世界に痛みを(嘘) ー修正中ー   作:シンラテンセイ

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神の国"スカイピア"

 静寂が場を支配する。

 対峙するはルフィ・ゾロ・サンジの三人とアキト

 ナミ達はアキト達から距離を置き、静観している。

 

『……』

 

 誰一人としてその場から動かない。

 ルフィ達は対するアキトの一挙一動に神経を集中させ、攻撃の手段を模索していた。

 

 次の瞬間、ゾロが一息にアキトへと詰め寄り、抜刀する。

 狙いは胸部、速度は上々

 全身全霊の力を込め、放つ一閃

 

「何……ッ!?」

 

 しかし、一切の容赦無く一閃されたゾロの斬撃は突如、停止する。

 否、アキトにいとも容易く受け止められていた。

 

 見れば刀身がアキトの左手の手首によって防がれている。

 何という硬度、まるで鋼鉄の物体を相手にしているようだ。

 驚愕を隠せないゾロをアキトは一瞥し、両者が視線を交差させる。

 

「……!?」

 

 自身の想像を超えた現象に思考が停止したゾロがアキトから放出された衝撃波により吹き飛ばされ、遠方の彼方に消える。

 既にルフィとサンジの姿は眼前に存在していない。

 

 前方、否

 後方、否

 左右、存在を確認

 

 目視は不要

 心は平静に、焦ることなく事態に対処する。

 

「"ゴムゴムの"……ッ!?」

「"首肉(コリエ)"……何ッ!?」

 

 両サイドから迫るルフィとサンジの攻撃をアキトは掌をかざし対処する。

 ルフィの拳を、サンジの蹴りを即座に無効化した。

 

 息を飲む音が聞こえる。

 だが、彼らもさる者

 最後の抵抗として放たれたサンジの渾身の蹴りとルフィの拳を宙へと飛翔することで躱し、アキトは両者を衝撃波で吹き飛ばした。

 

 ルフィとサンジが吹き飛ばされている最中、ゾロは"和道一文字"を頭上に構える。

 左手で右手を支え、その刀一本に力を集束させる。

 

 遠距離攻撃と攻防一体の能力を有しているアキトに生半可な力では太刀打ちは出来ない。

 宙を闊歩し、不可視の衝撃波を放つアキトに対抗するには此方も"飛ぶ攻撃"を放つしかない。

 

 

(がん)()()……」

 

 間合いも威力も上々

 狙いは上空に佇むアキト

 

 

「人の六根(ろっこん)(こう)(あく)(へい)!」

 

 アキトに向けるは大砲の砲口

 

 

「またおのおのに(じょう)(せん)……!」

 

 今から放つは"飛ぶ斬撃"

 

 

「一世三十六煩悩」

 

 鉄を斬るだけでは足りない。

 何物にも勝る斬撃を、一撃必殺の斬撃を

 

 

「一刀流……"三十六"……!」

 

 まだまだ自分には強くなる可能性が残されている。

 ならば迷うな。

 決して振り返るな。

 

 放て!

 その技の名は……

 

 

「"煩悩鳳(ポンドほう)"!!」

 

 放たれるは"飛ぶ斬撃"

 今なお上空に佇むアキトにゾロが放った"煩悩鳳(ポンドほう)"が迫り……

 

 時は少し遡ることになる。

 

 

 

 

 

 白海名物"特急エビ"に導かれ、ルフィ達は遂に"神の国"スカイピアに辿り着いた。

 幻想的な光景が広がり、ルフィ達を圧倒する。

 

「良いね、良いね、最高だねェ!冒険のにおいがプンプンするぞ!」

「いやっふー!俺が地一番乗りだー!」

「あ、ずりーぞ、ウソップ!」

 

 眼前の"空島"に喜びを隠せないルフィ達

 

「饒舌に尽くしがたいとはこのことを言うんだな、おやっさん」

「あまり賢い言葉を遣うと馬鹿に見えるぞ、マシラ」

「何だとショウジョウ!」

「事実を言ったまでだ!」

「何馬鹿な事言ってんだ、マシラ、ショウジョウ。行くぞ、"空島"へ」

「「御意」」

 

 マシラとショウジョウを引き連れ、メリー号を降りていくクリケットさん達

 

「おい、ウソップ、アキト、これ堅ェからやるよ」

「いてェな!?よーし、ルフィ、そこを動くなよ!」

 

 反射、反射

 

「ふが……ッ!?」

「ふはは!ざまあねェな、ルフィ!」

 

 ルフィが投げた木の実が勢いよく弾き返され、ルフィの顔面に直撃する。

 ウソップはとても生き生きとした顔で爆笑する。

 

