メールペットな僕たち   作:水城大地

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漸く、編集が終わりました。
建御雷さんとタブラさんの過去に纏わる話になります。


番外編
武人建御雷の過去と、タブラ・スマラグディナとの出会い


ギルト会議があった翌日、武人建御雷は昨夜考えていた通りの行動をする事にした。

 

いつもより、少しだけ職場である会計事務所へ早く出勤すると、テキパキと仕事の準備を進めていく。

大体、朝の仕事は前日に昼見世以降に回収して来た、それぞれの廓が抱えている遊女たちから上がってくる各自の売り上げデータを帳簿への計上するのが、建御雷たちの主な仕事だ。

ある程度慣れていれば、サクサクと帳簿である会計ソフトの入力を進めていく事が可能なので、それ程時間を掛けずに終わらせられる作業だ。

それが済むと、次の仕事が待っている。

事務所から、自分たちがそれぞれ受け持つ廓に直接赴いて、遊女たちと話をして簡単な台帳を付けながら昨夜の売り上げを回収し、その金額と客が居た時間などの帳簿を付ける為の必要事項の確認などを行っていくのだ。

基本的に、夜見世の彼女たちは明け方の六時ごろまで客が居る事が多く、それぞれの客が家路についてから漸く眠る事が出来ると言う過酷さの為、余り早くに訪れると話を彼女達から聞き出すまで待たされて無駄な時間を使う事になる。

だからこそ、建御雷の出勤時間はそれなりに早い程度で済んでいた。

今回、それを承知でサクサク作業を進めているのは、もちろん理由がある。

 

あの場所に、自分があって話さなければいけない相手がいるからだ。

 

幸い、建御雷の会社はきちんとノルマさえ熟していれば、自分の仕事の時間配分に関して上司から特に何か言われる事はない。

これは、帳簿を付ける相手が自分達よりも上の顧客を持つ事が多い遊女の為、下手に機嫌を損ねて変な方向に話を持って行かれたりしたら、こちらも向こうも後で困る事になる事が判っているからだ。

それが判っているからこそ、遊女たち相手の集金と台帳の聞き取り作業に関しては、ある程度まではゆとりを持たせた仕事になっていたからである。

本来なら、ある意味一般人よりも立場が強い彼女たちにそんな真似など出来る筈がないのだが、以前かなり上の富裕層の顧客を持っていた遊女に集金に向かった一人の新人会計士の態度が余りに横柄で無理難題を言っていた事があったらしい。

余りにも、身を売って稼いでいる彼女たちを見下す所業が多く、我慢が出来なかった彼が受け持っていた遊女がそれを自分の顧客相手に訴えた結果、自分が中流層出身だった事から驕っていたその会計士は問答無用で首になり、会計事務所はあわや倒産の憂き目を見る羽目になった。

偶々、会計事務所の跡取り息子の今の社長がそれなりに上の方の富裕層の友人に相談した事で、何とか持ち直す事が出来たらしいが、その時の社長である彼の父はそのまま息子に社長の座を譲る事になったらしい。

 

その後、集金に赴く際の暗黙のルールとして「遊女たちへの対応は、それなりに気を遣う事」と言う内容が加えられたのは、言うまでもない話だった。

 

今回、建御雷はそれを逆に利用して仕事の空き時間を作り出し、そっくりそのままそれを相手から話を聞く時間に充てる事にしたのだ。

自分が担当する廓は、夜見世を受け持った遊女たちが起き抜けてくるのは大半が十一時前頃であり、その前の時間に廓に赴いたとしても、廓の中で既に起きているだろう一部を除いて集金する事も話を聞いて台帳を付ける事も出来ない。

これは、夜の蝶として生きる遊女たちの中ではごく当たり前の生活リズムだった。

それよりも早い時間に起きているのは、遊女たちやお客の為に料理を用意する料理人だったり、廓をきれいに掃除して回る掃除夫だったり、とにかく廓の細々とした雑用を受け持つ者たちだ。

それ以外にも、数こそ夜見世よりも三分の一と少ないものの、夜に客を取らず昼間の客専門の昼見世の遊女たちも起きている。

昼間の客専門の彼らは、大体朝の七時には起きて食事や朝稽古などを行い、夜見世組の遊女たちが起き抜けてくる前に会計士からの集金を受ける決まりになっていた。

そうしないと、数が多い夜見世組の集金と帳簿付けが終わる前に夜見世の時間になってしまう為、客を取る処ではなくなってしまうらしい。

出来るだけ、建御雷達のような会計士が遅い時間までいるのも、廓の営業には差し障りがある事も多く、店側からも夕方の十六時までには廓から出るように言われていたりする。

建御雷が受け持つ廓には、昼見世専属の遊女は全部で五人。

普段から、彼女たちの予定は大体把握しているし、昼前よりも早めに出向いたとしても文句は言われない。

サクサクと、全員から集金と話を聞いて台帳さえつけてしまえば、昼過ぎの夜見世組の集金時間が来るまでは空きの時間になるのだ。

 

