魔女と怪異と心の穴───もしくは一ノ瀬巽の怪異譚───   作:タキオンのモルモット

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前回の答え

まず五十音表を用意してアカサタナハマヤラワヲンに1から順に数字をつけます。次に各行にも1から順に数字をつけます。

そうすると『あのさくらのえのうら』『あの桜の絵の裏』となります。

ノーヒントではキツかったのだろうか······一応友達はなんの問題もなく普通に3分くらいで解いていたのですが······


賭け事は好きか────?

1

「······ハロウィンパーティー?」

 

「うん、その運営に協力して欲しくて······」

 

とある日の放課後。戸隠憧子元生徒会長と······誰だお前······がオカ研部室にそんな相談をしに来た。

 

ていうか────

 

「へぇーこの学校そんなのあるんだ」

「この学校そんなもんあったのか」

 

「「「「「「え」」」」」」

 

ん?何か変な事言ったか俺

 

「いや、椎葉さんは転校してきたばかりだからまだしも······一ノ瀬お前······存在すら知らなかったのか······」

 

「記憶にある限り、去年のハロウィンは仕事の打ち合わせで0時半まで担当と愚痴ってたかなぁ」

 

「それなら······しょうがない······のかなぁ······?でも一年の因幡さんも知ってたわけだし······」

 

「それにわざわざそんなものに参加する意味も持ち合わせていないもので。知ってても参加しなかったかと。面倒くさいし。あんまりワイワイしてるの好きでもないんですよ。やるなら多くても人数が10ちょっと位がいい。」

 

「ああ······騒がしいの嫌いなんだね?」

 

「そうだな。そんな騒がしいところに行くとしたら好きなアーティストのライブとかコミケくらいなもんだ。それに俺がそんなパーティー出てみろ、サインたかられるのがオチだ。ソースは俺の中学最後の文化祭。」

 

最後の文化祭。勝手にクラスの奴らが俺の事を無許可で広告塔にして客寄せしたせいでそれはそれはどったんばったん大騒ぎになった。内容はほぼ俺のサイン会。ちなみに、企画を通す時に俺が許可したという事になっていたらしい。頭に来た俺は運営と他の先生に俺が許可していないという証拠(その企画を持っていった時俺は仕事関係で休んでいたという事実)を叩きつけた。あわれ、うちのクラスは開始数十分で文化祭終了、反省文を書くハメになったとか。

 

「あの時はホントびっくりしたぜ······まさか担任が俺を出席した事にして口裏合わせてるとは······思い出したら腹立ってきた······あの糞共······」

 

「そういえばそんな事もありましたね······確か丁度出した作品が百万部突破した時でしたっけ?」

 

「ああ、夏休みにそうなって本当に売れ始めた頃だな。夏休み明けにあんな事になるとは思ってもいなかったよ······はぁ、あいつら全員受験失敗すればよかったのに······」

 

「さらりと恐ろしいことをつぶやくなお前は······あれ?じゃあ去年と今年の文化祭は?」

 

「去年はオカ研先輩方協力のもと、名前隠してホラゲー作って無料配布、今年は『日本心霊スポット絶景厳選』というタイトルで展示して終わり。因みにどっちも当日には仕事の予定入れてた。意図的に。」

 

というか学校行事は大体仕事入れて公欠にしてる。仕事つったってその日に担当との打ち合わせ入れてるだけだし。

 

大人ってこういう時はものわかり良くて助かるわ。『この日じゃないとダメらしいです』と言えば大体『そうか······残念だが仕方ないなそれじゃあ』と解決できる。便利。

 

「······まさかだとは思うけど······去年の林間学校も?」

 

「その日は本当にたまたまイベントと被ってしまって······」

 

ちなみにこれはマジだ。意図的ではなく本当に被った。

 

成り行きでテレビに出ることになってしまっただけである。

 

「あ、参加しようとはしていたのですね?」

 

「······川釣りしたかったなぁ······」

 

それだけは心残りだ。

 

「────っと、とにかく、お願いできないかな?あれ任意の参加なんだけど、だからこそ運営が足りなくて······」

 

「私は構いませんよ?」

 

「俺も別に」

 

「寧ろやりたいです!!」

 

「私も興味はあるかな?」

 

と、4人。

 

「······運営だけで、尚且つ俺の参加がバレないように配慮してください。面倒なので。」

 

