緋弾のアリア - 交わりし銀の銃弾   作:白崎くろね

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第9弾 神崎かなえ

 ――武偵殺しによるバスジャック事件。

 

 あの後、意識を失ったオレは近くの武偵病院に入院することになった。

 完全に防いだと思った銃弾だったが、実際は防ぎきれずに、逸れた銃弾が側頭部を圧迫したようだ。

 軽い外出血と拳銃に受けた弾丸の衝撃によって、頭を強打したオレは軽い脳震盪状態に。

 念のためにMRI検査をしてもらったが、特に異常ないとのこと。

 

 まったく、銃弾が掠ったくらいで……

 

 と、思わなくもないのだが……キンジやアリアがオレの状態を誇張して病院に伝えたのが原因らしい。

 あの二人も心配しすぎなんだよ。始業式の日にアリアの攻撃の方がずっと効いたくらいだ。

 

 

 最初もオレのお見舞いに来たのは、意外にもレキだった。

 いつも通りに何を考えているのかわからない表情で、これといって心配などしていないような態度で、

 

「……見舞いの品です」

 

 と、だけ言い残して帰っていった。

 お見舞いの品は『青森県産のブレンドジュース(12本入り)』。

 ……うーん、最高に謎だ。でも有難く飲ませてもらおう。

 

 で、次にやってきたのは……これまた意外なことに理子。

 いつもの何倍も派手な改造制服を身に着けた状態で、陽気な態度でふらりと現れた。

 ……なんだろう。可愛い服装でオレを元気付けようってことか?

 

『りこりんはカーくんのこと心配したんだゾー!』

 

 とのこと。

 ……あ、いや。それを疑ってたわけではないんだけどね。

 なんか、こう……理子がわざわざお見舞いに来たのが意外だっただけなんだよね。

 お見舞いの品は『18禁ゲーム(エロゲー)の福袋』。

 どうやって買ったのかも気になるけど、これをオレに渡してどうしろと!?

 何の福袋かわからないからビリビリに裂いて開けちまったじゃねーか!

 

 しかも……『これで元気になるんだよ~♪』とか言われても!

 まったく、困ったヤツすぎる。こっそりキンジの部屋に並べておこうかな……白雪がいるタイミングとかを狙って。

 

 その他にも色々と見舞い客が来て……

 入院中は全然退屈しなかった。

 ……てか来すぎじゃないですかね? オレ、武偵高ではよくある銃撃戦に巻き込まれたのと同意義な怪我ですよ?

 逆に申し訳なくなってくるだろうが。

 

「……で、扉の前に立ってるのはアリアか?」

 

 オレが声を掛けると、アリアと思われる人物はびくっ! と身体を震わせた気配がした。

 気付かれたアリアが扉を開け、ずかずかと病室に入ってくる。

 

「――お見舞いよ」

「……おう。まさかアリアが来てくれるとは」

「なによ。あたしがお見舞いに来たらおかしいわけ?」

「そういうつもりでは……」

 

 なくもないですけどぉ……

 言うとキレそうだから黙っておく。

 

「……お礼」

「……?」

「お礼は言っておくわ」

「……おう、サンキュー」

「事件は解決して、あんたとの契約もこれで終了。悪かったわね、巻き込んで」

「……解決? 武偵殺しは捕まったのか」

「いいえ、まだよ」

 

 ……?

 アリアは何を言っているんだ……?

 武偵殺しは掴まってないって言うのに事件は解決したって……

 

「捕まってないって言うなら……事件は未解決ってことじゃないのか? つまり、オレたちの契約は続行中だろ」

「…………そう、かもしれないわね。でも大丈夫よ。一回目の事件は終了し、あんたは戦って武偵殺しを退けた……それで終了よ」

「お前、まさかとは思うが……オレが怪我したのを気にしてるのか?」

 

 オレがそう言うと、話は終わりだとでも言うように病室を出ていこうとする。

 それをオレはベッドから飛び出し、アリアを引き止める。

 

「お、おい……! 待てよ……!」

「なによ。あたしとのパーティーに未練があるっての?」

「……そうだ」

 

 ……本当は未練なんてない。

 パーティーが解消されて、アリアから開放される――実に結構な話だと思う。

 だが、オレは何故か……この場でアリアを引き止めないといけないようだ気がしたのだ。

 

「……あんたがそんなことを言うなんて思ってもみなかったわ」

「そうか? オレは別に1回限りなんて約束はしてなかったぞ」

「……そうね。そうだったわね」

「じゃあ――」

 

 オレが『じゃあまだ付き合うぞ』、と言おうとして……

 

「――あんたたちは、実力不足の武偵だわ。あたしのパーティーにはいらない役立たず。そう、言ったのよ」

「……なっ」

 

 …………なん、だと?

