彼が彼女の弟さん    作:kanaumi

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 いつになく書いてたらこうなった。暇じゃなかったのにな、と思いながら書きました。短いですが、忙しい人が読むもんじゃないです。


再構成したら少し長くなりました。


4月 出会い出合い出逢い
授業中寝るんじゃない!自分!


 

 やあ、久しぶり元気だった?いやぁ皆元気そうで良かったよ。・・・・おや?初めましての方かな?初めまして、三鷹学園高等部2年の加賀観です。まあ、10割の人が初めましてだと思うけどね。今は数学の授業の時間なんだけど暇なんだよどうしよう・・・・。いやぁ、今日も暑いねぇ。・・・・。

 

 教科書を縦にし、寝る体勢に入る。前の教師から顔を隠しているので、寝ていても気付かれ難い。この体勢で数々の授業を乗り越えてきた。そう、言わば必殺の体勢。この体勢で、数学だって乗り越えて見せる!

 

「加賀観、これ答えてみろ。」 

 

 しかし、効果が無かった!なぜだ!

 

 顔を上げると見えたのは、黒板の前に立つ黒いスーツを着こなした先生。俺らのクラスの担任、紅先生だ。先生の顔には、青い筋がピクピクとしていた。そして、先生の右手に装備されている数学の教科書。それを確認すると、俺は悟った。あっ、これはまずい奴だと。

 

「加賀観。」

「はい…。」

 

 先生の俺を呼ぶ声は低かった。何か、俺の周りの気温が下がったのを感じる。いやぁ、周りの席の奴の視線が痛い痛い。マシンガンで撃たれたみたいに痛いよ。ほぼ全方位からの精神攻撃に加えて、前からも絶えず先生からの熱い視線が来てるよ。何でこうなったんだろうか?疑問でならないよ、ほんとうに。

 

「おい、加賀観。早くしろ、時間がもったいない。」

 

 俺が、なかなか動かないからか先生の青筋がまたピクってなったよ。しかし、このまま先生の元に行っても面白くないし解きたくない。…仮病を使うか。

 

「先生、俺。今、腹痛なんです「嘘だな。」よ。」

 

 痛そうな顔をしつつ腹部を押さえて言った。しかし、最後まで言い切る前に一蹴されてしまった。あまりの速さに、口を開けて固まってしまった。

 

「い、いや、痛いですよ?」

「そうか、それは都合の良い物だな。」

 

 先生は、体の前で腕を組みながらこちらを見ている。よし、疑ってはいるが、此方の話を聞いてくれている。此処で昨日巻いた種を実らせる。それによって、この仮病は突発的な物じゃなくて持続している物として証明できる!

 

「いやぁ、昨日からずっと痛かったですから。」

「ほう、昨日からか。それは痛いだろうな?」

「はい、痛くてあまり寝れなかったですから。」

 

 先生が何でこんなに食いついてくれるのか、わからないがとりあえずチャンスだ!自分が寝不足だという事をアピールする。

 

「そうか、昨日から腹痛な。」

「ええ、痛いですね。」

「では、頭痛は治ったのだな?」

「えっ?」

 

 先生の言葉に回転していた頭がガンッと壁にぶつかったように、止まってしまった。もう、頭痛?何それ状態で頭が真っ白になってしまった。そして、それが致命傷となり昨日からの嘘が先生にばれてしまった。この後の展開は、想像にお任せする。

 

 

 

 午前中の授業で俺は、本当の腹痛を知ってしまった。これは、仮病で使って良い物じゃない。昼なのに、飯の時間なのに、口にしようとするとぎゅるぎゅると腹が鳴る。…これは、下痢か。ズキンズキンと痛むのだ。せっかく作った弁当もこれでは食べれないじゃないか。くっ、仮病をした対価がこれか。割に合わないぜ。

 

 とりあえず、食えないけど出すだけ出そうと鞄を探る。しかし、探っても探っても弁当箱が見つからない。おかしい、朝鞄に入れていたはずなのに、なんでだ!?

