機動六課……ロストロギア対策のために造られた、仮設対策課……ではなく、ある少女のリアル育成ゲーをやりたいという願望から生まれた、名目上ロストロギア対策課である。
「えー、初めまして。教導官の高町なのはなの。皆さんをビシバシ鍛えていきたいと思ってるので、頑張ってついて来てね」
「「「「はい!」」」」
「じゃぁ早速――この中から好きなゲームを選んでplayして貰うの!!!」
「「「「は――はい?」」」」
「成績よかった子は私と対戦ね!」
「えっと、あのすいません魔導戦の教導官、なんですよね?」
「んー?そうだよー?」
「なんでゲームを……?」
「フッフッフ、いーい?ゲームは、人生なの!!!」
「「「「え?」」」」
「大体好きなゲームには己の好きなモノが詰まっているの、そしてそれは自分の人生において超重要なファクターなの!」
「ご、ごめんなさい、ちょっと訳が……」
「いいから始めるよー!」
――
何年経っても変わらず、転生者はやっぱりゲームをしていた。
「異世界なのにゲーム通信ができるって、何この無駄技術……便利だからいいけど」
「えっとね、ハンドルネーム無限♰聖欲王さんって最近フレンドになった人に教えてもらったの」
「え、何かヤバそう……」
「うん、ヤバいよこの人。すっごい強いの」
「いや、そうじゃなく、何を思ってその名前にしたのか……存在がZかR指定なのか?」
「R……?」
「あ、いや忘れてくださいお願いします」
※今更ですがゲーム三昧の二人の知識は偏っています。
――
一週間もすると、ゲーム後に訓練という異質な状況にも皆が慣れ始めた。
「さぁ今日も元気に訓練しようね!」
「「「「はい!」」」」
「……」
「……あの、なのはさん、そちらの方は?」
「あ、レイハだよ。人型形態つくってもらったの!」
『ъ(`・ω・´)グッ』
真横にモニターを投影しつつ、ぺこりと頭を下げるショートヘアのなのはそっくりさん。
ユニゾンシステムを積まない分低コストで済んだらしいが、それでも驚く桁が使われたことだろう。
「これで対みっくん用の特訓も捗るの!」
((((あ、やっぱり目的は
「あ、勿論皆の訓練にもなるからね」
((((訓練がついで感すごい……))))
何があっても平常運転が崩れないなのはにも慣れ、もはや安心感が生まれている問題ない問題的状況である。
――
ゲームと訓練の日々が続いたある日、初めての任務が六課に舞い込んできた。
暴走列車にあるレリックを回収するという任務だ。
「ガジェットとか色々あるけど、まぁ基本的だから安心して戦ってね!」
ガジェットとは、アンチマギリングフィールド、AMFと呼ばれる魔法行使の邪魔になる者であり、魔導師にとっては脅威なのだが、それを的と呼び捨てる辺りなのはの異常性がよく分かる。
彼女にとって魔導師は趣味であり、本命は育成とゲームなのだ。
つまり、今この現状すら彼女にとってはゲームであり……。
「いや、まぁスバルやエリオは物理系ですし、キャロはサポート。私は多重弾殻で対処可能ですけど……そんな風には」
「だいじょーぶだいじょーぶ、ティアナはこのヘリからスナイピングすればいいから!
「で、ですけど」
「だいじょーぶ。ティアナならできるよ」
「なのはさん……」
ティアナの肩に優しく手を置くと……とても良い笑顔で親指を立てた。
「なにせ今日までスナイパー縛りで
「あぁ、ハイソウデスネ」
一瞬でハイライトが掻き消えるティアナがどんな経験をしたのかは……本人のみぞ知る。
――
ガジェットとは主に楕円形や直径数メートルある円形、そして飛行系のロボットのことである。
それぞれAMFを展開しており、戦闘する際は機械の触手とレーザー光線を扱う。
数が非常に多く、集まるとAMF濃度が高まりとても魔導師が戦えるような状況では……。
「グレイズグレイズ(ブツブツ」
状況では……。
「しょーりゅーけ~~ん!」
では……。
「ふっふっふ……我が
「が、ガオー……///」
……。
敵の攻撃を紙一重で避け続け、隙あらば関節を破壊し身動きできないガジェットを蹴り落としていくエリオ。
肉体強化魔法を解除されない様に薄いバリアを身体の表面に纏わせ、某格闘ゲームの技でガジェットを破壊していくスバル。
締めに、普段は何時もはほわほわ可愛いのだが、最近何の影響を受けたのか詠唱が厨二へと変貌し、ノリノリで闘うキャロと、照れてとても竜に思えないフリードの姿。
そんな彼女たちをヘリからガジェットをスナイプしていたティアナがふと、操縦席のヴァイスに話しかけた。
「………私、才能無くて嘆いてた時期があったんですよ」
「は?」
「今はじめて凡才の自分に感動してます……あんな逸般人に成れるような才能無くて、よかった」
(……動き続けてるヘリから、この距離をスナイピングして的中率9割超えてる時点で、全然凡人でもないんだが……言わない方がいいか)
索敵能力と命中率が他三人の様な
――
「なぁなぁなのはちゃん」
「なぁにはやてちゃん?」
テレビゲームを課内で行う二人。
ちなみに仕事は一通り終わらせているので誰も文句言いようがない。
「前から思っとったんやけど、なんでウチがトップなん?若手育成したい言うてたんはなのはちゃんで、専用の施設欲しいから六課作ろう言い出したんもなのはちゃんやん?」
「だって」
「だって?」
「指導官と分隊長に加えてそんな面倒な役職まで受けてたら、ゲームする時間無くなっちゃうの!」
「あ、やっぱそこなんか」
「それ以外ないの! あ、勝ったの」
「え、嘘やろ!?さっきまでウチ優勢やったやん!?」
「劣勢でも逆転の目っていうのはあるの……」
「いや普通諦めるやろ」
「みっくんとやってれば嫌と言う程こんな状況になるから」
「あぁ、なるほどなぁ」
人生をゲームするだけにつぎ込んでいる幼馴染を思い出し苦笑する二人。
後日発生した出張任務にて、部下に全部丸投げし一日中その家でゲームをするのはもはや言うまでもなかった。
――