「ああ······まあそうだよね。わかった。大変だな有名人も」

 

「大変なんだよ······ええと······綾小路さん?」

 

「誰よそれ!?越路よ!!」

 

路だけ合ってた。

 

 

2

 

「······と、言うわけでコスプレパーティーとバンドをやろうと思う。」

 

「保科が壊れた!?」

 

「誰か保健室連れてけ!!」

 

「保科······一体何が······!!」

 

「なんでそこまでのリアクション取られなきゃいけないんだよ!!」

 

翌日、急に保科の頭が湧いた。

 

「あの保科がそんな事言うなんて······!!信じられない······!!」

 

「本物の保科を出せ偽物め!!」

 

「柊史······もういい、休め······!!」

 

「お前らいくら何でも巫山戯すぎだこの野郎!!」

 

と、まあ巫山戯るのはこれ位にしよう。

 

「誰がやるんだよ、バンド。」

 

「仮屋。」

 

「私っ!?無理無理無理!!」

 

「え?でもやってるんだろ?ギター。」

 

「······あれ、私一ノ瀬に話したっけ······?保科には話の流れで話さなきゃいけなくなったから話したけど······」

 

「指を見ればなんとなく。」

 

「······バレてた······だと······」

 

ガクッ、と膝を付く仮屋。 何をそんなに落ち込んでいるのだろうか?

 

「でも他はどうすんだ?保科」

 

「海道······なにかできそうな感じするよな。モテそうとかいう理由で経験者みたいな」

 

「動機まであてられた!?ドラムやったことあるよコンチクショウ!!」

 

「ベースは仮屋、ドラム海道······後はどうするつもりなんだ?」

 

「ボーカルは······寧々を誘おうと思うんだけど······」

 

ああ、なるほど。そういう事ね。

 

「うへぇ、私達はバカップルの隣で練習しなきゃいけないのか······」

 

「······あれ?柊史は?お前なんか出来たっけ?」

 

「ギターの基礎の基礎だけなら······どうせこんなの失敗しても笑い話だ。死ぬ気で練習するさ。」

 

「······やっぱお前柊史じゃないな!?」

「本物を何処にやった!!ル〇ン!!」

「本物の居場所を吐けルパ〇!!」

 

「誰が〇パンだ!?」

 

────閑話休題────

 

「まあ、これで取り敢えずメンバーは集まったな······」

 

「お前らも良くやるなぁ······」

 

俺はバンドなんかやろうとも思わんぞ······

 

「······ちょっと待って?一ノ瀬は何もしないの?」

 

「学校行事なんて碌な思い出ないからな。参加するけど運営だけという条件での参加ということにしてもらった。面倒だもの。それに楽器とか得意じゃないし。」

 

「うん、まあ有名人なりの苦労はあるよな、ならしょうがないだろ。」

 

「海道最近やっぱり察しが良すぎない?ひょっとしてル〇ン?」

 

「ちげえよ!?」

 

なんだ違うのか······。

 

「いや······私は忘れてないぞ一ノ瀬······!!お前がピアノもプロ級だという事を······!!」

 

「「なっ、何ィ!?」」

 

「おま······何年前の話だよ······」

 

「小学校の時何だかんだ4年くらいまでずっと一緒のクラスだったんだ······忘れる訳ないだろう!!」

 

「てことは······キーボード確保?」

 

「やらねえよ!?絶対やらねえよ!?」

 

誰がやるか!!

 

「そもそもピアノなんて何年もやってねえし弾けるの歴代仮面ライダーの歌とアニソンとゲーソンだけだぞ!?キーボードだってピアノとは違うから無理だって!!」

 

「いや、そんなに弾けるなら普通に凄いんじゃねえかそれ······」

 

海道のツッコミが入るが無視だ。

 

それを聞いた仮屋は少し俯き、その後上目遣いで潤んだ目でこちらを見て────

 

「一ノ瀬······ダメ?」

「ダメ。」

 

「間を開けずに断りやがったよコイツ!!!?」

 

うるせえ、ただでさえ学校行事には参加したくないんだ。裏方で参加すると了承したのすら珍しいくらいには。

 

「······私は······一ノ瀬と······一緒に演奏したかっただけなのに······」

 

遂にこいつ嘘泣き始めやがった。

 

「うわー、仮屋さん泣かしたー」

「おい、流石に謝れよ一ノ瀬ー」

 