 メリー号ではロビンとゾロの二人が何やら言葉を交わしている。

 ナミはサウスバードに頭を突かれながら、船室から水着で出てきた。

 

 ナミに似合うとても可愛らしい水着だ。

 サンジはナミとビビ、ロビンの為に花を摘んでいる。

 

「えへへ、どうですか、アキトさん?」

 

 思案に暮れるアキトの傍に無邪気な様子でビビが駆け寄った。

 "ジャヤ"にて購入した水着をその身に着込みながら

 

 純真無垢な笑顔で、アキトに水着を褒めてもらおうとビビは微笑む。

 彼女のトレードマークである水色を主体とした水着だ。

 

ヤバイ、尊い

 

「新調した水着なのですが……」

 

 アキトの中でビビの可愛さパラメーターが天元突破の勢いで上昇していく。

 表面上は平静を装っているが、今にも抱き付いてしまいそうである。

 

「似合ってますか、アキトさん?」

 

当然

 

 上目遣いにて此方を伺うビビの可愛さが留まるところを知らない。

 くびれた腰に、黄金比の肢体

 ホットパンツから覗く足もとても魅力的だ。

 

 余り露骨に視線をビビに向けることなく、アキトはビビと対面する。

 既にビビの可愛さパラメーターが天元突破していたが

 

「少し露出が多い水着ですが、そう言ってもらえると嬉しいです」

 

 純真無垢の笑顔、ビビが可愛すぎる。

 アキトは無言で両手で顔を覆い隠し、天を仰いだ。

 

ビビがとても愛い

 

 アキトのビビに対する保護欲と加護欲、抱擁欲が大いに刺激される。

 何故、こんなにもビビは可愛いのだろうか。

 あれ程殺伐とした環境に身を置きながら何故ビビはこんなにも心身が汚れることなく、澄み切っているのだろうか。

 誰か教えてくれ、アキトは切実にそう思う。

 

「そのですね、そんなに似合っていますか?」

 

 言うまでもない。

 

とても似合っている(抱き締めいたいくらいに可愛い)

「え……?」

 

 アキトは気付けば本心を暴露していた。

 アキトの大胆な発言にビビの思考は固まり、頬を赤く染め上げていく。

 

「えっと、それはどういう意味合いですか?」

「言葉通りの意味だ」

 

 こうなれば最後まで突き抜けるだけだ。

 言葉を着飾り、不快な思いをビビにさせるわけにはいかない。

 

 どこまでも真剣に、動揺を悟らせることなくアキトはビビに本心を告げる。

 そんなアキトにビビは頬を染めながら、幾度か悩まし気に頭を抱えている。

 一体、どうしたのだろうか。

 

 

 

「えっと、抱き締めたいのでしたら、抱き締めても良いですよ、アキトさん……?」

 

 

何……だと……?

 

 

 おずおずと両手を伸ばし、頬をうっすらと赤く染めながらもビビがアキトを恥ずかし気に見据える。 

 

「……」

 

 アキトはビビの言葉の意味が分からず、彼女の言葉を何度も頭の中で反芻する。

 見ればビビは今なお恥ずかし気に此方に身を寄せていた。

 

 ビビは両腕をアキトへ伸ばし、頬をほんのりと紅く染める。

 抱き締めても良いサインだろうか。

 

 据え膳食わぬは男の恥

 ビビ本人の了承は貰った。

 ビビは此方に身を寄せてきている。 

 

 ならば躊躇うことはない。

 アキトは遠慮なくビビを優しく抱き締めた。

 

「あっ……」

 

 ビビから官能的な声が上がる。

 自分は何も聞いていない、聞いていないったら聞いていない。

 

「私がウェイバーにハマっている間にアキトは何しているのかしら?」

 

 ナミが突如、ビビを抱き締めていたアキトの襟首を掴み取る。

 ウェイバーを操縦しながらこの握力、何という力だ。

 

 アキトでなければ首の骨が折れていたかもしれない。

 恐らくビビも手放してしまっていただろう。

 

「あ、あのアキトさん……」

 

まだだ、まだ離さんよ

 

 ナミに首根っこを掴まれながらもアキトがビビを離すことはない。

 ビビも恥ずかし気にしながらもアキトから離れず、より一層、アキトを抱き締める。

 そんなビビの様子にナミは一層嫉妬を募らせていく。

 

「ナミも抱き締めて欲しいのか?」

「ち、違うわよ……!」

 

 この反応、図星か

 そんなアキトの達観した反応が癪に障ったのかナミの握力が強まり、ウェイバーの速度が速まった。

 ジカジカの実の能力が無ければ首の骨が折れていただろう。

 

 個人的に麦わらの一味の中で最強なのはナミだと思う。

 無意識か定かではないが覇気と思しき力を遣い、ゾロを含めたルフィ達を普段からボコボコにしている。

 

