よう、前はいつの間にか委員長に持ってかれた気がする今日この時。まあ、委員長には感謝してるんだけどな。あの後、神にも謝ってスッキリした気分のまま帰れたからな。今日も委員長にはお世話になったからあんまり頭が上がんないんだよね。俺の他にもクラスの奴らの中には委員長に頭が上がんない奴が沢山いる。委員長の身体は小さいがとても頼られてるのがわかるだろう。
「あれ、色無君何か用事でもあった?」
「いや、委員長に感謝してた」
「……何かしたっけ?」
本当にな、何やったらこう育つんだろうか?不思議でならんわ。
委員長はその後、用事があると教室を後にした。そして、時間は放課後まで進んだ。
「ん?」
おかしい、……やっぱりおかしいな。
何時ものように教室も机の上で寝ていた俺は、ふと、自分のズボンに違和感を覚えた。そして、違和感を元にポケットをまさぐる。何も無かった。鞄の中を探る。何も無かった。
「加賀観、急にどうしたんだ?ポケットや鞄を引っ張り出して何やってんだ?」
ここにあったはずなんだが……どこ行ったんだ?
もう一度探る。無い、無い、無い。
「…おい、マジで何やってんだ?」
どこに行ってしまったんだ。
「あれ?何だろうこれ?鍵、だよね。落とし物かな?」
「ん、どうしたんだい?委員長、困った顔して」
「あっ、礼ちゃん、これが落ちてたんだ、落とし物かな?」
「鍵か、落とし物だろうね。鍵を落とすなんて持ち主はとてもおっちょこちょい何だろうね。…ん?そういえば、この鍵どこかで見たような」
「はぁ?鍵を落とした?」
「ああ、探したけどなかった。いつも入れてる場所はだいたい探したから無いのなら、どっかに落としたんだろうな」
その後もひっくり返した鞄にもポケットにも入っていなかった。鍵を落とすなんてこれまでした事が無かったから警戒して無くて、結構雑な入れ方をしていたと今になって思う。
「なんか覚えてないのか?探すにしても範囲が広すぎるぞ」
うーん、家を出る時はあった。学校は…あった。それからは………。
「学校までは有ったと思うから、学校に来てから落としたんだろうと思う」
「……学校に来てからか、それならばある程度絞れそうだな。学校来てからは何をしてたんだ?」
うーん、学校来て、屋上行って、委員長にあって、教室に来たな。
「屋上か。…屋上?あそこで何してたんだ?」
「黄昏てた」
「…まあ、ひとまず行くか。」
「何か馬鹿を見る目だな」
「実際馬鹿だろ。屋上で黄昏て、鍵を無くす。馬鹿だろ?」
うん、馬鹿だったごめん。
「そういえば、布枯はどうした、あいつこういう時はいつもお前を笑いに来るだろ」
「ん、そういえばいないな。…まあ、委員長と一緒なんだろ」
「まあ、そうか。…そういえば、委員長にもあったんだったな」
そうだった、課題の手伝いを委員長にお願いしたんだった。その時は、鍵を持ってたかな?