周りからヤジが飛ぶ、が。

 

「嘘泣きはやめろよ仮屋。ただ一緒に演奏したいだけ?バンドやろうって持ちかけなきゃ何もしなかっただろうにそれを言うか?」

 

「っち、バレたか」

 

「そうやって無駄だとわかったらスグに切り替える精神嫌いじゃないぜ······」

 

「嘘だろ······今の嘘泣きだったのか······」

「完全に騙された······」

「普通女子が泣いたら戸惑うだろうに一ノ瀬冷静すぎるだろ······」

 

周りからそんな声がチラホラ聞こえる。

 

「まあ、そもそもバンドやるやらない以前の話があってだな?」

 

「「「······え?」」」

 

あれ?知らないのかコイツら······

 

「次のテストで赤点取ったらハロウィンパーティー出れないって戸隠先輩に聞いたけど?」

 

「「「あ」」」

「「えっ!?」」

 

保科、仮屋、海道は「忘れてた」と言わんばかりに、そして廊下で先程から覗いていた因幡とクラスに居た椎葉が驚きの声をあげた。

 

 

3

「······という訳で勉強会をしよう。」

 

放課後のオカ研部室。一ノ瀬巽、仮屋和奏、海道秀明、戸隠憧子、綾地寧々、保科柊史、椎葉紬、因幡めぐる以上8名がオカ研部室に集まっていた。

 

「有志の数的に海道達でやるバンドがいないと厳しい、がかなりの人数成績がヤバイときた。」

 

「数学と英語はマジ無理!!死ぬ!!」

 

とは海道の弁。

 

「強いて言うなら英語は50割りそうかな?」

 

何だかんだ優秀だな仮屋よ。

 

「私は学校の進み具合が違くて······特に化学······数学はここより進んでたんだけどね」

 

とは椎葉の弁。これはしょうがないだろう。

 

そして因幡────

 

「無理ィー······国語と数学以外全然できないです······」

 

「お前どうやってここ受かったの?」

 

アホの子とは思っていたがここまでとは。前回の成績を見たら国語と数学以外全部赤点スレスレである。一応ここそれなりに偏差値あるんだがなぁ。

 

「赤点さえ取らなきゃいいんですよ······テストなんて······ポケ〇ンたのしーい······」

 

「駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・」

 

コイツにゲームを教えたのは間違いだったかもしれない。

 

「俺は古典が赤点スレスレになりそうってだけでぶっちゃけ問題は無い」

 

というのは保科。まあお前が落ちても割とやばいから大人しく勉強しろ。

 

「幸いここには学年で一二を争い、既に推薦で受験が終わっている戸隠先輩、優等生の綾地寧々がいる。綾地は保科。戸隠先輩は海道と仮屋を見ればいいかと。ぶっちゃけ仮屋は放っておいても多分大丈夫でしょうし海道メインに見てやればいいかと。」

 

「······あれ?私は······まさか······」

 

「喜べ、俺が直々に見てやる」

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

絶叫した。

 

「そんなに嫌か?」

 

「先輩の鬼授業は嫌だー!!」

 

中学時代のトラウマが脳裏に蘇っているのか震える因幡。

 

「お前······何したんだ?」

 

「······さあ?中学時代に1回だけ勉強見たことがあるくらいだよ?」

 

何もしてないのだが。何をそんなに震えているのやら。

 

「まあいい、問題は場所だよなぁ。」

 

「流石に私の家も入るかどうか······」

 

前世界と比べて若干人数が増えた事により綾地寧々は流石に無理と宣う。······まあ多少『柊史君以外の男をあまり上げたくない』という心の声が聴こえてきそうだが。

 

「私の家もそこまで広くないかなぁ······」

 

「私の家は普通に両親いるし······」

「私の家も無理ですね。」

 

「そもそもこの中で一人暮らしなのって綾地さんと戸隠先輩と······いち······あっ······」

 

余計な事を言った、と思って口を塞ぐ仮屋。しかしもう遅い。

 

「そういえば一ノ瀬センパイは一人暮らしでしたね」

 

「え?俺の家?まあ広さ的には大丈夫だけど······」

 

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!絶対にいやだああああ!!」

 

絶叫をあげる狩屋を見てただ事じゃないと思ったのだろう。皆がこちらを見てくる。

 

