運命に抗う鎮守府   作:Corekan Saikoo

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ホントなら3話にするはずだったのですが色々あって4話目にしました。

題名よりお察しかと思います。本家をプレイしている提督の方は必ずお迎えするあの人が着任します。

例に漏れず彼女もなかなかぶっ飛んでおります(笑)


一航戦

ブウゥゥゥゥン……

九州は鹿屋にある、日本海軍の新設前進基地・鹿屋基地。

ここに、本日新たな艦娘が着任した。

 

 

「航空母艦・赤城です。機動部隊は私にお任せ下さい。」

 

「この鹿屋基地で提督をしている、吉田だ。こちらこそよろしく、赤城。」

 

「私は、この基地で主に事務方を取り仕切っています、大淀です。これからよろしくお願いしますね、赤城さん。」

 

「げっ…なぜ、『勘定の大淀』がここに…」

 

「ふふっ、またお会いしましたね。」

 

大淀はにこやかな笑顔、一方赤城は口元をひきつらせている。

 

「あれ?二人共知り合い?」

 

二人の空気においてけぼりの提督がそう二人に問う。

 

「ええ、赤城さんとは横須賀鎮守府時代からの戦友ですので。」

 

「…その節はどうも……」

 

何かただならない感じもするが、それよりも提督は気になることがあった。

 

「………てか、大淀君さぁ、」

 

「.はい?何でしょうか?」

 

「君、横須賀出身だったの?提督初耳なんだが…」

 

「あれ?聞かされていなかったのですか?横須賀の新しい提督のあまりにも無謀な予算決済に抗議したら即刻クビになっちゃったって、私、言いませんでしたっけ?」

 

「て、提督と喧嘩しちゃったんですか…」

 

「そりゃそうですよ!だってアイツ(横須賀提督)ったら…」

 

この後新任の赤城をほっぽり出して約2時間に及ぶ大淀の愚痴が続いた。

 

「提督…」

 

「?」

 

「この基地、まさか大淀さんだけとかじゃないですよね…?」

 

「いや、大淀以外だと駆逐艦の不知火と戦艦の榛名、工廠で篭ってる明石だな。たぶん明石は今日も工廠だろうし、2人ももうちょっとしたら帰ってくると思う。」

 

「そうですか」

 

しばしの沈黙。

 

「……えーっと、赤城君?」

 

「……は、はい、何でしょう提督」

 

大淀の2時間に及ぶ怒涛の愚痴大会が終わり、それでは事務の仕事に戻ります、と言って颯爽と執務室を出ていった大淀を見送った2人は、疲れきった頭をフル回転させて話を再開した。

 

「ここに着任した理由、聞いていいかな?」

 

「…私がついこの間まで全国津々浦々の基地を転々としていたのはもうご存知ですよね?」

 

「ああ、聞いている。確か、教練が目的だったとか?」

 

「ええ、確かにそれも目的の一つでした。しかし本当の目的はそれではありません。」

 

「?それはどういう?」

 

「慢心の根絶です。」

 

「根絶?だが今この国にいる空母の艦娘は基本的に練度は高いと思うんだけど」

 

「提督は、ココ最近になって空母の艦娘が積む艦載機で新たな機体が続々と見つかっているのはご存知ですか?」

 

「うん、風の噂で聞いたことがあるな。今まで使ってきたそれとは段違いらしいな」

 

「確かに新型艦載機が見つかれば戦力の底上げになります。しかし…」

 

「しかし?」

 

「…艦載機の性能を過信し、己の鍛錬を疎かにした結果、私達は先の大戦で敗北した。その事を頭ではわかっていてもそれが自分の上に降り掛かってくるとはほとんどの娘が思っていないでしょう。私は、それが『慢心』であると今までにたくさんの艦娘に伝えてきました。ですが…」

 

「伝わらなかった…と。」

 

「私がそう話して1週間か2週間は実践してくれるのですが、次第に新型艦載機の方へ気がなびいて言ってしまう子が殆どでした…」

 

「そうか…」

 

「ですから、私はこの基地にいずれやってくる空母艦娘たちにだけは、伝えていきたいと思ったのです。」

 

「なるほど。赤城君の決意はよく分かった。これからこの基地で共に頑張っていこう。」

 

「!!はい、よろしくお願い致します!提督!」

 

「.お、おう。」

 

「……あーかーぎさーん」

 

「げっ…大淀さん…」

 

そこには再び執務室に召喚された大淀がいた。

 

「この基地のために張り切ってくださるのは結構ですが、あなたが全力出すとこの基地なんて軽く吹っ飛んじゃうので、加減、『くれぐれも』よろしくお願いしますね?」

 

「ハイ、ワカリマシタ…」

 

「あ、提督?この赤城(ひと)、1度全力出撃して横須賀鎮守府のボーキを6桁から1桁まで減らすという偉業を成し遂げた艦娘ですので作戦会議にはぜひ私もお呼びください『ね』」

 

「ア、ハイワカリマシタ」

 

大淀の最後の『ね』には有無を言わさないという気迫がこもっていた。

 

 

「赤城君、何したの?」

 

「さ、さぁ?何のことでしょう…?」

 

「…とぼけるの下手だな。」

 

「…提督、口調変わりましたね?」

 

「?ああ、もういちいち敬語とか堅苦しくてな、こんな感じでもいいか?」

 

「私はかまわないですよ?」

 

「で、装備は?」

 

