃の当たらないクルセイダー。

…上級職ってなんだっけ?

そう思わずには居られない一日だった。

 

 

現在の俺のスキル一覧

初級魔法・中級魔法・付加魔法・支援魔法

それぞれに使用してスキルポイント

初級魔法・一ポイント

中級魔法・十ポイント

付加魔法・十五ポイント

支援魔法・十ポイント

計三十六ポイントの消費…残り二十六ポイントです。

 

 

レベルが五になりました。

カズマはレベルが六になりスキルポイントが二ポイントとなり、他パーティーの魔法使いと剣士から、片手剣スキルと初級魔法スキルを教えてもらったようだ。

どうやら、冒険者はスキルを覚えるためには、まず誰かにスキルを教えてもらわないと、冒険者カードにスキルが現れないらしい、他の職業者は最初から冒険者カードのスキル欄に現在覚えられるスキル欄が記載されている。

…と、いう訳で。

 

「ハチマン!装備整えに行こうぜ!!」

魔法に片手剣スキルを覚えたことのよって冒険者らしくなったので革製でもいいから鎧の一つでも欲しいとのことだ。

 

 

「…ほう見違えたではないか」

 

「ようやく二人がちゃんとした冒険者に見えます」

 

もはや溜まり場にもなっている冒険者ギルドにて、ダクネスとめぐみんが俺達の恰好を見て感想を述べた。

 

現在の恰好は、こちらの世界の灰色の服の上から革製の胸当てと金属製の籠手、同じく金属製のすねあてを装備している。

カズマも俺とほとんど変わらない。

ただ、服の色が緑色なだけだ。

 

という訳で、装備も新調しスキルも覚え、新しいメンバーも増えた、ということでクエストに行こう。

 

街から外れた丘の上。

そこは、お金の無い人や身寄りの無い人がまとめて埋葬される共同墓地がある。

この世界の埋葬方法は土葬。

そのまんま土に埋めるだけだ。

今回受けたクエストは、共同墓地に湧く、アンデットモンスターの討伐。

このクエストを請けた理由は、アクアにある。

プリーストとは前衛に出て戦うわけでも無く、攻撃魔法で相手を倒すわけでも無いので、レベルの上げにくい職業なのだ、それは上級職であるアークプリーストでも同様なので、唯一の例外アンデットモンスターの討伐に来ていた。

アンデットモンスターは回復魔法を食らわせると、身体がボロボロに崩れる。

よくあるゲーム設定だが、それはこちらの世界でも適応されてた。

 

 

俺たちは現在、墓地の近くで夜を待つべくキャンプをしていた。

俺とカズマで初級魔法を生かしてバーベキュウをしながら夜を待つ。

クリエイトウォーターで水を注ぎ、ティンダーという火の魔法で炙る

 

今回引き受けたのはゾンビメーカと呼ばれる雑魚モンスターの討伐。

時刻もそろそろなのでカズマの敵感知スキルで墓地へと歩いていく。

 

「何だろう、ピリピリ感じる。敵感知に引っかかるな。いるぞ、一体、二体・・・三体、四体・・・?」

 

ゾンビメーカの取り巻きゾンビは、二、三体と聞いたが、聞いた情報より取り巻きの数が多いそうだ。

遠くに怪しく青く光る魔法陣があり、その魔法陣の隣には黒いローブの人影が見えた。

 

「・・・あれ?ゾンビメーカーではない・・・気が・・・するのですが・・・」

 

めぐみんが自信なさげに呟いく。

 

「突っ込むか?ゾンビメーカーじゃなかったとしても、こんな時間に墓場に居る以上、アンデットに違いないだろう。なら、アークプリーストのアクアが居れば問題ない」

 

カズマの提案に納得し賛成しようとしたところで、アクアが叫びながらローブの人影に走り出す。

「ちょっ!おい待て!」

 

カズマの制止も聞かずに飛び出したアクアは、ローブの人影に駆け寄ると、ビシッと人影を指差す。

 

「リッチーがノコノコとこんなところに現れるとは不届きなっ!成敗してやるっ!」

 

リッチー。

アンデットの最高峰のノーライフキングと呼ばれるアンデットの王。

あいつ、そんなバケモンに何、喧嘩売りに言ってんだよ!

女神とは言え、この世界では力の弱ってる何ちゃって女神なんだから、ヤメテ殺される。

 

「や、やめやめ、やめてええええ!誰なの?いきなり現れて、何故私の魔法陣を壊そうとするの?やめて!やめてください!」

 

「うっさい、黙まりなさいアンデット!どうせこの怪しげな魔法陣でロクでもないこと企んでるんでしょう、なによ、こんなもの!こんなもの!!」

 

ローブの人影だろうモンスターが、グリグリと魔法陣を踏みにじるアクアの腰に、泣きながらしがみついていた。

えーとどうしよう。

どう見ても、アクアがローブのモンスターを虐めてるようにしか見えない。

 

「やめてー!やめてー!!この魔法陣は、未だ成仏できてない迷える魂達を、天に還してあげる物です!ほら、たくさんの魂たちが魔法陣から空に昇っていくでしょう!?」

 

リッチーの言う通り、青白い人魂のようなものが魔法陣を通して上に昇っていく。

 

「リッチーのくせに生意気よ!そんな善行はアークプリーストの私がやるから、あんたは引っ込んでなさい!見てなさい、そんなちんたらやってないで、この共同墓地ごとまとめて浄化してあげるわ!」

アクアの宣言に慌てるリッチー。

だが、構いもせず、手を広げ大声で叫ぶ

 

「ターンアンデット!!」

 

