渡物語   作:UKIWA

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遅くなってすいません!!

前よりかは短くなってしまっています。

ご了承を、それではどうぞ。


なつめアイズ

 

 

  001

 

 妖怪、それは日本古来より伝承として伝えられている自分達の理解を上回る現象、もしくはそれらを操る不可解極まりな無いもの、あるいはそれらを起こす不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な存在。あやかし、物の怪、魔物と呼ばれる者たちのことである。あるものは人に天地の災いを起こし、またあるものは人を救い恵みを与える。消えない存在、見えない存在、恐怖の存在。人々には見えない、触れらえない、だけど彼らはそこにいる、そこに確かに存在している。だけど僕らには何も感じない、ただ存在し続ける彼ら、僕たち人間より遥か前から、いや僕たちという存在が出来たころからだろうか。

 

 妖怪を見れる少年夏目貴志は妖怪が見えるという時点で類稀なる妖力の持ち主といえるのだろう。物静か、いつも怯えている少年は妖怪と人間との関わりを深く誰よりも深く考えながら生きている、そして成長している。彼の祖母の遺産である『友人帳』には多くの妖怪の名前を刻まれており、彼はその遺産を引き継ぎ、その名前を妖怪に返すために。

 

 今の僕にとって彼の話は過去であり、知らない話でもある。ではなぜこの話が出来るのかといえば、この話のメインが、語り手が、僕阿良々木暦の話ではなく、神出鬼没妖怪変化のオーソリティーのアロハの怪異の専門家忍野メメが語る怪異談、いや夏目貴志との妖怪談であるのだから。

 

 

 

 

 

  002

 

 妖怪とは、という言葉に対して僕から言えるとするならば、人間と似て非なる存在といえてしまう存在、同じであり同じじゃない。人間と違うとするならば、あえて挙げると言うんなら寿命と見ためぐらいだろう。まあ、妖怪も怪異も同じように似た存在、人間=怪異=妖怪みたいなものというだけで臥煙先輩から無理やり来させられたというか、依頼を受けてしまったというか、僕としては今回の依頼を受ける気はさらさらなかったけどね。まあ今回の件は、世界のバランスを変えてしまう可能性があるものだったから誰かがやらざるおえなかった。別に僕じゃなくて暴力陰陽師でもよかった……いや、やっぱり今回の事は僕が適任なのかな、あの暴力陰陽師に任せると今回の元凶が消滅しかねないからね。そういえば、臥煙先輩から伝言を預かってたな、あの人は僕の事をヤマトや日本郵便なんかと勘違いしてるんじゃないかとつくづく思うんだけどね。というかこんな感じだと僕の肩書きである神出鬼没で出会えたら奇跡っていうものが、完全に人為的で意図的で出会えて当然みたいな感じになっちゃうじゃないか。後輩をぱしる嫌な先輩を持つと苦労するよ。

 ん?結界は貼ったつもりだったけど、まいったなぁこの感じはとんでもない妖がはいてっきたもんだな。

 

 「先生、どうしたんですか!?ここに何があるって言うんですか」

 

 「夏目その場所を動く出ないぞ、そこのおぬし何をやっておるのじゃ?」

 

 「にゃんこ先生、この人は?もしかして名取さんや的場さん達と同じ…!?」

 

 「いや、こやつは祓い屋などといったけったいなものじゃない、こやつらは専門家じゃ」

 

 「いやいや、そんなに僕の事を恨めしそうにギラギラしちゃって何かいいことでもあったのかい?」

 

 いつものように僕の決め文句のような言い回しでこの言葉を投げかけた。

 

 「専門家とはなんですか先生」

 

 あの少年誰かに似てるような、どっかで見たかなぁ、声は僕の友人にそっくりなんだけどね。

 

 「妖怪という概念にとらわれない都市伝説や風の噂なんぞを引き起こす存在、怪異を扱うもの達の事じゃ。それでお主は何の専門家じゃ、妖専門のものなら容赦はせぬぞ」

 

 「まあまあ僕はあんたみたいな上位の妖を捕まえたり、あれやこれやする専門家じゃないんでね。僕は中立でいたいんだよ世界的なバランサーとしてね。それにここはもうあんたが住み着いてるおかげでバランスがとれてるしね。おっと自己紹介が遅れたね、僕の名前は忍野メメ、あんたが言うとおり怪異の専門家だよ」

 

 「忍野さん、あなたは今先程バランサーと言いましたよね?そしてここのバランスも取れてるとも言った。ならあなたはこのバランスがとれている状態のこの場所ならあなたがいる意味がないのでは?」

