Fate/Grand Order side blood   作:シアンコイン

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どうも、シアンコインです。
ボケーッとスランプ気味に過ごしていたらこの作品に感想と評価を下さる方々がが……。

ありがとうございます、ありがとうございます……。

あぁ、豚は焼かれて出荷されろ………






File02「獣」

 

 

『アンタの死を……狩人に死を!!』

 

 

戦闘の最中、不意に狩人の頭を過ったのは先駆者であり、そして偉大な狩人の言葉。一度は共に戦い眠りに落ちていった。

二度は彼女の警句であった夜に呑まれ刃を交えた。三度、共に戦いそして聖堂前で静かに役目を終え消えて行った偉大なる狩人。

 

何故この場においてあの言葉を思い出したのか、目前で切り結ぶ互いの刃を意に介する事なく思考する狩人。

切り傷一つなかった彼の身体は既に血に濡れ装束は切り裂かれている。拮抗したその実力は両者に致命傷とは成らずとも傷を刻んでいた。

 

ふと、狩人は気づく、なるほど、彼女を思い出すほどの強敵なのかと。

 

「余所見をする余裕があるのかね!!」

 

「………」

 

何時切り替えたのか、白と黒の双剣を手にした外套の男は刃を振り下ろす。

対する狩人は言葉を返す事なくその刃を右の刃で受け止め左の刃を横薙ぎに振るい、男の腹部を狙う。

 

臆することなく飛び退く事で一撃を避けた男は見切りをつけたのか、距離を取る様に飛びのき両手の剣を宙に溶かす様に消すと再びその手に黒い弓を出現させる。

何かを感じ取り追撃をやめた狩人は手元を確かめる様に刃を掌で逆手に持ち替える等して感触を確認していた。

 

「どうやら奴が動いたようだ、時間をかけている暇もなくなった。」

 

「……結末は変わらん。」

 

言葉を交わすと狩人は距離を詰める為に再びアスファルトを蹴り上げた。

男の手には何処からともなく黒い矢が現れ弓に番えられる、キリキリと軋む弦と共にその矢先は青く閃光を纏いはじめる。

 

「ふ……、確かにその通りだ。…赤原を行け、緋の猟犬……赤原猟犬(フルンディング)!!」

 

相対した相手に距離を取られ遠距離攻撃を加えられようとしている状況下において、策もなく容易に飛び込む事は無謀の他ならない。

それでも狩人は足を止めなかった、番われた矢がその指から解き放たれた瞬間に直感を頼りに彼は斜め前にステップを踏みこむことでそれを避ける事に成功した。

 

「ッ」

 

瞬く間に外套の男に接近した狩人は右手の刃を男に投擲し、再度足を強く踏み込んだ。

 

「アレを避けるか貴様、クッ」

 

狙い通り相手の注意を引く事に成功した狩人は弓により投擲した刃が弾かれるのと同時に、腹部目がけ力強く得物を突き出した。

 

「―――だが、早計だったな。」

 

「ッ!?」

 

あと僅かでその肉体に傷をつけようという時、外套の男は勝ちを確信したように口元を歪める。

刹那、狩人の身体に大きな衝撃が背後から叩き付けられた。

 

まるで待ち構えていたように外套の男はその手に先ほどの小ぶりの剣を持ち、突き出すわけでもなく狩人が自らその刃に向かうのを待ち構えていた。

前へと加速していた狩人に最早速度を止める事は出来ず、その身体は男の身体に飛び込むように吹き飛ばされる。既に左肩に痛みはなく肉が割け、骨の間に異物を感じ、腹部には一対の刃が深々と突き刺さっていた。

 

返り血でなく自らの鮮血、何度も見た光景だと、焦る事も無いその瞳は目前で勝利を確信した男に向けられた。

 

「終わりだ、せめて潔く消滅するが良い。狂戦士。」

 

終いだと、口にし、そう告げる目の前の男。

その言葉に狩人は満面の笑みをコートの裏で浮かべ、ギラギラと光る赤い瞳で食い入るように男を見つめ、そして発した。

 

「――吹き飛べ」

 

男が反応するよりも早く、左手の得物を手放した手でその腕を強く握りしめる。

驚きに染まる男の瞳に映ったのは狩人の右腕に抱えられた巨大な大砲に火が灯る刹那だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――彼のアーサー王を倒せばこの聖杯戦争は終結するのね。」

 

「あぁ、その通りだ。俺と盾の嬢ちゃん、加えアンタらが呼び出した狂戦士が生き残っていりゃ無理な話じゃない。」

 