今回の一件で、とにかく話を付けなければいけない相手がいる以上、建御雷が仕事は先送りで進めてしまいたいと思っても仕方がないだろう。

 

何より、建御雷が用のある相手はこの廓の中にいるのだ。

仕事は仕事としてサクサク進める事で、余裕が出来た残りの時間を相手と話す時間に充てる予定の下、建御雷は自分の仕事を進めていた。

多分……この廓に居るだろう相手も、昨日の今日と言う事もある為、それ相応に警戒している可能性はかなり高いが、そんな事など最初から承知している。

とにかく、今回の一件について建御雷が判断を下す為にも、本人の口からも事情を聴かなくては話が進まない。

そう思いつつ、建御雷はサクサクと廓の遊女たちから話を聞いては台帳を書き留め、集金を済ませていった。

 

最後の部屋を前に、建御雷は大きく息を吐くと軽く三回ノックをしてから声を掛ける。

 

「邪魔するぞ、白雪。

昨日の台帳と集金に来た。」

 

慣れた手付きでドアを開ければ、そこに居たのはまだ十代半ばを超えたばかりの、線の細い印象を受ける一人の少女。

白銀の艶やかな輝きを放つ美しい髪と、トロリと蕩ける様に蜂蜜色に潤んだ瞳は、とても魅惑的に見えるだろうし、そっと目を伏せる嫋やかなその仕種は、それこそこの廓に通う者たちを魅了してやまないだろう。

だが、そんな彼女の仕種に惑わされる程、浅い付き合いをしているつもりはない。

いつもの様に、サクサクドアを閉めて部屋の中に進みながら、建御雷はスッと声を潜めると目を細めてその少女を真っすぐに見る。

その視線を、真っ向から受け止める少女に向けて、建御雷は遠慮する事なくもう一つの用件を口にした。

 

「……それと、だ。

昨夜のギルド会議のアルベドの一件、改めて詳しく話して貰おうじゃないか?

なぁ……タブラさんよ。」

 

どこか凄む様に問えば、どこか困った様子で視線を彷徨わせる少女__タブラ・スマラグディナが居たのだった。

 

*****

 

武人建御雷の【リアル】の名前は、建原武(たてはらたけし)と言う。

 

彼の実家は、貧困層に片足を突っ込んでいるもののギリギリ中流層で留まっている程度の経済力しかなくて、それこそ何かの拍子に貧困層に落ちてもおかしくない状況だった。

家族は、両親以外にも下に妹が二人居る。

共働きで、働けるだけ働いてもそんなギリギリな経済力だった事から、子供を三人育てるのは元々難しい話だったのだろう。

両親の口から、三人の子供を誰一人欠けさせさせる事無く育てる為には、どうしてもそれぞれを小学校まで通わせるのが精一杯だと言われたのが、彼が小学四年生の頃の話だ。

確かに、両親の言いたい事は納得出来る話だった。

もし、このまま自分一人だけが上の学校を出たとしても、無学の妹たちの一生を面倒見れるだけの稼ぎが得られるかと問われると微妙だと言っていいだろう。

それなら、建御雷だけが中学校に通うのではなく、最初から三人とも最終学歴を小卒で就職先を探した方が、余程生活の糧を得られるのは間違いない。

そう、自分なりに答えを出した建御雷が進学を諦めるのは、割と早かった。

 

それに……建御雷が妹たちの人生まで背負ってやれる程、この世界は優しくない。

 

元々、彼は自分の家族を大切にするタイプだった事もあり、三人とも確実に小学校まで出られるだけでも貧困層の人間たちよりは十分裕福な生活だと、さっくりと自分の将来から進学と言う選択肢を消した後、それでも手に職を付けるべきだろうと建御雷が色々と考えるまで、それ程時間は掛からなかった。

小学校の授業を受ける中で、特に自分が得意な分野を子供なりに模索していた結果、計算関連に強い事に気付いたのは小学五年生の頃。

自宅で、【高校中退】と言う割とこの時代では高学歴でありながら、どこかお人好しな性格のせいで貧乏くじを引く事が多い父が、必死に睨めっこしていたのは会計ソフトだった。

もちろん、仕事を持ち帰ってきた訳ではない。

 

営業職だった父親が、いつもの様にお人好しさに付け入られた結果、いきなり庶務会計へと部署を異動になった事によって、今まで使った事もない会計ソフトの基礎を学ぶべく、ネットから適当な家計用の会計ソフトを拾い上げ、それで練習の様なモノをしていたのだ。

 