 

 「あー、ん~、そうだ思い出した。夏目って言う名字とその顔だち何処かで会ったようなと思ったけど、もしかするけどもレイコさんのお孫さんだったりしてね」

 

 「祖母を知っているのですか!?」

 

 「お?その反応じゃあビンゴかな?まあ、昔大学のサークルで君のおばあさんの所に訪ねたことがあってね、色々な怪異談、いや妖怪談を聞かせてもらったよ」

 

 ということはこの子が夏目貴志本人で間違いなさそうだね。今回の事は夏目君の協力がないと出来ないことだしね。いやぁこんなに早く見つけられて良かったよ。こんなグッドタイミングで来てくれるなんて僕も神様に愛されてるんじゃないかと思うぐらいだよ

 

 「おい、夏目こやつに話をはぐらかされておるぞ!!」

 

 「侵害だなぁ、僕は生まれてこのかたこれっぽっちも話をはぐらかしたことがないよ?」

 

 「その言い方からして絶対はぐらかした事があるのではないか!!」

 

 猫の妖は兎のようにずんぐりとした体を怒った口調で跳ねながらばたついていた。

 

 「いやぁ、探す手間が省けてよかったよ、臥煙先輩から君と協力するようにって言われたんでね。今回の依頼は僕だけの力だけじゃあどうにもならないからね。協力してくれるかな夏目貴志くん」

 

 まあ事実今回の依頼は僕一人でも解決できるんだけどね、夏目くんの登場はうれしい誤算だった。これで駒は揃った。これで正真正銘全員がハッピーエンドを迎えられる終わり方が出来る。まあそれをダメにするのも彼自身なんだけどね。

 

 「夏目こんな奴にかかわるでないぞ。専門家にはろくなやつがいないからの」

 

 妖側からしたら、僕たち専門家には死ぬほど関わりたくないだろうけど、まあここで夏目くんが関わらないのもまたそれもそれで運命かな。

 

 「忍野さん、僕は何をすればいいんですか?まずなぜぼくが必要になってくるのですか」 

 

 「おっ?協力的的なのはうれしいね、それじゃあ説明と言いたいところだけど話は後だ…来るよつむじ風が」

 

 自分が予想していたポイントの場所やや斜め25度と0.5cmぐらいの誤差地点に小さい竜巻、つむじ風が落ちた葉を蹴散らし宙へと散らした 

 

 

 

 

 

  003

 

 

 

 「夏目気をつけるのじゃ!よからん気配が来ておるぞ」

 

 風は秋風から突風へと変わり、あたり一面の葉は飛び、木からは枝と枝とがぶつかりあい、きしむ音が鳴り響き、泣き響いていた。風は数分経つと、つむじ風を起こし、その中心には小さく黒髪の和服を着た少女がしゃがんでいた。

 

 「妖の子供?」

 

 「『精霊風』、他の言い方をすれば『死霊風』、『生霊風』、『魔風』とも言ってね、元々は長崎県の五島地方に伝わる伝承なんだが、そこの地方で昔は病気を風の仕業と思う民間信仰があってね。これはだいたい盆の十六日の朝の吹くんだけどね。彼女はいわゆる『風の子』ってやつさ」

 

 [助けて…苦しいよ、お母さん…お父さん…]

 

 「あの子かなり苦しがってる!!助けなきゃ!!」

 

 「待つのじゃ夏目!!」

 

 「どうしてですか先生!!」

 

 「どうしたんだい夏目くんそんなに急いで何かいいことでもあったのかい?君は彼女に何がしてあげられるんだい?彼女の知識を知らない君が近づいたら今の君じゃあ次に待つのは『死』だよ?」

 

 「それじゃあどうすればいいんですか忍野さん」

 

 夏目くんも阿良々木くんに似たように正義感の塊のような人間じゃないか、いいねぇ青春だねぇ、僕も数年若かったらあれぐらいやんちゃしようとしたもんだけどね

 

 「夏目今回のはやめておけ、あの専門家はともかく精霊風は関わるとこの町ごと不治の病で倒れるやもしれぬぞ?あれは厄災じゃ、下手に触らん方がいい」

 

 「でもそれじゃああの子は!?」

 

 「まあまあ落ち着いて何事にも順序があるだろ?君は彼女を助けたいかい?見ず知らずの彼女を、不幸を厄災を呼ぶ少女を」

 

 

 さあ、決めるのは君自身だ夏目貴志くん

 

 「僕は…みんなを危険には巻き込みたくはない…でも目の前にいるあの子も僕は助けたい。忍野さん、あの子を助けて下さい!!」

 

