彼が彼女の弟さん    作:kanaumi

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提出期限は良く見ましょう

 

 

 よう、同じ挨拶を繰り返すのは何だか面倒くさく感じる時が有るんだ。だから、今日は気分で挨拶を変えてみたんだ。…どうでもいい?まあ、そう言わないでくれ。今日は休日なんだ、だからテンションが低いからそこんとこよろしく。えっ、それもどうでも良いの?…冷たくないか?いや、変なテンションをしているのは分かっているんだ。だから挨拶なんてしてるんだ。…はぁ。

 

「どうした加賀観?急に溜息なんかついて、何か有ったのか?」

「挨拶だよ、始めの挨拶をして凹んでいるんだ。あんまり触れないででくれ。」

「挨拶位で何を凹んでるんだお前は?…と言うか挨拶なら俺にもしろよ。朝いきなり家に来てゲームし出したのお前だからな。」

「…やだね、めんどくさい。お前相手に今更そんなのするかよ。」

「おい、流石に怒るぞ。」

 

 隣の奴は何か言っているが、紹介しよう。こいつは、俺と同じクラスの田島 神だ。こいつとは中学からの腐れ縁何だが、何故かいつも同じクラスにこいつがいるんだ。知り合ってから毎年クラス替えが有ったが、こいつが俺から離れる事が無かったんだ。別にそれが嫌という事は無いんだ、助かる事も多いんだけどこう、変わらないのって時に苦に感じる事も有るんだ。だから、来年は別のクラスにしてください。

 

「で、そこんとこどうなんだ?神さんよ。」

「……。いや、俺がクラス分けしてる訳じゃ無いんだから無茶言うな。」

 

 後、こいつの事で思う事は、こいつの神って名前がこいつの行いを見ていて名前負けしてね?と思う事が有る。この事は学校の奴らも思う事が有ったのか、こいつの名前を見るたびにまず顔を見ていくんだ。この事を本人も気にしているようで、名づけ親に物申した事も有るみたいだ。

 

「で、物申してどうなったんだ?」

「急に何の話だ?……ああ、親父に言ったんだよどうしてジンを神にしたのかって、そしたら…そんなの知るかよって叩かれたな。」

「そうか、親父さん知らないのか。…ん?名前つけたのひい爺さんだって言ってなかったか?」

「…そうだった。ひい爺さんが酒の場での思い付きをそのまま名前にしたのが発端だった。何で止めなかったひい婆さん。」

 

 ガックリと肩を落としたこいつだが、こいつ自身、名前の事は諦めてるが、名前を嫌っている訳では無いらしい。しかし、名前書いた時の相手の表情が嫌いなんだそうな。さぞ、奇異な目をしていたのだろう。想像が付く、俺もこいつと知り合ったのはそんな感じだったし。

 

「そういえば、お前課題終わったのか?」

「・・・・フッ」

「その顔は格好悪いぞ」

「なんで俺だけみんなの3倍なんだ。」

「日頃の行いのせいだろ。」

 

 課題とはカツラ木先生の国語の読書感想文だ。月に一度こうやって課題を出すのだが、前の盗難事件の事を引きずっているのか、みんなは原稿用紙2枚だが俺は6枚書いて来いとホッチキスで止められた物が配られた。お題は、自由のはずなんだが、先生から愛読本だって六法全書を渡された。その分厚さと衝撃に意味が分からずに呆けていると、此処の所は面白いとオススメの所を語っていた。後で確かめたら教えられたページは2桁にも届いていなかった。この時ばかりは声を荒げながらほとんど読んでねーだろ!っと叫んだ。しかし、それは後の祭りで授業は終わってしまった。因みに、阿修羅は100ページ読んだらしい。放課後ばったり会った時に、課題の事を聞いていたのか本人が言っていた。その後、笑いながらオススメの所を教えてくれた。よほど俺が苦労するのが嬉しかったのだろう。因みにそのページは3桁を越していた。彼女は抱えているのを見て、彼女の父親が読むように勧めたようだが、流石に無理だったと懐かしそうに語っていた。

 

「紅先生読んでたのか…意外だな。もっとこう、粗々しいのを読むとばかりおもっていたな。」

「俺も意外だなーと思ったが、それどころではない。」

「それで何ページ読んだんだ?あれから一週間たったが。」

「3ページ」

「提出って、明日の授業中だろ。」

「マジで、終わんねーよ。」

 

 その後、ぐちぐちと言いながら神の家でゲームをしていた。神は頻りに大丈夫なのか?と聞いて来たが、俺は無視してゲームに入って行った。夕方になり、流石に帰るかと神の家を後にして歩いていた。しかし、課題を進める気に起こらず、日は沈んで行った。気が付いたら足が凄く重くなっていた。だけど足を止める気にならなくて、フラフラと、フラフラと歩いていた。その姿は、まるで酔っ払いのそれだったと近くを通ったおばさんは思ったそうな。フラフラと、フラフラと歩くその姿は夜のとばりに包まれて消えて行った。その後、その姿を見た者はいない。

 

 暗い部屋に、カーテンの隙間から朝の日差しが差し込む。その部屋に、人の気配はなかった。机には、数枚の原稿用紙と綺麗な六法全書が置いてあった。

 

 

 

 

「………」

「……大丈夫か?」

「……見える?」

「……いや」

 

 あの後、結局家に帰らずに夜歩きをしていた加賀観。早朝になってやっと家に帰った加賀観を待っていたのは、真っ白な原稿用紙と綺麗な六法全書だった。課題などやってあるはずも無く、真っ白な原稿用紙に膝を落とした。そこから少し記憶が飛んでいた。気が付いたら洗濯機が回っていた。

 

 朝の教室は、ザワザワとしていたのに、二人の周りは静かだった。机に伏せている加賀観、横でそれを見る神。手元に広がるはちぎれた原稿用紙、ヨレヨレの六法全書。伏せたまま動かない加賀観に神はどうする事も出来なかった。そして、授業は始まった。

 

「色無以外は全員提出を確認した。次の授業の時に感想を書いて返却する。・・・・色無は、仕方ないので紅先生との特別実習を行う事で最低評価だが点をやる。良いな?」

「・・・・」

「・・・・では、授業に移る、えーでは、36ページを開け。」

 

 そこから先の記憶はとても曖昧だった。桂木先生のカツラが飛び、神が保健室に駆け込み、紅先生が鉄拳を落としていた。曖昧なわりに良くありそうだった。そして、俺は目を閉じた。

 

 

 

 目が覚めた俺の眼に入って来たのは茜色に染まっていた夕方の空だった。教室を見渡しても神も他の皆もいない。ただ一人、教室に残っていた。ふと、机を探ると何やらメモ用紙が出てきた。

 

『特別実習:紅先生の手伝い』

 

 と、それには書かれていた。神が書いたのだと思えるが、何故書いた時に起こしてくれなかったのだろうか?

 

 

 

「加賀観、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ問題ない。」

「そうか、けど、服が後ろ前反対だ。」

「・・・・マジだ。」

「あと、鞄持ってないぞ。」

「・・・・あ。」

 




 更新は気分次第なので決まった時間などはありません。


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