 思案するアキトを他所にウェイバーは禁断の聖地"神の地(アッパーヤード)"へと向かっていく。

 だが、肝心の"神の地(アッパーヤード)"は爆音と防音、悲鳴が鳴り響き、只事では無い様子だ。

 地べたを這いつくばりながらも此方を見据え、助けを求めている一人の男性の姿も見えた。 

 

 途端、上空に途方もないエネルギーが収束し、地上へと投下される。

 天より投下された極光は地を割き、大気を振動させた。

 地べたに這いつくばり、此方に助けを求めていた男は瞬く間に消滅する。

 

 それは"天の裁き"

 この神の国"スカイピア"にて罪を犯した罪人を裁く、絶対の力だ。

 

「く、"エネル"か!よくも"ヴァース"を!」

 

 奇妙なことを述べ、ゲリラは颯爽とその場から去っていく。

 

「新たな知らせだ。アマゾンのばあさん曰く、今度は12人の青海人達がこの国に入り込んだらしい」

「どうやらその青海人達は入国料を支払ったらしいが……」

「ああ、どのみち悪い時期に来たものだ」

「我らの歩みを邪魔するのならば消せとの命が下されている」

「あらゆる事態を想定し、既に手は打ってある(・・・・・)

「だが、たったの12人とは期待外れ」

「しかし、4人で割れば、首は丁度3人」

「丁度良い数だ」

 

 何とも物騒なことを言ってくれる。

 アキトは驚きを隠せないナミとビビを傍の巨木の陰に誘導し、耳を澄ます。

 叫び声を上げないようにナミとビビの口を抑え、息を潜めていた。

 

 先程の空からの波動砲とも見間違える程の落雷、間違いない。

 

 あの落雷は周囲に奴ら以外の姿も気配も感じられなかったことから、遥か遠方から落とされたと考えていいだろう。

 まだ確定的な情報が少なく、不明な事は多々あるが、ある一つの可能性が濃厚になってきた。

 

 この島に"覇気遣い"が存在している。

 それも遠方から落雷をここまで精密な精度で落としたのだと仮定すれば、とても強大な覇気遣いだ。

 こうなってしまっては最悪の事態を想定し、ルフィ達の下へ帰還次第、ルフィ達に覇気の存在を教えることが最善の手だろう。

 

 アキト自身、覇気の熟練度は海軍の中将レベルには達しておらず、未熟そのものではあるが、ルフィ達に覇気の存在を肌で感じ取ってもらうことにこそ意味がある。

 "覇気遣い"との実践を経て"覇気"を体感し、その身で"覇気"の力を感じ取ることが出来ればルフィ達の大きな成長の糧になるはずだ。

 

 アキトは少しばかり荒療治ではあるがルフィ達と覇気を用いた実践による戦闘を行うことを決意した。

 こうして舞台は冒頭に遡ることになる。 

 

 

 

 全方位からアキトに迫るルフィ、ゾロ、サンジの三人の攻撃

 

 サンジの蹴りを上空に飛翔することによりアキトは回避する。

 そこを狙ったルフィが突貫し、バズーカを放とうとするも難無く回避され、途端、アキトの姿が虚空へと消えた。

 

 否、ジカジカの実の力を最大限に活かした高速移動だ。

 唖然とするルフィを眼下へと蹴り落とし、アキトは地上へと降り立つ。

 

 上空から迫るはゾロの特攻

 それをアキトは身体を僅かに逸らすだけで回避する。

 

 ゾロの一撃により雲によって形成された地面は崩れ、凹み、周囲に暴風を引き起こす。

 周囲に水しぶきが上がり、ゾロとアキトの二人の姿が消えた。

 

「ォォオオオ!!」

 

 一息に詰め寄り、ゾロが振りかざした刀をアキトは左手の掌でいとも簡単に受け止める。

 刀越しに伝わる感触はまるで鋼鉄の何か

 いや、ジカジカの実の能力以上の何かを感じる。

 

 アキトは驚愕を隠せないゾロを引き寄せ、投げ飛ばす。

 途轍もない速度で投げ飛ばされたゾロは何とか体制を整えながら、吹き飛んでいく。

 

「くそッ……!?」

 

 勢いを殺すべく上空へと跳躍したゾロの前方に突如、アキトの姿が現れる。

 宙にて身動きが取れないゾロへと迫る拳

 

「……!?」

 

何……ッ!?