 

「ねえ。」

 

 やっぱり無い。入れる物を間違えたか?…いや、ちゃんとこの鞄に入れた。じゃあ…。

 

「ねえ。」

 

 くっ、何処かに落としたか?どこだ?思い出せ、思い出せ。

 

「ちょっと、聞いてる?」

 

 なんか、雑音が聞こえるがそんな事はどうでもいい。どこだ?

 

「雑って、また酷いね。」

 

 ……。

 

「おっ、やっとこっちを向いたね。」

 

 途中から、あえて無視していたが俺の前には先程から声をかけている女性がいる。彼女が誰なのかはわからないが、彼女は先程俺の心を読んだような発言をしている。偶然かどうか分からないが、注意が必要だろう。もしかしたら、ストーカーかもしれないしな。して、誰だ。

 

「分からない人に対して結構な事を言うね。」

 

 彼女は、呆れたように額に手を乗せた。

 

「まあ、良いけど。それよりも、ほらこれでしょ。」

 

 彼女は、あきらめたように溜息をつく。そして、背後に手を伸ばし小さな包みを取り出した。

 

「これ、きみのだろう?下駄箱に落ちてたよ。」

 

 確かに、俺の弁当の包みだ。しかし、下駄箱?

 

「朝、学校に来る時に下駄箱で鞄の整理してただろう。その時に、忘れて行ってたよ。」

 

 ああっ!そうだ、その時だ!思い出した。何か忘れ物したんじゃないかって、心配になって鞄を探っていたんだ。まあ、結局忘れ物は無かったんだけど。まさか、そこで忘れるなんてな。

 

「でも、何で今になって渡すんだ?朝見たなら朝礼前とかに渡してくれれば良かったのに。」

「渡そうと思っていたさ。教室入って君、寝てたろ?起こすのもあれだったから、休憩時間に渡そうと思っていたのに君といったら。」

「…悪かった。」

 

 今日の休憩時間は、寝ているか、トイレに行ってから寝るのどちらかをしていた。確かに、声を掛けずらい。

 

「まあ、とりあえずありがとう。」

「どういたしまして。…。」 

 

 まあ、なにあれ良かった。俺今腹痛で食べられないけど。…腹痛?…あれ?何か、忘れてる?何を忘れているんだ?

 

 見つかった弁当の事を喜ぼうとした瞬間、正しくは腹痛を思い出した瞬間、記憶から抹消したいと思っていた事を思い出した。思い出してしまった。そして、腹痛が酷くなった。

 

「…。」

「そんな、キミに良い事を教えてあげよう。」

 

 まだいたのか、彼女は後ろの、窓の向こうを指さした。そこにあるのは誰かが開けた窓だけだった。窓の向こう?窓の向こうには、第四校舎があったはずだが。そんな事を思っていた俺は、彼女の指さす方に顔を向けた。

 

「………。」

 

 紅先生、どうしてそこにいる!?職員室にいたんじゃないのか?何で、向かいの校舎からこちらを睨んでいるんだ。駄目じゃないか、先生は職員室にいなくちゃ!待っていてくれなきゃ!………。

 

 彼女の指さした先にいたのは、第四校舎四階廊下の窓を開け、此方を見ている紅先生だった。それを確認すると、いや、目にした瞬間、俺の頭は混乱してしまった。

 

「…フゥ。」

「おや、落ち着いたかい?」

「…、行ってくる。」

「そうかい。」

 

 先生の行動は良く分からないが、どの道行かなければならない。先の彼女が誰かが結局分からなかったが、まあ、問題ないか。同じクラスの様だし。

 

 職員室は、此処第三校舎の一階にある。校舎間を生徒以上に動き回る先生達の部屋が一階にある理由は、分かりやすく移動のしやすさだ。けれど、生徒からすれば少し不便な所にある。上学年の教科担当などは、上の階の教室から此処一階までを往復しなければならず大変な事は係決めの時に毎回騒がれる事案である。

 

