夜も深まった、PM 11:00。
俺達は駒王町から二駅ほど離れた街の廃棄された山間のホテルにいた。
「確認。A級相当、人数6。増えてる。」
「ユウキが言うなら間違いないか。」
俺達が最初にこの場所を選んだ理由。
人間も悪魔も。徒党を組めば気が大きくなる。
暴発する可能性が一番高いのがここだった。
「魔力遮断、衝撃遮断、音響遮断。三重結界出来たぞ。」
これで足は付かない。
「魔力の使用は解析されれば足が付くなぁ。」
「先頭はボクが行く。ここがボクの本領。」
「ユウキがいれば一人でも十分だがな。」
俺達眷属の中でこと戦闘に関しては一番弱い。正面からならば…。
「一階、見張り一人。三回にもう一人。五階、最上階に四人。」
「二人はユウキがしろ。始末し次第、三人でいっきに叩くぞ。」
ベスパーの作戦に俺もユウキも同意する。
「報告はきっちりしろよ。」
そういって、ベスパーは俺達二人に通信用の端末を渡す。
「うん、じゃぁ。」
そう言うと、目の前にいたはずのユウキの気配が消える。
「相変わらずヤバイな。」
「ウチで一番異質かつ異常なのがユウキだからね。」
「本来の仙術の領分を軽く越えてるぞ。」
俺達眷属におけるユウキの役割は探索と斥候。それと暗殺。
一応猫又であるのだが、出会ったときはまだ唯の捨て猫だった。
「あれで猫魈でもなければ、妖怪と区分していいかすら分からないからね。」
「あれを兵士の駒一つで転生させたお前もおかしいがな。」
「あの頃はまだここまでじゃなかったけど。」
「まだ、猫だったときから十分異常だったぞ。」
元々は死に掛けていた捨て猫を見た俺が、その姿に自身を重ねた。
放っておけなかった俺が使い魔として魔力を与えたのが出会いのきっかけだった。
「一人。」
簡潔な報告が入る。
「ただ、リオの役に立ちたい。その為だけに力を求めた。行き着いた先があれか。」
そのために、俺ベスターの傷から血を啜り、倒した敵の肉を食んだ。
理論的には生き肝信仰に近いのだろうが…。
妖怪、妖魔、悪魔、天使、堕天使。
「神格の肉を食らったのはアイツくらいのものだろ。」
故におかしな方向に強化されていった。
元々使い魔のときから探索と斥候をしてもらっていたが、それを極めようとしたらしい。
「行き着いた先が超越者にもバレない斥候だからね。」
「俺達の中で一番弱いのに、最高の戦力だしな。」
それに俺はユウキとの付き合いが一番長い。
最古参。一番最初に出会ったのがユウキだ。
「ユウキとベスター。まだ三人だった頃が懐かしいよなぁ。」
「どっちかと言うと2人と一匹だけどな。」
しばらくはこの3人だった。残りの眷属とは期間としては間が開く。
「2人目。完了。」
「さて、いくぞ。」
「部屋の入り口正面から俺とユウキが。外の窓からはベスターが。」
逃走経路を塞いで一気に片をつける。
それで、終わりだ。
さて、今日もスムーズに進んだ。
他の眷属も三人一組で別行動している
最悪の場合を考えて、少なくとも三人一組だ。
「退屈。」
「そういうな。何もないのが一番だろ。」
二人がそう呟く。
たいした事ない相手だとしても、リアス・グレモリー達にはまだ厳しい。
特に複数が相手だと後手に回るだろう。実践はチェスとは違うからなぁ。
「それにまだそこそこ残ってるしね。殺害対象。」
それに放っておいても次々集まってくるからなぁ。
「それにお腹すいた。」
「なんだ。さっきの奴ら食べとけばよかったんじゃね。」
「冗談。あんな弱いの。不味い。」
「俺にはわかんねぇがな。」
そんな折、携帯電話が振るえる。
魔力や魔法も便利だが、科学と言うのも非常に助かる。
「あぁ…、はぁ…。いや、お前は悪くないよ。あぁ、任せるよ。」
電話が切れる。
「はぁ、厄介な。」
「マズイ?」
「あぁ…。」
先ほどの一報は穏やかなこの空気をどん底に突き落とすには十分な話だった。
「喜べ。これから退屈とは無縁な状況になるぞ。」
さっきのがフラグって奴なのか。
こうならないように動いてきたんだが…。
「やっぱり、殺しておくべきだったか。」
覚醒しないように封印処理をして神器からの声も切断して…。挙句この有様か。
「リアス・グレモリーが兵藤一誠を眷族にした。」
「「はぁ?」」
「そんなに死にたいのかねぇ。あのお嬢様は。」
二天龍に関わった者はろくな人生を送らない。
その人生に冥界を巻き込むな。
そして、俺達を巻き込むな。
「二天龍が揃った。世界が荒れるぞ。」