「······いやあ、何も無いですよ?ただ俺の家ちょっと浮遊霊が溜まりやすい立地にありまして······ちょっとポルターガイストが起こるくらいなものです」

 

「「「「「「「十分怖いわ!!」」」」」」」

 

「よくそんな家で生活できるなお前!?」

「なんでそんな家にわざわざ住んでるんですか!?」

 

「夜中寝ている間しか来ないから大丈夫だってば!!」

 

怒鳴り声をあげる一部に対し······

 

「なんだ、浮遊霊程度ですか」

昔の経験から感覚が麻痺した因幡。

 

「なら夕方に帰れば大丈夫そうだね。私はいいよ?それに一ノ瀬君なら何とかしてくれると思うし······」

安全が確保されていると言うのなら別に構わないという椎葉。

 

「え~なんか楽しそうじゃん」

と図太さをみせる戸隠先輩。

 

「······待てよ、万が一心霊現象が起きたら女子の怖がる顔を合法的に見れる·····?」

真理に行き着いた海道。

 

そして自分の家から動きたくない一ノ瀬巽。

 

「多数決の結果、俺の家ということで。」

 

「ウッソだろおい」

 

こうして勉強会が開かれる運びとなった。

 

 

4

次の日の土曜日。午後1時。

 

「「「「「「······うわ、でかっ」」」」」」

 

一人暮らしとは思えないレベルのでかい家に皆が面食らった。

 

「ああ······また来てしまった······」

 

入る前からガタガタ震えている仮屋を除いて。

 

「おう、なんだお前らもう来たのか······」

 

インターホンを鳴らし『入っていい』と言われたので入ると寝ぼけ眼の一ノ瀬が出迎えた。

 

「もしかしなくても一ノ瀬君、ついさっきまで寝てたでしょ?」

 

「あー、基本休みの日なんてこんなもんだよ······仮面ライダーがあれば話は別だけど······でも結局二度寝するから関係ねえか」

 

「もー······ちゃんと健康的な生活送らないと病気になっちゃうよ?」

 

何故か椎葉に説教された。解せぬ。そして病気になっちゃうよという忠告は全く意味が無いのだが······

 

「取り敢えず中に入れ、勉強会するんだろ?」

 

 

 

こうして始まった勉強会だが────

 

「因幡······お前これマジで言ってる?」

 

「?はい、マジですよ?」

 

Q.北極を英語にしなさい

 

A.Eternalblizzard

 

俺が担当している後輩が馬鹿すぎて話になりません。

 

「なんでEternalblizzardなんだよ!?」

 

「だって常に凍ってて寒いじゃないですか!!」

 

「んな事言ったら南極だってEternalblizzardになるだろうが!!」

 

因みに正解はNorth Poleである。

 

「······因幡さんってこんなに残念だったっけ?」ヒソヒソ

「多分ですが······この後世セカイには一ノ瀬君というイレギュラーがいます······多分一ノ瀬君が何かしら影響を与えてしまったのではないかと······」ヒソヒソ

 

実際その通りだった。彼女は元々病弱で中々学校に来ることは無かったのだが、怪異に遭遇し、一ノ瀬に出会ってから仲良くなり、色々なゲームを教えて貰っていたのだ。因みに、何故2年の中盤まで親交が無かったのかと言うと2年に上がった時に連絡先のバックアップを取るのを忘れたのと、忙しかったからである。そして因幡もその時は色々空回りしていて、一ノ瀬のことは完全に頭から抜け落ちていた。ちなみにその時、色々自暴自棄になってFPSにハマった結果成績はガタ落ちした。

 

「あと日本史!!」

 

「ゔぇ!?日本史は得意なほうなんですけど!?」

 

「少なくとも俺は『犬養毅』を『犬養剛』と書き間違えるバカを見たのは初めてだよ······!!はぁ······ヤバイ······一人でどうにかなると思ってた俺が馬鹿だった······!!」

 

「······手伝おうか?」

 

「······お願いします······」

 

結果として戸隠先輩も加わってくれた。が大して変わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへぇ······疲れましたぁ······」

 

「おお、なんだかんだ4時間くらいぶっ通しで勉強してたんだな、そりゃ疲れるわ······」

 

「まあ、これで赤点はないと思うよ······ないと信じたいね······うん······」

 

そりゃかなり頑張りましたからね俺達。

 

