彼が彼女の弟さん    作:kanaumi

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雑用係部活故に

よう、今日はまだまだ肌寒い風のせいで外に出るのがとても億劫だったぜ。そんな、日だが、学校はそんな事では休ませてくれないので今日も俺は机に沈むんだ。

 

「加賀観、そういえばお前部活ってどうしたんだ?」

「やってるぞ?観察記録部」

 

 この学校は部活動を特進学科以外は強制入部しなければならないという校則がある。そのせいで部活動なんてしたくなくても何かしらの部活に入らなければならない。俺も例外では無くてきとうに部活を探していた。そんな時、3年の黛先輩に誘われたのだ。黛先輩とはこの学校に入学してから知り合ったのだが、どうもお互いの家族が知り合いみたいでその付き合いで、俺も先輩の弟みたいな関係になっていた。そんな感じで、先輩にはお世話になっているので観察記録部に入部した。基本的な仕事は生徒間の会議に呼ばれて書記の仕事をしている。だから、内の学校の生徒会に書記はいない。最近はバタバタと忙しいからか俺たちが出られる会議はされていなかった。だからだろう、神が勘違いをするのもうなずける。

「……ああ、あの部活か。そういえば黛先輩と仲が良かったもんな」

「まあ、先輩には良くしてもらってるよ」

「良かったよな、お前って先輩からあんまり好かれないから虐めとかあって、中学の時は苦労してたからな。その点、黛先輩なら心配ないし」

「ああ、良い先輩だよ。ただな…」

「ただ?」

 神からは見えてないかも知れないが、教室の扉に貼りついて此方を覗いてる人がいる。…話題の黛先輩だ。黛先輩は端から見たらかっこいい先輩なんだが、ちょっと関係を持つと、良くわかるがこの人、所謂コミュ障なのだ。俺だけなら普通に話かけて来ると思うけど、神がいるので話かけれないから扉で待機してるのだ。

「うん、まあ良いや。そういえば、神は何部だ?」

「用務部だ」

「ああ、あれか、別名雑用部。」

「まあ、やってることがそうだからな。」

 用務部。去年の夏に名前が変更された部活で3年の水谷先輩が教頭先生と交渉して認められた部活。変更前はクリエイトゲーム部。部として活動は認められているが、実績が無い為部室と言う物を今まで持っていなかった。そんな時、水谷先輩は用務員の人件費の事情を知ったそうでそれを餌に部室を勝ち取ったそうだ。此処三鷹学園は行事毎に用務員を一時的に沢山雇う。学園がとても大きいからだ。ただ、毎年なので費用も馬鹿にはならない。そこで、水谷先輩はそれを部活動として手伝うから、部室を一つ下さいと教頭先生に交渉したのだ。最初は駄目と突っ張ていた教頭も水谷先輩の熱意に負けて認めてくれた。認めた理由はやはり経費が浮く、という事を水谷先輩が一番大きく主張したかららしい。

 先輩がそこまでして部活を欲しかった理由としては、これからの活動の為に腰を置ける場所が欲しかったそうだ。今までの活動は空き教室を転々としていた。しかし、作業が捗らなかったから専用の部室が欲しいと思ったらしい。だが、クリエイトゲーム部は実績が無いに等しいので厳しかった。そこで、水谷先輩が目を付けたのは、ある事務会計員が零した、「行事毎に臨時で用務員を雇うと人権費が馬鹿にならない」という話だ。更に、クリエイトゲーム部は部室の無い部活だが部員は10人を超していた事。これが、1人や2人だったら無理だったと本人が語っていた。まあ、なので用務部は学校、教頭先生の要請があれば用務員の仕事をして、それ以外はゲームを作っている部活だ。因みにこの話は広報新聞部から月に一度発行される新聞に書いてあった。問題はなかったのかは知らないけど今も普通に活動しているので大丈夫だったのだろう。

 

「うちの部活って何かしらのネタになるから布枯がネタに困らないって言ってたな」

「そうか、布枯は広報新聞部だったのか」

「ああ、この前黛先輩に話を聞いてたの見て、聞いたら広報新聞部の部活動だって言ってた」

 あの時も、やはり水谷先輩の武勇伝を知人からも聴きたいと言っていたな。

「そういえば、委員長はなに部だ?」

「布枯の話だと、手芸部」

「なんか、委員長らしいな」

「ああ、そうだよな。……黛先輩、そろそろ良いですよ?」

「え、あ、失礼します。」

 入るか入るまいかで、悩んでるのか扉の前を行ったり来たりしていたので此方から呼んでみた。すると、おずおずと先輩は俺達に近づいて来た。それで、先輩に気が付いた神が先輩に会釈をしていた。先輩もそれに続いて神に会釈をした。

「黛先輩おはようございます」

「う、うん。おはよう」

「部活動ですか?」

「うん、そう、明後日の放課後に5月の春の運動会の会議がされるからその書記をしてくれって」

「わかりました。会場は第何ですか?」

「第3でするって、授業が終わったら部室に来てね」

「わかりました」

「それじゃあ、明後日で」

「はい」

 そう言って、黛先輩は教室を後にした。先輩が教室を出てすぐに先輩の悲鳴が聞こえた。どうやら先輩の帰りが遅かったのか迎えが来たようだ。

 

「そういえばもう春の運動会の時期になったのか」

「ああ、と言っても準備期間だけどな。まあ、その時は用務部にも仕事が有るだろうね」

「まあ、それが部室の条件だしな」

 部室を貸してもらう時に、仕事を怠った場合には部室没収という約束がなされたらしい。だから教頭や先生方が出す仕事には断れないのだ。雑用部の所以はそこから来ている。

「まあ、お互いに部活を頑張ろうぜ」

「ああ」

 

 

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