 

「お前、それをキンジにも言ったのか……?」

「それがなに?」

「なにか……? ってお前なあ! 勝手に期待して巻き込んでおいて『役立たず』だって!? ふざけるなよ!」

「事実を言ってなにが悪いのよ! 元Sランク武偵だって期待してみれば、禄に自衛もできない武偵だったんだからね! そんな武偵とは組めるわけないでしょ? あたしには時間がないのよ!」

「クソ! お前が勝手に期待したんだぞ……! 昔はSでもオレは諜報科のBランクでキンジは探偵科のEランクだ! そんなオレたちを強引に巻き込んでおいて、そんな言い方ないだろ!」

「なによ! お金でも出して謝ればいいっていうの!?」

「そうはいってないだろ! オレは、ただ……武偵を辞めるとまで言ってるキンジを裏切ったのに怒ってるんだよ!」

 

 ……ああ、オレは何を怒ってるんだ?

 別に、いいじゃないか。オレたちが役立たずだって言われるくらい。 

 それに最初から『役立たず』の烙印をアリアに押させようとしたんじゃないか。

 ……それを、裏切られたみたいに怒るのは筋違いってもんじゃないのか……?

 

「………武偵を辞める理由なんて、あたしが急ぐ理由に比べたら……どうでもいいことに決まってるじゃない!」

 

 ああ、決定的なセリフを聞いてしまった。

 オレが、キンジなら――すぐにでもキレてしまいそうな言葉を……

 

「なあ、キンジにも言ったんだよな? だったら、そのセリフだけは謝ってやれ。あいつが武偵を辞める理由を否定するのはやめてやれ」

 

 ――浦賀沖海難事故。

 日本船籍のクルージング船・アンベリール号が沈没し、乗客の1名が行方不明となった。

 行方不明――いや、死亡したのはキンジの兄だった。

 彼はオレでも知っているような有名な武偵で、いつも力弱き人々のために戦い、まるで正義の味方のような人。

 

 ――キンジの話によれば、兄さんは乗員・乗客を避難させ、そのせいで避難が遅れてしまったそうだ。

 だが、乗客からの避難を恐れたクルージング・イベント会社が、それに焚き付けられた一部の乗客たちが、激しく兄さんを非難したらしい。

 その言葉を、今でもオレは覚えている。

 

 ――『船に乗り合わせていながら、事故を未然に防ぐことのできない無能武偵』

 

 そんな話を聞いてから、オレは『無能』に順ずる言葉が嫌いなった。

 

「…………」

「…………」

 

 その日、オレとアリアは喧嘩のような形で別れたのだった。

 

 後になって考えれば、アリアは危険な事件にオレたちを巻き込まないように……あえて、あのような言い方をしたんじゃないかって。

 

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

 

 ――日曜の昼、退院手続きを済ませた。

 特に用事はなく、暇だったので街を適当にぶらつくことに。

 

 オレが身を守るために犠牲になった武器は、破損してしまったようで……今は手元には武器がない状態だ。

 常に携帯している銃がなくなっただけなのだが、これがまた非常に落ち着かない。

 財布などを失くしてしまった時のような感覚だろうか? 

 これなら不知火か武藤辺りに代わりになるような小型拳銃(ピストル)を貸してもらうんだったぜ……

 

 あー、そういえば制服にも穴が開いたんだったな。

 これも直しておくか……予備の制服はあるが、出来る時にやっておかないと忘れてしまうからな。

 ……ってことはユニクロにも行かないとダメか。退院したばっかなのにやることばっかだな、おい。

 

 制服を専用の店に預け、ユニクロで適当に私服を購入。

 オシャレの欠片もないセットの服だが、穴の開いたワイシャツよりはマシだろう。

 

「……キンジ?」

 

 腹が減ってきたし、適当に店を探そうとした時……

 美容院の近くで怪しい人影を発見。

 探偵科所属のクセにオレよりもダメダメな尾行形態(ストーキング・モード)で、電柱の影に隠れている。

 誰にも気付かれてないって思ってるんだろうか?