廃校舎、屋上にて魔術師、クーフーリンと所長ことオルガマリーは彼女の備え準備を片手間に今回の騒動の原因を話していた。

聖杯戦争、過去の英霊を呼び起こし願いを叶える願望器、聖杯を求め七人の魔術師と七人の英霊が競い殺し合う表ざたには決して出る事の無い儀式。

 

この荒廃しきった世界は過去に起こった聖杯戦争が発端として滅び生まれた物だという事、そしてその根底には聖杯を手にした剣士の英霊、ブリテン王、アーサーペンドラゴンによるものだとオルガマリーは聞かされた。

先程の邂逅から時間は経ち、協力関係を築けた両者は惜しみなくその情報を交換する。

 

その目的が生き延びるためならば特に可笑しな事ではない。

片や人類史に置いて英雄と認められ呼び出されるほどの英傑、片や生きながらも更なる叡智を求め追及する魔術師が限りある生を惜しむのは当然の事だ。

 

「随分とマシュと狂戦士を気にするようね、何か理由でもあるの? 傍目に見ても狂戦士はそれ程名の通った英霊とは思えないのだけれど。」

 

「いや、何。あの弓兵は剣士絡みでなければ滅多に動かねぇ、加えてその盾の嬢ちゃんを差し置いて先に狂戦士を狙ったとなると、あの滲み出る奴の雰囲気に脅威を感じたんだろう。」

 

「滲み出る……雰囲気…? 確かに少し不気味だけど珍しく会話は出来るタイプよ?」

 

クーフーリンの言葉に訝し気に首を傾げたオルガマリーの脳内に浮かぶのは、血まみれの装備を身に纏い眉一つ動かさない長身の男。

確かに世間一般からすれば異様な雰囲気で、という言葉は理解できるというかほんの数時間で狂戦士の姿に違和感を覚えなくなっている自分に少し悲しくなってしまった。

 

「ほう、ソイツは珍しい。となると割かし低い狂化か、あるいは………」

 

彼女の言葉に驚いたように返答したクーフーリンは顎に手を当て、再び考え込んだ。

遠目ではあるがまるで獣を彷彿とさせる戦い、雰囲気、佇まい、そして見た事も無い薄汚れた武器を手足の様に巧みに扱う技術は狂戦士というクラスに置いて些か不釣り合いだ。

 

本来狂戦士は理性を失う代わりに持ちえぬ力を手にする、いわば『弱い英霊』に付与されるモノ。

理性を失ってるのなら武器を持ち替える事などしないだろう、ましてあのように使いこなす事もない。

 

オルガマリーが言う様に理性を残しているのなら無理な話ではないが、どうにもクーフーリンには狩人が不自然に思えた。

 

『――――お話の所失礼します、未だ狂戦士からの連絡はありませんが徐々に聖杯らしき反応が強まりつつあります。』

 

どうやらもう休憩は終わりの様だと、杖を抱えたクーフーリンは不敵な笑みを浮かべオルガマリーが手にしていた石を複数かすめ取る。

抗議の意を唱える彼女を横目に出発だと、魔術師は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――これはなに?

 

 

藤丸立花は零れる様にその言葉を口にした。

目前に広がるは人智を超える超常の戦い、つい数刻前に知り合った自らを先輩と慕ってくれた女の子が盾を持ち人間とは思えないほどに禍々しい気配を撒く存在と戦っている。

 

先程知り合った魔術師という男性は巧みにその杖を振るい、指で文字を写しその黒い騎士を戦っている。

あまりにも激しく、そして一方的な戦い、刹那の如く振るわれる剣戟はマシュが構える盾を大きく揺らし、彼女の体力を削っていた。

 

その隙を狙う様に魔術師は騎士の背後を取るが、剣士と魔術師では分が悪いのか瞬く間に薙ぎ払う様に吹き飛ばされ剣士に大きな傷はつけられていなかった。

 

「―――――極光は反転する。光を呑め・・・!」

 

追撃が止んだと思ったその時、その騎士は天に向かいその剣を掲げると何かを口にしていた。

収束するように黒い力の塊がその剣に集まり巨大な剣となっていく中、彼女は脇目も振らずに走り出した。

 

目の前ではその攻撃を迎え撃つ様に盾を構える少女の姿、そのすべてを吹き飛ばさんと力を溜めるその剣は今や今やと振り下ろされんとしていた。

背後で立花を制止する言葉が叫ばれているが彼女は止まれない。

 

愚かだと、自殺行為だと笑うなら笑え、だが目の前で果敢に戦う少女を見捨てる事など彼女にはできなかったのだ。

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガン)』!!」

 

