GATE 全十二宇宙連合彼の地にて斯く戦えり 作:マスター亜細亜
銀座事件翌日 カプセルコーポレーション内の一室
「……ここ…は」
目を覚ました栗林の目に映ったのは見知らぬ天井だった。意識が完全に覚醒していない栗林は自宅でも自衛隊の宿舎でもない場所に戸惑う。そんな彼女に対してベッドの隣に腰掛けていた悟空が声をかけた。
「おっ、やっと目覚ましたな」
栗林は声のしたほうに首を傾け、悟空の姿を見た。
「あなたは……」
「オラ、孫悟空だ」
笑顔でこたえる悟空。栗林はそれを見て大きな安心感を感じた。そして、目の前にいる男が自分を助けた事を思い出した。
「あなたが私を助けてくれたんですね」
栗林はベッドから上半身だけ立ち上げ悟空に言った、彼女自身、突如現れた軍勢にかなりの傷を受けたことを覚えていたが、起き上がる際や目覚めた際に一切痛みを感じないことを不思議に思った。いや、むしろ普段ア覚めざる時よりも快調な体に違和感する感じていた。
「助けたのはオラだけどよ、治療したのはウイスさんだ」
「ウイスさん?」
「こほんっ、私がウイスです」
いつから部屋にいたのか悟空とは反対側にウイスは立っていた。そして、悟空同様に自己紹介を行う。
自己紹介に続き、ウイスは銀座で起きた事や悟空達のことを簡潔に説明した。
「第七宇宙?天使?」
次々と出てくる見慣れぬ単語や説明を受ける栗林だが、ウイスは一つ一つの疑問に対して丁寧に説明していく。数十分をかけ説明を終えたウイスは栗林の心境を推し量る。
「私、あいつらにやられたんですね」
栗林の言葉に悔しさが含まれていた。
「だけど、おめえの戦いっぷり見事だったぞ」
悟空は銀座の上空から見た栗林の戦いぶりを褒めた。大勢に対して一歩も引かず渡り合った栗林の力や格闘センス大したものだと悟空は言った、
「ありがとうございます。ところで、ウイスさん、私の妹の菜々美が無事かわかりますか」
銀座事件当時栗林は妹の菜々美とともに銀座周辺に遊びに来ていた。そして、帝国軍の攻撃に妹とともに巻き込まれていた。栗林は妹を安全なところまで無事脱出できるよう一人で自分周辺にいた帝国軍をろくな武器もなしに引き付けていたのであった。栗林の健闘により妹の志乃や何人も人々が命を救うこととなった。
「妹さんですか…少々お待ちください」
ウイスは右手に持つ杖に向かって呪文を唱え、杖の中に映し出された映像を覗き込み確認する。
「安心してください、妹さんは無事です。けが一つありません」
ウイスは栗林を安心させるため杖内部の映像を栗林にも見えるように目の前の空中に投影させた。映像には、記者の仕事に復帰し、銀座事件の被害者たちを取材する妹の姿が映し出されていた。
「菜々美が無事で本当に良かった」
「ですが、菜々美さんはあなたが行方不明であることにかなりショックを受けているようですね」
「えっ」
「銀座事件から一日しか経っていないにも関わらず、記者の仕事をしているのは姉であるあなたを探すためでしょう」
ウイスは菜々美の心を杖ごしに読んだ。
「菜々美……」
「悟空さん、お願いあります」
「なんだ」
「私を鍛えてくれませんか、私今よりもっと強くなりたいんです。悟空さんのように一人で妹や大切な人たちを守れるくらいに」
「……わかった。実はおめえを助けてこっちの世界に連れてきたのはおめえの力に興味を持ったからなんだ」
「私の力に興味を」
「オラ強いやつや強くなろうと頑張っている奴が好きだ。おめえを鍛えていつか戦いたいと思ってな」
楽し気に真剣に栗林の事を話す悟空。そして、栗林は覚悟を決めた。