父親が、慣れない会計ソフトを相手に四苦八苦しながら操作する傍らで、その様子を興味深げに見ていた建御雷は、やがてすぐにその操作方法などを学習してしまった。

元々、彼の父親が自分で準備した会計用ソフトが、割と簡単な部類だった事もその要因の一つだろう。

建御雷自身、幾らなんでも実際に会社で使うソフトはここまで簡単なものである筈がないと考えた後、自分なりにもう少し深く勉強する事にした。

その為に、母親に頼んで別のソフトを端末にダウンロードして貰った上で、学校から帰った後に自分で一か月分の家計の帳簿を付けつつ収支計算をしてみたのである。

 

すると、父親が使っていた物よりも複雑なものだったにも拘らず、たった三日で使いこなしてしまったのだ。

 

その事から、自分の職業適性を会計関連だと位置付けた建御雷は、小学校の卒業の目途が立つと同時に、会計職としての就職活動に入った。

もちろん、最終学歴が小卒の身でしかない建御雷が、そんなに簡単に会計関連の仕事を見付けられる筈がない。

この手の仕事は、中学や高校を卒業した様な高学歴のものが優先的に雇われる事が多く、このままでは本当に安月給の適当な工場勤務しか勤務先が無いと、焦り始めた頃である。

 

父親の数少ない友人が、建御雷に今の仕事を紹介してくれたのは。

 

正直、最初はかなり胡散臭い話だと思っていた。

示された給料は、どう考えても小卒の給料にしては高額だったし、仕事の時間も割と一般的な仕事に比べて拘束が短い。

仕事の内容も、それぞれ担当として請け負う場所の集金とその帳簿管理、きちんと会計別の月間収支報告を纏める事といった事務的な作業がメイン、それなりに数字に強ければそこまで難しいとは言えなかった。

どちらかというと、これだけ割が良い仕事は自分たち小卒よりも、中卒以上の人間が進んで就職していく内容の気がする。

それなのに、実際に父親の友人だという人物が話を持って来たのは、小卒の建御雷だ。

 

どうして、彼はここまで割のいい仕事を自分に紹介してくれたのだろうか?

 

余りの胡散臭さに、最初は本当にこの話を受けても構わないのか、本気で迷ったのだが……他に会計職として就職出来そうな当てもない。

むしろ、出来るだけ自分の能力を生かせるだろう会計職を探していたせいで、少しでも割のいい仕事はもう残っていない状況になってしまっている。

その為、紹介された先にとにかく面接を受けるべく赴いた建御雷は、すぐに自分にまで話が来たのか、その理由に納得した。

 

何故なら、その会計事務所を経営していた社長が、どう見ても堅気には思えなかったからだ。

 

堅気じゃない人間が経営している、真っ当な会社でないなら……この集金と帳簿管理と言うのもまともな仕事の内容ではないのだろう。

だからこそ、例え建御雷の様なまともに仕事が出来るかどうか判らない子供でも、一先ず計算だけ出来れば問題ないと、最初から使い潰す方向で雇い入れるつもりなんじゃないだろうか?

そう思い付いた途端、出来ればこの話を無かった事にしたかった。

もしかしたら、面接で「流石に使えない」と思って貰えないかと考えていたのだが、とんとん拍子で建御雷がこの会社に就職する方向で話が纏まっていく。

 

余りの話の早さに、建御雷は父親の友人に上手く嵌められたんじゃないかと、本気で不安だったのだが……それは全部杞憂だった。

 

それこそ、真っ当な仕事をしていない様な顔をしているこの社長だが、実はとても真面目で仕事が出来るやり手の社長だったのだ。

ただ、この強面過ぎる顔のせいで自分から紹介を受けて面接を受けに来るのだが、彼が最終面接する度に就職希望だった筈の高学歴の相手から恐れられて、そのまま就職してもまともに仕事にならず速攻で辞めていくなんて事が相次いでいた。

武御雷に話が回ってきたのは、「学歴よりもまずは戦力になりそうな人間が欲しい」という、社長からの最重要希望だったのだそうだ。

 

だから、建御雷はまだ小学校を卒業したばかりなのに、面接の際に普通に大人でも恐怖に強張る社長の顔を見ても泣き出す事もなく、それどころかきちんと自分の希望やら自分に出来る能力を示せた事などが気に入られ、即採用になったのである。

 

実際、建御雷に対する仕事の内容のレクチャーはきちんとした先輩が付いたし、仕事の内容を正式に採用になった事で詳しく聞いてみれば、それ相応の紹介があった相手でないと採用しない理由も納得出来た。

何故なら、彼が就職した会計事務所が扱う電子マネーの集金先と言うのが、【新吉原】と呼ばれる富裕層が金を出し合って作った花街だったのだから。

 

__【新吉原】……それは、富裕層の一部の男たちの夢の結晶。

 