 

 オレは抜き足(スニーキング)でキンジの後ろにそっと近付いていき、無防備な背中に手を置く。

 

「おい、何してんだよ真っ昼間から」

「うおっ!?」

 

 身体を垂直に跳ねさせ、驚きを露わにする。

 こっちが逆に驚くんですがね……

 

「か、カイトかよ……脅かすな」

「脅かすなってお前な……それで隠れてるつもりなのかよ」

「そのつもりだが……なんかまずかったか?」

「……正直に言うけどな、一般人にも変な目で見られてるぞ」

 

 …………オレの発言に、キンジが「冗談言うなよ」って顔で周囲を見渡すが……

 そこにはキンジを怪訝そうな顔で人しかいなかった。

 

「……まじかよ」

 

 そんなキンジの絶望顔にオレは軽く笑ってしまう。

 

「で……誰かをストーキングしてるんだろ?」

「す、ストーキングじゃないっ」

「どうでもいいが、追わないと見失うぞ」

「だから違うからな!」

 

 モノレールで新橋に出て、そこからJRで神田を経由して……

 新宿で降りた。

 

「なあ、お前が追いかけてるのって……」

「……静かにしてくれ、バレる」

 

(……たぶん、もう既にバレてると思うけどなあ)

 

 途中で気付いたが、キンジが尾行している相手はアリアだ。

 白地に薄っすらとピンクの柄が入った清楚なワンピース姿のアリア。

 あまり好みのタイプではないアリアだが、そんなオレでも感嘆のため息が出るほどに綺麗だ。

 身だしなみから考えて、これからデートにでも行くのだろう。

 Sランク武偵にしては少し不自然な衣装だし。

 

 アリアは西口から高層ビル街の方へ。

 

 それにしても、どこに行くって言うんだ……?

 デートにしてはさすがに不自然なルートだ。

 いや、これから合流か? それにしては遠いな。

 デートってのはある程度の場所を決めて、そこに合流するものだろ……?

 

「……新宿警察署」

「……新宿警察署だな」

 

 ……うーん、謎だ。

 レキの表情並に謎だ。

 

()()な尾行。シッポしか見えてないわよ」

 

 まあ、バレてるよなあ……

 

「あ……その。お前、前に言ってただろ『質問せず、武偵なら調べなさい』って」

 

 見つかったからか、若干投げやり気味にキンジが言う。

 

「まあ、オレだけだったらバレなかったかもしれんが」

「お、俺のせいかよ」

「お前以外に誰がいるんだよ……」

「そうね。キンジの尾行は特に酷かったわ」

「……けっ」

 

 キンジがやさぐれてしまった。

 言い過ぎたよ、許してくれ。

 

「ていうか、気付いてたんなら言えよ」

「迷ってたのよ。言おうかどうかを。あんたたちも『武偵殺し』の被害者だから」

「「……?」」

「まあ、もう着いちゃったし。どうせ追い返してもついてくるんでしょ」

 

 ……まあ、ここまで来たら気になるしな。

 

「ついてきなさい」

 

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

 

 アリアに案内され、オレたちは留置人面会室へと連れていかれた。

 2人の管理官に見張られながら、アクリルの板越しに綺麗な美人が現れた。

 その人に見覚えがあるのか、キンジが驚いている。

 

「……誰だ? このめっちゃ美人な人は」

 

 正直に言えば、結構好みの女性だ。

 柔らかな長い髪に、オニキスのような瞳。アリアのように白磁で綺麗な肌。

 アリアのようなちんちくりんよりも、オレはこういう女性の方がいい。

 まさに女性として既に完成した存在って感じだな……

 

 オレが勝手に見惚れていると、その女性は照れたようにうっとりと顔に手を当てる。

 

「あらやだ、私のことを美人だなんて……この方、彼氏さん?」

「ちっ、違うわよママ。こ、こら! あんたもママを口説こうとしないの!」

 

 ………………

 

「――――えっ」

 

 この人が、アリアの、お母さん……?