「······流石に織田信長を織田信奈って書いた時にはぶん殴ってやろうかと思った······」

 

「わざとじゃないんですってば~!!」

 

わざとじゃないと言われましてもねえ······。

 

「······まあいい、取り敢えず今日はもう解散か?」

 

「そうだな······その前に珈琲くらい入れてやる。······あ、珈琲飲めないやついる?」

 

「「「「「「「大丈夫だ問題ない」」」」」」」

 

さいですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局一ノ瀬はやってくれないの?キーボード」

 

「やらないっての······案外粘るな仮屋······」

 

間違いなく出たら大騒ぎになる。同学年はそうでも無いかもしれないけど1年とか関係ないところから湧いて来るのは勘弁願いたい。

 

「確かにセンパイ出ると大変そうですねー······私何人かにセンパイにサインもらってくるように言われたんですけど······」

 

「そーゆー輩が出るからあんまり出たくないんだよなぁ······サイン自体は別にいいんだけどさぁ······メインが別物になっちゃってどうすんだって話だよ」

 

「······ハロウィンだからあながち間違いとは言えないんじゃないですか?センパイの小説ホラーですし。」

 

「うーん、完全否定できないのが悔しい」

 

ままならないなぁ······。

 

「てかそんなに俺にピアノ······いやキーボード?どっちも変わらないか······?まあいいや、なんでそんなに弾かせたいの?」

 

「······思い出くらい作りたいじゃん······」

 

「いっぱいあるじゃん、特にお前の元バイト先の殺人事件は抱腹絶倒ものだったな。あそこまでテンプレ思考のやつがいるとは思ってなかったぞ」

 

「だからだよっ!!そんな思い出しかないじゃん!!」

 

はて、そうだっただろうか?

 

「それに関しちゃ、和奏ちゃんと同意見かなぁ······1年の校外学習はマジでやばかった······」

 

「あー、舞台を見に行った帰りに保科と俺と海道と仮屋で帰りにゲーセン寄った時のあれか?」

 

「そう言えばそんなこともあったな······プリクラ撮ったら一ノ瀬の後ろから無数どころか千手観音レベルの手が写ってたやつだろ?」

 

「ああ、あれねー、舞台の会場からずっと付いてきてたんだよ。珍しいこともあったもんだと思ったね。多分あの会場のあたり埋立地だったから戦時中海でそこで死んだとかそんな感じじゃないかな?少なくとも死んで20年は軽く超えている古い霊ばかりだったよ?」

 

「────って、こんな思い出ばかりでしょうが!!」

 

いやいや、そんな事は無い。探せばマトモなのあるはず────

 

「カラオケ行った時も一ノ瀬が歌う時に限ってどこからともなくタンバリンの音がしたことあったな。タンバリン部屋になかったのに」

 

「巽がゲーセンで音ゲーやってた時に手元撮影してたら巽に手が重なって幽霊が音ゲーしてたこともあったな」

 

「ホントに幽霊にまとわりつかれるなぁ俺····大した害のない幽霊だから別に構わないけど」

 

「ほらみろ!!ろくな思い出ないじゃん!!」

 

ふむ、そう言われるとそうなんだが······

 

「しかし仮屋。それバンドにも適用されるかもしれないじゃん?なんか一人の生徒がこっそり撮ってて家帰って再生してたら俺の肩から手が生えてる────とか。」

 

「ひ、否定出来ないっ······!!」

 

「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!?一ノ瀬君そんなに幽霊に!?」

 

「落ち着け椎葉。いつもの事だ。」

 

ハッキリ言おう。もう慣れた。

 

「慣れちゃいけないような気がするんだけどな~······」

 

しょうがないでしょ、慣れちゃったんだから。

 

因みにプリクラ千手観音事件の後からはずっと御札で抑制しているからまだマシになったものだ。

 

「······························」

 

「······?どうした綾地、今にも殺しそうな目で俺達を見てくるなんて······」

 

いや、正確には仮屋を見ているように見える。

 

「······って············のに············」

 

「······え?」

 

「まだ柊史君とカラオケ行ったことないのに······!!」

 

「············保科、ご立腹の様子なので君がどうにかしてくださいね?」

 

「え、ちょっ······」

 

 

 

 

 

 

綾地を保科に任せて残りのメンバーでコーヒーを啜る。

 

「あ、じゃあさ、一ノ瀬。賭けをしよう」

 

「······賭け?」

 

「次の中間──── 一ノ瀬と私の合計点数の差が100以内ならば一ノ瀬は私達と一緒にバンドをやる!!」

 

「······100点よりも差がついたら?」

 

「え······んー······私ができる範囲で何でもしてあげる?」

 

······ほう?