この街は、男女問わず遊女たちが己の身体を売る場所であり、様々な芸の技を磨いてそれを売る場所でもある。

嘗て、江戸時代の花街の様に【胡蝶の夢】を見れる様にと贅を極めた、富裕層が自分たちの様々な欲を満たす為にこの時代に作り出した場所。

そこに住む遊女たちは、贅を尽くした装束一式を身に纏い様々な知識と芸の技を用いて、己の客となった相手をあらゆる意味で楽しませていた。

だが、煌びやかな衣装などを用意する費用は全て彼女たち自身に借金として重くのしかかり、彼らの収入は全て廓の経営者に握られていて、殆ど自由になるものはない。

彼らに対して、馴染みとなった客から個人的に与えられた小遣い以外、一切の金銭は与えられる事はないものの、細々とした仕事の為の必要経費は全て廓が持つ事になっていた。

 

富裕層の人間たちが満足する様に、それこそ様々な知識と芸を身に着ける為に必要なものは、この世界では一般的な電脳空間に入る為の端末などを首に付ける為の手術代はもちろん、見習である禿になった時点から最初の一年は全ての芸事や知識の習得に必要なものの購入費など、学習費用として全て廓側が払ってくれるのだ。

 

そこで、どこまで自分の芸の技や知識を身に着けるかで、その後の自分の将来が決まると言っていいだろう。

この世界では、何を学ぶにしてもその費用は半端ではないのだ。

もし、最初の一年で自分が何に秀でているのか判断出来ないと、それこそ例え美人だったとしても下級遊女としてランクが落ちていくし、逆にそこで自分の適性を見付けてそちらを磨く事が出来れば、多少の顔の作りが悪くても上級遊女として扱われるしかない。

 

この新吉原では、見た目だけでなく芸や話術で客を楽しませられなければ、一流の遊女にはなれないのだ。

 

それこそ、男にとって【胡蝶の夢】の様な場所であり……遊女たちにとっては、自分たちが生きていく為に鎬を削る場所。

建御雷の職場である会計事務所は、そんな花街全ての経理の一切を任されていたのである。

 

実は、建御雷が採用されたもう一つの理由も、この場所で仕事するのに丁度良いと言う理由があった。

 

それこそ、まだ小学校を卒業したばかりの子供の建御雷なら、ここの裏側を最初から見せながら仕事を覚えさせれば、下手にこの辺り一帯の廓の女性に手を出そうとはしないだろう。

この花街で生きるのが、どれだけ過酷な事なのかまだ子供のうちからその裏側を知ってしまえば、馬鹿な真似をする危険性を嫌でも学ぶ事になるからだ。

それと同時に、集金と台帳の伺いに来るのが子供と言っていい年頃なら、見世に出ている遊女たちはその子の事を可愛がる可能性があると考えたのである。

実際、社長を含めた会計事務所の先輩たちの考えは当たっていた。

彼女たちの大半が、下に弟や妹が居て生活苦を何とかする為に売られてきている。

 

だからこそ、そんな弟を思わせる建御雷の存在は、彼女たちの良い慰めになっていたのだ。

 

そんな感じで、何とかこの仕事に馴染んで来た建御雷が、当時禿だったとある一人の少女にあったのはそれから半年後。

他の遊女と同じ様に、幼い頃に売られてきた彼女に与えられた源氏名は【高尾】。

彼女は、数年後には建御雷が受け持つ廓どころか【花街一の太夫】と呼ばれる高尾太夫であり……白雪___タブラ・スマラグディナの実の母親だった。

 

******

 

正直に言おう。

建御雷にとって、タブラの母である高尾大夫は淡い初恋の相手だった。

もちろん、最初から手が届かない相手だと言う事は判っていたし、会社の社長に廓の様々な知識も勉強させられていたから、無理に彼女を連れ出そうなんて事は考えた事はない。

遊女の足抜けへの与えられる罰は、この【リアル】でもかなり重い。

それ以前に、数年掛けてこのアーコロジーの端にある廓での生活に慣れてしまった彼女たちが、外の貧困層の街で暮らせるはずが無いのだ。

 

彼女たちの人工肺は、例え最上級品のガスマスクを付けていたとしても、外の環境に耐えられる程の耐性が与えられていないのだから。

 

決して、年季が明ける以外の方法でこの場から逃げられない事を理解しているからこそ、彼女たちはこの【新吉原】から逃げ出すよりもここでの生活をより良くする方を考えている。

その手段はそれぞれだが、意外と遊女同士がお互いにいがみ合う事は少ない。

お互いに上手く協力し合った方が、最終的には全体の生活環境の向上に繋がる事を、様々な経験で理解しているからだ。

むしろ、自分一人だけ飛び抜けて良い環境を得ようと考える方が、逆に他の遊女を敵に回す事が多く廓の中で爪弾きにされる為、かえって苦しい思いをする事が多いらしい。

 

もちろん、遊女としての客に対する手練手管や芸の道で上達するもの大切な事だが、彼女たちの中で一番必要とされるのは仲間を思いやれるだけの人格者であるかと言う事らしい。