「あー…今演習してます。」

 

「えっ…?装備だよね…?」

 

「あー、正しくは装備の中の妖精さんが演習中なんです。」

 

「自由にさせてるのか?」

 

「はい。みんな熟練なので、私か言わなくても常に鍛錬してくれているので」

 

「優秀なんだな。じゃあ装備は後で、ということで。基地内案内するよ。」

 

「そんな、提督自身が案内なんて…」

 

「いや、俺もちょっと外歩きてぇんだ」

 

「…では、お言葉に甘えて。」

 

「じゃ、行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城が提督と鎮守府内を回っていた頃、丘で話していた榛名と不知火は基地に戻ってきていた。

 

 

ブウゥゥゥゥン……

 

「……」

 

「……」

 

「……榛名さん?」

 

「な、なんだよ…」

 

「この基地に空母の艦娘いましたっけ?」

 

「……大淀さんは一応飛ばせるらしいけど、ありゃどう見ても『艦載機』だよな…」

 

そう、例の丘から戻ってきたふたりが目にしたのはレシプロ機でしかも初期の初期である機体、「九六式艦戦」「九七式艦」「九九式艦爆」が旧式とは思えないほどの飛行訓練をしていたのである。

 

「これ、全部旧式ですよね?」

 

「ええ、そうですよ。」

 

ふたりが振り向くと、そこには弓道を彷彿とさせる黒の胸当てに赤の袴、タスキを身につけた航空母艦・赤城がいた。

 

「つい先程、この鹿屋基地に着任しました、航空母艦の赤城です。よろしくお願いしますね。旧式を使っているのは、私自身への『戒め』何です。それに私は艦娘となってから1機も喪失させないようにしてきました。なので今ではあの妖精さんたちはかなりの熟練パイロットですので、彼らに任せているんです。」

 

赤城はそういい榛名に握手を求める。二人は一瞬ポカンとしていたが、

 

「おぅ、アタシは戦艦・榛名だ。よろしくな」

 

榛名はそう答え、赤城の握手に答える。

 

「陽炎型駆逐艦二番艦・不知火です。今後ともよろしくお願いします。」

 

不知火も丁寧に挨拶を済ませる。すると赤城はまじまじと榛名を見つめる。

 

「なるほど、あなたが金剛の言っていた…」

 

「?金剛?もしかして横須賀の?」

 

「ええ、私は元横須賀鎮守府の所属ですので。金剛とは着任時からの戦友です。」

 

「あーそういう事かぁ。あれ?でもアタシが横須賀に来た時赤城さん居たっけ?」

 

「さん、は余計ですよ。そうですね、榛名さんが横須賀に来るちょうど一年くらい前に私は教導の任務で全国を回っておりましたので。でも、金剛や昔の仲間から届く電報にあなたのことも書かれていたので。1度会ってみたいと思っていたんです。」

 

「…」

 

 

「横須賀」のことをいわれ、榛名は少しいやな顔をする。

 

 

「へっ…どうだい?本人にあった感想は?」

 

「え?すごくキレイな眼差しをしていると思いましたよ?電報の中にはあなたの事がどうしても認めることが出来ないという事を言っていた子もいましたけど…」

 

「フッ、面白いこと言うね。」

 

「ええ、本当に綺麗な目をしていますね。吹雪さんが言っていたこともわかります。」

 

突然赤城の口から「.吹雪」の名が出たことで榛名は少々動揺する。

 

「吹雪って…」

 

「えぇ、あなたもご存知の『あの』吹雪です。ふふっ、彼女の電報、ほとんどあなたの事でしたよ。あなたの事がよほど気になってたみたいですね。『はぐれ』のことも含めて。」

 

「?!………吹雪……」

 

「…私がここに来る二日くらい前に吹雪さんから連絡があったんです。」

 

「………なんて?」

 

「『私の代わりに、榛名さんを支えてあげてください!』と。」

 

「吹雪…………どうして、怒ってないんだよ…」

 

「?彼女は今も海に出ていますよ?たまにですがね。」

 

「えっ?!」

 

今度は不知火が驚く。

 

「『速力』も『魚雷』も失った駆逐艦が、海に出れるはずが…」

 

「不知火さん、彼女もあなたと同じですよ。自分のできることを、死に物狂いで見つけ出そうとしているんです。その一つが、」

 

「砲雷撃と戦闘術の融合」

 

「吹雪さんは雷撃はできませんので、砲撃と近接戦闘ですね。その通りです。それに速力がなくなっても彼女は歴戦の艦娘。普段は治部の戦闘スタイルの研究をするかたわら、提督の護衛任務にもついていますよ。」

 

「そっか。吹雪はちゃんと前向いてんだな…」

 

「ええ。あの娘は、あなたの事を恨んでなどいませんし、それは私も同じです。ですから、自分で自分を責めないで。それは、あなたのことを信じている人たちを悲しませてしまうから。」

 

「フッ………おかしいな、目が霞んでやがる…」

 

「榛名さん…」

 

しかし、榛名はすぐに袖で拭う。

 

「ああ。やってやる。もう、後ろは向かねぇ!ありがとな、赤城。これから宜しくな!」

 

「ええ、こちらこそ。」

 

そう言ってふたりはさっきよりもしっかりとした握手を交わす。不知火は、この時の榛名の顔を見て、もうこの人は迷うことは無い、と確信したという。

 

 

 

 

 

 

 

 

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