 俺らの教室がある四階から降りて来たものの、先生は職員室にいるのだろうか?いまさっき、第四校舎にいたんだからまだと考えるのが普通なんだけど、紅先生ってなんか身体能力が高いんだよな。もしかしたら、もういるかも知れないな。

 

「おっ、ちゃんと来たか。」

 

「…先生、先ほど第四校舎におられませんでした?」

 

「なに、走ればすぐの距離だ。」

 

 そう言って、先生は足を叩く。一応、第四校舎から第三校舎までは十分とかからない。途中に上り坂があるが、そこまで長くないから時間はそれ程掛からない。しかし、先生がいたのは四階で、あれから五分ほどしか経っていない。それなのに、息すら上がってない先生はどうなんだろうか。

 

「まあ良い、中に入れ。」

 

 先生に言われ、職員室に入る。此処の職員室は、主に高等部の先生が使用している。また、中等部の体育教科の先生も使用している。中等部の体育の授業で使う校庭と体育館に向かうのに、中等部の第二校舎より第三校舎の方が近い為だ。

 

 紅先生の席は、入り口の反対側、窓の近くにある。今日は外が晴れているため、先生の机には日差しが当たって輝いていた。

 

「それで、何回目だ?」

 

「さあ、一々数えないですから。」

 

「6回目だ!新学期始まって、一週間で何度問題を起こすんだ?」

 

 そう、俺がこの職員室に呼び出されるのは始業式の日から六回目なのだ。寝てて呼び出されたのは初めてだけど。課題提出の忘れが最初だったかな。

 

「とにかく、これからは気を付ける様にと、各先生からお言葉を貰っている。」

「はい。」

「だが。お前がそれくらいでは効かんという事は、分かっている。」

「…良くお分かりで。」

 

 確かに、それだけじゃ特に気にせずにこれからも過ごすだろうな。そんな事は、昔から言われているし。紅先生にもお世話になったものだ。去年からいる先生は、俺が職員室に入る度に何かしたのか、みたいな視線を送って来るし。

 

「だが、お前が懲りないせいで、新しく行う事が無くなった。」

「おお、コンプリートですか。」

「喜ぶ事じゃない!…という事で、放課後に第三校舎のトイレ掃除をしてこい。」

 

 第三校舎のトイレは、全部で13個ある。一人でやると、一時間位か。ちなみにこの罰は、三回目の時にした。

 

「またですか。」

「分かったな?」

「はい。」

 

 拒否権も何も有ったもんじゃ無いらしい。しかし、めんどくさい物はめんどくさい。どうしようか?ばっくれるか?

 

「なまけたら、第四校舎もな。」

 

 考えている内に釘を刺されてしまった。以前、すっぽかした事を言っているのだろう。くっ、本当にやりずらいな。他の先生ならこうは成らないのに。

 

「分かったなら、さっさと行け。次の授業の時間だ。」

 

 先生は話は終わったと、自分の席に向かい出席簿に何やら記入し出した。気になって覗こうとした時、予鈴が鳴った。仕方ないので、職員室を後にした。

 

 

 

 今日の授業も全て終わり、クラスの皆はお疲れムードになっていた。しかし、俺にはこの後トイレ掃除が有るため、テンションは下がっていた。クラスの奴が帰った後、事務室に掃除用具を借りて、六階の東トイレから掃除を始めた。各階西と東にあるトイレの便器は12個なので、一階分の掃除に掛かる時間は、十分位だ。それを六階分行うので、一時間かかる計算だ。はぁ、一人寂しくトイレ掃除とか…。

 

 

 

 約一時間かけて、トイレ掃除は終わった。事務室に用具を返して外に出ると、夕日は沈んで無い物の、辺りは暗くなり始めていた。まだ部活動の音が聞こえるが、帰宅部や活動のない部の者は帰った後だった。歩道を歩くのは自分だけだ。なんだか優越感を感じながら道を歩いた。

 

「はぁ、今日は何食べようかな…。」

 

 




 知ってる事が少ないのでぼかして知的な事は何一つ言いません。ご了承を

 彼は錯乱している!


 11/17 追記しました。
 12/21 内容を再構成し、追記しました。
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