 ……えっ。マジで? まったく似てないよ?

 

「またまたご冗談を。アリアも冗談は……」

「も、もう。照れるわねぇ……」

「だ ま り な さ い よ !」

「あ、はい……」

 

 どうやら、本当に母親らしい。

 まじかよ。こんなに若い母親が存在していいのかよ。

 と、とりあえず……落ち着こう。

 

「じゃあ、この方たちは大切なお友達かしら? へぇー。アリアもボーイフレンドを作る年頃になったのねぇ。友達を作るのさえヘタだった子がねぇ。ふふ、うふふ」

「違うの。コイツは黒崎カイト。後ろのは遠山キンジ。武偵高の生徒で――そういうのじゃないわ絶対に」

 

 優しげに目を細めるアリアのお母さんに、アリアはスパっと言い切る。

 まあ、そういう仲ではないな。友達なのかすら怪しいまである。

 

「……カイトさん。キンジさん、初めまして。わたし、アリアの母親で――神崎かなえと申します。娘が大変お世話になってるみたいですね」

「あ、いえ……」

「そ、そうですね……」

 

 美人な人に声を掛けられて、ネクラなオレたちは言葉をまごまごとさせる。

 そんなオレたちに、アリアがイラっとしたように青筋を立てる。

 ……おい、お母さんを見習ってもう少しはお淑やかになってくれ。仮にもイギリスの淑女ならな!

 

「ママ。面会時間差し迫ってるから手短に話すけど……このバカ二人は『武偵殺し』の被害者なの。先週、登校途中で自転車に爆弾を仕掛けられたの」

「……まあ……それはそれは」

 

 かなえさんが表情を固くさせる。

 

「さらにもう1件。一昨日はバスジャックが起きてる。ヤツの活動は、急激に活発になってきてるのよ。もうすぐシッポを出すはずよ。だからあたし、狙い通りに『武偵殺し』を逮捕する。ヤツの件だけでも無実を証明すれば、ママの懲役の864年が742年まで減刑されるわ。最高裁までの間に、絶対に、全部なんとかするから」

 

 アリアの口から明かされる事実に、オレは驚きを隠しきれない。

 

「そして、ママをスケープゴートにした連中――イ・ウーのヤツらを全員ここにぶち込んでやるわ」

「アリア。気持ちは嬉しいけど、イ・ウーに挑むにはまだ早いわ――『パートナー』は、見つかったの?」

「それは……どうしても見つからないの。誰も、あたしには、ついてこれなくて……」

「ダメよアリア。あなたの才能は遺伝性のもの。でも。あなたには一族の良くない一面――プライドが高くて子供っぽい、その正確も遺伝してしまっているのよ。そのままでは、あなたは自分の能力を半分も発揮できないわ。

 あなたには、あなたを理解し、あなたと世間を繋ぐ橋渡しになれるようなパートナーが必要なの。適切なパートナーは、あなたの能力を何倍にも引き延ばしてくれる――曾お爺さまにも、お祖母様にも優秀なパートナーがいらっしゃったでしょう?」

 

「……それは、ロンドンで耳にタコができるほど聞かされたわよ。いつまでもパートナーが作れないから、欠陥品とまで呼ばれて……でも」

「人生はゆっくりと歩みなさい。早く走る子は、転ぶものよ」

 

 かなえさんはそう言うと、優しそうな表情で瞼をゆっくりとまばたかせた。

 

「神崎。時間だ」

 

 今まで黙っていた管理官が、時間を確認しながら告げる。

 

「ママ、待ってて。絶対に公判までに真犯人を捕まえるから」

「焦ってはダメよアリア。わたしはあなたが心配なの。一人では突っ走ってはダメよ」

「やだやだ! あたしはすぐにでもママを助けたいの」

 

 それはアリアの心の底からの叫びであり、本心偽りのない言葉。

 

 ――そうか。アリアは、これを抱えていたから焦っていたのか。

 