 「夏目くん、人も妖も僕は助けないよ。僕は助けるわけじゃなく、人も妖も一人で勝手に助かるだけだからね。夏目くんの気持ちはわかった。じゃあ、教えようあの子もこの町もどちらとも幸せにする方法をね」

 

 僕は夏目貴志にそう告げると、にやりとした顔で話をする。妖も人も全てを幸せにする方法、全てが自分だけで助かり、なにも自然に、妖のように、人のように成仏させる方法を

 

 

 

 

  004

 

 (この作戦は一度きりだ、夏目くん君がうまくいけば晴れてハッピーエンドだ。ただしもし失敗した場合は僕が出るその時はもうあの子は助からない、いいね?)

 

 「とはいったものの、僕はあの子がやれるかどうか、彼自身とも自分自身との戦いになるだろうからね」

 

 「お主は何も分かっておらぬな、あやつは自分のしたいと思ったことは必ずやり遂げるやつじゃ。まあその代わりわしが苦労するのじゃがな」

 

 「やっぱり化け猫はやっぱりいうことが違うねぇ、いやこの見た目だと狸猫かな?でもそれじゃあ猫型ロボットになってしまうしなぁ」

 

 「誰が狸猫じゃぁー!!」

 

 僕は腕を組みながら見つめ、彼は向かっていく。いつしか風は強くなっていた、やれるだけの準備はやったさ。後は任せるよ夏目くん。

 

 

 

 

 

 

 忍野さんに言われたとおり、でもこれが本当にあの子は成仏できるのか?

 

 「君どうしたの?」

 

 [エッグ一人はさびしい、ひとりにしないで、なんでみんな言っちゃうの?]

 

 「君一人なのかい?お友達と一緒にいたりとかしなかったの?」

 

 [みんな私の事を近づくなって…気味が悪いとかって…]

 

 「どうしてみんなそんなことを言うのかな?」

 

 [私…見えるの…お化けが]

 

 この子って僕と同じ、もしかして忍野さんはこのことを

 

 (あの子を助けるには自分と向き合うことだ。ぼくはそれ以上もそれ以下言わないし、答えないよ。後は君もあの子も正面から向き合うんだ。そしてあの子に君の気持をぶつければ万事解決だ)

 

 「君友達がいなくてさびしい?」

 

 [……うん]

 

 「僕もね、小さい頃は君と同じで、僕も見えるんだお化けが、そのことで僕もよくいじめられた」

 

 […?]

 

 「でもね、今僕には大切な友達がいるんだ。君にももしかしたらいるのかもしれないよ」

 

 […でもそんなこと言ってる子なんて]

 

 「それじゃあこうしよう、僕が君の友達になってあげる。辛かったらいつでも僕が相談に乗るから」

 

 […でも、私もう…人間じゃ…]

 

 「人間も妖も関係ない、それに君は妖じゃない、どこにでもいる普通の女の子じゃないか、ほら君の帰りを待つお父さんやお母さんが待ってるよ」

 

 [ありがとう、お兄さん、また…遊びに来るね]

 

 こうしてあの子は天へと帰った。だれも不幸になることない、幸せのエンディングを。それをつなげてくれたのはほかでもない専門家忍野さんのおかげだろう。そう思いながら、僕の横を冷たい秋風が吹いてきた。

 

 

 

 

  005

 

 後日談というか、今回のオチって言えばいいのかな。

 

 いやいや、さすがは夏目レイコの孫といったところ、彼は阿良々木君と同じで良い心も持ち主だよ。ただ欠点とすれば、あの体力と運動神経かな、まああの狸猫がなんとかしてくれるんじゃいかな。おっと、話がそれてしまったね、まあ実際の所僕が行かなくても彼だけでも何とでもなっただろう、僕が手出しする必要も、介入する必要も、この依頼も何もかもが無駄足だったかな。いや、そうでもないか。あのぐらいの年を見てると僕も生き生きできるし、エネルギーをもらえるからね。まあ今回は不幸なんてない綺麗な物語、いや綺麗な怪異談、妖怪談とでも言っておこうか。次は、何処かぶらぶらして、依頼場所に向かおうかな?

 

 




 火憐だぜ~、次回予告は私がやっちゃうぜ!!

 次の話はこう、ドカン、やらアチョーてきな感じでやっていくぜ!

 といっても今時の先生って、こぶしで語れないのは残念だぜ、こうこぶしとこぶしの熱きなんとかっていうのを火憐もやってみたいぜ!

 それでは次回「川島ティーチ」

 夢にときめけ明日にきらめけだぜ!

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