まだまだ、夏は来ない。これは桜が散り始めた4月の半ば位のお昼休みの事だ。
「ちょっと待て、加賀観。それは昨日の話か?」
何のことかな?・・・・話を戻して、昼休みの事だ。俺は弁当なんて作らないからいつも学食にお世話になっている。安いしおいしいしな。んで、食堂にむかっていたんだ。そしたら、その時にカツラ木先生がいたんだ。先生は学校近くの畑で重機を動かしていたんだ。この学校の先生はアグレッシブな人が多いからな、その事については特に不思議には思わなかったんだ。いつもおとなしい感じの先生だからギャップはすごかったけどね。…ああ、カツラ木先生で思いだした。前に俺がカツラ木先生のカツラ盗んだ時に気づいたんだけど、どうもカツラ木先生のカツラは皮膚の部分を皮で作ってあったんだ。普通のカツラもそうなのかはわからないけど、とてもびっくりしたね。
「ねえ、カツラ木先生ってカツラだったの?」
「なんだ知らなかったのか、布枯?」
「結構有名な話だぞ。サボりたかったらカツラを奪えって。だから、この前の授業が自習になったのは加賀観が先生のカツラを取って隠したからなんだ。一部の男子が加賀観を崇めていたのはそう言う事だ。」
「ああ、あの理由が良く分からなかった自習はそれが原因か。……そう言う手があるなら、今度してみようかな。」
あの後に、高山や井戸田から飯を奢って貰ったからな、いい仕事をしたぜ。…んじゃあ、話を戻して、俺は食堂に向かったんだ。今日はカツカレーを食べるぞって。んで、食堂に入ったんだよ。そしたら、食堂の隅の方で何かパシャパシャ言わせてる集団があってよ。それで気になったから近づいたんだ。そしたら、保健室の葵先生がジャンボフジヤマパフェを食ってたっだ。あれ食ってる人初めて見たからってみんなカメラで撮ってたな。無理もないと思うけどな。あれ食ったら四日は飯いらないもの。
「あれ、ジャンボフジヤマパフェって裏メニューじゃ無かった?何か普通に皆知ってるも物みたいに聞こえるけれど。」
「いや、メニュー表載ってるぞ。デザート欄の外の所にちっこい文字で書かれている。」
「まあ、メニューにあっても誰も頼まないからな。一度、チャレンジャーがいたんだけど、その時の量がとんでも無くて皆引いてたんだ。だから生徒で頼む奴なんてめったにいないんだ。まあ、保健室の先生は割と頼んでいるって噂は有ったんだがな。」
「え、そうだったの?…意外だね。」
「何か、引っかかる言い方だな。他に誰か頼んでる人を見たのか?」
「ああ、親友が良く頼むんだ。ただ、頼んだ彼女がこのメニューって、裏メニューなのかなって言ってたからね。そうなのだと思っていたんだけど、そうかメニュー欄に一応有ったのか…。」
「布枯の親友…ああ、彼女か。そうだな、彼女なら食べれるか。」
「おいおい、二人で分かり合ってる所悪いが、俺は知らんぞ。」
「後で見ればわかるだろう。」
そう言う物なのか?…まあ、話を進めようか。葵先生のジャンボフジヤマパフェには驚いたが、無事に俺はカツカレーを買ったんだ。そしたら、前方に紅先生を見つけたんだ。先生は辺りをキョロキョロしながら何かを探している感じだった。その時、俺は何となく先生の視線に入らない様に動こうとしたんだ。嫌な感じがしたからな。でも、動き出すのが少し遅かったのか、先生は俺を見てニアリって笑ったんだ。チョー不気味にな。その時俺は気づいたんだ。先生の左手に持ってる物にね。布枯、紅先生の趣味って知ってるか?
「ん?……課題作成?」
「あの人いっぱい出すもんな、課題。」
「わからん事も無いけど今回は違うな。それは料理だ。」
「料理?あの紅先生がかい⁉」
「ああ、あの泣く子も黙る紅先生がな。意外だろ?」
「ああ、いや、先生も女性だし女性らしい趣味を持っていてもおかしい事は無いのだろうが。…駄目だ、今の先生では想像が付かない。」
「そんなに言うほどでもないとは思うが…。」
「いいや、あの先生だしな。今のイメージじゃ無理だな。多分、クラスの奴らに聞いても同じ感じの返答が返って来るだろうよ。」
「…ドンマイだな。」
んで、話を戻すぞ。紅先生は俺にこう言ったんだ。「これ食って感想聞かせろ」ってな、相手が紅先生じゃなかったらめちゃくちゃ嬉しい事だよな。女性の手料理を貰える訳だから。ん?手料理にそんなに魅力があるのかって?…あるだろう、それが好きな人ならもっとグッとだな。で、食べたんだ。物体Ⅹとは言わないが、不穏な雰囲気が料理から溢れてたのはホントだな。まあ、目の前で先生が仁王立ちしてたからってのもあたのかな。食った感想をすぐに貰いたかったのか、俺が食い終わるまで先生ずっと仁王立ちで待ってるんだぜ?何か威圧感やらを感じたから必死に食ったね。…ああ、料理は海鮮風スパゲティだと聞いた。
「海鮮風ねえ、味はどうだっただい?」
「……………塩の味がした。」
「料理の感想としてそれはどうなんだ?もっと、此処がこうでおいしかったとか、全体でこうなってとかないのか?」
「しかたないだろ、それしか感じなかったんだから。コメントのしようがない物にコメントを広がす材料は無いんだよ。」
「塩しか感じないって、どういう事なんだい?」
「・・・・麺が塩味なのはまだわかる、普通は麺単体の味って感じない気がするけど。貝から塩の味もまだわかる、塩蒸しとかあるからわかる。でも、合わせて食べたら結果、塩味はおかしくない?貝とかどこ行った?それに、飲み物が食塩水みたいだったんだけど。」
「色無、それ先生に言ったのかい?」
「当たり前だろ?これは塩ですねって言ってやったは。」
「それ言って、先生どう反応したんだ?」
「……塩分は大事だって言ってた。」
「……」
「……」
「…ふむ、やはり入れすぎだったか、3キロは。」
「当たり前ですよ、そのせいで食堂から塩が無くなりそうなんですよ。」
「む、それはごめんなさい。熱中症にならない様にと思っていたらドンドンと量が増えてしまってな。…ごめんなさい。」
「まあ、塩に関しては補充が間に合いますから良いんですがね。…はぁ、先生のその残念な感じが変わらないのは良かったのか悪かったのか、私には判断が付きませんよ。」
「これでも色々と頑張ってはいるんですよ。色々と…。」
「はいはい、それが空回りしない事を祈っています。」
先生方を紹介する話でした。