「よろしくお願いします」
「ああ、こっちこそ」
悟空は笑顔で答え、栗林に握手するために右手を出した。その右手に栗林は答え二人は強く握手した。ここに二人の師弟関係が成立したのであった。
翌日 カプセルコーポレーション内 中庭
「この人たちはいったい」
カプセルコーポレーション内部の中庭にて12の宇宙の神や戦士達が集まっていた。二日前の第七宇宙優勝記念パーティーが帝国軍によって台無しにされたため、改めて行われることとなった。完全に体調を回復した栗林は悟空に連れられて病室であった部屋から、パーティーが行われている中庭へとやってきた。中庭へ入れる正面入り口から栗林は中庭全体を見渡した。自分と同じ人間や肌の色が違う人間、獣人、ロボット等、百名以上がパーティーを楽しむ姿を見て驚愕する。
「色んな宇宙の神様やオラたちが力の大会で戦った他の宇宙の戦士達だ」
「本当?」
悟空やウイスの話だけではまだ栗林は半分信じられない様子であった。
「さあ、行くぞ志乃」
悟空は栗林の手を引きつつ、中庭の中央部に連れていく。中央に歩いていく間、第七宇宙の仲間た他の宇宙の戦士達が悟空に対して声をかけていく。悟空は一言、二言返事しどんどん進んでいく。
「あっ、悟空遅いのねー」
「待ってたのねー」
中央にたどり着いた悟空に最初に声をかけたのは全王二人であった。
「すまねえ、全ちゃん」
「悟空さん、この人はいったい」
栗林は目の前にいる悟空の腰の高さくらいの身長の子供?の正体が気になった。
「全ちゃんは宇宙で一番偉い神様だ。ここにいる他の神様やオラたち全員が戦っても絶対にかなわねえ凄い神様なんだぜ」
「宇宙で一番偉い神様」
一瞬間の置き栗林のえええという絶叫が中庭中に響く。全王への前での大声に付き人の四人が青筋を立てるが、大神官が彼らをなだめる。そして、栗林の大声をきっかけに全王二人は栗林に興味を持った、
「この人誰、悟空」
現代の全王が悟空に聞いた。
「こいつは栗林志乃、オラの友達だ」
悟空は全王二人に栗林の事を説明する。
「「悟空の友達?」」
全王は同時に言った。
「そうだ」
悟空は肯定する。すると
「悟空の友達は僕の友達だねー」
「友達だねー」
「えっ」
栗林は今日何回目かの絶叫を行う。
「そうだな、全ちゃん。志乃も全ちゃんの友達だ」
栗林は第七宇宙の悟空達以外の人間で初めての友達となった。
「じゃあ、久しぶりにあれやってー」
全王は悟空に言った。
「あれかー、そうだ志乃代わりにやってくれるか」
悟空は全王がお願いするあれを思い出すと、栗林にやってもらおうと考えた。
「なっ何をですか」
「それはだな……」
悟空は栗林に耳打ちしあれのやりかたを説明する。
「わっわかりました。やってみます」
栗林は現代の全王の目の前に立つと両腕で全王の両脇あたりをつかみゆっくりと全王の体を上に持ち上げた。
「わーい、たのしいねー」
栗林に上下に高い高いをされて喜ぶ現代の全王。
(私、宇宙で一番偉い神様を高い高いしてる)
栗林は現状に困惑しつつも、全王を何度も両腕で高い高いしをする。のちに、ウイスから全王の機嫌を損ねたら宇宙事破壊されても不思議
ではないと教えられ、青ざめることとなった。
「僕にもやってねー」
現代全王の楽しんでいる姿を見て未来の全王は栗林にせがむ。悟空は栗林の代わりに全王を高い高いをして全王を満足させる。
二人の全王は満足すると地上に降り立ち二人に感謝を言った。
悟空は全王や大神官から少し離れたパーティー席に移動すると栗林と共にパーティーに参加する。悟空はパーティーに遅れてきた分を取り戻すかのように食事を開始する。
