そのシャンプーをただで手に入れられるカズマ達...羨ましいッ!
本当にあの人影や、魔法陣が見えないのだろうか。
あれだけ大きい光を放っているのだから、嫌でも気づきそうなものだが。
私にしか見えないとでもいうのか?
「ん?うおっ。なんかでっかい光が見えるぞ!」
ここまできて気付いたか。かなり近づいているぞ。はっきりと人が見えるくらいには。
「...カズマ。あれは何でしょうか」
「俺だって聞きたい。なぁアクア何か知らないか?」
「あーーーーーっ!」
「おいっ、いきなり突っ込むなよ!」
アクアが人に向かって突っ込んでいく。あの人がアンデットだとでもいうのか?
それともクエストを横取りされたことを怒っているのか?
「リッチーがのこのここんなところに現れるとは!浄化してあげるわっ!」
リッチ?金持ちかなんかだろうか。
「や、やめ、やめてえええええ!誰、誰なの!?いきなり現れて、なんで私の魔法陣を壊そうとしてるの!?やめて!やめてくださいお願いします!」
「うっさいわよ、このアンデットが!どうせ怪しいことしてたんでしょ!死者をよみがえらせてアクセルを襲わせたりとか考えてたんでしょ!こんなもの壊してやるわ!」
金持ちはアンデッドなのか。悪い人には見えないが。
というかチンピラに絡まれてるようにしか見えん。
「やめてー!やめて!この魔法陣は、いまだ成仏できていない魂たちを、天に還してあげるためのものなんです!ほ、ほら!たくさんの魂たちが天に昇っていくでしょう!?」
確かに昇っているな。私が入ったらどうなるのだろう、すごく興味が湧く。
とりあえず魔法陣を壊そうとしているアクアを拘束するか、それっ。
「ああっ、何すんのよタマミツネ!動きづらくなっちゃったじゃない!こんなもの、私が力をだせば...!あっ。あああぁぁぁぁ....ぼぐぇ!」
...全身泡だらけで片足持ち上げれば滑ることはわかるだろうに。
滑って墓石に頭をぶつけてしまった。
「....とりあえず大丈夫か?アクアはリッチーっていってたけどそれであってるか?」
「だ、大丈夫です..。。えっえっと、助けていただきありがとうございます。おっしゃる通り、リッチーです。ウィズと申します」
「言っちゃあぁ悪いがここで何してたんだ?アクアが言ってたみたいにアクセルを襲おうとしてるのか?」
「いっいえ!そんなことは微塵も考えていません!私がしていたのは葬式すらしてもらえず、天に還ることができなかった魂たちを送り出すことです」
普通にいい人じゃないか。
「それはいいことなんだが、プリーストに任せておけばいいんじゃないか?」
「その..街のプリ-ストの皆さんは...お金がない人は後回しにするので...」
「この街のプリーストは、お金がないやつらが埋葬されているこの共同墓地には寄り付きもしないのか?」
「はい....。そうです」
金がないのはわかるがそれはひど過ぎではなかろうか。プリースト仕事しろ。
「そうか。それならせめてゾンビを起こすのをどうにかしてくれないか?俺たちがここに来た理由は、ゾンビを呼び起こすアンデッドを退治してくれってクエストを受けたからなんだが」
「あの...ですね、呼び起こしているわけではなく、私の魔力に反応して勝手に起きちゃうんです。私としては埋葬されている方々が、迷わず天に還ってくれればここに来る理由もなくなるんですが。..どうしましょうか」
その場の全員の視線が、いつの間にか起きていたアクアに向けられる。
「...わかったわよ。やればいいんでしょ。やれば」
~~~~~~
次の日
私は、ギルドの酒場で駄弁っている、カズマ少年の頭の上にいた。
なんでも少し遠くの丘にある古城を、魔王軍が乗っ取ったらしい。
それは私がこの世界に来て初日に見た、あの廃城だろうか。
というか魔王軍なんていたのか。そういえばカズマ少年がそういう話をしていた気もする。
「魔王軍幹部ねぇ、物騒な話だけど、こんな初心者の街にいる俺達には、縁のない話だよな」
「ああ、違えねえ。なんにせよ、廃城には近づかない方がいい。なんでこんなところに幹部様がやってきたのかわからないが、幹部は強者ぞろい。俺たちじゃあった瞬間殺されるようなバケモノが住んでるのは間違いない。あそこ近くのクエストは、しばらく避けた方が無難だな」
情報ありがとう。名も知らない冒険者。お礼にこれをやろう。泡液の瓶詰だ。
「あんだそれ?飲み物か?」
「それを風呂で使えばすぐに汚れが落ちて、なおかついい匂いが付くぞ」
「へぇ。まぁあんがとよ」
さよならだ。気に入ったなら、千エリスくらいで売ってやろう。
「..どうした?俺をそんな目で見て?」
「べっつにー?カズマとタマミツネが別のパーティーに入ったりしないか心配なんてしてないし」
「..情報収集は基本だろ?」
「その割には楽しそうでしたよね。楽しそうでしたよねぇーカズマ?」
「この新感覚はなんだ?これが寝取られとかいうやつか...?」
ダクネスは何処でそんな言葉を知った?