 

それはさておき。

高尾太夫とは、仕事の関係もあって割と仲が良い方だった。

お互い、年の頃も近いと言うのも気安さに繋がったのだとは思う。

建御雷自身、彼女の為に自分が出来る事など殆どないのは判り切っていた。

だから、せめて彼女があらゆる芸を磨いて自分らしくいられるだけの立場にはいて欲しいと、彼女が段々と階位を上げていく度にお祝いをしてあげていた記憶もある。

 

だから……そんな風に自分に出来る限り大切にしていた筈の彼女が、たった一人の富裕層の気紛れによって半年もの間【居続け】と言う扱いを受け、無理矢理妊娠させられていた事を知った時は、無性に悔しかった。

 

こんな事になるなら、彼女はもっと下の……太夫まで上り詰めるんじゃなくその下の更に下の位である【格子】で居れば良かったのだ。

そうすれば、あんな男の目に留まる事もなかっただろうし、もう産むしかない状況になるまで【居続け】を悪用される事もなかっただろう。

全部、彼女がアーコロジーの中で知らない者が居ない位に、有名になってしまったから引き起こされた事態だ。

あの男は、本来なら禁止されていた【遊女との間に子供を作る】と言う行為を、「実際に実行したらどうなるのか、新吉原一有名な高尾太夫で実験してみただけだ」と笑っていったらしい。

 

その話を郭の楼主から聞いた途端、建御雷は怒りで目の前が真っ赤に染まった記憶がある。

 

だが、建御雷以上に彼の勤め先の会計事務所の社長がブチ切れていたらしく、富裕層でもかなり上の地位に居た社長の手によって、結果的にその男は自分の一族全てを巻き込み、路頭に迷う事になったそうだ。

これは、随分後で知ったのだが……諸事情によって自分の血を引く子供を持つ事が出来ないらしい社長は、真面目一辺倒で働く建御雷の事を殊の外気に入っていたらしい。

いずれ時期が来たら、正式に自分の養子に迎え入れた後、丁度年季が明けるだろう高尾太夫と所帯を持たせる計画を立てる位には。

 

だが、その話もあの馬鹿男によって高尾太夫が無理矢理妊娠させられた挙句、堕胎出来る時期を過ぎていて産むしかない状況にされた事で、難しくなった。

 

もちろん、社長が建御雷の事を養子に迎え入れる話が、と言う訳ではない。

難しくなったのは、建御雷と高尾太夫の二人を正式に夫婦として所帯を持たせる事が、だ。

彼女がこのまま子供を産めば、何れその子供の存在が別の意味で問題になるだろうと、社長は考えていたらしい。

まぁ、社長の手によって一族全てを路頭に迷わせた男の血を引く訳だから、彼女と一緒に建御雷がその子を引き取る事は出来ないだろう。

 

万が一、ある程度年数を重ねた後もそいつが生き残っていた場合、その事をネタに金を強請ろうとする可能性が出てくるからだ。

 

もっとも、この世界は一旦路頭に迷う様な状態になったら、そこから生き残るのはかなり難しいだろう。

社長が、そんな生易しい事をするとはとても思えない。

ひとまず、問題の男とその一族との片を付けた後、社長から改めて養子の話を持ち掛けられた建御雷は、色々と考えた上でその話はしばらく待って貰う事になった。

まだ、この時の社長は四十前の働き盛り。

それこそ、まだ十五年は十分現役で通用するので、すぐに跡取りが必要な訳じゃない。

それに、跡取りとして建御雷が彼の家に養子に入ったとしても、彼が貧困層出身であり小卒でしかない事を取引先が知ったら、現在の様な経営を続けていけないかもしれないと、そう考えたのだ。

 

色々な事を、社長と長い時間を掛けて話し合った結果、武御雷はこのまま仕事をしながら通信制の学校に通い、高校卒業資格をはじめとした様々な資格を取る事になった。

 

きちんと必要な単位を取得し試験に受かれば、正式に高校までの卒業資格を与えられる、特殊な通信教育。

これは、富裕層の中でも闘病中の子供などが利用するものらしく、それこそ目が飛び出る様な高額な学費が必要だった。

普通なら、建御雷ではとても支払えない学費は、社長が全額負担する事になっている。

流石に、この話が来た時点でどう言うものなのか調べた事であり、必要経費がどれだけ高額なのか知っていた建御雷は、最初は余りに申し訳なくて断ったのだ。

 

だが、社長から笑いながら言われたのは、こんな言葉。

 

