IS学園ではある二つのことが、話題となっており賑やかな状態になっていた。
一つは世界で唯一見つかった男性IS適正者の織斑一夏のこと。
もう一つは一年ほど前から世界的に話題となっている女優にして、声優にして、モデルの超有名無表情系無感情歌手の人形原 亞利朱《にんぎょうはら ありす》が近い日にこのIS学園に番組の企画で取材に来ると言う噂のことである。
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ー某ラジオスタジオー
「それでは、名残は惜しいですが....そろそろ番組終了のお時間になって参りました。何か要望や、お便りがある方はこの番組のホームページにて気軽にメールが遅れますので私の答えられる範囲の事に限りますが送ってもらえると幸いです。これにて亞利朱の無気力ラジオ、司会は私こと人形原 亞利朱がお送りしました。次回も楽しんでもらえると嬉しいです。それでは次の放送までさようなら」
亞利朱が自分のやっているラジオ番組の締めの言葉を言うとプロデューサーが入ってくる。
「いやー、亞利朱ちゃんお疲れ。今日もいい感じの無感情っぷり良かったよ!」
「どもっす、プロデューサーさん」
「うんうん、君は本当にいい子だねー。あっ、そうだ!お菓子食べる?さっき売店でチョコレートのクッキー買ってきたんだ」
そう言ってプロデューサーは手に持っていた袋からクッキーを取り出し亞利朱に渡す。パッケージを見るとチョコチップ系のクッキーで丁度甘いものが欲しかった亞利朱は受け取ると袋を明け始めた。
「すいまモグモグせん。有難くバリバリいただきゴクンッます」
「うん、相変わらず無表情で分からないけど喜んでもらえたっぽいから良かったよ......けど今度からたべる前にその言葉言おうね」
亞利朱がクッキーを食べ始めるとスタジオのみんなが癒された雰囲気になる。綺麗な人や可愛らしい人の姿は食事シーンであれ癒す効果があるらしく亞利朱のクッキーをたべる仕草に皆癒されていた。
「はーい、.....ふう、クッキーも食べ終わったんで自分上がらせてもらいまーす。お疲れ様でした」
「「「「お疲れー、気をつけて帰るんだよー(スタッフ一同)」」」」
亞利朱は一度スタジオのスタッフへ向き直ると一礼してからスタジオから出た。
スタジオから出た廊下ですれ違う先輩達やスタッフ達からお菓子を貰いながら自分の楽屋に行く。そこで特別製のバッグに貰ったお菓子を詰めてビルを出た。ビルを出て暫く歩くと人気の無い道に入り、奥に一人の少女がいた。
「お帰りなさいませ、亞利朱様。お迎えに参りました」
「おー、クロエ。わざわざごめんね、人払いまでしてもらって。ほら、今日もお菓子いっぱい貰ったからはやく帰って束さんと食べよう」
「いえ、私も早くお会いしたかったので....」
そう言ってクロエは亞利朱の手を引きニンジン型のロケットの中に入っていく。
そこに亞利朱が入るとウサ耳カチューシャが突っ込んできた。
「あぁぁぁーーーーーーーちゃぁぁぁぁん!!おかえりぃぃぃぃ!」
「束さん大げさっすよ、いやまじて。仕事いってただけなんですが」
「はい、私も束様にそれを言ったのですが...」
クロエは申し訳がなさそうに顔を伏せる。束は亞利朱がクロエと話をしてる隙に体のあちこちを触り始める。
「いや、なんでクロエが謝ってるんすか?と言うかクロエと話してるときにさりげなくセクハラしないでください」
「それは、出来ないね!悪いけど。だって愛してるんだァー、あーちゃんをー!!もちろん、くーちゃんもー!!」
どこぞの企業の狂った主任のようなセリフを叫ぶ束。
「そうだ、お菓子いっぱい貰ったんでみんなで食べません?」
「むむむ、お菓子とな!」
「束様落ち着いてください」
クロエが束を落ちつかせて椅子に座りみんなでお菓子を食べる。その途中で束はあっと何かに気づいたような声を上げて立ち上がる。
「どうしたんすか、束さん?トイレすか、風呂すか?」
「違うよ!あること思い出したよ!いっくんがね、なんとIS動かしたんだ!」
「いっくん?織斑一夏の事っすかなんか番組とかで聞いたことあるっすね。じゃあ、いっくんじゃなくていっちゃんすか?」
そう言えばと、亞利朱は自分の出ている番組の速報でそんなことを言ってたなぁと思っていた。
「いや、いや。違うよ!いっくんは男だよ。だから番組速報で報道してたんだよ!それでね、いっくんIS学園に入るんだけど、悪い虫が付いちゃうのは宜しくない。私の妹箒ちゃんも心配というわけで私側の方も手伝って貰うよ?」
「妹さんもIS学園なんすねー。と言うかそんな事だったら聞かなくても手伝いますよ束さん」
亞利朱はそう言いながら机の上のクッキーを手に取り、齧った。