「アリア。わたしの最高裁は、弁護士先生が一生懸命引き延ばしてくれてるわ。だからあなたが落ち着いて、まずはパートナーを見つけなさい」

 

 あくまでも冷静に、かなえさんはアリアに告げる。

 

「やだやだやだ!」

「アリア……」

 

 そんなアリアをなだめようとして、身を乗り出したかなえさんを管理官たちは羽交い締めにするようにして引っ張り戻す。

 ……見てられないな。

 

「やめろッ! ママに乱暴するな……!」

「アリア……落ち着こう。いま、暴れる利点はない」

 

 まるで怒る犬のように犬歯を抜き出しにして、その赤紫色(カメリア)の瞳を激昂させて飛びかかった。

 そんなアリアの肩にこわれものにでも触れるような力で手を置く。

 ……気持ちは痛いほどわかる。わかるが、今は落ち着かないとマズい。

 それでも落ち着かないアリアを無視して、かなえさんを部屋から引きずられるようにして運ばれていった。

 

 ――面会室の奥の扉が閉ざされ、アリアのすすり泣くような声だけが虚しく部屋の中に響いていた。

 

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

 

「訴えてやる……あんな……扱いをして……」

 

 そんな風な独り言を呟くアリアとキンジを曇り空の新宿駅へと見送ったあと……

 オレは、一人で街を歩いていた。

 

(……武偵、殺しか……)

 

 情報として把握はしていたが、裏方専門のオレには縁遠い存在だと思っていた。

 だが、そいつはオレの一歩先にいる。

 最初はチャリジャック。次にバスジャック。

 今までの事件から考えて、次のジャックは更に大きい乗り物になる可能性が高い……

 

(バスよりも大きい乗り物……飛行船、飛行機、フェリー)

 

 ――仮に次の乗り物を予想できたところで、こちらから先手を打つのは難しい。

 これまで何件も事件を起こしてきているのに、武偵殺しの影すら踏めていないのだ。

 せめて、何か、手掛かりになるようなものがあれば……

 

 オレは諜報科(レザド)が運営する裏サイト――所謂、諜報サイトにアクセス。

 このページには諜報科(レザド)の生徒たちが収集した膨大なデータを閲覧することができる。

 その中から、オレは武偵に関連する事件や未解決の可能性事件の記録を探っていく……

 

 そして、一つの新聞記事に辿り着いた。

 

 ――2008年12月24日(水曜日) 浦賀沖海難事故 死亡 遠山金一武偵(19)

 

 キンジの兄さんが死んだのは、乗客を避難させるためなんかじゃなかった。

 武偵殺しの起こした事件――シージャックによって殺されたんだ!

 

「…………ん?」

 

 オレが携帯を見ていると、差出人不明の文字化けしたアドレスからメールが届いた。

 

『ANA600便・ボーイング737-350、ロンドン・ヒースロー空港行き』

 

 という内容のメールには、アリアの写真が添付されていた……

 

「まさかとは思うが……武偵殺しからのメールか?」

 

 オレにメールを送ってきた理由も不明だし、この情報の真偽は定かじゃない。

 ……が、これはオレに対する挑戦なのだろう。

 お前のことを見ているぞ、と……

 

「いいぜ……その挑戦、受けてやるよ」

 

 メモ帳に内容をメモし、届いたメールを破棄してからSIMカードを抜き取っておく。

 

(どういう手段で監視されてるのか、わかったもんじゃないからな)

 

 雨が今にも振りそうな分厚い雲を見上げながら、オレはその場を後にした。

 

 

 

 




 ……思ってたよりも、弾9弾の文字数が多くなってしまった。
 前回のバスジャックよりも多いっていうね。

 今回、カイトの好みが発覚しましたね。
 それは大人の女性です。とはいえ、前回でも発覚したように必ずしも「大人の女性」でなければダメってことではなく、それ以外でも興奮自体はするようですけどね。

 んで、最後のシーンですが……諜報科(レザド)っぽさを演出しようと思ったのですが、あんまり表現できてないですね。

 さて、最後にメールを送ってきたのは……誰でしょうねぇ?


 レキが持ってきたお見舞い品ですが、原作では白百合(カサブランカ)はお見舞い品に不適切……って聞いたので、違うものにしました
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