 

「ちょ、そんなこと言って大丈夫なんですか仮屋センパイ!?こういう時の一ノ瀬センパイは容赦ないですよ!?」

 

「失礼な······そうだなぁ······どーしよ?そんなやってもらいたい事なんてねえしなぁ······」

 

「おいおい、巽マジかよ、何でもだぞ?何でも!!」

 

「あ、エッチなのは······ダメだからね?」

 

頼む気もないです。うーん······どうしようか?あ······

 

「じゃあ来月に一番くじ始まるんだけど本気で欲しいもんあるから手伝ってもらおうか。俺はアキバでお前は池袋。金はこっちが持つ。」

 

「······それ、世間一般でいうパシリ······だよね?」

 

「他に思いつかないからしょうがないね。」

 

だって欲しいんだもん。

 

────まあ、その時に俺がいるかどうかは知らないけど。

 

最期くらいそんな賭けも悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、因幡今日からソシャゲはログインのみ、他のゲームは封印な」

 

「ウゾダドンドコドーン!!」

 

 

 

 

5

「ばっ、馬鹿な······!!」

 

「どーよ?私だってやれば出来るんだ!!」

 

後日。中間テスト終了。

 

一ノ瀬巽

国語100 数学100 英語100 日本史100 物理100 化学100 古典100

 

仮屋和奏

国語98 数学96 英語90 日本史100 物理90 化学96 古典90

 

「さらっと700点満点取ってる巽もすげえけど······え、和奏ちゃんそんなに頭良かったの!?」

 

「前の期末じゃ中の上だったくせに······!!」

 

「バイト入れてたからね前は······さて、一ノ瀬?賭けは覚えてるよね?」

 

「······っち、約束は約束だ。いいだろう。キーボードだか知らんがやってやるよ······」

 

「やりぃ!!じゃあ早速今日から練習ね!!」

 

まあ、最期くらいやってやろうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、シリアスっぽく締めようとしたのだが────

 

「······え?ちょ、一ノ瀬センパイまでそっちいっちゃうんですか!?」

 

「ただでさえ人が足りないのにー!!」

 

「そ、そうだった······一ノ瀬君がいなきゃこっちが辛すぎるううう!!」

 

考えてみよう。

 

前世世界は当初、仮屋和奏、海道秀明、保科柊史の三人でバンドをやる予定だったところで仮屋が風邪を引いてしまい、そこにボーカルで綾地寧々が入ったのだ。

 

後世世界はどうだ?ただでさえ綾地寧々が最初から練習に加わる事によって運営が一人足りない。その穴を埋める予定でいたのは一ノ瀬巽だったのだ。

 

生徒会側の人間の前で『できるだけ裏方で』と言ったためこれは予想外だったのだろう。

 

「ちょ、なんで!?最初は裏方って言ってたじゃん!!」

 

「······賭けに負けました?」

 

「「「······と、止めるべきだった······!!」」」

 

 

「······仮屋、このままだとハロウィンパーティーの開催も危ないけど······どうする?」

 

「······一ノ瀬······」

 

「······何かなぁ?凄く嫌な予感がするんだけど?」

 

具体的にはこいつの口を今すぐ塞いだ方がいいような気がするくらい。

 

「一ノ瀬、練習よりこっち優先していいよ?······その代わり、絶対に一日で譜面覚えてね♡」

 

「······死ねと申すか······やってやるよぉ!!」(泣)

 

こうして、恐らく俺は最期になるであろうハロウィンパーティーにおいて『社畜』という立場に立たされたのであった。

 

 




共通ルートハロウィンパーティーじゃ終わらないことに気づき章題変えようか悩んでる幼女先輩です(白目)

そろそろアンケートを取ります。

一応言っておきますが今のところヒロインである紬、和奏、めぐるの三√全部書きます。

なので『どのヒロインの√が一番見たいか』のアンケートとなります。近々始める予定ですので宜しくお願いします!!

次回:生意気幼女に萌えるのも限度があるのはロリコンとして間違っているのだろうか(予定)!!

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