ナメクジにすら劣る更新速度でも見てくれる読者様には頭があがりません。
カズマ少年がギルド+ウィズの店から帰って来て、すぐに行ったことは何かの設計図を作ることだった。
テーブルの下に熱を発する石を取り付け、その上に布を被せ最後に板を置くというものだ。
どう考えてもこたつですありがとうございました。日本人としてこたつを欲しがることはわかる。だが春だぞ?
だんだん暖かくなっていく花粉症達の天敵の季節。
そんな季節でなぜこたつを作ろうと思った。面倒臭がりのカズマ少年を以っても作ろうと思わざるしかないほど炬燵は中毒性があるのだろうか。いやあるな。
そのこたつをスキルを駆使して約三十分ぐらいで作り上げ、速攻でもぐりこんだカズマ少年を見ればわかる。そもそも店長に譲って貰うか売ってもらうとかすればいいのではないのだろうか?
あの店長の事だし普通に売ってそうなんだが。
「ああ、こたつは最高だ..このクソ寒い異世界に舞い降りた神様だ...」
カズマ少年が顔すら出さずにこたつの中で呟く。
何を言っているか私には理解できんな。舞い降りたじゃなくて舞い降りさせたの間違いだろう。
というかダクネスとめぐみんが養豚場の豚を見る目をしていることに気づけ。
ああいやこたつに潜ってるから見えないのか。
「アクア、カズマ、そろそろクエストに行かないか?もう春だ。それに他の冒険者達も活動を始めるだろうしな」
ダクネスがそういいながらこたつむりと化したカズマ少年に近づいていく。が変わらずその目は養豚場のらんらんを見る目だ。
「嫌よ、だってまだ寒いじゃない。それにまだお金も残ってるから働かなくても大丈夫よ」
「ああそうだな。金も残ってるし働かない方が楽でいい」
アクアが寒いという理由で却下し、こたつから顔だけ出したカズマ少年がそれに乗っかる。
「....ハァ」
「このぶっころりー共は....」
「おいちょっと待て、ぶっころりーって何だよブロッコリーか何か?それとも紅魔族に伝わる諺か?」
紅魔族の人名だと思うが。センスの逝かれた部族だ、そんな名前をつけていてもおかしくはない。
現にそこにイカレた名前を持った紅魔族がいるじゃないか。
「タマミツネ?今何を考えました?当ててあげましょうか?」
めぐみんが世紀末の世界の主人公みたいな表情になりながら問い詰めてくる。ヒエッ。
何も考えていませんよ?ええ、何も考えていませんとも。
「ぶっころりーが何かは今はどうでもいい。クエストなんかダクネスとめぐみんの二人で行けばいいだろ?わざわざ最弱の俺が行く必要ないしな。何よりメンドイ!寒い!やってられるか!俺はこたつに籠るぞ!」
そんなコナンで殺害されるキャラが言ってそうな事言わなくても..。
というかカズマ少年のレベルいくつよ?こん中で一番低いんじゃない?私はレベルなんてないし。
「そうか。なら仕方がない」
「おお、わかってくr「無理やり引きずり出すだけだぁ」わかってねぇ!?」
ダクネスがズンズンとか擬音が出そうな歩き方でこたつに近寄り、こたつの天板を投げ飛ばす。
「さぁ、破壊されたく無くば出てこい」
そう脅迫し、手を差し出す。
「いやあああ!俺の!俺のユートピアが!理想郷が!この野郎!『フリーズ』!」
「私は野郎じゃ..ああっ!?」
差し出した手全体に霜が付き、ダクネスが悶えながら絨毯の上を転がる。
「フハハ、神々の遺物であるこたつを破壊するからそうなるんだ!」
神々の遺物て...いや確かに日本の色々と残念な神様達なら作ってたりしそうだけども!
「ちょっと!私達はそんなの作ってないわよ!暖かそうだな~とか思ったりすることもあるけどそんな落ちぶれてはいないわ!分かった?分かったなら訂正して頂戴!」
そこまで否定するとは余程このコタツムリと化したカズマ少年と一緒にされたくないんだな。
アクアは一回こたつ入ったら堕落しそうな性格してるし。
「はいはい、そんなこと言ってほんとははいりた....!」
どうした?いきなり黙って?トイレにでも行きたくなったか?
「マズイ!とんでもなくトイレに行きたくなってきた。おいダクネス、休戦だ。休戦しよう」
「そうか。ならとっととそのこたつとやらから出てトイレに行け」
「そこで提案なんだが、ダクネスとタマミツネがこたつをトイレの前に運んでくれないか?」
断る。私を巻き込むんじゃぁない。関係なかっただろう。
「.....」
ダクネスがめぐみんと顔を合わせこたつに近寄っていき、その端を持ちあげ、窓の近くに運ぶ。
「あのーダクネスさん?めぐみん?運んでくれるのはありがたいけどそっちはトイレじゃ...」
「アクア!窓を開けろ!こたつごと外に捨ててくれる!」
「イエスマム!」
ダクネスのマイ例を聞いたアクアが無駄に高いステータスを使い瞬時に窓を開ける。
「やめろおおお!待て!危ない!ほんとに危ないから!冗談だよな?冗談だろ?」
「行くぞめぐみん!力を籠めろ!」
「はい!」
「待って!待って!お願い!待って!」
カズマ少年のお願い虚しくブンブンと勢いがつけられていき、投げられる直前といったところで。
「サトウさん!サトウさんはいらしゃ...キャアアア!?」
玄関に置いておいた例の絵画トラップに引っかかった憐れな
~~~
「うううぅぅ....」
何とかトラップに耐えられたのか?ここまで来るとは。貞子みたいになってるけど。
「おおう...鬼畜の称号はタマミツネに渡したほうがいいんじゃねぇかなぁ...」
「安心なさい。普段過ごしてる分にはタマミツネの方が無害だから」
「おい、それは俺が無害じゃないって事か?」
何かカズマ少年とアクアが漫才してる。
「八ッ!サ、サトウさん!大変なんですリザードランナーが大量発生しているんです!」
リザードランナー?何だそれは?