「もしかしたら、委員長が拾ってたりしないかな?」
「さあな、ひとまず屋上に行くか」
仕方なさそうな、神を連れて俺は教室を後にした。
「あっ、委員長!それに布枯さんも良いところにいたよ。ちょっと頼みたい事が有るんだけど、今良いかな?」
「ん?槙原さんか、どうしたんだい?」
「今ね、今日が提出日の課題をチェックしてたんだけど、色無君の物が見当たらないのよ。それで彼にその事を聞こうとしたんだけど、彼って神出鬼没みたいな所があって私じゃあ捕まえれないのよ。だから提出物の事を本人に出したか聞いておいて貰える?」
「そういうことなら良いよ、私達も少し校舎内を歩き廻る予定があるからついでに見ておくね」
「本当に?とても助かるわ、ありがとう。彼から話を聞けたら、彼に職員室の多々野先生に伝えるように言っておいて。じゃあごめんね、彼の件をよろしくね」
「色無君への伝言を先にした方が良いよね?」
「まあ、先生を待たせる事になりそうだからね。彼ならさっき教室にいたはずだから行くならば寄ってからにした方が良いかな」
「教室か、ここから近いから先に行こうか」
「委員長に任せるよ」
「で、来たがありそうか?」
「……いや、無さそうかな」
だいたい、ここの辺りだからここにないのなら他の場所だろう。
黄昏時に座っていた場所を確認するも、鍵は無かった。
「じゃあ、次は委員長を探すか?」
「それが良いかもしれない」
そう言って、俺達は屋上を後にした。
「…いないみたいだね、帰っちゃったのかな?」
「……おかしいな、彼の今日の予定ではこの時間はまだ教室で田島と話しているはずだけど、…委員長、下駄箱へ行ってみよう。それをみてからでも間違いは無いから」
「そうだね、それが確実かな。色無君、帰って無きゃ良いけど」
「しかし、委員長はどこだろうな?」
「流石にそんな事は知らんぞ」
あの後、俺達は当ても無くてきとうに廊下を歩いていた。偶にクラスの奴とすれ違うのでその時に委員長の事を聞いたが、知らない奴らばかりだった。
「あれ?色無君と田島君じゃない」
「ん?」
「…ああ、槙原さんじゃないかどうかしたか?」
へー槙原さんね、良し覚えた。……危なかったな、神が言わなかったら思い出せなかったけど。
「あっ、色無君、委員長にあった?」
「へっ、委員長?いや、あってないぞ?…というか、こっちが探してる」
「あちゃーすれ違いだったかぁ。…でも、折角あったしなぁ」
こちらの返事に槇原さんは、やっちゃったと頭に手を当てるポーズを取る。彼女はその仕草を良くするのか何とも様になっていた。
「委員長がどうかしたのか?」
「うん、君を探すのを手伝って貰ってたんだよ。君っていつもどっかに行っちゃうから捕まらないんだよ、だから委員長達に君の捜索を手伝って貰ってたの!…なのに、何で頼んですぐに私が見つけちゃうのよ」
「え、それって俺のせいなのか?」
「どうも、原因はお前っぽいな」
急に槇原さんが怒涛の愚痴を吐き出し始めた為、俺はたまらずたじろいた。神は冷静に原因を突き止めたようだが、俺はちっとも記憶に無いんだが?だが、それでは解決しないのは明白だ。
「あー、ごめんな槇原さん。それで用事って、何だったの?」
「…うん、君に多々野先生から伝言を預かってるの面倒だからぱっと、言っちゃうね。……色無加賀観問題児君へ、君もおそらく記憶している事と思うが、本日は私の担当する英語の課題問題集の提出日なのだ。だが、君の問題集が探しても見つからないようだ。よって君に出頭命令を出す。本日午後4時までに私の机に問題集と遅れた理由を用意して来るように。なお、4時を過ぎた場合は君の担任に措置を依頼するので悪しからず。…だってさ」
「………ああ、わかった。ありがとう」
槇原さんから長い長い伝言は、どうやら今日が期日の提出物が提出されて無いから早く出せって事か。…英語って今日の時間割にあったんだ。科学の課題で頭が一杯だったから聞き逃してたのか?わからん、わからんが時間が無い事は良く分かった。多分やって無いから無記入で提出かな?これは紅先生行きかな。まずい。
「うん、それじゃあ伝えたからね?ちゃんと行ってよね。じゃーね!」
そう言って、彼女はこちらに手を振りながら来た道を戻って行った。
「なんだ、お前、また課題貯めたのか?」
「安心しろ、提出はすぐに終わる」
「あっ、靴があったよ!まだ校内にいるみたいだね」
「…田島の靴も有るからもしかしたら、二人で行動してるかもね。校舎内なら彼らの行動範囲を考えれば、それ程時間はかからないかもね。」
「うん、そうだね!」