メールペットな僕たち   作:水城大地

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大変遅くなったネタなんですが、メールペットたちが来て初めて迎える新年の話。


メールペットとお正月 ~年末最後のギルド会議~

大晦日が間近のある日、ギルド長たるモモンガはギルメンたちに対して、いつもの定例会議に集まった所で一つの質問を口にした。

 

「皆さん、そろそろお正月ですけど…自分のメールペットたちへのお年玉に何を渡すのかとか、新年の挨拶を持って来たメールペットたちに対してお年玉を渡すかどうかとか、ちゃんと考えていらっしゃいますか?」

 

モモンガからの問い掛けに、思っても居なかった事を聞いたと言わんばかりに、それぞれ顔を見合わせるギルメンたち。

どうやら、殆どのメンバーは新年を迎えるにあたって、【ユグドラシルの新年イベントをどうするか】と言う計画は立てていても、その辺りまで考えていなかったらしい。

ウルベルトさんは、既にデミウルゴスにどんなお年玉を渡すかなど色々と考えていたらしく、そんな反応をしているギルメンに対してどこか呆れた視線を向けている。

彼以外だと、【リアル】に子供が居るたっちさんや、そう言うイベント絡みでは割と抜かりが無いらしいるし☆ふぁーさんもちゃんと考えていたらしく、逆に他のギルメンたちが何も考えていない事に驚いていた様だった。

モモンガの質問に、ギルメンたちもそれぞれこの【お年玉】と言う問題をどうするか考え始めたらしく、ざわざわとざわめいている。

そこで、ふと気付いた様にペロ口ンチーノさんが手を揚げた。

 

「あのさ……お年玉は、自分のメールペットだけが対象だって事でいいのかな?

それとも、モモンガさんが言った通り新年の挨拶メールを持って来る子は、全員お年玉を渡す対象だと考えた方が良いのかな?」

 

その質問に、ギルメン全員がハッとなった。

確かに、彼らに対してお年玉を渡すなら、全員分を用意するかそれとも自分のメールペットだけにするのか、ちゃんと決めておかないと不公平になるだろう。

そういう部分で、彼らに対して不満を抱かせたら良くない事は、以前の起きたアルベドの件で身に染みている。

 

「そうですね……元旦から三日までにメール持参したメールペットだけに渡す事にしておけば、多分問題はないと思います。

多分、全員の元へとメールを出すのを義務にするよりも、それぞれ新年の挨拶に訪れた者へのご褒美的な扱いの方が、彼らも納得するでしょうからね。

お年玉の内容は、自分達のメールペットに関しては豪華な物でも問題ないでしょう。

その代わり、挨拶に来たメールペットたちへのお年玉は、普段よりもちょっと良いお菓子とかで構わないと思いますよ。

予想が正しければ、我々からお年玉貰えるだけで彼らは喜ぶでしょうし。

但し、他のメールペットたちに渡す品は公平に同じ様な物を用意して下さいね。

彼らだって、自分の主から貰うお年玉は自分だけの特別な品の方が嬉しいでしょうし、逆に他の主方から貰う分に関しては、いつもよりランクが上のお菓子などの様な、ちょっとした品でもそれ程文句はないと思います。

なにせ、こちらが彼らの為に用意するお年玉は、自分のメールペットとは別で最大で四十人分になる想定ですから、自分なりに想定した予算内で収まる程度で大丈夫でしょう。

元々、彼らはメールを届けに行った先で何かを受け取る度に、〖我々から与えられたもの〗だと言う時点で喜んでいますから、あまり豪華すぎる物を渡すとかえって恐縮されてしまいそうですし。」

 

ヘロヘロさんが、サクサクとペロロンチーノさんからの質問に対して答えれば、その横からぶくぶく茶釜さんが軽く手を挙げた。

どうやら、彼女的にはこのヘロヘロさんの提案の内容に、どこか不満があるらしい。

まずは、どんな不満なのかそれを聞くべくモモンガが彼女を指名すれば、ある意味では誰もが考えていそうな疑問を口にしてくれた。

 

「ヘロヘロさんが言う様に、自分の所以外のメールペットたちの間で大きな差が出ない様に〖出来るだけ公平に〗って言うのは解るんだけどさ……

だけど……私的には、弟のメールペットのシャルティアは姪っ子みたいなもんだし、やまちゃん所のユリとか餡ちゃんの所のエクレアには、仲の良いお友達の所の子として他の子よりもちょっとだけお年玉を奮発したいんだよね。

でも、そうすると他の子と比べて公平さを欠くから、やっぱりしちゃ駄目かな?」

 

彼女の言葉に、同じ事を考えていたらしいギルメンの大半が、「やったら駄目だろうか?」と言わんばかりに不安そうな顔をする。

どうしても、自分のメールペットと仲が良い相手に対しては、それ相応にお年玉を多く渡したくなるのは当然の話だった。

モモンガ自身、自分の親友たちのメールペットであり、パンドラズ・アクターと特に仲良くしてくれているデミウルゴスやシャルティアに対しては、ちょっとだけ良い物を贈りたいと思う気持ちがあるから、彼らの気持ちは良く判る。

そんな彼らに対して、別の形で提案する声を上げたのはたっちさんだった。

 

「そうですね……では、こうしたらどうでしょうか?

全員に渡すお年玉として、彼らが好むお菓子などの嗜好品を用意するのは、ほぼ確定で良いと思います。

但し、ヘロヘロさんが先程言った様に、ある程度彼らの好みに合わせて用意する品を変える位は、各自の判断で問題ないでしょう。

基本的には、そういう形で同価値の品をお年玉で与える事にしておいて、私たちギルメン同士もしくはメールペット側で仲が良い相手には、それに加えて更に何かちょっとした物を追加で渡す事にすれば、皆さんも納得がいくんじゃありませんか?

その代わり、メールペットがもし仲間内でお年玉として渡す物を自慢するなら、自分の主からの物だけと言う条件をつける必要はあるでしょう。

不用意に、自分の主以外から追加で何か貰った物が居る事を彼らが知ってしまうと、それこそ不公平と言う話になってきますからね。

もし、どうしても何か特別だとはっきりわかる様な高価な品物を贈りたいのなら、別の機会にするべきです。

あまりに渡す品に差を付けると、これもまた不公平になりますから。」

 

たっちさんの提案を聞いて、茶釜さんを筆頭にギルメンたちは自分なりに考えて納得したらしい。

確かに、ちょっとした品なら追加しても構わないだろうが、自分のメールペット以外に特別な品を贈りたいと思っているなら、状況を考えて改めて贈る方が気兼ねなく渡せるだろう。

モモンガ自身、パンドラズ・アクターたち三人にちょっとしたお揃いの品を贈りたいと思った位なので、そこまで高価な特別な物でなくても構わないのだ。

 

「どうやら、皆さんもたっちさんの提案で納得したみたいですので、お年玉はそれぞれ一応全員に行き渡る様に用意して下さいね。

もしくは、足りなくてもすぐに代用品が用意出来る範疇で留めておいて下さい。

当日になって足りなくなった時、慌てるのは自分自身ですからね。

何度も出てますけど、自分のメールペットに対してのお年玉は、それ相応の贅沢品でも構いませんよ。

重要なのは、自分のメールペット以外に渡すお年玉の内容が、あまり大きな落差が付かない程度にすると言う点ですからね。」

 

たっちさんとヘロヘロさんの言葉を纏め、モモンガがギルド長としてそう告げると、全員が了承したのだった。

 




新年の話なので、ほのぼのとしたものを。
まずは、年末にギルドメンバーにお年玉の事を提案してみました。

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