彼が彼女の弟さん    作:kanaumi

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 時間が開きましたができました


晴天の下で天を思うのは

 

 

 カーテンの隙間から射し込む眩しい朝日に当てられ、俺は目を覚ました。まだ、ボーとしている意識を時間をかけて覚醒させる。敷き布団の温かみを惜しんで身体を起こす。今日を穏やかな1日にするために、起床時の状態を良いものにする事を最近心掛けている。名残惜しいが、布団から足を出す。冷たい空気が足を触れ、微かな眠気を覚まして行く。全体を布団から出して立ち上がると、スッキリした気持ちにる。カーテンを解放し、全身に朝日を当てる。すると、朝日を浴びた身体が熱を作り始める。軽く身体を捻り、部屋を出た。

 

「最近は、気持ち良く眠れて良いな。授業も何時もより集中出来てる気がするしな。」

 

 午前5時、今の時間はまだ寝ている人も多く、とても静かだった。日の出からすぐの時間だが、辺りは明るかった。外には、ジョギングなどしている人がちらほら見かける。ジョギングと言えば、神も最近ジョギングを始めたようだ。神は見た目はアウトドアだが、中身はインドアで、ジョギングなどはしなかったが水谷先輩に進められて始めたらしい。最初は少し嫌だったらしいがやってるうちにちょっとした趣味になったそうだ。理由を聞くと、朝のジョギングはとても気持ち良かったらしい。

 

「まあ、俺は走らないけどな。」

「あら、そんな所で立ち止まってどうしたの?」

 

 …そういえば、母さんが泊まりに来ていた事を忘れていた。昨日、突然電話がかかって来た。今日泊まるからと言って、夜遅くに家にやって来た。夕食は一緒にしなかったが、お休みを言い合って眠ったのだ。しかし、明日は朝早くにでると言ってたような?

 

「母さん、今日早いって言ってなかったか?」

「早いと言ってももう少し後よ。今、何時だと思ってるのよ。」

 

 今は5時過ぎか、起きた時は良く見てなかったな。けど、前にこの位の時間には出ていた気がするのだが。

 

「まあ、良いわ。朝ご飯食べる?」

「あ、うん。食べる。」

 

 母さんとの朝食には何時も、玉子焼きがある。理由は母さんの得意料理の一つだからだ。昔、何個も何個も作り続けた事があったようで、そこらの玉子焼きに負けない物が作れると豪語していた。実際、美味しい。父さんはこの玉子焼きの味を世界一と言っていた。まあ、良く舌に馴染んだ味なのかも知れない。

 

「準備が出来たわ。」

「いただきます。」

 

 さて、今日の朝飯は玉子焼きに焼き魚、ご飯だ。母さんが買って来たと思われる魚、アジは良い匂いで食欲を誘ってくれる。大根のすりおろし何かがあれば更に良いのだが、家の冷蔵庫に大根などは無いので付いていないのだろう。怠けず買って置けば良かったな。一人暮らしでアジなんてほとんど食べないのに。……まあ、美味しいに変わりは無いから良いか。あー、ご飯が進む。パリって言う音と程良い塩気が本当にご飯を進めさせる。時間も有るのでゆっくりと食べたい気も有るけど、箸が止まんないな。実家じゃあ良く食べてたんだけどなあ…。

 

「ねぇ、加賀観。あなた、れいちゃんのお墓参りまだ行ってないの?」

「……うん。」

「……そう…。」

 

 ……そうだな、もうすぐ命日か。…ああ、行かないとな。れいちゃんにまた、言わないとな。伝えないとな。あの日の事。これまでの事。

 

「……。」

「…加賀観、あの日の事は-」

「大丈夫。ちゃんと行くさ。」

「っ……。わかったわ。」

 

 朝食の片付けに向かう、母さんの後ろ姿を見つつ俺は右目を抑える。あの日を思い出す度に右目がズキンと痛む。…後遺症は残っていないはずなんだけどな。あの日の記憶は忘れられない。忘れてはならない。そう決めた時から、この右目の痛みは続いている。最近は、片隅に合った。しかし、命日が近くなり痛み出した。やはり、俺には忘れられない。忘れない。けれども、墓に行く事が出来ないでいた。

 

 

 

「それじゃあ、行くわね?」

「うん、いってらっしゃい。」

「行ってきます。」

 

 午前6時過ぎ。母さんは仕事場に向かった。俺も今日は、学校に早く行こうと準備を始めた。

 

「あーっと、英語と数学と歴史で、後は置いてるから良いか。」

 

 リュックに教科書を入れて、家を出た。今は7時前だが、道を歩く人は多かった。ランニングウェアだったりスーツだったりと何時もとそう変わらないけど、何故か新鮮に感じる。朝だからだろうか?何にしても気持ちいい。

 

「さて、学校に向かうか。」

 

 俺の家から学校へは15分ほどだ。まだ静かな並木道をゆっくりと歩く。今日はどんな事が有るかを思い、道を歩いた。

 

 

 

 

 

 晴天の下で、天を思う。あの日を思い、彼女の来世に祝福を。

 

 

 

 

 

 

 




 
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