「どうせ、何れはお前がうちに養子に来るなら、跡継ぎとして必要な教育費は全部必要経費みたいなもんだ。

勉強って奴は、若いうちに身に着けておいた方が、年を取ってからよりも短い時間で学べるからな。

まだお前は若いんだし、今からなら十分仕事しつつ資格が取れるだろうよ。

今の時代、こんなチャンスなんてそう簡単には来ないもんだと思って、素直に受けりゃいいんだよ。

元々、お前はうちの遠縁にあたる事がこの間のDNA鑑定でも正式に判明したし、俺との養子縁組自体には問題ないんだからな。

なぁに、取り引き先がこの事に関してなんか言ってきたら、【人様の家庭の事情に口を挟むな!】って、はっきり言ってやればいいんだよ。」

 

流石、例え武御雷が貧困層出身だとしても、自分が「使える人材」だと見込んだら、迷う事無く自分の直属の会計事務所で雇うだけの度量があるお人だと思う。

そんな風に、はっきりと押し切られてしまえば、武御雷に断れる訳がない。

社長に勧められるまま、通信教育で高校卒業資格を取るべく学習し始めて半年後、高尾太夫は一人の女の子を無事に出産した。

 

それが、後のタブラ・スマラグディナとの初めての出会いである。

 

高尾太夫の出産は、割と難産だったらしい。

元々、この界隈には産婦人科の病院はあるものの、そちらはほぼ遊女たちの堕胎専門に近い状態で、まともな出産など十数年振りだったのだ。

色々と、準備不足で片手落ちな部分も多かったのも、難産の要因の一つになったそうだ。

それでも、何とか母子ともに無事に出産が済み、この一件を知る者たちがホッと一息ついた所で、廓の楼主によって別の騒動が引き起こされた。

 

生まれたばかりの赤ん坊を、高尾太夫から強引に取り上げた上で、適当な所に金を与えて処分しようとしたのである。

 

楼主からすれば、郭で一番の稼ぎ頭である高尾太夫が腹の中に赤ん坊がいたせいで、半年も客を取れない状態から漸く解放されたのだ。

とにかく、早く高尾太夫を元の状態に戻す事で、少しでも早く彼女が見世で客を取る事で稼ぎを取り戻して欲しいと、欲を出したのだろう。

今回の騒動で、建御雷の社長が話を付けた際に、高尾太夫が働けない期間の賠償金はしっかりと受け取っているのに、彼女の美貌と人気が完全に衰える前に稼ぎたいと言う欲が、この行動になったのである。

 

しかし、それに対する強烈なしっぺ返しが、廓の楼主には待っていた。

 

最初こそ、彼の思惑通りに話は進んでいたのだ。

借金の減額を餌に、高尾太夫付きの禿を使って彼女が寝入った所を狙って、赤ん坊を連れ出す事は出来たらしい。

だが……周囲の不穏な気配を感じ取ってしまったのだろう。

禿が部屋を出るまで、しっかり眠っていた筈の赤ん坊が目を覚まし、母のぬくもりを求めて泣き出したのである。

その声を耳にした途端、眠っていた筈の高尾太夫はすぐさま目を覚ましたかと思うと、自分の手元に居ない事に気が付いて。

 

自分の大切な赤ん坊が、誰かに連れ出された事を理解した瞬間、高尾太夫は狂乱状態に陥ったのである。

 

そこから先の、彼女の行動はとても素早かった。

元々、頂き物の菓子類を切り分けるべく自分の部屋にあった果物ナイフ掴むと、赤ん坊の事を指示しただろう楼主の部屋へ押し入り、「私の赤ちゃんを返せぇ!!」と叫びながら楼主の事を執拗に追い回し始めたのである。

彼女の狂乱状態は、赤ん坊の処分を命じられていた若衆の一人が、その状況に気付いて慌てて赤ん坊を彼女の元へ連れて行くまで続いていて、彼が赤ん坊と共に駆け付けた時は、あわや楼主を刺し殺す直前だった。

 

流石に、今まで従順あった高尾太夫の変わり様に、楼主は頭を抱えたらしい。

 

つい、欲の深さからこんな行動をしてしまったが、既に高尾太夫が子供を産んでいる事はこの新吉原に関わる者なら客の間ですら周知の事実なのだ。

無理に元の高尾太夫の人気を取り戻そうと、邪魔な子供をこうして排除してなかった事にしようとする方が、こうして子供を奪われた怒りから暴走して彼女の本来の美しさを損ない、逆に客が減ってしまうだろう。

それに気付いた時点で、楼主は一つの契約を高尾太夫に持ち掛けた。

 

「子供の養育をこの廓の中で認める代わりに、今高尾太夫が背負っている借金の額を子供と二人分に増額し、年季が明ける期間を延ばす事。

そして、いずれある程度の年の頃まで娘が育ったら、高尾太夫が払いきれなかったその娘の分の借金は自分が禿から遊女へとなる事で返済させる事。」

 

普通なら、これだけの要求を前にしたら即答を迷う案件にも拘らず、高尾太夫はそれをあっさり受けた。

楼主が予想した通り、彼女にとってそれだけ子供の存在を手放す事の方が、耐えられなかったのだ。

娘の借金の分は、自分がもっと頑張って稼いでしまえばいいと、割と簡単に考えていたのかもしれない。

 