アクアから発される光に触れるゾンビ達や人魂たちもアクアの放った光を浴び消えた。

その光はリッチーにも及び・・・。

 

「きゃー!か、体が消えるっ!?止めて止めて、私の体が無くなっちゃう!!成仏しちゃうっ!」

 

「あははははは、愚かなるリッチーよ!自然の摂理に反する存在、神の意に背くアンデットよ!さあ、私の力でかけらも残らずしょうめつするといいわっ!」

 

「「おい、やめろ(てやれ)」」

 

アクアの背後に居た俺とカズマは刀と剣の柄で後頭部をごすっと小突いた。

 

「ッ!?い、痛いじゃないの!なにしてくれんのよいきなり!」

 

後頭部を小突かれ集中が途切れたのか、魔法を止め、後頭部を押さえ涙目でこちらに食って掛かる。

ダクネスとめぐみんがやってきたところで、カズマは震えながらうずくまるリッチーに声を掛けた。

 

「お、おい大丈夫か?えっと、リッチー・・・でいいのか?あんた」

 

「だ、大丈夫です・・・。あ、危ないところを助けて頂き、ありがとうございました・・・っ!えっと、おっしゃる通り、リッチーです。リッチーのウィズと申します。」

 

フードを上げると、現れたのは、二十歳ほどにしか見えない茶髪の女性だった。

 

「えっと・・・ウィズさん?あんたこんな墓地で何をしているんだ?」

 

「ちょっと、ハチマン!こんな腐ったみかんみたいなのと喋ったら、目だけじゃなくて体全体まで、アンデットが移るわよ!ちょっとそいつに、ターンアンデット掛けさせなさい」

おい!それは俺の目がすでにアンデットだと言いたいのか

 

「そ、その・・・。私は見ての通りのリッチー、ノーライフキングなんてやっています。アンデットの王なんて呼ばれているくらいですから、私には迷える魂たちの声が聞けるんです。この共同墓地の魂の多くはお金が無いためロクに葬式すらしてもらえず、天に還る事なく毎晩墓場を彷徨っています。それで、一応はアンデットの王の私としては、定期的に此処を訪れ、天に帰りたがっている子達を送ってあげているんです」

 

・・・いい人だ。

 

「それは立派な事だし善い行いだとは思うんだが・・・。アクアじゃないが、そんな事はこの街のプリーストとかに任せておけばいいんじゃないか?」

 

カズマの疑問に、ウィズさんがいいにくそうに

 

「そ、その・・・。この街のプリーストさん達は、拝金主義・・・いえその、お金が無い人たちは後回し・・・といいますか、その・・・あの・・・」

 

「つまり、この街のプリーストは金儲け優先のばっかで、金の無い連中ばかりの共同墓地には来ないという事か?」

 

「え・・・・、えと、そ、そうです・・・・」

 

その場に居る全員の視線がアクアに集まる中、当の本人はばつが悪そうにそっと目を逸らす。

 

「それならまあしょうがない。でも、ゾンビを起こすのはどうにかできないか?俺達が此処に来たのって、ゾンビメーカーを討伐してくれってクエストを受けたからなんだが」

 

カズマの言葉に、ウィズは困った表情を浮かべ。

 

「あ・・・そうでしたか・・・・。その、呼び起こしている訳じゃなく、私がここに来ると、まだ形の残っている死体は私の魔力に反応を起こして勝手に目覚めちゃうんです。・・・その、私としてはこの墓場に埋葬さえている人達が、迷わずに天に還ってくれれば、ここにくる理由も無くなるんですが・・・。・・・・・・・えっと、どうしましょうか?」

 

 

慕場からの帰り道

 

「納得いかないわ!」

 

アクアは未だ怒っていた

 

「しょうがないだろう。つか、あんな良い人討伐する気になれないだろうに」

 

アクアの言葉にカズマが黙らせる。

いや、ウィズさん凄い良い人だよな、もうアクアと替わってくれよ、パーティーとしても女神としても。

俺達は、ウィズさんを見逃すことにした。

そして、これからは毎日暇を持て余しているアクアが、定期的にあの墓場に浄化しに行くという事で折り合いがついた。

中身が腐っていたとしても女神、アンデットや迷える魂の浄化は自分の仕事だと理解していた。

睡眠時間が減ることに駄々をこねていたが。

 

「しかし、あのリッチーがこの街で普通に住んでるとか」

 

あの後リッチーに渡された紙を見る。

紙にはウィズさんの住んでいる住所が書かれている。

 

「でも、穏便に済んでよかったです。いくらアクアがいると言っても、相手はリッチー。もし戦闘になったら私やカズマは間違えなく死んでましたよ」

めぐみんの言葉にカズマが驚く。

 

「げ、リッチーってそんなに危険なモンスターなのか?ひょっとしてヤバかった?」

 

「やばいなんてものじゃないです。リッチーは強力な魔法防御、そして魔法の掛かった武器以外での攻撃の無効化。相手に触れるだけで様々な状態異常を引き起こし、その魔力や生命力を吸収する伝説級のアンデットモンスター。むしろ、なぜあんな大物にアクアのターンアンデットが効いたのか不思議でならないです」

怖っ!そんな相手と会話してたのかよ。

(リッチーのスキル教えてくれるって言ってたけど、教えてもらう時は必ずアクアを連れて行こう) そう誓ったカズマだった。

俺がリッチーのチートスペックに驚いていると、ダクネスが呟いた。

 

「そういえば、ゾンビメーカー討伐のクエストはどうなるのだ?」

 

「「「「あっ」」」」

 

クエスト失敗。

 

 

 




最近、夜遅くまで起きられないー


最後まで読んでくれた方ありがとうございます。
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