悟空の豪快かつ大量の食事風景に栗林に驚愕する。だが、数日経った後には悟空の妻であるチチやブルマ同様当然と受け入れるようになるのであった。
「これから、オラと修行することになった栗林志乃だ。みんなよろしくな」
食事がひと段落した悟空は周りにいる戦士達を集め、栗林の事を紹介した。また、栗林の修行につけることを説明した。
「お父さんが僕や悟天以外に武道を教えるなんて初めてですね」
悟飯は父親が弟子を取ることに驚きつつも、自分が幼少時ピッコロや悟空に修行をつけてもらった時のことを思い出した。
「私も栗林の戦いぶりには感動した。修行に手を貸そう」
トッポも栗林の修行に協力することを申し出る。銀座での彼女の弱き者を守り一人で多数の相手に立ち向かった姿は第十一宇宙で正義のヒーローをしているトッポにとって称賛すべき戦いぶりであった。
「私もその師匠役に立候補していいかしら」
「ブリアンデシャトー」
トッポは振り返り言った。
「ここは同じ女性として美しく愛のある戦い方をこの私が教えて差し上げますわ」
エレガントなポーズをとりつつブリアンデシャトーは一方的に宣言する。
「あっはい、よろしくお願いします」
ブリアンデシャトーの勢いに栗林は若干ひきつつ頭を下げた。
「まあ、同じ女性が教えるのもいいこともあるでしょう」
ウイスがフォローをいれる。
「この私も協力しよう」
「おめえは……誰だっけ」
「第三宇宙の正義のポリスマンカトペスラだ」
悟空の一言にカトペスラはずっこけるが、すぐさま立ち上がり堂々と改めて全員の前で登場ポーズをしながら宣言した。その姿にプライドトルーパーズ(ジレンを除く)、第二宇宙の三人、孫悟飯がかっこいいや美しいと絶賛する。
「ああ、わりぃ。そうだったな」
「とにかく、成長次第では我が宇宙のポリスにスカウトしてもいいくらいだ」
仕切り直したカトペスラは栗林の修行の支援と共に第三宇宙のポリスマンとしてのスカウトも宣言した。
「いや、我らプライドトルーパーズの候補生こそふさわしい」
カトペスラの発言を聞き、トッポが栗林の争奪戦に参戦する。栗林の実力は未熟だが、彼が所属するプライドトルーパーズの候補生たちと同じように、栗林にはガッツと正義、潜在力があると確信していた。
「いいえ、彼女のルックスや華麗な戦いぶりは私達、第二宇宙のアイドル戦士にうってつけよ」
トッポ、カトペスラ、ブリアンデシャトーが栗林の争奪戦を行い始める。
三宇宙の三人の戦士の言い争いを悟空達は放置しつつ、第七宇宙の戦士達を中心にどのように栗林の修行を行う話始める。
最終的に孫悟空、孫悟飯、ピッコロ、天津飯、、ブリアンデシャトー、トッポ、カトペスラらが栗林の師匠役としてローテーションを組んで修行をつけることになった。
「ワシも一つ手助けしてやろう」
修行を始めようとする栗林や彼女を囲う戦士達の前に老界王神が現れ言った。
「老界王神のじっちゃん」
「あっちの地球でトップの実力者といっても、悟空やお前たちにいきなり鍛えられたら体がもたんじゃろう」
「いったいどうするんだ、じっちゃん」
悟空が老界王神に言った。
「簡単なことじゃ、魔人ブウの時の孫悟飯に行った潜在能力を引き出しをな、そのお嬢さんにもするんじゃ」
「ご先祖様」
「ほう、そんなこともできたのか」
シンは驚愕し、ビルスは関心を持つ。
「なぜそこまで」
キビトが言った。魔人ブウの時のような異常時や孫悟飯のような実力者ならともかく、目の前の一般人にしか見えないただの人間に老界王神がそこまでするのかキビトにはわからなかった。