だから、普通ならどう考えても無茶な条件を、彼女はあっさりと飲んだのだ。

 

丁度、その一件が起きた際に廓の中でいつも通りに仕事をしていた建御雷も、彼女の子供を探し求める悲痛な声や楼主に迫る恐ろしい声を耳にしている。

あれを聞いてしまえば、子供と引き離せば彼女の心が確実に壊れる事など、誰にでも簡単に察知する事が出来てしまうだろう。

そんな配慮もあって、高尾太夫は無事に娘を育てる権利を得た。

 

ただ、この約定に建御雷が一つだけ憂慮すべき点があるとすれば、楼主が本当に高尾太夫一人だけの稼ぎで返せるだけの金額で、本当に娘の養育費を済ませてくれるのか、と言う点だった。

 

その建御雷が抱いた予想は、やはり外れていなかった。

廓の楼主は、それこそ高尾太夫の娘の教育や身に着ける服や装飾品、食事に至るまで最上級のものを与える事で高尾太夫が負う負債額を着実に増やしていったのである。

直接学校には通わせられなくても、建御雷が受けている様な通信教育制度を利用して最大限の知識を湯水の様に与え、その費用を丸々高尾太夫への負債に加えていく。

しかも、廓に属する者として娘はこの場に留まる事を許されている為に、楼主の教育方針に高尾太夫は母親として口を挟む権利すらない状況で。

 

結果、高尾太夫は年季が明ける前に病に倒れて帰らぬ人になった。

 

彼女の娘である、白雪が正式に禿になった五歳の時の話だ。

その時点で、後二年後には高尾太夫の年季が明ける予定になっていたのだが、楼主に負わされた白雪の分の借金が六割ほど残っている状況だったので、どちらにせよ白雪が自分で借金を返すべく禿から遊女になるしかない事がほぼ確定した事も、高尾太夫が病気と闘う気力を失わせたのかもしれない。

とにかく、高尾太夫という大きな庇護者が居なくなった白雪は、このままだと楼主の言い様に扱われる運命だった筈だったのだ。

 

建御雷が、それまで養子の話を待って貰っていた社長に頭を下げて正式に養子縁組し、その彼の後継者として正式に彼女の……白雪の後見人に立つまでは。

 

そう、建御雷と白雪__タブラ・スマラグディナとは、花魁白雪太夫と彼女の後見人の建原武と言う関係であり、二人の感覚的には父親と娘と言うのが一番近い感覚なのだろう。

本来なら、白雪の借金も全部肩代わりして楼主に支払い、自分の手元に引き取りたいのが建御雷の本音だったが、流石にそこまでは自分の義理の父親になったばかりの社長が許さなかった。

理由は、もちろん幾つかある。

建御雷が、幾ら赤ん坊の頃からの付き合いだとしても、白雪一人に対してそこまでしてしまうと、逆に廓の楼主と上手く付き合って来ていた会計事務所との関係に罅を入れてしまう可能性があったと言うのが一つ。

廓の楼主に、白雪が負わされていた負債額が流石に高額過ぎて、養子に入ったばかりの建御雷に使わせるには問題がある金額だったと言うのが一つ。

廓の遊女たちが、流石に白雪一人にそんな依怙贔屓的な行動をしたら、建御雷に対する信用を失う可能性があり、そうすると彼女たち相手の仕事に差し障りが出る事が一つ。

 

それらを鑑みて、白雪の為に建御雷に許される最大限の行動が、後見人に立つ事だったのである。

 

因みに、建御雷が社長の養子に入り後継者に正式になった事で、彼の生活が以前のものと変わったかと言うと……実は何の変化もなかったりする。

元々、社長自らが人手不足から廓の一つに集金を行う状況だったから事もあり、今まで通り普通に受け持ちの廓に顔を出して集金と台帳を付ける日々は変わらない。

収入も、社長の後継者に正式になった事でそれなりに増えたものの、その分住居を今まで住んでいた場所からアーコロジー内に強制的に転居させられたので、その家賃支払いに相殺されて殆ど手元に入る額は変わっていなかった事から、生活レベルはそれほど変わっていなかったりする。

服装に関しては、仕事柄それなりのものを就職した時点で着る事を義務付けられていたので、ちょっとだけ衣装のランクが上がった程度の変化しかなかったのだ。

 

因みに、これらは全て【ユグドラシル】が正式にサービス開始する七年も前に起きた話だった。

 

*******

 

現在、建御雷の目の前でしょんぼりと萎れているのは、この廓の中でも三番人気であり、先日昼見世専属の格子太夫になったばかりの白雪太夫こと、タブラ・スマラグディナだ。

彼女自身、昨日の会議の時点でこうなる事はある程度予想が付いていたのだろう。

己の仕事として、建御雷が集金と台帳付けをするのはもちろんだが、父親代わりの後見人として毎日様子を見に来てくれている彼が、昨日の一件を受けて顔を出さない筈がないのだ。

一先ず、仕事を済ませてしまった方がゆっくり話せるだろうと、サクサク聞き取り台帳を付け終えた所で、建御雷は大きく息を吐いた。

その途端、こちらの様子をビクビクとした様子で伺っていたらしいタブラの方が小さく跳ねる。

 

「……んで?