その光景を形容するならばまさに闇、具現化された闇の一撃がその盾に叩きつけられとてつもない衝撃がマシュに降りかかる。

握り締める手は時間が経つにつれ感覚を無くし、今にも体制が崩れそうになる。

 

最早これまでかと、諦めそうになった瞬間だった。

 

「――大丈夫、信じてる。……マシュ!!」

 

ふと耳に届いた声音が彼女の意識を引き戻し、再び彼女は瞳を開く、目の前でこちらを見据え共に盾を支えていたのは彼女の主人だった。

重ねられた手から魔力が伝わりマシュは立ち上がる。光を取り戻したその瞳は闘志に燃え、その意思に呼応するかの様に盾は眩い光を灯した。

 

「ハァァァァァァァッ!!」

 

形成されるは光の門、堅牢なその城壁(・・)は闇の光を反射させ始める。

 

「あの盾はッ!?」

 

騎士が反応するよりも早く、その盾は光を剣士に跳ね返した。

力の衝撃により舞う砂塵の中から現れた騎士は判断を見誤ったか、不意の一撃に消耗した様子で忌々しげに光の門を睨んでいた。

 

そして――――

 

 

 

「――――不意打ちを恐れろ」

 

 

 

何処からともなく姿を見せた(・・・・・・・・・・・・・)赤黒い曲刀が剣士の背後から振るわれる。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

思わず態勢を崩した騎士が垣間見たのは背後にて歪な大ぶりの曲刀を振り抜いた男の姿。

続いて反撃する暇もなく、剣士の耳に言葉が届く。

 

 

 

 

「焼き尽くせ木々の巨人。 『焼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』! 」

 

 

 

視線を前に向ければ不敵な笑みを浮かべた、魔術師が杖を掲げ魔術を行使した瞬間だった。

自らの足場が崩れ巨大な木の巨人が姿を現す、抵抗も虚しく騎士は捉えられ、その身は炎に焼かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……グランドオーダー、聖杯をめぐる戦いは始まったばかりだ。』

 

 

魔術師の魔術により、決定打を与えた騎士は遂に敗れこの聖杯戦争は終結を迎え、剣士ともども魔術師も役目を終え消えて行った。

騎士が残した言葉に不安を募らせた面々だが、やがて地面から金色の光が溢れ聖杯と思われるモノが出現する。

 

放心したようにその場に立ち尽くしたマシュと立花はすべてが終わった事を確認するように、顔を見合わせると笑顔を浮かべこちらに向かってくる足音に気が付く。

 

「狩人……!! 無事だったんだね、ありがとう!!」

 

「狂戦士さん、先ほどは危ない所をありがとうございました。」

 

足音の主に気が付いた二人は安堵の笑顔を咲かせると狩人の元へ駆け寄った。

その手に携えたのは鎌のように湾曲した剣のような武器、そして武骨な大砲だった。

 

みれば身体の至る所に傷が見えるが本人は至って問題無い様に振る舞うと、立花の頭を優しくなでる。

 

「……すまない、遅れた。……無事で良かった…。」

 

「ううん……ありがとう。狩人。」

 

「…マシュ、貴公も勇敢だった。敬意を。」

 

頭に添えられた手を掴んで微笑む主人、そして狩人は隣のマシュに視線を向けると小さくお辞儀をする。

慌てた様子でお辞儀を返したマシュをみやり立花は和やかに微笑むと再び狩人に視線を向け、言葉を詰まらせた。

 

 

 

 

「あぁ……ああぁ……、匂う、匂い立つぞ!!」

 

 

 

 

狂戦士の言葉に違わぬ程に敵意を振りまくその姿は出会った頃とは程遠く、別人とも思える程にその瞳は血走り、身体は衝動を抑えられない様に震えていた。

手に持った武器は手放し、懐から布に巻かれた丸鋸のような物を取り出した彼は視線を振り撒いた。

 

 

 

やがて、その瞳は一つの人影を見つける

 

 

 

「計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。」

 

 

 

聳え立つ崖の上に立つ、一つの人影を

 

 

 

「レフ教授!!」

 

 

 

その人影に覚えがある者は喜びの声を上げ、そして

 

 

 

「―――獣だ」

 

 

 

狂戦士は標的を見誤る事無く声を張り上げた

 

 

 

 

 

 







FGOやってる人なら『獣』の意味はすぐ分かるよネ!!

ぶっちゃけ私個人のブラボ考察は友人に鼻で笑われてるから、あんま期待しないでいただきたい!!

え?
展開早い?
気のせいじゃろ。

関係ないけど豚の事故死が一番腹立つの……




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