「ワシもそこの悟空に影響されたのかの。悟空が感じた栗林の力とやらに興味をな」
その後、悟空達との修行を始める前に老界王神による潜在能力開放の儀式が行われた。孫悟飯の時のように儀式に一日以上かかることはなく、二時間ほどで儀式は終了することとなった。しかし、その間正面からの老界王神からのいやらしい目に晒されることとなったことは、本人にとって動かない以上に苦痛であった。
「私の体、何か変わったのかしら」
栗林は立ち上がり自分の体を見る。特に儀式前の自分と変わった点は見受けられない。
「お前さんの潜在能力の開放を行っただけじゃ。力自体は前とあんまりかわらんぞ」
「潜在能力の開放?」
栗林の疑問に老界王神は答える。
「お前さんが悟空達に会わずにいたら、開花せず死ぬまで埋もれていた力のことじゃぞ。その力をわしの力で可能性のドアを開いたのじゃ。あとはその力をうまく引き出すかはお前さんの努力次第じゃな」
「亀じいさんと同じでスケベだけどいろいろできるのね」
老界王神の儀式が丁度終わったのを見計らってブルマが栗林達の前に現れた。
「誰がスケベじじいじゃ、界王神に向かって」
老界王神はブルマに対して怒るが、ブルマは意に介していない。
「まあまあ、私からはこれよ」
ブルマは着ている白衣のポケットの一つからホイポイカプセルを取り出し目の前に開閉スイッチを押して放り投げた。数秒後、ボンッという音煙と共に衣服の収納ケースが目の前に出現した。ブルマはその収納ケースから一着の戦闘服を手に取り栗林に渡した。
「何ですか、この服」
栗林はブルマが持ってきた戦闘服を持ち上げて観察する。
「サイヤ人やフリーザ達が使っていた戦闘服を参考に私が作った物よ。もちろん、この私が作ったからオリジナル以上の耐久性があるわ」
ブルマはセルゲーム参加のための修行時に悟空やベジータ達に作った戦闘服の残りを流用し、女性の体向けの戦闘服を栗林のために作った、
「ほう、確かに私が着用していたものよりも頑丈にできていますね。ナメック星であなたの科学者としての腕を知っていたらあなたを我が軍のお抱え科学者としてスカウトしていたかもしれませんね」
戦闘服に関しては第一人者であり、デザインのモデルとなったフリーザはブルマの技術を評価する。
「残念ね、フリーザ。私はベジータ一筋だし。悪者にはなる気はないわ」
きっぱりとフリーザの言葉を返すブルマ。
「それは残念ですねえ。ベジータさんもたいした奥さんを持って幸せ者ですね。旦那より優秀な奥さんを」
フリーザの言葉に対してベジータはふんの一言で不機嫌さを表す。
「なかなかの素材ですね。栗林さんの世界のあらゆる武器や兵器を使ってもこの戦闘服に傷すらをつけることはできないでしょう」
ウイスもフリーザと同様にブルマの科学者としての腕前に感心する。
「戦闘服が無事でも着てる私が危ないんじゃ」
栗林は不安を口にする。
「大丈夫ですよ、悟空さん達と修行をすればあっという間に戦闘服より頑丈な肉体になりますよ……そうなるまでに体が持てればの話ですが」
ウイスの最後の意味深な発言を栗林は聞き逃さなかった。
「えっ、最後どういうこと、せつめいし」
「さあ、修行はじめっぞ」
修行用の戦闘服を抱えた栗林は悟空達に引きずられ修行を始めるのであった。
お久しぶりです。マスター亜細亜です。2018年初投稿となります。また、第三話の感想の返信が遅れて申し訳ありません。これからも、本作をよろしくお願いいたします。
今後の進行予定ですが、次話でアルヌスでの戦いの前の動きを書く予定です。また、アルヌスでの戦いはその次となる予定です。