昨日の一件について、俺が事情を全く知らなかったのは、どういう塩梅から来てるんだ?」

 

ギロリと睨みながら問えば、流石にこちらが怒っている事を含めて色々と拙いと判断したからなのか、おどおどと視線を彷徨わせる。

手元にあった、客がいない時の手慰みとして編み掛けになっているマフラーの毛糸玉を弄りつつ、ぼそぼそとタブラが口を開いたのは、それから暫く待った後だった。

 

「……だって…とと様がこんなに怒る様な、大事になるなんて思いもしなかったもの。

アルベドの設定は、ナザリックの者を流用している時点でしっかりしてあるから大丈夫だと思っていたのよ。

メールペットのお世話だって、ちゃんと楼主が禿時代の私にしていた様にしたつもりだったから、それで私なりに出来ていたと思っていたもの。

私、ちゃんと立派な格子太夫にまで成れたもの。

アルベドへの扱いだって、あれで正しかった筈だと思うわ。

それに、ゲームの中ならボイスチェンジを使えるから問題ないけど、メールサーバーの中にはボイスチェンジ機能が付いていないでしょう?

だから、自分のメールペットのアルベドはもちろんだけど、他のメールペットの子たちにも声を掛ける訳にはいかないから、余り相手をする事も出来なかったのよね……」

 

自分が、実は女性だと言う事を伏せている関係上、自分の地声を聞かせる訳にはいかないと考えていた事を告げるタブラに、建御雷は大きく溜息を吐くしかない。

確かに、彼女の主張はある意味正しいだろう。

彼女の立場を考えれば、ネットゲームで性別やら年齢やらを伏せるのは、必要不可欠な事だったのだ。

 

こんな風に、メールペットを育てながら交流する事になるのは、元々想定外なのである。

 

更に、彼女の育った環境がこんな特殊な場所だった事も、その考えを増長させる要因だと言っていい。

タブラの母である高尾太夫は、娘と一緒に居る為に抱え込んだ借金の返済に追われ、実際には余り母親としてタブラに関わる事が殆ど出来ないまま亡くなっている。

その分、彼女の事を小さな頃からあらゆる意味で最上級の禿になるべく教育していたのは、この廓の楼主と高尾太夫の仲間の遊女たちだったのだ。

彼の、高尾太夫への嫌がらせも含んだ教育方針によって、物心つく前から遊女としてはあらゆる点で最高の教育を受けられたと言っていいだろうが、その分親子の情はかなり薄く育てられてしまっている。

 

それが、今回の一件に影響したのは、まず間違いなかった。

 

《……まだ、この子は十五になったばかりだからなぁ……

普通の家庭に育っていたのならまだしも、この特殊環境で育ったのもしっかり影響しているだろうし。

頭が良くて、男を手玉に取る手練手管には長けてても、育成系のゲームやメールペットの場合、そう言う部分はほとんど役に立たないから、こんな感じになっちまったと思うべきか……

元々、親子の情には疎い部分も強かったし……まぁ、これも仕方がねぇよな。》

 

ガシガシッと、自分の頭を掻き毟りながら、武御雷は小さく嘆息する。

彼の目の前には、自分がした事を余り良く理解していないらしいタブラが、本当に不思議そうに首を傾げていて。

どう見ても、色違いの幼いアルベドの様な容姿をしたタブラを前に、どう言えば自分の対応が不味かった事を理解し納得して貰えるのか、建御雷はただただ頭を悩ませる事になったのだった。

 

 




という訳で、建御雷さんの過去とタブラさんとどんな関係なのかと言う答えになります。
そう、建御雷さんとタブラさんの関係は、父親代わりの後見人と格子太夫と言う(笑)
二人の年の差は、十八歳差で本当に親と子位離れていたりするのですよ、えぇ。


ははははは!
本当にすいません!
タブラさんに関して、盛大な捏造部分と女体化が発生してしまいました。
最後まで、どうするか迷っていた設定なんですが……年齢と生まれた環境は性別がどっちでも変わらない事は確定していたので、だったら素直に女体化して貰いました、はい。

タブラさんの年齢ですが、ユグドラシル開始時十一歳と三か月、メールペットを受け取った頃はまだ十五歳と十か月でした。
振出新造として、白雪(タブラさん)が正式に水揚げ(遊女デビュー)する事になったのは、十三歳の時だったりします。

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