 

「何、ぼさっとしてやがんだ、マリモ!」

「うるせェ!」

 

 援護すべく駆け付けたサンジの蹴りがアキトへと迫り、ゾロはサンジの後方からアキトへと刀を振りかぶる。

 

 だが、届かない。

 刹那の隙を突いたゾロの攻撃はまたしても無効化された。

 サンジの蹴りは難無く躱され、刀身は左手の掌で掴み取られている。

 

「何なんだ、一体……!?」

 

此方の動きが全て読まれている……!?

 

 これが覇気だというのか。

 余りにも反応速度が速過ぎる。

 

 刹那の思考に走っていたゾロに迫る蹴り

 無防備なゾロへと迫った蹴りは刀身ごとサンジとゾロを眼下の地面へと蹴り落とす。

 途轍もない速度で空中で幾度も回転しながら、木々をへし折り、ゾロとサンジは地へと墜落した。

 

 宙にてステップを踏んだアキトが宙を蹴り、眼下へと勢いよく降下する。

 宙に波紋を浮かべ、大気を蹴り、再度加速する。

 

 眼下にはルフィがアキトを迎え撃つ。

 視認することも困難なアキトの拳をルフィはその身一つで迎え撃った。

 

「……!?」

 

 アキトの拳に潰れたかと思われたルフィだったが、事態が一変する。

 次の瞬間、ルフィの身体から蒸気が立ち昇り、アキトが上空へと押し返された。

 

 油断も慢心もしたつもりはない。 

 ルフィの現在の実力も把握していた。

 だが、それ以上にルフィの身体能力が突如として飛躍的に上昇したのだ。

 

「……!」

 

 刹那の思考に走るアキトの眼前に普段の数倍以上の速度で移動したルフィが現れる。

 全身から蒸気を発し、左手を此方に向けながら

 

「"ゴムゴムの(ピストル)"!」

 

 その攻撃速度、通常の数倍以上

 ルフィは気付いているのだろうか。

 その異常性に、まるで強制的に戦闘力を倍にしている身体の様子に

 

 だが、まだまだ攻撃は直線的かつ直情的だ。

 それに後れを取るアキトではない。

 ルフィの攻撃を半歩後ろに下がることで躱し、ルフィをゾロ達の下へと蹴り落とす。

 

 木々に紛れ、ルフィ達の姿は見えない。

 しかし、アキトは油断などしない。

 あの程度で倒れるルフィ達ではないのだから

 

 途端、ルフィ達の姿が鮮明に映し出された。

 

 

 

 

 

「三刀流……"三百煩悩(ポンド)"……」

「"ゴムゴムの"……」

 

 

 

『"攻城砲(キャノン)"!!』

 

 

 

 

 

 此処にきて初めてアキトが危機感による防御の姿勢を取った。

 両腕を胸の前で交差し、眼下から迫る衝撃を迎え撃つ。

 

 アキトが防御の姿勢を取った瞬間、上空を震撼させ、大気を揺るがす程の衝撃が走った。

 先程とは一線を画す威力だ。

  

 極限の集中状態、瀕死の瀬戸際、刹那の秘められた力の解放

 ルフィとゾロは無意識にも"覇気"を遣い、渾身の一撃を繰り出していた。

 

 だが、両者の身体は鉛の様に重く、その身からは決して多くない血が流れている。

 呼吸も荒く、満身創痍の状態で今にも倒れてしまいそうだ。

 ルフィから立ち昇っていた蒸気は消え失せ、今にきて負荷が来たのかルフィは膝を付き、過呼吸を繰り返している。

 

 

くそ、傷が浅ェ……、俺とルフィの全力の一撃をもろに喰らってもあの程度かよ……!?

 

 

 信じられないとばかりにゾロは瞠目する。

 隣に佇むルフィも同様だ。

 

 今なお上空に佇むアキトは健在だ。

 両腕の手首は刀傷により僅かに流血し、額からは僅かに血を流している。

 左胸から右わき腹にかけてはルフィとゾロの攻撃によって受けた刀傷が見受けられるが、言ってしまえばその程度

 此方の渾身の一撃が然程効いていなかった。

 

 

今の状態で"煩悩鳳(ポンドほう)"を打ててあと二・三発が限界、どうする……!?

 

 

 息も絶え絶えの状態でゾロは思考する。

 ルフィの隣には復活したサンジもボロボロの状態ながらも上空のアキトを見据えている。

 彼らの目は死んでいない。

 

 宙に佇むアキトも眼下を見下ろし、戦闘態勢へと移行する。

 ルフィ達も同様だ。

 

 緊迫した空気が辺りを包み、再び戦闘が開始されようとした刹那──

 

 

「へそ!」

 

 第三者の横槍が入った。




アキトは悪役でも敵でもありません
※ 修行です

実践で強くなれいィィ! → Theピッコロ流的な(笑)

水着越しのビビの黄金比の肢体の感触は皆様のご想像にお任せします(^ω^)

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