緋弾のアリア - 交わりし銀の銃弾   作:白崎くろね

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今回でEpisodeⅠは終了です。

次回からEpisodeⅡが始まります。




第12弾 空から女の子が

 ――結論から言えば、オレは病室で目を覚ました。

 

 先週も病院に入院し、今週も病院に入院することになるとは……

 さすがに予想外だ。そのうち、オレは毎週のように入院するハメになるんじゃないだろうな?

 勘弁してくれよ。頼むぜ、神様。

 

 などと、神様に願いながら……空き地島に不時着したらしいB737-350を眺めていた。

 あの後、飛行機にミサイルが命中したため、墜落していったらしい。

 本来なら機長と副操縦士が事態に対応するのだが、理子の手によって眠らされていたとか。

 なので、キンジとアリアで無事に不時着させるしかない。

 燃料漏れ、防衛省の介入、空き地島全体を利用した滑走路、車輌科(ロジ)装備科(アムド)の協力……

 様々なことがあり、それでもキンジたちは前代未聞の不時着を成功させたらしい。

 

 勝手に離脱してしまったので、手助けできなかった罪悪感があるが……

 まあ、それはそれとして。

 

 オレがここまで来たのはハイジャック事件の感傷に浸るためだけではない。

 

「――カイト」

 

 折れたプロペラ――その側に。

 

「――理子」

 

 事件の黒幕――峰・理子・リュパン4世が立っていた。

 武偵としては逮捕しなければならない立場なのだろうが、今のオレにその気はない。

 

「キレイな星空だな。まさに事件の後って感じの天気で気分がいいよ」

「……そうだね。カーくんとこうして星空を眺めることになるとはねぇ」

「不満なのか? やっぱり、キンジの方がよかったか」

 

 オルメス――ホームズが真なる実力を発揮するには、優秀なパートナーが必要。

 そのパートナーはオレではなく、キンジの方だ。

 別に不満もなければ、オレがパートナーになりたいとも思わない。

 だが、理子にとってはアリアとキンジのコンビは宿願を叶えるために必要な舞台装置なのだ。

 

 理子が理子であるために、必要なライバル――。

 

「ううん、別に不満じゃないよ」

 

 その言葉にウソは見えなかった。

 

「ねえ……」

「なんだ?」

「どうして、あの時……理子のことを追って、飛び出してきたの?」

 

 ……って言われてもなあ。

 そんなの。

 そんなの決まってるだろうが。

 

「――お前が、理子が、オレの友達だからに決まってんだろ」

「……そっかぁ」

 

 たとえ、こいつが武偵殺しだとしても……

 理子はオレの大事な友達だからな。

 そりゃあ、助けるだろ。

 

 少しだけ熱くなってきた頬を掻きながら、後ろを向く。

 

「……それに、お前はまだ禁忌(タブー)は犯してないだろ」

 

 オレは確信を持って言う。

 キンジの兄さんは武偵殺しにシージャックで殺されたらしいが……

 あれはウソだろう。間違いなく。

 

 オレが理子のことを信じている、ってのもあるにはあるが……

 別の理由として、イ・ウーと呼ばれる謎の秘密組織がある。

 理子がオレたちを勧誘したところを見れば、キンジの兄さんはイ・ウーに入ったのだろう。

 だから、表の世界から消える必要があった。それこそ、1度殺されたということにして……

 

「……うん。理子りんはまだ殺人処女なのです」

「わざと際どい言い方をすんな」

「てへっ」

 

 まったく……理子はこんな時でも変わらないよ。

 それが妙に心地良い。

 

「で、しばらくは姿を消すつもりなんだろ?」

「カーくんにはそこまでわかっちゃうんだね。そうだよ」

「……どうせ、お前のことだからすぐに戻ってくるだろ」

「どーだろうねー。カーくんに会いたくなくて戻ってこないかもー?」

「…………そうか」

 

 冗談めかして言う理子に、オレは少し傷付いたような表情を浮かべ……

 

「でも、あれだ。何か困ったら頼ってくれてもいいんだぞ」

 

 女々しくもそんな言葉を口にしてしまう。

 

「……ばいばい」

 

 そう言って、理子は音もなく消えていった。

 

「……また、な」

 

 オレは誰もいなくなった後、誰に言うでもなく小さくつぶやいた。

 きっと、いつかちゃっかり武偵高に表すだろうことを期待して……

 

 オレも、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 ◆  ◆  ◆

 

 

 

 

 先週は色々とあって、今週も入院してたから久しぶりの我が家。

 

「ただいまー、帰ったぞー」

 

 特にチャイムを押すこともせずに、勝手知ったる部屋の中に足を踏み入れる。

 ああ、帰ってきたって感覚で一気に疲れが押し寄せてきた。

 今日はゆっくり寝よう。誰にも邪魔をされずに……泥のように――

 

「――は?」

 

 そこには、オレの知っている光景はなかった。

 部屋の至るところに弾痕やら斬撃の痕が。

 ほとんどの家具がぶっ壊されていて、破片やら綿やらが床に無残にも散らばっている。

 

 その中心にいるのは――オルメスことホームズのアリア。

 そして、もう一人は――大和撫子を地で行く星伽白雪。

 

 お互いの髪は乱れに乱れており、台風の中を過ごしたかのような有様。

 

 これは、もう、明らかだろう。

 この惨状を引き起こしたのは――こいつらだ。

 

 あ、これモードとは違うトリガーが引かれてる気がするぞ。

 

「お前ら……」

「なによ……! いま、忙しいんだから後にしなさいよ!」

「ご、ごめんね……黒崎くん、今……このアリアを仕留めるのに忙しいの」

 

 ……もう、ね。これは何というか。

 モードにもなっていないのに、オレの中で沸き立つ不思議な感覚。

 そう、これは――

 

「お前らああああああ! ふっざけんなよおおおお! 人の部屋で何を暴れてんだよ! いい加減にしやがれッ!」

 

 ジャキッ、ジャキッ――!

 

 オレはホルスターからガバメントのカスタムガンであるストライクガンを取り出し、容赦なくぶっ放した。

 

「いいか!! ここは! オレとキンジの家なんだよッ! それを……それを……テメェらはぶっ壊しやがって!」

 

 武偵殺しの件を解決させたと思ったら、すぐにこれだ。

 

「べ ん し ょ う し ろ !」

 

 ……ああ、聞いてくれ理子。

 オレの敵は武偵殺しじゃなくて、もっと身近な場所にいたよ……

 

 どうやら、オレは完全に非日常へと足を踏み入れてしまったらしい。

 




さて、ここで残念なお知らせです。
次回からしばらくは理子の出番がありません……!
いや、何というか……仕方ないんだよぉ!

EpisodeⅡからは銀氷の魔女(ジャンヌ・ダルク)がメインになるのかな?
あとはレキかな……?

というわけで、理子の出番はEpisodeⅢまで待っててね?

ああ、私の活動報告で緋弾のアリアのアンケート的なのをやってます。
よかったら、そちらもどうぞです。
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