「ああそう。で、何で俺んとこ来たの?」
「いえ、ですからリザードランナーが大量発生致しましたので貴方方にも駆除を手伝って頂こうと...」
「そんなのいらな「よし行こう!丁度いい機会だ!」ちょっおいダクネス、俺の言葉に被せるなよ」
「おお!ありがとうございます!」
「いやだから「行くぞカズマ!引きこもりは卒業だ!」いだだだだ!?分かった!分かったから引きずるな!」
「漫才してないで行きますよー」
いやめぐみんも杖持って来いよ。人の事言えないと思うぞ。それともあれか?爆裂魔法を放つまでも無いのか?
「ったく乱暴なこって。悪いけど少し遅れるぞ。鍛冶屋に依頼した装備を取りに行くから」
「大丈夫です。問題ありません。...ところで、玄関を抜けるの手伝ってくれませんか?」
「さーてちゃーんとできてるかなぁ?」
「無視しないでいただけませんか!?」
~~~
「ここだここ。ちーす!おっちゃーん、例の奴出来たー?」
そう言いながら入ってゆくは何かニヤニヤしてるカズマ少年。
そのニヤニヤは例えるなら男のロマンを見ている少年の顔といったところ。
「らっしゃい...、なんやお前か。そうそう教えてもらったKATANAととかいった剣だが、一応できたぞ」
鍛冶屋の店主は鞘に入った刀っぽい剣を持ってきてカズマ少年の前に置いた。
「カズマカズマ、何です?それは?店主はKATANAとか呼んでましたが」
「フッフ、めぐみんこれはな、俺の故郷に伝わる聖剣や魔剣、名剣の形状を真似て作った物だ。鋭さに優れ、何でも切り捨てるんだ。まぁ打撃に弱くて鍔迫り合いとかはできないんだけどな」
「ほぉー、なかなか紅魔族の心を刺激するではありませんか。カズマ、これください」
「駄目、俺が頼んで作ってもらったんだから。お前も依頼すればいいじゃないか」
「そのKATANAに銘をつけてやりな。この魔法の札に銘を書いて剣の柄に張ればいい」
渡されたのは白い紙。
「おお!銘、銘かぁ。何がいいかな?村正とかはかぶるしなぁ。んー」
鬼畜刀でいいんじゃないか?読みはきちくがたなで。あと何でこっちを見てる?
「暁ノ空とかもいいかもしれない...よし!暁ノ空に決定だ!....あれ、紙はどこ行った?」
周りを見渡すと紙を持って何かを書き込んでいるめぐみんの姿が。
「中々決まらないみたいなので私が書いてあげました。ちゅんちゅん丸です」
「おいいいいい!?何してくれてんの!?何勝手に書いてんだ!?」
人の物に勝手に名前を付けるか?普通かかないかかないだろ?頼まれても無いのに。
「いやいやあり得ねぇよその名前は!おーいオヤジ!もう一枚くれ!」
「させません!そいや!」
べたりと柄にちゅんちゅん丸とかふざけた名前が書かれた紙が押し付けられる。
「あ”--------!!!あああぁぁ...」
「お、おいどうした?何があった?」
鍛冶屋の店主が慌てているが問題ない。クッソダサい名前を刀に押し付けられて凹んでいるだけだ。
「もうやる気が失せた....リザードランナーなんて知るか....」
「ほんとに大丈夫か....ほれ、おめぇさんが持ってきた鱗と毛で作った胸当てと脛当てと籠手だ。そこらの金属よりも硬いぞその鱗。何から採ってきたんだ?」
差し出されたのはどう見てもミツネ装備の腕と足、それに鱗で覆われた胸当て。
私の抜け落ちた鱗や毛を使ったんだろうな。私は上位には絶対なっているからそこそこの防御力はあるだろう。
「おお、これはカッコいい...心が救われるようだ...」
そこまででは無いだろうに。
「中々いいデザインですね。私が名前つけてあげましょう」
「ああー嬢ちゃん、残念ながら防具に名前はつけれねぇんだ。すまんな」
「カズマさん完全復活!おやじ!ありがとな!じゃっ!一狩り行ってくる!ひゃっほう!」
....出てった。アクアとダクネスに合流するのを忘れてるのか?
あの喜び様じゃ忘れてるんだろうけども。
「ありがとうございました。私はカズマを追いかけますので」
「おう、また来いよ」
たぶん私は来ないと思う。
さて、三人と合流してトカゲ狩りに行こうか。
走ることしか能のないトカゲだ。楽に終わるだろう。