「そんなことよりお前らに聞きたいことがあんだよ。次はどんなスキルを覚えようかかと思ってな。俺が穴を埋めていく感じでいきたいんだ」
「別にいいんじゃないか?壁は私が務まるし、攻撃はめぐみん、回復はアクア。お前は指示か何か出していればいいだろう」
私はまぁでればここら一帯のモンスターは楽に狩れるだろうし。
見ているだけの方がいいか。強敵が出たときのみ戦いに参加しよう。
~~~~~
また次の日
キャベツの報酬が出たらしい。私はカズマ少年と協力していたため、私が捕まえた分はカズマ少年の分になる。
私が金なんぞをもらっても使い道はないからな。魚を買うくらいしか。
「カズマ、こいつを見てくれ。どう思う?」
「すごく...成金です..」
「少しは褒めてくれたっていいじゃないか。私だって褒めてもらい時もあるんだぞ」
「今はお前よりひどいのがいるからな。かまってやれる余裕はない。」
「ハァ...ハァ...。たまらない、たまらないです!この色!この艶!ハァ...ハァ..」
ついに狂ってしまったか。もとから残念な頭が、さらにだめになってしまった。
「なぁんでよおおおおお!?何でなのよ!」
アクアがルナ嬢胸ぐらをつかんでいる。何とは言わないがこぼれそうだ、何とは言わないが。
だが興奮なんてものはしない。誰が虫と虫の交尾をエロいと思うだろうか。私にとってはそれぐらいしにしか感じられない。
「なんで五万ぽっちなの!?かなりの量捕まえたのよ!?十や二十じゃないはずよ!」
「も、申し上げにくいのですが....アクアさんが捕まえてきたのが、ほとんどレタスで..」
「..なんでレタスが混じってんのよー!」
「私に言われましてもっ!」
どこまで運がないのだろうか。アクアは。
「カ、カズマさん?今回の報酬はおいくらで?」
「三百万ちょい」
「「「さんびゃく!?」」」
私が捕らえ、カズマ少年が回収、それを繰り返したのだ。そこそこの額になると思っていたが三百を超えていたとは。
事前にすべて譲ると言ったから、あれはすべてカズマ少年のものだ。
私の食費やらなんやらを払う代わりに。
「カズマさん!いやっカズマ様!お金を貸してくださいっ。お願いします!」
「やだ。使い道は決めてるし、ほとんどタマミツネが稼いだものだからな、譲ってもらったが」
「かじゅまさああああん!私、有り金、使い切っちゃったんですけど!十万ちかいツケまであるんですけど!」
「知☆る☆か」
「そんなこと言わないで!ツケ払う分でいいから!夜ごそごそしてるの知ってるから、早くプライベートが欲しいのもわかるけど!お願いよお!」
「分かった!分かったから黙ろうか!」
「カズマっ!クエストです!早速クエストに行きましょう!」
私はここで待っててもいいだろうか。...ダメか、そうか。
「掲示板の依頼を見てからにしよう.....物の見事に高難度の依頼しかないな」
別にクエスト行かなくても私の泡液を売ればいいと思うんだがなぁ。
十万はさすがに稼げないが。
「申し訳ございません。魔王軍幹部が近くに引っ越してきたため、弱いモンスターが隠れてしまい、仕事が激減しております。こればっかりはどうしようもございません」
うわぁ..。タイミングがひどすぎる。かわいそうに。
~~~~~
最近カズマ少年と中二病(めぐみん)が何処かへ通い始めたようだ。
私といえばダクネスといる。たまに泡を出してくれと言われること以外は不自由ない。
私と遊んでくれるし、私の主食が魚だということを知ったからか、魚を持ってきてくれる。
たまに高級魚っぽいのが混じっていたが、別に大丈夫だろう。
私に魚をくれるときは、すごい楽しそうだし。
「おお、よく食べるな。どこにそんな入るんだ?」
胃ですが?
「カズマ達は何処へ行ったのだろうな」
さぁ?めぐみんは爆裂魔法をぶっぱなしに、カズマ少年は風俗にでも行ってるんじゃないか?
アクアは....知らん。どこかでバイトでもしているのだろう。
「まったく。何をしてるんだか」
退屈はしてないしいいんじゃないか。
『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!』
.....またか。退屈は嫌いだが、騒がしすぎるのも考え物だな。
「何があったんだろうな」
またキャベツか何かだろう。大穴で魔王軍幹部とかけてみるか?
まぁこんな駆け出しの街に来ることはないだろうが。
「さて、いくか、おまえも来るだろう?」
行かなきゃ文句言われそうだしな。
いざ!正門へ!
小さくなっている時のタマミツネはデフォルメされています。